要 結城の日常   作:テンツク

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38話

麻弥との雑誌撮影から数日後の事、俺は日課であるミユの散歩兼買い物に出ていた。今日はいつも行っている道に加えて、少し遠めに散歩をしていた。すると、見慣れない建物があったので近づいてみることにした。

 

「こんなところにこんな建物があったんだな。知らなかったわ」

 

「ミャ~」

 

「だな」

 

その建物に近くで見てみると、CiRCLEと書いてある看板があった。

 

「CiRCLEか・・・なんの店なんだろうな」

 

そんな事を考えていると、後ろから声をかけられた。

 

「あの、お店に何か御用でしょうか?」

 

と声をかけられたので、振り返ってみると、そこには俺と同じぐらいの見た目の女の人がいた。

 

「あ、すいません。ちょっとこの辺を通りかかった時にこのお店を見つけたもんで、気になって近くまで来てみたんです」

 

「そうなんですか。あ!自己紹介してませんでしたね。私は月島まりなっていいます。ここのお店のスタッフをしてるんです」

 

「月島さんですか、俺は要 結城といいます。そんで頭にいる猫がミユといいます」

 

「ミャー」

 

「要さんとミユちゃんですね」

 

「それで月島さん、このお店ってなんのお店なんですか?」

 

「あ、そう言えば初めてでしたね。ここはライブハウスなんです」

 

「ライブハウス?」

 

「はい、ここではいろいろなバンドがライブを行ったっりしているんです」

 

「へーー、こんな店があったんだな」

 

「要さんは音楽の方は?」

 

「あ、好きな方ですよ。いろいろ聞いたりしたりしてます」

 

「そうなんですか、あ!それなら一度聞いて行きませんか?これから六組のバンドがライブをやるんですよ」

 

「今からですか?」

 

「まだお時間はありますが、あ、ご都合とかありましたね」

 

「いえ、時間の方は大丈夫なんですけど、こいつがいたらダメなんじゃないかと思いまして」

 

「ミユちゃんですか、それならご一緒でも大丈夫ですよ。あ、でも結構お客さんが入るのではぐれないようにしてもらえれば」

 

「そうですか。それなら大丈夫かな」

 

「大丈夫そうならライブまで中を見てみますか?」

 

「そうですね。ならお言葉に甘えて」

 

「はい!それじゃあ行きましょう」

 

そう言って月島さんが入って行ったので俺達もその後を追って行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

中に入った俺は、入り口でいろいろ見渡していた。

 

「はーー、やっぱりライブする会場だけあって、いろいろな楽器が飾られているな」

 

そうしていろいろ見ていると、月島さんんがこちらに来て。

 

「何か気になる物とかありましたか?」

 

「そうですね・・・いろいろあるので、見ていられますね」

 

「そうです?それなら良かったです」

 

そんな会話をしていると、月島さんの携帯が鳴りだした。

 

「あ、少し失礼します」

 

謝りいれると、月島さんは電話に出て誰かと話を始めた。

 

「え!?そうなの!?今は何処に?・・・そう、少しかかりそう?ええ、そっか・・・確かにそれだと間に合わないかもしれないわね・・・ええ、そうなのよ、お客さんがもう少しで来ちゃうから・・・分かったわ、何か考えてみるわ」

 

なにやらトラブルがあったようだ。

 

「あ、ごめんなさい」

 

「いえいえ、それより何かトラブルがあったみたいですけど」

 

「ええ、今日一番最初に出る予定のバンドの子達が電車で来るのだけど、何やらトラブルがあって、電車が動かなくなっちゃったんです」

 

「なるほど。それで移動手段がなくて間に合いそうにないと」

 

「ええ、一応車はあるんですけど、これからお客さんが入って来ちゃって、私もそっちの対応をしなきゃいけないんです」

 

「なるほど・・・ちなみにその子達は今どこに?」

 

「えっと、ここから三駅ほど離れたところにいるみたいなんです。車だとそこまでなんですけど、歩いて来るとなると、時間がかかっちゃうんです」

 

「なるほど、車だと時間までには間に合うと」

 

「ええ、そうですね」

 

「そうですか、なら俺が行きましょうか?」

 

「え!?そ、そんな、要さんにご迷惑はかけられませんよ」

 

「でも、それだと月島さんも、それにその子達を楽しみにしているお客さん達も、他のバンドの人達も困惑してしまいますよ?」

 

「そ、それはそうかもしれないですけど」

 

「俺が動けばいい感じになるみたいですからね。困ったときはお互いさまって言うじゃないですか。車を貸してもらえれば俺が行きますよ」

 

「そ、そうですね・・・それならご迷惑を承知の上で、お願いできますでしょうか?」

 

「お任せを」

 

「それでは・・・これが車のキーです。裏口の方にありますので、お願いします」

 

「ええ、了解です」

 

そう言って車の鍵を受け取った俺は裏口へと歩き出した。歩き始めた所で月島さんが、

 

「あ!要さん!」

 

「はい?」

 

「これを」

 

そう言って月島さんは携帯の番号を俺に見せてきた。

 

「これは?」

 

「迎えに行ってもらうバンドのリーダーの子の番号です。駅に着いたら電話してあげてください」

 

「良いんですか?勝手に教えちゃって」

 

「普通ならダメですけど、今は緊急事態なので、この事は私の方から伝えておきますのでご心配なく」

 

「そうですか、それなら」

 

そう言って俺はその番号を自分の携帯に登録をした。

 

「良しっと、それでは今度こそ行ってきます」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

その言葉を聞いて俺は車へと向かい、彼女たちを向かえに向かった。

 





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