要 結城の日常   作:テンツク

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40話

あの後ライブ会場に入った俺はミユを肩に乗せて、他の客の邪魔にならないように、人のいない後ろの方で待機した。

 

「しかし、結構お客さんいるんだな。何か有名なバンドでも出るのか?」

 

そんなことを考えていると、急に会場が暗くなる。すると、次の瞬間ステージのライトが点き、そこには先ほど一緒にいたGlitter☆Greenのメンバーがいた。

 

「みなさんこんにちはー!Glitter☆Greenです!今日は楽しんでいってねー!」

 

牛込さんが観客に向けてそう言うと、

 

「「「「「「ワァァーーーー!!」」」」」」

 

観客らはテンションを上げていった。

 

「それでは聞いてください! don't be afraid 」

 

そしてライブが開始された。

 

彼女たちの曲は今日初めて聞いたが、これはすごいな。

 

「♪~~♪~~♪~~」

 

上手いのも分かるが、みんな楽しそうにやってる。曲も良い感じで俺は好きだな。そんな事を考えて聞いていたら、どうやら終ったみたいだ。

 

「「「「ありがとうございましたーー!」」」」

 

彼女達は全員で挨拶をすると、ステージ外へと引っ込んで行った。

 

彼女達がいなくなった事が分かると、再びライトが消えた。少しするとライトが点き、次のバンドが出てきた。・・・出てきたのは良いのだが。

 

「え?あいつら、こんなとこで何やってんだ?」

 

そう、次出てきたのはなんとポピパの奴らだった。俺は驚きを隠せずにいたが、逆にここでやってたのかと、一人で納得もした。

 

「みなさん!こんにちは!Poppin`Partyです!よろしくお願い致します!」

 

へー香澄がまともな事言ってるな。何て考えていると、

 

「それでは聞いてください!STAR BEAT!〜ホシノコドウ〜」

 

曲が始まった。俺はとりあえず、聞いてみることにした。

 

「♪~♪~~♪~~」

 

しかし香澄の奴は牛込さんとは違った楽しみ方で楽しんでいる感じかな?それでもアイツも楽しそうに歌うんだな。

 

「へー香澄って結構歌上手いんだな・・ん?」

 

感心していると、沙綾がこちらに気がついたようだ。こちらに向けてなのかは分からんが、ウインクをしてきたが、りみと有咲、香澄は演奏に夢中で、こちらには気づいてないみたいだ。でも、

 

「なんでたえの奴はこちらをガン見してんだよ・・・てかよくあれで弾けるな」

 

そう、たえの奴、曲の開始と同時ぐらいにこちらに気づき、そのままずっとこちらをガン見しているのだ。

ちなみに俺のいる位置は、会場の一番後ろの一番端っこだ。

 

「♪~~♪~~!」

 

どうやら演奏が終わったようだ。香澄はやりきった表情をして、

 

「ありがとうございましたーー!!」

 

香澄が挨拶をすると、お客さんも再び盛り上がった。すると香澄が全体を見渡して、嬉しそうな表情を浮かべていた。そして、

 

「あ!結城さんだ!おー、ん!?」

 

「「え!?」」

 

あのバカ声でけーよ!とっさに沙綾が止めてくれたから、なんとか俺の事はお客さんにバレることはなかった。でも、危うく混乱を招くところだったかも知れなかった・・・

 

「たく、アイツは・・・気づくのは良いが、大声で叫ぶなってーの」

 

「香澄ちゃんだから仕方ないんじゃないですかね?」

 

「ん?ああ、月島さん。どうかされました?」

 

月島さんが納得出来る事を言って、こちらに近づいてきた。

 

「いえ、私もこちらで彼女たちの演奏を聴いてみようと思いまして」

 

「そうなんですか」

 

「ええ、それより、彼女達とはお知り合いなんですか?」

 

「ええ、たえ・・・花園たえとは、昔からの知り合いでしてね、アイツ経由で他の奴らとも知り合ったって感じです」

 

「そうなんですか!それなら他のバンドとかにもお知り合いとかいたりして」

 

「ありえそうです・・・と言うか何か嫌な予感が」

 

「嫌な予感ですか?」

 

「いや、何かこの後に出てくるバンドがみんな知り合いみたいな」

 

「そ、そんな事がですか?」

 

「まぁ気のせいだと良いんですけどね・・・さっきの香澄みたいなことにならなければ良いんですけど」

 

「さっき香澄ちゃん、要さんを見つけて、叫びそうになってましたもんね」

 

「ええ、変な混乱は勘弁ですからね」

 

「あはは、あ!次のバンドの演奏が始まりますね」

 

どうやら次の準備が出来たみたいで、次のバンドの演奏が始まった。

 

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