要 結城の日常   作:テンツク

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43話

最後の曲があると言われた俺は改めてイスに座った。

 

「もう六組の演奏は終わったみたいですけど、まだあるんですね」

 

「ええ、あ、始まりますよ」

 

そう言われたので、前を向いてみると、ステージの幕が上がる。そこに居たのは、

 

「香澄に蘭、それに友希那に彩に、こころ?」

 

そう、ステージに立っていたのはグリグリ以外のバンドのボーカル達だった。

 

「まさかとは思いますけど」

 

「はい、そのまさかです」

 

「なるほど」

 

へー、なるどねー、蘭と友希那がねー、そんな事を考えていると、香澄が

 

「それでは最後の曲です!クインティプル☆すまいる!」

 

と、タイトルを言うと、曲が開始された。

 

「♪~~♪~~」

 

「♪~~♪~~」

 

「♪~~♪~~」

 

へー、意外といけるんだな。なんて考えていると、横から、

 

「意外ですか?彼女達がみんなで歌うのは?」

 

「え・・・ああ、そうですね。まぁ香澄とこころと彩はまぁ分かるんですけどね・・・蘭と友希那が一緒にやるのは意外だなと思いまして」

 

「確かにそうですね。最初は彼女達は反対してましたからね」

 

「やっぱりですか」

 

だろーなーとか考えながら聴いていた。

 

「♪~~♪~~」

 

「♪~~♪~~」

 

「♪~~♪~~!」

 

おっと、どうやら終わったようだな。しかし良い感じにできてんじゃんか。意外だけど。すごく意外だけど。なーんて考えていたら、最後にすべてのバンドが出てきて、

 

「今日はみなさんありがとうございました!」

 

そう香澄が言い。

 

「最高の演奏が出来ました」

 

次いで蘭。

 

「失敗もしちゃいましたけど」

 

彩が言い。

 

「それでも、みんな笑顔に出来たわ!」

 

こころも続く。

 

「私達はまだまだ進化できる」

 

と、友希那が言う。

 

「なのでまたライブに来てくださいね!」

 

最後に牛込さんが言い終えると、

 

 

「「「「「「ありがとうございました!」」」」」」

 

と、最後は全員で挨拶をして、ステージの幕が下ろされていった。

 

「どうでしたか?」

 

「面白かったですね」

 

「そうですか、それは良かったです」

 

そんな感じに月島さんと話していると、お客さんがぞろぞろとライブ会場から出て行っていた。

 

「それでは私は受付の方に戻りますね」

 

「ええ、頑張ってください」

 

そう言って月島さんは出て行った。俺はお客さんが出終わるまで待っていた。すると携帯が鳴ったので確認してみると、どうやらたえからだった。とりあえず出てみることにした。

 

「もしもし、どうした?たえ?」

 

『お兄さんまだいる!?いるよね!?帰ってないよね!?帰ったりしてないよね!?』

 

「声でけーよ・・・そんな大声出さんでも聞こえてるってーの」

 

『あ、そうだね、うっかり』

 

「うっかりじゃねーよ、ったく。それで?どうしたんだ?」

 

『あ、そうだった!この後みんなでライブの打ち上げをやるんだけど、お兄さんもどうかなーと思って?』

 

「いやいや、そんなんはお前らで楽しめよ。こっちは一応知り合いだが、今は部外者なんだからよ」

 

『うーーん、別に気にしなくてもいいんじゃないかな?それにほら』

 

『結城さんくるの!』

『ちょ!まだ決まってねーから落ち着け香澄!おたえも先に着替えろってーの』

『結城さんくるかな?』

『どうだろうね』

『友希那ー、何をそんなにうずうずしてんの?』

『え、いや・・・なんでもないわ』

『千聖ちゃん、結城さん来てくれるかな?』

『どうかしらね、分からないわ、でも・・・・』

『結城が来るのね!』

『いや、まだ決まってないから・・・落ち着きなって、こころ』

 

『と言う感じになってるの、どう?』

 

「いや、聞き方よ、はいはい、わーたよ、行きますよ」

 

『ホント!?それじゃあ入り口で待っててね!』

 

「はいはい、わーたから先に着替えてこい、待っててやるから」

 

『うん!わかった!』

 

そう言ってたえの奴は電話を切った。

 

「さてと、俺達も行くか」

 

「ミャ~」

 

俺達は待ち合わせである、入り口に向かって歩きだした。

 

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