最後の曲があると言われた俺は改めてイスに座った。
「もう六組の演奏は終わったみたいですけど、まだあるんですね」
「ええ、あ、始まりますよ」
そう言われたので、前を向いてみると、ステージの幕が上がる。そこに居たのは、
「香澄に蘭、それに友希那に彩に、こころ?」
そう、ステージに立っていたのはグリグリ以外のバンドのボーカル達だった。
「まさかとは思いますけど」
「はい、そのまさかです」
「なるほど」
へー、なるどねー、蘭と友希那がねー、そんな事を考えていると、香澄が
「それでは最後の曲です!クインティプル☆すまいる!」
と、タイトルを言うと、曲が開始された。
「♪~~♪~~」
「♪~~♪~~」
「♪~~♪~~」
へー、意外といけるんだな。なんて考えていると、横から、
「意外ですか?彼女達がみんなで歌うのは?」
「え・・・ああ、そうですね。まぁ香澄とこころと彩はまぁ分かるんですけどね・・・蘭と友希那が一緒にやるのは意外だなと思いまして」
「確かにそうですね。最初は彼女達は反対してましたからね」
「やっぱりですか」
だろーなーとか考えながら聴いていた。
「♪~~♪~~」
「♪~~♪~~」
「♪~~♪~~!」
おっと、どうやら終わったようだな。しかし良い感じにできてんじゃんか。意外だけど。すごく意外だけど。なーんて考えていたら、最後にすべてのバンドが出てきて、
「今日はみなさんありがとうございました!」
そう香澄が言い。
「最高の演奏が出来ました」
次いで蘭。
「失敗もしちゃいましたけど」
彩が言い。
「それでも、みんな笑顔に出来たわ!」
こころも続く。
「私達はまだまだ進化できる」
と、友希那が言う。
「なのでまたライブに来てくださいね!」
最後に牛込さんが言い終えると、
「「「「「「ありがとうございました!」」」」」」
と、最後は全員で挨拶をして、ステージの幕が下ろされていった。
「どうでしたか?」
「面白かったですね」
「そうですか、それは良かったです」
そんな感じに月島さんと話していると、お客さんがぞろぞろとライブ会場から出て行っていた。
「それでは私は受付の方に戻りますね」
「ええ、頑張ってください」
そう言って月島さんは出て行った。俺はお客さんが出終わるまで待っていた。すると携帯が鳴ったので確認してみると、どうやらたえからだった。とりあえず出てみることにした。
「もしもし、どうした?たえ?」
『お兄さんまだいる!?いるよね!?帰ってないよね!?帰ったりしてないよね!?』
「声でけーよ・・・そんな大声出さんでも聞こえてるってーの」
『あ、そうだね、うっかり』
「うっかりじゃねーよ、ったく。それで?どうしたんだ?」
『あ、そうだった!この後みんなでライブの打ち上げをやるんだけど、お兄さんもどうかなーと思って?』
「いやいや、そんなんはお前らで楽しめよ。こっちは一応知り合いだが、今は部外者なんだからよ」
『うーーん、別に気にしなくてもいいんじゃないかな?それにほら』
『結城さんくるの!』
『ちょ!まだ決まってねーから落ち着け香澄!おたえも先に着替えろってーの』
『結城さんくるかな?』
『どうだろうね』
『友希那ー、何をそんなにうずうずしてんの?』
『え、いや・・・なんでもないわ』
『千聖ちゃん、結城さん来てくれるかな?』
『どうかしらね、分からないわ、でも・・・・』
『結城が来るのね!』
『いや、まだ決まってないから・・・落ち着きなって、こころ』
『と言う感じになってるの、どう?』
「いや、聞き方よ、はいはい、わーたよ、行きますよ」
『ホント!?それじゃあ入り口で待っててね!』
「はいはい、わーたから先に着替えてこい、待っててやるから」
『うん!わかった!』
そう言ってたえの奴は電話を切った。
「さてと、俺達も行くか」
「ミャ~」
俺達は待ち合わせである、入り口に向かって歩きだした。
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