要 結城の日常   作:テンツク

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53話

あの後散歩を再開し、特に何も無かったため、今は来た道を引き返して、商店街の方へと戻ってきた。途中はぐみの所の店でコロッケと、晩飯用の肉を買い、いつもと違う道で帰っているところなんだが、ある店で何やら行列が出来ていたため、並んでみることにした。

えーっと、ベーカリー…パン屋か。こんだけ行列が出来てるってことは、人気なんだろーな。

 

 

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~数十分後~

 

 

 

あれからしばらく並んでようやく店に入れるようになった。俺から後ろの客はみんな帰って行ったわ、入れるようになったので、入ってみる。

 

 

「いらっしゃいませー!」

 

っと元気よく挨拶をしてきたのは、沙綾だった。

 

「あ!結城さん!いらっしゃい!」

 

「ああ、沙綾ここでバイト?」

 

「あ、言ってませんでしたっけ?ここの店、私の家なんですよ」

 

「沙綾の家?」

 

俺は外に出て看板をよーーく見た。するとそこには、山吹ベーカリーと看板があった。

 

「ホントなんだな」

 

「知らないで来たんですか?」

 

「ああ、何か行列が出来ていたから、並んでみた」

 

「あはは、それだけでですか」

 

「しかし、よーく売れたんだな。すっからかんだな」

 

「あ、そうですね、もうほとんど残ってないですね」

 

「いつもこんな?」

 

「今日は特にですね、これのおかげだと」

 

そう言って沙綾は一枚の紙を見せてくれた、そこには『この日限りの限定パン!』と言う言葉がデカデカと載っていた。

 

「なるほど、そいつは残念だったな」

 

「ごめんなさい」

 

「なんでお前さんが落ち込んでるんだよ。別に気にしちゃいねーよ」

 

「でも」

 

「でもじゃないの。ったく、お前はホントに優しい奴だな」

 

そう言って俺は沙綾の頭を撫でてやった。すると「ん」っと目を細めて、気持ちよさそうにしていた。

 

「今日がダメなら明日があるだろ?明日また来るよ」

 

「ホントですか!?」

 

「ああ、そう言う事だかもう気にすんなよ」

 

「はい、分かりました」

 

「それじゃあ俺はこれで帰るわ」

 

「はい!明日お待ちしてます!」

 

「あいよ」

 

そう言って俺は店を出た。

 

 

その後は特に何もなく帰って飯食ったり、なんなりやって、この日は寝た。

 

 

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~次の日~

 

俺は昨日の沙綾との約束のために再び店へと出向いた。

 

「おいーーっす」

 

「あ!結城さん、こんにちは!」

 

「おう、約束通り来たぞー」

 

「待ってました」

 

そう言って沙綾が笑顔でこちらに挨拶をしてきた。

 

「そんじゃあ選びますかね」

 

そう言って俺は買うパンを選んだ。

しかしいろいろあるな…お、これうまそ、お、こっちも、買い過ぎないようにしないとな。

 

俺はある程度見繕って、レジへと持って行った。

 

「じゃあよろしく」

 

「あ、はい!」

 

そう言って沙綾は会計を始めた。

会計を終え、商品を受け取っていると、ぞろぞろとお客さんが入って来た。

 

「結構お客さん入って来たな」

 

「ですね、奥で休んで行かれますか?」

 

「良いのか?」

 

「ええ、一応飲食スペースみたいなものですから」

 

「なら、お言葉に甘えようかね」

 

「はい!」

 

そう言って俺は言われたスペースへと移動し、パンを食べながら、沙綾の働きぶりを見ていた・・・しかし美味いなここのパン。

 

しばらくすると、お客さんも結構入って来て、沙綾も、沙綾の親父さん?も忙しそうだった。時間も良い感じの時間帯になって、多分沙綾の弟と妹かな?が腹減ったって、沙綾に言っているみたいだ。でも沙綾もまだ飯の準備は出来ないから待ってくれって言ってるみたいだ。すると女の子の方が泣き出しちまった。何とか沙綾と男の子であやしてはいるが中々泣き止まないみたいだ。

 

「まだ、手伝いあるのか?」

 

「はい、もう少しなんですけど」

 

「飯は沙綾が?」

 

「そうですね、私かお母さんが作ってるんですけど、お母さんが風邪で」

 

「なるほどな、そっか・・・・」

 

「結城さん?」

 

「なら俺が作ろうか?」

 

「え!?いや、そんな事させられませんよ!?」

 

「でもそれじゃあこの子達が我慢の限界来るかもよ?」

 

「でも・・・・」

 

沙綾は少し考えてから、二人を見て、さらに悩んだ後に親父さん?のとこに行き、何かを

話している。少し話すとこちらに戻ってきて。

 

「お父さんに聞いたら、お願いしようって言われたので、お願いできますか?」

 

「ああ任せときんさい」

 

「それじゃあお願いします」

 

「あいよ」

 

そう言って俺はキッチンへと上がらせてもらった。行く前に沙綾の親父さんに軽くだが、頭を下げられた。

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