要 結城の日常   作:テンツク

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54話

沙綾の家のキッチンに上がらせてもらった俺はとりあえず謝りを入れてから、冷蔵庫を見させてもらった。

 

「えっと・・・・なるほど、この材料ならあれかな、あ、後ついでにあれも作り置きしておこう」

 

冷蔵庫の中身を見て、今夜の晩飯の献立を決めて、いざ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

~数十分後~

 

 

「良し!完成っと!」

 

何とか料理を作り終えた俺は、人数分器に料理を盛りつけ、飯を食うであろう場所へと持って行った行こうとした。すると服の袖を引っ張られたので見てみると、そこには、沙綾の弟妹がいた。

 

「どうかしたかい?」

 

「「なにかお手伝いしたい!」」

 

「・・・・・そうか。なら弟君はこれを、妹ちゃんはこれを持って行って貰って良いかな?」

 

「「分かった!」」

 

二人は俺から物を受け取ると、そのまま運んで行った。

 

「さてと、俺も」

 

そう言って運ぼうとした時だった。

 

「あ、あの!?」

 

っと声をかけられたので見てみると、そこにはりみと有咲がいた。

 

「お前ら、何でここに?」

 

「沙綾のお母さんが風邪だと聞いたんで、大変だろうと思って、来たんです」

 

「沙綾ちゃん、お店の方で忙しいと思って」

 

「そうなのか」

 

「結城さんはどうしてここに?」

 

「俺はお前さんらとは少し違うが、まぁ似たようなもんだ」

 

「そうなんですか、それは結城さんが料理を?」

 

「そ、まさかお前らが来るとは思わなかったから作ってないぞ?」

 

「それなら大丈夫ですよ。私もりみも済ませて来てるので」

 

「そうか、なら良かったわ、それで?何か用なのか?」

 

「いえ、手伝おうかと思って」

 

「そうか、なら有咲はこいつを沙綾のお袋さんに持って行ってやってくれるか?」

 

「分かりました」

 

「りみはこいつを食卓に」

 

「は、はい!」

 

そう言って俺は二人に運んでもらうものを渡し、

 

「なら、頼むわ」

 

「「はい!」

 

そう言って運びに行ったのを見て、俺も残りを運ぶこととした。

 

 

料理を運ぶと、そこには手伝いを終えた沙綾がいた。

 

「もう良いのか?」

 

「はい!後はお父さんがやっておくから大丈夫だって」

 

「そうか、さてと、こいつが今日の晩飯だ」

 

そう言って料理をテーブルに置くと。

 

「「「うわーーーーーー!!美味しそう!!」」」

 

っと、目を輝かせていた。それにしても…

 

「おい、そこのバカ二人」

 

「「????」」

 

「お前らだよ、てかお前らしかいねーだろーが!」

 

「「あ!私達だったんだ!」」

 

「こいつら」

 

俺は顔を手で覆い、あきれたように首を振った。沙綾もそれを見て苦笑いをしていた。

 

「それで?お前らは何をやってんっだ?」

 

「「結城さん/お兄さんの料理が食べれると聞いて!」」

 

「ある訳ねーだろ!このカスども」

 

「「ええええええ!?」」

 

「どこに驚く要素があったのか分らんのだが…てか何で俺が居るって知ってるんだよ?」

 

「沙綾に教えてもらいました!」

 

「そうなのか?」

 

「え、ええ、でも手伝ってもらってるって言っただけなので、料理の事は一言も」

 

「逆にそれだけでここまでの発想に思いつくこいつらは一体…」

 

「あはは」

 

こんなバカげた感じの会話をしていると、

 

「結城さん、渡してきました」

 

「おう、ありがとさん。どうだった?」

 

「もうすっかり良くなったみたいです。この後ゆっくり休めばもう大丈夫って言ってました」

 

「そうか、お粥の方はどうだった?」

 

「バッチリみたいです。美味しいって言って黙々と食べてました」

 

「そうか、それは良かった」

 

「それで、あそこの二人は何であんな驚愕の顔をしてるんですか?」

 

「ああ、実はな」

 

俺は有咲が戻ってくるまでの話をした。

 

「・・・・はぁ!?」

 

「うん、いや、そうなるよな普通」

 

「「あはは」」

 

「とりあえず、沙綾は飯食っちまいな、あの子達も待ってるからさ」

 

「あ、はい!、あれ?結城さんの分は?」

 

「俺?いやいや、これは君ら用に作ったものだから、俺の分なんて用意してないよ」

 

「え、でも、そんな」

 

「まぁ一人分ならあまりはあるけどね」

 

「「ホントに!?」」

 

「いや、だから、お前ら用じゃねーってーの」

 

「もしかしてお父さんですか?」

 

「いや、親父さんの分を含めて、後一食だよ」

 

「それじゃあ・・・・」

 

「「お母さん!!」」

 

「え?お母さん?そうなんですか?」

 

「まぁね、もし食えそうならと思って、お粥と両方を一応作っておいたんだよ」

 

そう言って俺は弟君と妹ちゃんの頭を撫でた、弟君は恥ずかしそうに、妹ちゃんは嬉しそうにしていた。

 

「それだったら、君も一緒に食べないかい?」

 

そう言って来たのは仕事を終えた、沙綾の親父さんだった。

 

「え、でも」

 

「それに、その方がこの子達も喜ぶだろうしね」

 

そう言って弟君と妹ちゃんの頭を撫でながら俺に話しかけてきた。

 

「お兄ちゃんも一緒に食べよ?」

 

そう言って俺の服を引っ張ってきたので。

 

「分かったよ。一緒に食べよっか」

 

「うん!」

 

「と言う訳で、お世話になるよ」

 

そう言って沙綾に言うと。

 

「は!はい!」

 

あら良い笑顔。

 

「あ、あの、私達のは・・・」

 

「すまないんだけど、どうにかならないかな?」

 

「はぁ、分かりました、一応作り置きしたものがあるので、それを出しますよ」

 

「すまないね」

 

「親父さんが謝ることではないですよ」

 

「「ご飯!!」」

 

「お前らちょっとあっちに行こうか?悪いけど沙綾、すこし隣の部屋借りる、少しこいつらとO・HA・NA・SIしたいから」

 

「ど、どうぞ」

 

「悪いな、それじゃあ行こうか?」

 

「「は、はい」」

 

「あ、りみと有咲、キッチンにさっき言ってたやつあるから、こいつらの分よそってやってくれねーか?あ、もし食べられそうなら、二人の分も入れてきなよ」

 

「「あ、はい!」」

 

そう言って俺は香澄とたえを引きずって、りみと有咲は仲良く話しながら別々の所へ行った。

 

 

 

その後全員揃ったところで、少し遅めの晩飯をわいわいしながら食べて、お開きとなり、各々解散して家へと帰って行った。

 

 

 






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