要 結城の日常   作:テンツク

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積怨正寶さん!☆9評価ありがとうございます!



81話

教室にこっそりと入った俺は、先に教室に入っていた他の子のお母さん方に挨拶をして行った、するとそこには見知った顔もいて。

 

「あ、沙綾のとこのお母さん、こんにちは」

 

「あ、結城さん、こんにちは、前はありがとうございました、助かりました」

 

「いえいえ、お気になさらずに、体調の方は大丈夫なんですか?」

 

「ええ、おかげさまで、また家にも来てくださいね、沙綾もなんですけど、純と沙南も結城さんに会いたがっていましたから」

 

「ええ、分かりました、それではまたそのうちお伺いさせていただきます」

 

「ところで話は変わるのですけど、どうして結城さんがここに?」

 

「えっと、いろいろありまして、たえの、花園のお母さんに頼まれまして」

 

「そうなの、たえちゃんとは知りあいなんですか?」

 

「ええ、まあお隣さんなんです、沙綾のお母さんもたえと知り合い何ですか?」

 

「千紘で構いませんよ、そうですね、よく沙綾が家に連れてきてくれるので」

 

「そうなんですね、あいつ変な事したり、言ったりしてませんか?」

 

「ふふふ、いつも楽しませていただいてますよ」

 

「そうですか?変な事言ったら教えてください、説教するので」

 

「ええ、その時は」

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

そんな世間話を千紘さんとしていると、チャイムがなり、先生が入って来た。

 

「はーい、みなさん、授業を始めますよー、それじゃあ日直の人お願いしまーす」

 

何とも気の抜けるような声の先生なんだろ。

 

「きりーつ!気を付けー!礼!」

 

「「「「お願いします!!」」」」

 

「着席ー!」

 

 

日直の挨拶が終わると、生徒のみんなは席に着いた。

 

「はーーい、それじゃあ今日は授業参観と言う事で、みなさんのご両親が来られてますよーー」

 

担任の先生がそう言うと、生徒は一斉に後ろを振り向いた。

 

すると、各々違う反応を見せて、喜んでいる人や、恥ずかしそうにしている人、なんで来たんだと言わんばかりの反応をしている人、ウサギのぬいぐるみで遊んでいる人・・・・・・おい最後の奴、たえよお前だけ何でぬいぐるみで遊んでるんだよ。今授業中だろ。

 

「はーーい、みなさん、前に向き直してくださいねー、と言う訳で今日の授業はこちらです」

 

 

【ご両親の似顔絵を描きましょう!!】

 

「皆さんには、ご両親への日頃感謝を込めて、ご両親の似顔絵を書いていただきますー、それではご両親の方々は自分のお子さんの所に行ってあげてくださいー」

 

先生がそう言うと他のお母さん方は移動を始めたので、俺も移動することにした。

 

 

俺はたえの元に移動して。

 

「よお」

 

と挨拶をすると。

 

「あ、お兄さん?、どうしてここに?」

 

「ひかりさんに頼まれたんだよ、どうしても外せない仕事があるみたいでな、代わりに来たんだよ」

 

「そうだったんだ、それじゃあ私はお兄さんの似顔絵を描けばいいんだね」

 

「そう言うこったな」

 

「任せて!」

 

そう言ってたえの奴は画用紙に鉛筆で描き始めた。

 

 

~5分後~

 

 

「出来た!」

 

「もう出来たのか?」

 

「うん!」

 

「それじゃあ見せてくれよ」

 

「はい!」

 

そう言ってたえが見せてきた絵を見ると、そこには人の顔ではなく、何故か一匹のウサギが描かれていた。

 

「・・・・・おい」

 

「???どうしたの?」

 

「どうしてもこうしたも、俺の似顔絵を描くんだったよな?」

 

「うんそうだよ?」

 

「じゃあ何でお前が今描いた紙にはウサギが描かれてるんだ?」

 

「え?・・・・・・ホントだ、なんでだろ?」

 

「俺が聞いてるんだよ、ったく」

 

「あ、そうだ!」

 

「ん?どうした?」

 

「最初ね、お兄さんの顔を描こうとしたんだけどね」

 

「ああ」

 

「それで描き始めたらね」

 

「うん」

 

「おっちゃんの顔が浮かんできたの」

 

「おい待て、なんでそこでおっちゃんの顔が浮かんだんだ?」

 

「・・・・・・なんでだろ?」

 

「・・・・・・おい」ガクッ

 

そんな感じで授業参観も時間が過ぎていき、終わりを告げた。

 

 

 

 

授業参観も終わり、今は学校の校門の前にいる、あの後に香澄やりみ、有咲等々が集まって来て、話をしている、ちなみに千紘さんは香澄とりみのお母さんと有咲のところのおばあちゃんと一緒に仲良く話している、俺はと言うと。

 

「結城さん来てたんですね!!」

 

「声でけーよ、もうちょっと音量下げろ香澄」

 

「あ、えへへ、いやー」

 

「褒めてねーからな」

 

「それにしてもお兄ちゃんが来てるんて驚いたよ」

 

「一昨日にたえのお母さんから言われてな」

 

「よくOKもらえましたね」

 

「まあ俺も最初それで断ったんだけどな」

 

「何かしたの?」

 

「保険医の椎名先生とたえのお母さんが同級生らしくてな、何をしたのか知らんが、OKをもらったらしい」

 

「沙綾のとこはなにをやったんだ?」

 

「うちは親の似顔絵を描くのだったよ、有咲のとこは?」

 

「うちは普通に授業だったよ」

 

「そうだったんだ」

 

「そういや、有咲のとこは誰と一緒なんだ?」

 

「うちは私とりみと奥沢さんですよ」

 

「美咲も一緒なのか」

 

「そうだよ」

 

「ん?おう美咲か」

 

「やっほー、お兄ちゃんが見えたから来ちゃった」

 

「ご両親は一緒じゃないのか?」

 

「お母さんならあそこではぐみのお母さんと話してるよ」

 

「そうか、なら良いか」

 

「それより、沙綾の似顔絵はどんな感じなんだ?」

 

「あはは、そんなに上手じゃないよ」

 

「描いたやつはどうしたんだ?」

 

「今はお母さんが持ってるよ」

 

「そうか、じゃあたえの描いたやつはどうしたんだ?」

 

「私の?私のはお兄さんが持ってるよ?」

 

「そうなんですか?」

 

「ああ、だがあまり見ることはオススメしねーぞ?」

 

「そんなに酷かったの?」

 

「いや、絵自体はめちゃくちゃ上手いのよ」

 

「??それの何がダメなんですか?」

 

「りみりんの言う通り、上手だったら見せてもらっても良いんじゃ」

 

「まぁ良いか、とりあえず、お前らの第一声は多分「はい?」ってなると思うは」

 

「さすがにそれはないでしょ」

 

「じゃあ見せるぞ、せーーの、はい」

 

「「「「・・・・・・・はい?」」」」

 

「えっと、沙綾、お前確かおたえと同じクラスだったよな?」

 

「うんそうだね」

 

「確か沙綾ちゃんのクラスの授業って確かご両親の似顔絵だったよね」

 

「うんそうだよ」

 

「でも、今私達が見ている絵は」

 

「うんどう考えても」

 

「「「「ウサギだよね/な」」」」

 

「えっと、これはおたえが結城さんを見て描いたんですよね?」

 

「ああ、俺も聞いたから間違いではないだろう」

 

「えっと、じゃあなんでおたえはお兄ちゃんの顔を見てウサギの絵を?」

 

「あいつの言い分だと、俺の顔を見て描こうとしたんだけど、何故か知らんがおっちゃんの顔が浮かんで来たらしくてな」

 

「それでそのままおっちゃんの絵を」

 

「描いたと」

 

「「「おたえ/ちゃん」」」

 

「あはは、私からは何とも言えないね、花園さんってたまにそんな感じになるの?」

 

「いや、むしろこっちが正常なのか?」

 

「どうだろう、でも多分」

 

「「「こっちなんだろうね/な」」」

 

「そっちもいろいろ大変なんだね、戸山さんと言い」

 

「あはは、ま、まあそれでも楽しくはやってるから」

 

「ポピパもハロハピも問題児がいるからな」

 

「「「「あはは・・・」」」」

 

そんな感じで話をしていたら、どうやらお母さん方の話が終わった用で、帰ることとなったので、各々の親子で帰って行った。

 

ちなみにさっきの会話中に香澄とたえ、はぐみ、こころが音楽室に行って即興の歌を歌っていたらしい、見えないと思ったらどこに行ってんだよあいつら、それを見つけた椎名先生が注意をして終わったみたいだけどな。

 

 

そんなこんながあって、俺もたえを家に送り届け、家に帰った、その時にあの絵を、ひかりさんに趣旨を説明したのちに見せると、「あらー、おっちゃんねー、上手ねー」などと訳の分らん事を言われたので、俺は一人で「親子だなー」と呆れながらそんな事を思っていたのだった。

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