赤目の少女の正義の味方 作:聖晶石
ーー私は逃げていた。
迫り来る死から必死に逃げていた。
逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて……
ただがむしゃらに逃げた。
だけど、すぐに死は迫ってきた。大きな蜘蛛のようなナニカ。
いつも私を守ってくれたお父さんはここにはいない。
(……ああ、誰か助けて、まだ死にたくない。)
ナニカの鋭く尖った脚が私目掛けて振り下ろされようとしていた。
(お父さん!助けて!)
迫り来る恐怖に目を瞑る。そして切られる衝撃に耐えるように身体を硬くした。
……だが、衝撃はいつまでたってもこない。それに金属の擦れる音がする。
恐る恐る目を開けるとそこには両手に持っている剣を交差させ、ナニカの脚を防いでいる
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赤い外套の男ーーエミヤはこの状況に少しばかり混乱していた。
(…どういうことだ?強い救済の声に引っ張られて出てきたら少女ーー恐らくマスターだろうーーが見たことも無い生物に襲われていた。……昔、私がセイバーを呼んだときもこんな状況だったか。まあいい、それよりもコイツをなんとかしなければな)
「マスター、下がってくれ」
少女は自分が
「わ、わかった」
少女が慌てて下がるのを確認するとエミヤは力を流し、脚を受け流す。
そして蜘蛛の脇腹に蹴りを入れて吹き飛ばす。それによって距離ができたので姉妹剣をしまい、黒弓を取り出し、ランクDの剣をつがえる。
(周囲に人はいないな)
蜘蛛に狙いを定めて剣を撃ち放つ。
剣が刺さった瞬間に神秘を爆発させる。
「
爆風が広がり、辺りを爆煙が包む。
煙が晴れると、蜘蛛は身体の2/3以上がなくなっていてとても生きているような状態では無かった。なのに少しずつだが再生を始めていた。
(なにっ⁉︎あの状態で生きている生物などいるのか?)
これにはエミヤも驚きを隠せなかった。
ならばと、魔力の消費が多くなるので使いたくなかったが不治癒の呪いがかかっている武器を取り出す。弓につがえ、弦を引き絞る。
だが、エミヤはすぐに武器を戻し、弓も消す。
(誰か来たな)
爆発があったこちらに近づいてくるということは恐らくだがこいつに勝てるのだろう。
後はここに向かってくるやつに任せて撤退するか。
……他人に魔術を見せる訳にはいかない。
「マスター、ここを離れるぞ」
「…え?ええっ!」
少女の了承を得ないまま、エミヤは少女を抱き抱えてその場を離れる。
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場所にして2km離れた廃ビルの屋上に降り立ち、少女をその場に下ろす。
少女は少し怖かったのか地面に座ると大きな息を吐いた。張り詰めていた気持ちが落ち着くとようやく、エミヤについての疑問が浮かんだ。
(この人は誰?)
少女は自分を助けてくれた赤い外套の男に聴こうと顔を向けたが、尋ねることを躊躇した。なぜなら男が真剣な目である場所をずっと睨んでいた。その方向は少女たちが逃げた場所。その場所で今も戦闘が続いている。
戦闘が終わると同時に男は見るのをやめ、少女に尋ねる。
「さて、お互いに聞きたいことがあるだろうがそれは後にしよう。まずはどこか落ち着ける場所に移動だ。この場では色々とまずいだろう?」
「…えっと、でも私の家壊れちゃったし、どこにも行くところがない……です」
そう、エミヤが呼ばれた場所は少女の自宅であり、その場所を蜘蛛やエミヤの宝具により、半壊状態になってしまっていた。
「敬語が使えないのなら無理に使わなくていい。……そうだな、西に見えるあの山に向かおうか。そこならば人はいないはずだ」
上の方に寺が見える山を指して言った。少し見覚えのある気がしたがエミヤはそれを気のせいだと断じ、少女を抱き抱える。
少女が恥ずかしがっているのはやはり年頃の少女というところだろう。
「では、行くぞ」
そういうと、人間ではあり得ない身体能力で屋根伝いに飛び歩いていく。サーヴァントだからこその動きだろう。だからだろうか、エミヤは