赤目の少女の正義の味方 作:聖晶石
延珠と買い物から帰る途中、凄い音を聞いて延珠に買い物袋を持たせて慌ててやってきた少年、里見連太郎は混乱していた。
「……おいおい、なんなんだよこの状況」
蓮太郎が混乱するのも無理はない。何せ、ガストレアがほぼ死にかけの状態になっているからだ。まだ生命活動を終えてはいないがそれでもあとひと押しで倒せるほどのダメージだ。
この状況を作ったやつがいると思い、蓮太郎は辺りを見回す。だが周囲には誰もおらず民警も来ていない。
基本、民警ならば手柄を立てるために自分が倒したというはずだがそれがない。つまり、これをやった犯人は目立たない人間か、手柄に興味のない人間になる。
蓮太郎は後者だと考え、バラニウム入りの拳銃を取り出す。
そこで、一瞬誰かに見られているような感じがした。
(誰だ?周りには誰も居なかったはず……害意はなさそうだからほっといてもいいか)
ガストレアに向かってゆっくり歩いていく。ガストレアはまだ動く事が出来ないのか、ただ奇声を発して威嚇するだけ。
5mまで近づくとガストレアの脳みそに向かって弾丸を放つ。ガストレアはバラニウムの弾で脳みそを撃たれたので再生能力がなくなり、そのまま沈黙した。
するとここで視線が消えた感じがしたのでやはり様子見をしていたらしい。
その視線の主に緊張していたのか大きな吐息がでる。もうこの場では必要ない拳銃をレッグホルスターにしまう。
警察に連絡しようと来た道を戻ろうとするとこちらにやってくる足音が1つ。
「蓮太郎〜」
「おお、延珠もうおわーーー」
「とうっ」
「ぐっ!」
延珠が駆け寄ってきて飛びついて来るのかと思いきや、蓮太郎の腹部に跳び蹴りをかましてきた。
「……え、延珠、お前」
延珠は女の子とはいえ、ウサギのガストレア因子を持っているのでキック力は常人より遥かに高い。
それを喰らった蓮太郎は堪らず蹲る。
「妾を置いていくとはどういう事だ!」
フン、と頬を膨らませて蓮太郎を睨みつける。そして倒されたガストレアの方を向くと神妙な顔になった。
「……あれは蓮太郎がやったのか?」
ようやく痛みが引いてきたのでゆっくりと立ち上がり、息を整えて答える。
「いや、俺じゃない。俺が来る前、既にやられる寸前だった」
「……なら、誰がやったのだ?」
「……わからない。ただーー」
「ただ?」
「これをやったのは
蓮太郎のこの言葉を聞いた延珠は蓮太郎の言っている意味がわからなかった。
人間じゃないと言われ、なおかつガストレアを倒す生物となるとガストレアか赤目の少女達しかいない。
だが、ガストレアが同族を殺す理由はないし、蓮太郎が赤目の少女達を化け物扱いをする人でもないのでどちらも当てはまらない。
つまり、そんなもの
延珠が蓮太郎の顔を覗き込むと蓮太郎ははっとした表情になり、一言、「なんでもない」と言って延珠が持っている買い物袋を代わりに持った。
「さて、この事を警察に連絡するか。…あ、卵割れてんじゃん……」