「全く…次から次へと嫌になるな……最近は特に増えてきた。まぁ、そのお陰でこの世界の事と自分の能力、手加減の仕方を学ぶことが出来たのは僥倖と言えるか…。」
浜辺にある岩ではちきれんばかりの胸部装甲を藍色の水着で隠したカオルは1人そうごちる。彼女は島を(調べた結果猛獣以外は住んでいない無人島)通りがかり自分を狙ってくる海賊達を時には斬り、時には燃やし、時には岩で押しつぶしたりという事を数百年していた。海賊…そう「海賊」である。
「海賊共の話から察するに、この世界はONE PEACEの世界だろうな…となると私の能力はヘビヘビの実・神獣種・モデル八岐大蛇と言ったところか?」
カオルはONE PEACEをそれ程詳しく読んでいる訳では無かった。せいぜい主要人物と主人公の兄であるエースが海軍によって死んでしまうと言うことが分かる程度だった。カオルはこの世界での身の振り方を考える
「海賊…海軍を殲滅することは出来るだろうがそうすると民衆が面倒だろうな
革命軍…情報が少なすぎる上に何をさせられるかわかったものでは無いな…
海軍…天竜人が鬱陶しいな…
よし、海軍に所属するとしようか。天竜人は最悪八岐大蛇の姿で脅せばいいからな。」
カオルは中々に物騒な事を呟いているがそれを突っ込む者は今この場にいない。
「さて、手土産として彼処の海賊をバラして海軍基地に持って行くか。」
─────海軍基地・元帥の部屋─────
海軍基地の元帥の部屋では2人の巨漢が話をしていた
「龍神の島じゃと?」
「そうだ。新世界のとある海にある島なんだが…どうもその島には数百年前から龍神が居ると言う噂がある。」
「数百年前っちゅう事は悪魔の実の能力者とは考えにくいのぅ…」
「そうだ。そして最近その島の龍神が人間の姿をしていると言う報告が上がった。」
「そりゃあ神と付くくらいじゃしのそれくらい出来てもおかしくは無いじゃろ。で?其れをこの海軍に引き込めばいいんか?コングさん」
コングと呼ばれた人は鍛え上げられた肉体をしており、元帥としての覇気や威厳をまざまざと見せつける人であった。対するもう1人は赤いアロハシャツのようなものに赤いズボン。そして背中に「正義」と書かれた白いコートを羽織っており葉巻を吸っていた。
「そうだ。頼めるか?サカズキ中将」
「別に構いやせんがのう…仲間になってくれるかは分からんぞ?」
「そうなれば諦めるよりほかあるま「心配しなくても入ってあげるから安心するといい。」!?」
話がまとまりかけたその時、美しい声を響かせて白銀の髪を靡かせた美女が元帥の部屋に突然現れる。そう、カオルである。
「驚いたな…私の見聞色の覇気の覇気を持ってしても気づけないとは…それに、本能が理解している。貴女には勝てない。」
「儂もそれなりに強い自信があったが…井の中の蛙だったってことかのぅ…」
サカズキとコングは突然現れたカオルに本能で勝てないと察した。例えるならライオンを見上げる蟻と同じである。
「私を仲間に引き入れたいんだろう?幾つかの条件を呑んでくれるなら私を好きに使うといい。」
「条件とは?」
「1つ、天竜人関係の仕事は私に回さないこと
2つ、私に対して余計な詮索をかけないこと
この2つだ」
「そ、そんな事でいいのか?」
「あぁ、構わないよ。」
「それは有難いが…」
「何か問題があるかい?」
「いや、無いな…感謝する。」
「それから、私は海賊だからって全部が全部悪い奴だとは思っちゃいない。あまり行き過ぎた正義を抱えていると……去勢するよ?サカズキ中将」
「ぜ、善処するわい…」
カオルの放った殺気に一瞬で勝てないと悟ったサカズキは冷や汗を流しながら頷いた。
ここに後の世に「世界最強にして最恐の海軍将校」と呼ばれる女海兵が誕生した。
今回はコングさんとサカズキ中将との邂逅でした。カオルさんは出会っただけで相手との格の違いを見せつけることが出来ると言う…