天竜と龍神の邂逅。龍神、激怒する
「ふむ…次は何を食べようかな…」
「お!あっちにラーメン屋あんじゃん!行こうぜカオル!」
「わかったわかった。そんなに引っ張るな」
海軍大将のカオルは久方ぶりの休暇にシャボンディ諸島を訪ねていた。傍らには同じく休みを貰った拓海がおり、2人は食べ歩きをしながら休暇を満喫していた。
カオルも拓海も整った顔立ち(ゲームのアバターだから当然なのだが)をしているので、二人が並んで歩くと美男美女のカップルとして注目を集めてしまうのだが、二人はそんな視線に頓着することなく5軒目のご飯屋に向かっていた。二人は久方ぶりの休暇で面倒な仕事(ガープやクザンのサボり仕事の後始末)も無いので上機嫌で街を歩いていた。すると向こうから世界中の人間が毛嫌いする存在が歩いてきた。街の住人はその存在を見た瞬間皆一斉に平伏すが二人は堂々と歩いている。住人達はそんな二人に恐怖の眼差しを向ける
「何故下地民が我らの道を妨げているのだえ?」
「彼らは天竜人様の偉大さを理解していないのかと」
「ならば理解させねばならないえ〜」
かつての世界で偉業を成し遂げた人物達の子孫であり、世界中の誰よりも高い権力を有する
それでもその権力は今も絶大であり、天竜人が黒と言えばどれだけ白いモノでも黒くなってしまう。そんな彼らに目を付けられてしまった二人を住人達は同情の目で見るがその渦中の二人はと言うと天竜人など眼中に無いと言わんばかりに歩いていた。
「そこのお前達、跪くのだえ〜」
「あ?何だ?この汚物にも劣る下等生物は。今私に命令したのか?下等生物である貴様が?この私に?」
「あー、やだやだ。彼我の実力差を測れない奴らはこれだから…」
「な!?き、貴様ら!私達が誰だか知ってて言っているのかえ!?」
「知っているさ。天竜人だろう?過去に偉業を成し遂げた人物達の子孫であり、その七光りだけで威張り散らし、碌に働きもせず金を食い潰す穀潰し以下、汚物以下の存在だ」
「しかも、大して力なんかねぇ癖に無駄に出しゃばるから面倒くさくて適わねぇ。」
「き、貴様ら…!海軍大将を呼べ!この者達を殺すのだえ!」
「はん!海軍や世界政府に頼らねば何も出来ん愚か者が笑わせる!そんなに海軍大将にあいたいなら合わせてやる《インベントリ》」
そう言ってカオルは虚空に手を突っ込み自身と拓海達で考案した階級別のバッチを取りつけた海軍のコートを羽織る。拓海もそれに倣い同じく
「き、貴様ら!何故私達に逆らうのだえ!?海軍も世界政府も私達の
「……今、何と言った?この私が貴様らの下僕だと?随分と調子に乗っているようだな
「まぁ待てカオル。俺に一つ案がある」
そう言うとカオルの身体がみるみるうちに大きくなり、八つの首を持つ龍形態へと変貌する。天竜人はおろか、街の住人でさえも唖然としている中拓海が待ったをかけた。拓海は背筋が凍りそうになるほどの微笑みを浮かべており、十中八九とんでもないことを言い出すだろうと予測できた。
「おい、屑。お前達の根城は確かマリージョア辺りだったよな?」
「だ、だとしたら何なのだえ!」
「何、過去の偉業だけで威張り散らされても面倒くさくてな。『更生』してもらおうかと思ってなぁ…♪」
「ひっ…!こ、更生だと…?」
「あぁ、そうさ。どうせなら貴様らも世界から必要とされたいだろう?だから俺達が世界に必要とされる存在へ昇華してやろうと思ってなぁ…♪」
案の定『更生』と称して聖地マリージョアに乗り込み天竜人を操ろうとしている拓海を見て流石のカオルも顔を引き攣らせる。1度拓海の『更生プログラム』を見たカオルは相手が天竜人なのも相まってか心の中で合掌をする
「てことで、カオル。俺は用が出来たからお土産宜しく。」
そう言うと拓海は天竜人の首根っこを掴み六式と能力を使い聖地マリージョアに飛んでいってしまう。残された天竜人の付き人や街の住人は急展開についていけずポカンとしながらその場に立ち尽くしていた。カオルはこれ以上ここにいても面倒なだけだと思い足早にその場を去った。
後にこの日の事を世界中の人達はこう呼ぶ事になる