【悲報】魔法じゃなかった件について   作:ラーメンマン

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ハンターになってたら遅くなりましたすいません。
あれ、今までのシリーズより採集にストレス溜まらなくて楽しすぎる……


そして私は毒を盛る

 

「二次試験後半、わたしのメニューはスシよ!!」

 

二次試験担当官のメンチは私たちにそう告げる。

ハンター試験の二次試験の内容は料理であり、試験官の出したメニューを作り、満足させることだった。

え?前半はどこに行ったのかって?

いや、豚の丸焼きだったんだけど、特に語るまでもなくクリアしたので割愛する。

だって、空から撃つだけの簡単なお仕事だよ。

何を語ればいいのか……

 

「しかし、スシかー」

 

そのお題を聞いて私は頭を抱えていた。

原作だと誰も合格できずに終了し、ハンター協会の会長が現れ二次試験のやり直しがされるから受けるまでもない気がするんだが、それはなんとなく負けた気がするので選択肢から除外する。

まあ、スシについては前世でも今世でも知っている料理、というか前世なら日本人以外も普通に知ってるレベルの料理だ。

しかし、今世においてはあまり国外の人間には知られていないらしい。

そこから試験官は、与えられたヒントを頼りに答えを導きだす思考力を問うているのだろう。

メンチは、お題としてあげた寿司の中でも『ニギリズシ』以外認めないらしい。

まあ、『ニギリズシ』は一口サイズに握ったシャリの上にそのご飯を覆うくらいの魚などの切り身を乗せた料理なので作るだけならば、簡単だ。

ただ問題があるとすれば、この辺りに海がないと言うことだろう。

スシに使われるネタは殆どが海水魚であり、淡水魚を使うスシは殆どないと言っていい。

例外はあるにはあるが、その殆どが鮒寿司に代表されるように『なれずし』だ。

というか淡水魚は海水魚より寄生虫が多くあまりニギリズシのような生食に適していない。

それを発酵させることで生で食えるようにするか、普通に火を通して食うかしかないんだけど……

 

「……コンロすらないとか死にたいのか?」

 

ヒントとして与えられた調理場を見て私は呆然としていた。

あるのは、まな板、包丁、洗い場、以上の三つである。

コンロとフライパンがあれば出汁とって出汁巻き作って玉子が行けたけど、どうやらこの試験官は生食で食中毒がご所望らしい。

いっそのこと毒でも出してやろうか、と思ったところで思いつく。

 

「よし、毒キノコでも出すか」

 

某配管工がお姫様助けに行く物語に出てくる例のキノコのような見た目の奴なら毒キノコだが味は保証されている。

あれならば、かなり美味しい。

それに毒と言っても、寿司ダネ程度の量ならばほぼ死なない。

というか、私の主食だし。

家を飛び出してから森に住み始めたけれど、最初の頃は食うものに困ってとりあえずその辺に生えている野草やキノコばかり食っていた。

もちろん腹を壊したり、寝込んだりしたこともあったけど最近は慣れたのか耐性がついたのか分からないが大体、大丈夫になった。

グルメハンターならば美味いものを求めてそういう普通じゃ食えなさそうなものまで食ってそうだし大丈夫だろう。

というか大丈夫じゃなかったら、きっとこんなお題は出さないだろう。

不安要素があるとすれば植生がジャポンとは違うので無い可能性だろうか。

まあ別のやつとかも何個か色々集めて味見してから出せばいいだろう。

と、そこで一つの疑問が浮かんだ。

 

「あれ?なんで全員合格できないんだっけ?」

 

まあいいか。

美味いの作れば合格だろうし。

そして私は森の方へと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大漁♪大漁っと♪」

 

私は歌いながらホクホク顔で森を歩いていた。

手に持っている籠がわりの帽子の中には色とりどりのたくさんのキノコが盛られている。

中々豊かな森らしい。

例の超キノコも取れたし、他にも色々と美味しいキノコが取れたので万歳だ。

余るようなら私の夜食にしよう、そうほくそ笑み、皮算用しながら先ほどの調理場まで戻っていると何か騒がしい声が聞こえた。

 

「ざけんなテメー!一流の寿司職人になるまで10年はかかるって言われてんだ!それを貴様らのようなトーシローが少し頑張った程度で作れるか!」

 

「だったら、なんでこんな試験にしやがった!」

 

「っせーよ!コラ!ハゲ!殺すぞ」

 

調理場の中に入ると試験官のメンチがハゲ頭の男の襟を掴みながらガミガミと叱りつけている。

そこで私は失敗に気が付いた。

そういやあの同郷の忍者が試験の答えバラしたせいで味で審査する事になったんだった。

そして、すごすごと忍者は去っていくと、他の受験者達は作った寿司を持ってメンチの元へと殺到する。

 

「や、ヤバイぜ。早く出さないと味がどうとか言ってる場合じゃ無い」

 

私は焦りながらも採ってきたキノコに魔力を使って火を通していく。

流石に火を起こしている暇はなさそうなので急遽、魔力を使う事にした。

私が魔力を込めると、それに覆われているキノコからいい匂いが漂っていき火が通っているのが分かる。

え?それ変化系じゃねえのって?

……そうだよ。

放出系で大体使える魔法は空飛ぶのとか念弾飛ばすのとかで相性良くて運が良かったけど、何から何までそういうわけにはいかなかった。

だって、例のアレは熱と光をレーザーみたいに飛ばすやつだし仕方ないだろ!

それに魔法の初歩でイメージするのは某りゅうおうを倒しにいく例のアレに出てくる○ラとか、最後の幻想的な作品に出てくる○ァイアだし、多分アレをイメージしていなくても、きっとこの手の変化系は身につけたと思う。

電気に変化させたり、冷気にしたりとかそんな感じで。

習得に何年かかるか分からないけどな。

実際これ身につけるまでに5年。

豚の丸焼き作れるくらいの火力を得るまでにそこから2年くらいくらいかかっている。

まあ別にそればかりしていたわけじゃ無いけれども、それだけに専念したとしてもかなりの時間を要するだろう。

そうこうしているうちにキノコに火が通ったので、すぐに短冊型に切り一口大に握ったシャリの上に乗せ皿に盛る。

しかし時すでに遅く、その寿司は試験官が食す前に試験は終了した。




今までよりもさらに短い第4話。
早く戦闘させたいので色々とすっ飛ばしました。
多分次か次くらいに戦わせると思います。

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