【ラブライブ μ's物語 Vol.6】オレとつばさと、ときどきμ's × ドラクエXI 作:スターダイヤモンド
翌日。
オレたちは武闘会が行われる会場に出向き、受付で参加したい旨を伝えると、名前をどうするか訊かれた。
要はリングネームみたいなものだ。
本名でもいいらしいが『一応』は『お尋ね者の身』である。
ここは『ホーク=リッサーット』とでも名乗っておくとしよう。
因みにシルビアは『レディ=マッシブ』らしい。
…直訳すれば…
…厳(いか)つい女…
…なんじゃ、そりゃ?…
「自前のマスクがない方は、こちらからお選びください」
と係員が案内した。
オレはその中から、一番鷹っぽいのを選ぶ。
覆面タイプではなく、目元だけ隠れるタイプのものだ。
…シャア少佐だな…
鏡に映った自分の顔を見て、オレはそう呟いた。
控室に、続々と参加者が集まってくる。
もちろん、昨日見たレスラーコンビも、露出過多の美女コンビもちゃんといる。
そして…宿へ向かうときにすれ違った、あの謎の美女も。
初めからマスクをして現れた為、顔は見えないが…美女のそのスタイルの良さは、隠そうとしても隠し切れない。
頭隠して、胸隠さず…そんな感じだ。
参加者はざっと20名弱ってところか。
トーナメントなら3~4回勝てば優勝ということになる。
「では、みなさま。準備が整いましたら、抽選会場へお越し願います」
案内役に引き連れられて外に向かうと、既に幾重にも人だかりができていた。
誰が誰と組むのか、みんな興味津々だ。
この大会の熱気が伝わってくる。
「それでは、早速、一緒に闘うペアの抽選と参りましょう!」
うぉ~!と盛り上がる観客。
「参加者の皆様には、事前に整理券をお配りしているかと存じますので…1番の方から順番に…はい…箱の中に手を入れて…はい…そうです…」
最初の参加者がカプセルを取り出し、案内役に手渡した。
「出ました!グループA…チュニジア!」
集まった観客がドッと沸いた。
オレの本職はサッカー選手だ。
こういうネタは嫌いじゃない。
「失礼しました…最初の方は13番でした!14番を引いた方とペアになります」
と案内役は、改めてアナウンスした。
こうして、ひとり…またひとりと箱に手を突っ込みカプセルを引いていく。
そして、5番目…オレの番が回ってきた。
「ホーク=リッサートさんは…11番ですね。果たして誰とペアを組むのでしょうか?」
オレのするべきことは終わった。
あとは、結果を待つだけだ。
「レディ=マッシブさんは…6番です」
「あら、リサトちゃんと一緒にはなれなかったのね…」
「残念だったな!まぁ、1回戦負けしないように頑張ってくれや」
「何を言ってるの?やるからには優勝を狙うに決まってるじゃない!?」
シルビアはニヤリと笑った。
正直、今のオレの力量だと、1対1じゃ勝負にならないかも知れない。
『勇者に成り立てのオレ』とヤツでは、キャリアが違う。
それでも、この大会はそれが全てではない。
パートナー次第では、その差がひっくり返ることは充分にあるというワケだ。
「だけど…ある意味、理想の展開かも知れないな…」
オレたちは、優勝と準優勝の賞品の両方を必要としている。
シルビアと闘うのはあまり嬉しくないが、チームが別れることは仕方のないことだった。
「でも、決勝で当たるかどうかはわからないわ」
「ん?」
「1回戦で当たることだってあり得るもの…」
「あっ…」
それはそうだ。
それはある。
「まぁ…そうなったらそうなったで…その時考えましょう…」
シルビアの言葉に、珍しくオレが首を縦に振った。
この時点で、昨日会ったヤツらは、まだ全員残っている。
…さあ、12番は誰だ?…
「『べロリンマン』さん、10番!」
「『ガレムソン』さんは…9番です!」
ガレムソンとは、悪役レスラーの片割れ…ツノマスクの方だ。
「チッ!…またオメーとかよ…。今回こそは、そこのセクシーレディと組めると思ったのによぉ」
とボヤいている。
…まぁ、男なら誰でもそう考えるわな…
…って、コイツらコンビじゃなかったのか…
オレはてっきり、2人はいつも行動を共にしてる友達かと思っていた。
でも、どうやら、そうじゃないらしい。
…おっ?だけど…ということは?…
まだ、美女3人が残ってる。
…あると思います!!…
少し古いな…とは思いつつ、オレは心の中で呟く。
そして、少しワクワクしながら、抽選の様子を見守った。
「『ビビアンジュ』さん…1番です!」
「『サイエリナ』さん…おぉ!なんと2番です!」
「うわっ!マジか…」
これは『くじ運がいい』…と言うのだろうか?
キッチリ2人でペアになりやがった。
オレは激しく落ち込んだ。
逆に観客は喜んでいる。
まぁ、オレもそっちな立場なら、そうなんだが…。
闘いを通じて、彼女たちと懇親を深めることはできないらしい。
しかし、もうひとり!
まだ謎の美女が残っている。
彼女に期待を掛けよう!
「『ロウ』さん…8番です」
…あっ!…えっ?…
…謎コンビのじいさんか!?…
…美女にばかり気を取られていたから、ここにいたのを見過ごしてたぜ…
…まさかアンタも出るのかよ…
…組んだ相手が可愛そう過ぎないか?…
だが…そんな心配も杞憂に終わる。
「『エリティカ』さん…7番です!」
そうアナウンスされた瞬間、2人はハイタッチを交わした。
…おいおい、マジか…
オレがそう思ったのは、謎の美女とペアになれなかったからじゃない。
いや、それもないわけじゃないが…できあがった組がどれも『順当過ぎる』だろ…ってことだ。
悪役コンビ、セクシーコンビ、謎コンビ…これはどう見てもデキレースだ。
タネはわからないが、誰かがなんかしらの細工をしたとしか思えなかった。
…まぁ、クレーム付けても仕方がないが…
それより、謎の美女はエリティカさんと言うらしい。
その名前を聴いて、オレにウインクをした理由がわかった。
…μ'sの…
…絢瀬絵里さんだ…
そんなに会ったことはないが、まったく知らないというわけでもない。
それなのに…なんで気付かなかったのだろう。
彼女なら、このスタイルも納得だ。
…どことなく懐かしい匂いがしたのも、彼女がμ'sだから?…
…でも…
どういう関係があるのか…それはわからなかった。
「さあ、残すはいよいよ、2名です!では、どうぞ…はい、出ました!『マスク・ザ・ハンサム』さん…5番です」
その瞬間、集まった観客…特に女性客から黄色い声が飛んだ。
…ん?アイツは…
昨晩、オレたちに話し掛けてきたイケメンだった。
なるほど、サインが云々とか言っていたが…なかなか人気はあるらしい。
…それにしても、随分とナルシストな名前だこと…
そのイケメンマスクは、シルビア…いやレディ=マッシブと握手を交わしている。
すっかり忘れていたが、そういえばヤツのパートナーも決まってなかったのだ。
しかし、まぁ…これはこれで似合いのコンビと言っていいだろう。
…あれ?…
…ってことは?…
「そして、前回のチャピオン『ハンフリー』さんは、必然的に12番となります!!」
…おいおい!…
…12番って…
…なんだか知らないけど、ハンフリーと一緒になっちゃったよ…
これが勇者の血を引く者の…ヒキの強さ…ってヤツなんだろう。
~to be continued~
※エリティカ…ドラクエでの正式名称はマルティナです。
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続編作れ