【ラブライブ μ's物語 Vol.6】オレとつばさと、ときどきμ's × ドラクエXI   作:スターダイヤモンド

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トーナメント開始!

 

 

グロッタの街で行われる仮面武闘会。

出場チームは16チーム。

一発勝負のトーナメント戦だ。

 

ペアを決めたあと、次は対戦相手を決めるくじ引きが行われた。

 

 

 

…ということで、1回戦。

 

くじの結果、オレたちは2試合目となった。

 

その前…オープニングを飾るのは…ビビアンジュ&サイエリナ組vsレッドイーグル&イエローライオン。

初っぱなからセクシーコンビの登場とあって、会場は超満員だ。

 

「完全にフルハウスね!」

とビビアンジュは呟く。

 

それを聴いたサイエリナは、ふふふ…と不敵に笑った。

 

 

 

相手チームは知らないヤツらだ。

 

 

 

…さて、どんな闘いをするのやら…

 

 

 

しかし、オレはその試合を観ることが出来なかった。

 

何故なら

「ホークとやら…行くぞ…」

と、この大会でペアを組むハンフリーに声を掛けられたからだ。

 

「えっ?どこへ?」

 

「控え室だ…」

 

「えっ…あぁ…観なくてもいいのか?」

 

「観なくてもわかる。この試合は彼女たちの勝ちだ」

 

「あっ…そう…」

 

この街を拠点に活動しているという、ビビアンジュとサイエリナ。

だからハンフリーは、その実力がどれほどのものか、良く知っているのだろう。

 

 

 

…まぁ、仕方ない…

 

…ここはヤツの指示に従おう…

 

 

 

「あぁ、わかった」

 

オレは後ろ髪を引かれる思いで、会場をあとにした。

 

 

 

 

 

「改めて…ハンフリーだ」

 

「ホークだ…よろしく」

 

控え室に戻ったオレたちは、先ずは握手をかわした。

 

「私が見たところ…ホーク…キミは線は細いが、なかなかの実力者だと思っている。…隠さなくてもわかる。身体から凄まじい闘気が滲み出ているよ。いいパートナーと組めたと思っている」

 

「そりゃ、どうも…」

 

「しかし、正直なことを言えば、私はには本来、パートナーなど必要ないのだ」

 

 

 

…おいおい、ひとりでも充分闘えるってか?…

 

…偉い自信だな…

 

 

 

「だが、私が前面に出て戦ってしまっては、キミの出る幕がない。それじゃあ、観客も盛り上がらないし、あんたもこの大会に出る意味がない。そこでどうだろう…まずはキミが先陣を切って、暴れるだけ暴れるというのは?」

 

「…つまり…アンタは体力温存して、相手が疲れところで…真打ち登場…ってことか?」

 

「どう捉えるかは、キミの勝手だ」

 

 

 

…ヤツの実行がどれほどかは知らないが…

 

…噂通りであるのなら、確かにオレの出番はないかもな…

 

 

 

ヤツにおいしいとこを持っていかれるのは癪だが、逆に言えばオレが1人で片付けてしまえばいいこと。

 

「わかった。それでいこう」

 

100%納得したワケではないが、今は妥協するしかなかった。

 

 

 

そんな打ち合わせをしていると、控え室の外から「どぉっ!」という歓声が響いてきた。

どうやら、試合が終わったようだ。

 

すると程なくして、レッドイーグル&イエローライオンが担架に乗せられ運ばれてきた。

 

ハンフリーは…「なっ!言った通りだろ?」…そんな顔をした。

 

 

 

最初の試合時間が短かった為、早々とオレたちの出番となった。

 

「さて、行くか!」

 

「あぁ…」

 

ハンフリーはゆっくりイスから立ち上がると、バッグから小瓶を取り出し…蓋を開け…中身の液体をゴクリと飲んだ。

 

 

 

「それは?」

 

オレはサッカーをやっている為、ドーピングの類いは過敏に反応してしまう。

 

 

 

「気にするな…気合いを入れる…お守りみたいなものだ」

ヤツはそう言うと、その小瓶をガシャリと片手で握り潰した。

 

 

 

…確かに、この世界にそんなものがあろうとなかろうと、どうでもいいことだがな…

 

 

 

オレたちの初戦。

相手は…ベロリンマン&ガレムソンペア。

 

「楽しみにしてだぜ。今日こそお前を倒してやる」

 

「べろべろ~ん!倒しちゃうべろ~ん!」

 

 

 

『事実上の決勝戦』だと、場内アナウンスが煽った。

 

 

 

…さて、お手並み拝見といきますか…

 

 

 

「さぁ!行くぜ!」

 

 

 

プロレスのタッグマッチとは違って…1対1で戦い、ピンチになったらタッチして交代…というシステムではない。

あくまで2対2の闘い。

1人を集中攻撃して潰してしまうか、両方同時に体力を奪っていくか…相手の特徴がわからないので、まずは軽く攻撃をして、様子を伺うことにした。

オレは大型の剣を、ハンフリーはツメを装備しているが、ヤツらは武器も防具も持っていない。

己の肉体が武器…そんな感じの完全なるパワーファイターだ。

176cm、63cmのオレに対して、推定200cm、100kgオーバーの2人。

接近戦で捕まるのは、危険だと感じた。

 

オレはスピードを活かし、ヒットアンドアウェーで、2人に攻撃を仕掛けていく。

基本、オレに「自由に戦わせてやる」と言って、高みの見物(?)を決め込んでいたハンフリーも、隙を見て後方から支援する。

口では「1人で充分だ」などと言っていたが、さすがにこのクラスのファイター2人を、いっぺんに相手にするのはどうか…というところなのだろう。

 

 

 

「おぉっ!?」

 

 

 

 

「べろべろ~ん!」

 

「べろべろ~ん!」

 

「べろべろ~ん!」

 

「べろべろ~ん!」

 

 

 

…おいおい、マジか!…

 

 

 

ベロリンマンが『影分身』で4体になっちまった。

ただの筋肉バカかと思ったが、意外に侮れないぜ。

 

 

 

「落ち着け!本体はひとりだ」

 

「わかってるって!」

 

 

 

…って言っても…見分けが付かねぇ…

 

 

 

「コイツか?」

 

「コイツか?」

 

「コイツか?」

 

 

 

手当たり次第、攻撃を仕掛けてみたが、すべて外れだった。

オレはあまりくじ運は良くないらしい。

だが、その度に分身は消えていき…結局本体が残った。

 

 

 

…なんだ、見掛け倒しか…

 

 

 

そう思った瞬間だった。

 

オレのホッとした気持ちを嘲笑うかのように、ヤツらがコンビ攻撃を仕掛けてきた。

2人は空高くジャンプすると、背中合わせになって、スピンしながら落ちてくる。

 

 

 

「ダブルヒップアタ~ック!!」

 

 

 

巨大な岩の様なケツが、オレたちを襲う。

 

 

 

「ぬおっ…」

 

 

 

…コイツは…ちょっと…効いたぜ…

 

 

 

プライベートでは行動を共にしているわけではなさそうだが、それでも連携が出せるっていうことは、長年の付き合いがなせる業なのだろう。

『阿吽の呼吸』ってやつだ。

今日、初めて組んだハンフリーとオレとではできない芸当である。

 

 

 

「大丈夫か?」

 

「あぁ…なんとかな…」

 

「よし、よく耐えた!ピンチのあとにはチャンスありだ。ベロリンマンは分身と今の攻撃で、相当体力を使っているハズ。狙うなら今だ!」

 

「OK!」

 

 

 

くらえぇ!!

 

 

 

「…」

 

ドサッ…

 

 

 

「よしっ!!ベロリンマン撃破!」

 

「もう1人だ!」

 

「任せてお…どぁっ!!…」

 

 

 

「ホーク!!」

 

 

 

「…」

 

 

 

…やべぇ…やべぇ…

 

…なんて拳をしてやがる…

 

…一瞬意識がぶっ飛んだぜ…

 

 

 

…だが、そのお陰でゾーンに入った…

 

 

 

キン肉マン的に言えば、火事場のクソ力ってヤツだ。

 

 

 

「とぉりゃ~!!」

 

ズババババッ!!

 

 

 

「…」

 

ドサッ…

 

 

 

「ガレムソン撃破!!」

 

「見事だ!」

 

ハンフリーが右手を差し出した。

 

「…どうも…」

 

オレはその手に軽くタッチした。

 

 

 

観客の声援に応えながら、会場を出て、控え室へと戻った。

 

「ここを乗り切れば、あとは楽勝だ。今日はもう試合はない。明日に向けて体力の回復に心掛けてくれ」

とヤツが言う。

 

「あぁ、わかった」

 

言われなくてもそのつもりだ。

想像以上にタフな試合だった。

今は少しも動きたくない。

 

これから先、相手ペアが何度も連携技を繰り出してきたら、オレは耐える自信がない。

その前になんとかしないと…。

 

 

初日の今日は1回戦の8試合が行われる。

ペアや対戦相手を決めるイベントがあった為、それで時間いっぱいいっぱいだ。

そして、明日は、準々決勝、準決勝、決勝の7試合が行われる。

3位決定戦はないらしい。

 

オレたちの次の相手は…セクシーコンビ!

パートナーのハンフリーは、あまりそういうことに興味がなさそうだが…否が応でも胸が高鳴る。

 

 

 

…できれば手合わせじゃなくて、肌を合わせたいところだが…

 

 

 

一緒に旅するパーティーの前じゃ、口にできないけど…。

 

 

 

レディ=マッシブことシルビアたちのペアとは、トーナメントの逆の山だ。

ヤツらが順当に勝ちあがれば、決勝で当たる。

そうなれば、どちらが勝っても負けても、虹の枝とイエローオーブは手に入る。

最高の組み合わせだったと言える。

 

気になるのは…例の謎コンビだ。

彼女たちも向こうの山だ。

エリティカさんはさておき、じいいさんの実力がいかほどのものか?

わざわざ大会に出るってことは、そんなに弱いとも思えない。

 

 

 

…イケメンくんの実力によっては、決勝の相手が変わるかも知れないな…

 

 

 

しかし、そんなオレの杞憂は無駄だったらしい。

 レディ=マッシブとマスク=ザ=ハンサム組も順当に勝ちを納めたようだ。

名前も顔を知らない2人組が、悔しそうに引き上げてきた。

 

「チッ!油断したわ…まさか、あそこまでやるとはな…」

 

「あぁ…見た目に騙されちまった…」

 

「特に、あのハンソクとかいうヤツ…」

 

「あぁ…しくじったぜ…」

 

 

 

…ハンソクじゃなくてハンサムだろ?…

 

…でも、まぁ、アイツの人気はルックスだけじゃない…ってことか…

 

 

 

そのあとから、勝者が戻ってきた。

 

レディは…まぁ、当然よ…という顔をしている。

マスク越しでも、それは良くわかった。

 

 

 

さらにそのあと…謎コンビも順当(?)に勝ち上がったようだ。

息も切らさず、控え室に戻ってきた。

 

 

 

「あ、あの…絵里さんですよね?μ'sの…」

 

「ふふふ…今はエリティカよ。リサトくん!」

 

「オレの名前を?」

 

「当然でしょ!初対面じゃないんだし…ただし、それは絢瀬絵里としてだけどね」

 

「あっ…こ、光栄です…」

 

μ'sには魅力的な人が沢山いる。

中でも絵里さんは、ポニーテール+巨乳という、オレの理想のど真ん中の女性だ。

そんな人と話が出来て、少し舞い上がりそうになり、慌ててウミュがいないか、確認してしまった。

慌ててウミュがいないか、確認してしまった。

 

 

 

だが彼女は急に真剣な顔をして

「あなたのパートナー…ハンフリーには気を付けなさい…」

とオレに小声で言った。

 

「えっ?どういう意味ですか?」

 

「実は…」

 

「姫!今はまだ、その時ではありませぬぞ…」

 

エリティカさんの話を、じいさんが遮った。

 

「あ…うん…ゴメンね!そういうワケだから…」

と言い残すと、2人は部屋を出ていった…。

 

 

 

…ハンフリーには気を付けなさい?…か…

 

 

 

…ひょっとして…

 

…ヤツもシルビアと同種なのか?…

 

 

 

オレは…部屋に誘われたらなんて断ろう…なんてことを考えた…。

 

 

 

 

 

~to be continued~

 





このパートはサクサク終わらせたかったんだけどなぁ…。
長くなってしまいました…。

この作品の内容について

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  • つまらない
  • ドラクエ知らない
  • 続編作れ

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