【ラブライブ μ's物語 Vol.6】オレとつばさと、ときどきμ's × ドラクエXI   作:スターダイヤモンド

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ボロリはあるかな?

 

 

 

初日が終わり、オレは宿に戻った。

 

「お疲れさまです」

 

「お疲れ」

 

旅を同行する仲間たちから、労いの声が掛かる。

 

 

 

「あぁ…マジ疲れた…。想像以上に手強かったぜ…」

 

「リサトさん、お身体、マッサージしましょうか?」

 

「さすがセーニャさん、気が利くね!」

 

「いえ、それには及びません!マッサージなら私が致します!」

 

ウミュにそのチャンスを阻止された…。

 

 

 

…確かに『向こうの世界』では、いつも彼女にしてもらってるから、手慣れてるっちゃあ、手慣れてるんだが…こっちにいる時くらいは別にいいじゃないか…

 

 

 

「ダメです!どうせすぐに破廉恥なことを考えるのですから!」

 

 

 

「!!」

 

 

 

「…リサトさんの考えてることくらい、わかりますよ…」

 

「はぁ…失礼しました…」

 

彼女に見透かされて、オレは下を向いた。

 

 

 

 

「リサト…知ってる?」

 

「何がです?」

 

「この街の行方不明事件のこと」

 

オレがウミュにマッサージをしてもらっているのを見ながら、ベロニコさんがそう訊いてきた。

 

「行方不明事件?」

 

「ここは人の出入りが多いから、あんまり目立たないみたいだけど、1ヶ月に1人か2人、いなくなるらしいわ」

 

「一昨年くらいから…って言ってたよね?」

とセーニャさん。

 

「はい、それも屈強な武闘家ばかりだそうです…」

 

ウミュもそれに反応した。

 

「へぇ…それは穏やかじゃないねぇ…」

 

「アタシは何か、この武闘会と関係があるんじゃないかとニラんでるんだけど」

 

「それは勘繰り過ぎじゃないですか?」

と言ってみたものの…一瞬、オレの脳裏にエリティカさんの言葉が浮かんだ。

 

 

 

…ハンフリーには気を付けなさい…

 

 

 

…まさかとは思うが…

 

…何か関係があるのか?…

 

 

 

「リサト、どうかした?」

 

「あっ…いや…別に…」

 

「それより、明日はちゃんと闘いなさいよ!鼻の下を伸ばしてる場合じゃないんだからね!!」

 

「も、もちろん…」

 

 

 

…じ、自信がない…

 

 

 

「でも…リサトさんもお年頃だから…気持ちはわからなくはないけど…」

 

「その通り!さすが…」

と言い掛けたのを、ウミュに遮られた。

 

「こと…り…い、いえ…セーニャさん!!リサトさんは勇者の血を引く者なのです!くれぐれも節度をもって闘って頂けるよう、お願いします…よ!!」

 

「ぐおぉ!痛たたたた…」

 

彼女の最後のセリフ…「よ!」…で、オレの身体の筋肉をほぐしてくれていた手に、リンゴが握りつぶせるほどの力が加わった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウミュのマッサージのお陰で、オレはゆっくり休むことができた。

体調は万全だ。

 

「それじゃ、行って来る」

 

「はい、頑張ってください。会場で応援しています」

 

 

 

「まるで新婚の夫婦ね」

 

ベロニコさんにはそう見えたらしい。

 

 

 

「なるほど…なら、お出かけのチュー…」

 

「しません!!」

 

「じゃあ、セーニャさん!」

 

「どうしてそうなるのですか!昨晩言ったハズです。くれぐれも勇者の血を引く者としての節度を持って…」

 

「はい、はい…」

 

長くなりそうなので、オレは小さく手を上げて別れを告げると、急ぎ足でその場を去った。

 

 

 

 

 

会場の前には、既にハンフリーが立っていた。

 

「待たせたな。今日もよろしく頼むぜ」

 

「あぁ、こちらこそ」

 

 

 

「なぁ…ひとつ聴きたいことがあるんだけど…」

 

 

 

「なんだ?」

 

 

 

この街で起きている行方不明事件について、何か知らないか?…そう訊こうかと思ったが…思い留まった。

今は…目の前の闘いに集中した方がいい。

そう思ったからだ。

 

だが…それはわかっているのだが…対戦相手の姿を見てしまうと、そう簡単ではない。

別の意味で集中力が削がれる。

 

 

 

「この一戦は、精神力勝負だ。心に乱れが生じれば…負ける」

 

オレの気持ちを見透かしたかのように、ハンフリーが呟いた。

煩悩を全て廃したかのような、その表情に、なんとなくこの男の『芯』の強さを感じた。

 

 

 

「では、そろそろ、ご準備を…」

 

係員に促されると、ハンフリーはゆっくりと椅子から立ち上がり、バッグの中にあった小瓶の中身を飲み干した。

言うなれば、これがヤツのルーティーンらしい。

オレたちは控え室を出て、会場へと向かった。

 

客席は昨日同様、満杯だ。

これはオレの推測だが、その半数以上はセクシーコンビ目当ての客だろう。

 

 

 

その対戦相手が、反対側から現れた。

 

ビビアンジュは長い耳の付いたカチューシャと…豊かな胸元を強調するかのようなタイトな長袖のシャツ、ミニのプリーツスカート…そしてショートブーツ。

全身フェミニンな色でコーディネートされており、端的で言うなら『ピンクのウサギ』だ。

手には、先端に花の飾りが付いたスティックを持っている。

恐らく、彼女は攻撃魔術系なのだろう。

しかし、だとしても『防御力ゼロ』だと思われるこの格好は、さすがに敵ながら心配してしまう。

 

 一方、サイエリナはといえば…こちらはヘルメットに上下セパレートの防具、剣と盾…という、いわゆるベーシックな『女戦士』と言ったスタイル。

ビビアンジュ同様、ピンクを基調とした色使いに、女性らしさが感じられる。

また…それ自体は彼女ほどの大きさではないが…胸の谷間も拝むことができる。

さらにその胸当て部分には肩紐(ストラップ)がなく…従って肩口から胸元に掛けてが大きく露出している為、よりいやらしさがアップしている。

角度によっては胸カップの隙間から、その『先っちょ部分』が見えそうな感じがする。

そして長くスラリとした足は、オーバーニーのブーツを掃いているが、防具の『前垂れ』部分と相まって、それが『絶対領域』を作り出していた。

 

 

 

「この人たちとホントに戦うの?」

 

「当たり前だ」

 

改めてハンフリーが精神力勝負と言った意味を噛み締めた。

 

「アンタさ…ラリホーとか、そういう呪文は使えないの?彼女たちを眠らせて、その間にこっそりと…」

 

「使えない」

 

「…あっ…そう…」

 

「仮にあっても、その手の呪文は通じない。これまで何人もそれを試みて、返り討ちに遭っている」

 

見た目じゃわからないが、眠りの呪文耐性がある『何か』を身に付けているか…防具に練りこまれていんだろう。

 

「そんな姑息なことは考えず、堂々と戦え」

 

「わかってるよ。…あっ…念の為、もうひとつ訊いておくけど…」

 

「なんだ?」

 

「昨日のヤツらみたいに『ダブルヒップアタック!』みたいなのはしてこない?」

 

「ない」

 

 

 

…ないか…

 

…それは残念だ…

 

 

 

 

 

「さぁ、いよいよ試合開始です」

 

派手に銅鑼が鳴らされた。

 

 

 

まずは様子見だ。

昨日と同じ様にヒットアンドアウェーで…あるいわ『ぶんまわし』で同時攻撃をしながら、相手の出方を伺う。

 

 

 

…しかしまぁ…

 

…ビビアンジュのミニスカの破壊力たるや、凄まじいものがあるな…

 

 

 

『ソイツ』が『ひらり』とする度に、視線がそっちに行ってしまう。

オレはどちらかといえば『モロ』よりも『チラ』の方が好きなので、バサッと捲れるよりは…まぁ、それは、かなりどうでもいいことだが…。

 

そして彼女が動く度に、ポヨンと揺れる胸…。

目が釘付けになる。

 

必然的に、サイエリナへの攻撃はノールックになる。

期せずして、彼女へはフェイントを掛けている形だ。

しかし、それは逆を言えば、サイエリナの攻撃が見えていないということ。

直撃は避けているものの、少しずつダメージが溜まっていく。

 

 

 

なるほど。

相手がモンスターなら別だが、普通の男なら、彼女たちのルックスとコスチュームだけで、攻撃も防御も威力が半減されというものだ。

 

 

 

「集中だ!集中!」

 

ハンフリーから声が飛ぶ。

 

 

 

…チッ!言われなくてもわかってるって…

 

…じゃあ、こっちはどうだ?…

 

 

 

オレは闘う相手の比重を、半々からサイエリナへと移した。

 

 

 

…っと、こっちはこっちで…

 

…胸の先っちょが見えそうな…見えなさそうな…

 

 

 

「どこを見ている?」

 

オレの視線に気が付いたのか、戦闘中にも関わらずサイエリナが声を掛けてきた。

 

「どこって…」

 

「どうせなら、私の顔をよく見て欲しいのだが…」

 

「顔?」

 

 

 

その瞬間だった!

 

 

 

チュッ♡

 

 

 

…投げキッスだと!!…

 

…ノーモーションで繰り出してきやがった!…

 

 

 

寸でのところでギリギリ交わしたオレ。

 

 

 

だが…

 

 

 

「ハンフリー!!」

 

こともあろうか、パートナーが喰らっちまいやがった!

 

 

 

「…サイエリナ…キミはなんて美しいんだ…」

 

 

 

…女に免疫がないのか、はたまたムッツリだったのか…

 

…精神力勝負だとかい言っておきながら、自分が堕ちてるんじゃねぇよ…

 

 

 

しかし、騎士スタイルのサイエリナが放ってくるとは意外だったぜ。

 

 

 

「お兄さん、私からもプレゼントよ」

 

ハンフリーに気を取られたオレに、ビビアンジュが囁いた。

 

 

 

「ぐっ…ああぁ!!」

 

 

 

…ベギラマか…

 

 

 

これはマジでピンチだ。

ハンフリーはいまだ『うっとり』から覚めてない。

 

 

…ここは堪えどころだぞ…

 

 

オレは防御姿勢をとった。

 

 

 

ビビアンジュが『気』を溜めて、サイエリナにパスをする。

 

 

 

…来る!!連携技だ!…

 

 

 

剣に集められた気を、彼女はオレに向かって振り放った。

 

 

 

「『烈火斬り』!!」

 

 

 

「ぬぉおおおぉぉ!!…」

 

事前にガードを固めていたお陰で、最悪の事態は逃れた。

無策で突っ立っていたら、確実にやられていたところだ。

 

 

 

「ホーク…大丈夫か?」

 

 

 

「それはこっちのセリフだ!」

 

 

 

今の一撃でようやくハンフリーは正気を取り戻らしい。

 

「すまなかった」

 

オレに向かって回復呪文を唱える。

 

 

 

「そうはいかない!」

 

 

 

サイエリナが再び投げキッスを放ったが

「同じ手には引っ掛らん!」

と今度は上手くかわしたようだ。

そしてカウンター気味にヤツのツメ攻撃…『ウイングブロー』が彼女を襲う。

 

 

 

「甘い!」

 

盾で凌いだサイエリナだったが、そこにオレが飛び込んだところまでは、読みきれていなかったようだ。

 

 

 

「あぁ…ん…」

 

彼女は普段の低音ボイスとは違う、女性らしい可愛い声を出して倒れこんだ。

 

 

 

「サイエリナ!!」

 

 

 

「もういっちょ!!」

 

オレが振るう剣を…しかし、彼女は手にしたスティックを使いながら、器用にかわしていく。

 

 

 

…呪文だけじゃない?…

 

 

 

「びっくりしたでしょ?実はこんなこともできたりして」

 

俺の攻撃を封じると、一転、反撃が始まった。

さすがに日々この街を拠点に闘っているだけのことはある。

確かに強い。

 

 

 

…だが…

 

…この間合いはオレの距離だ!…

 

 

 

「もう一発、いくよ!!ベギラマ!!」

 

接近戦を嫌って、彼女は大きく後ろに跳びながら叫ぶ。

同時に風にスカートが靡(なび)いた。

 

 

 

「見えた!!これで終わりだ!」

 

 

 

彼女の唱えた呪文と、オレが放った『渾身斬り』。

 

 

 

その勝負は、ほんの少しだけ俺に分があったようだ。

 

 

 

「勝負あり!」

 

 

 

「…ふう…危ないところだったぜ…」

 

辛くもオレたちは勝った。

 

 

 

因みに「見えた!」ってのは、スカートの中じゃなくて『彼女の隙』のことだ。

 

 

 

…いや、白い色がチラリと見えた気がしないでもないが…

 

 

 

「よくやった…」

 

「おいおい、頼むぜ…まぁ、アンタも男だってことがわかったのは良かったけどさ…」

 

 

 

これで寝込みを襲われる心配もなくなった。

 

 

 

 

 

そのあと、順々決勝の残り3試合が行われた。

 

トーナメントの向こうの山では、無事シルビア組と、エリティカさん組が勝ち残った。

 

 

 

…ということは…

 

…その2組が準決勝で激突する…ってことか…。

 

 

 

 

 

~to be continued~

 

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