【ラブライブ μ's物語 Vol.6】オレとつばさと、ときどきμ's × ドラクエXI   作:スターダイヤモンド

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その盗賊、凶暴につき…

 

 

 

「大会が終わったら、私たちの宿に遊びに来てね!」

 

オレは例のセクシーコンビ…ビビアンジュさんとサイエリナさん…に誘われていた。

 

パーティーのメンバーにバレぬよう、こっそりと「はい」と返事をしたオレ。

 

約束通り、時間を見計らって、自分の部屋を出た。

 

 

 

ウミュは一旦、寝てしまえば、まず起きない。

 

逆に眠りを阻害されれば、機嫌が悪くなり、手が付けられないほどの…『バーサーカーモード』…に入る。

 

モンスターとの戦闘時に、この特性を上手く使えば、最強になるんじゃないかと思ったりしている。

 

もっとも、敵味方関係なく、襲ってくるリスクはあるが…。

 

 

 

そして、今は…幸いなことに、ここから出掛ける上での『最難関』は熟睡中。

 

オレは浮かれ気分で宿を出た。

 

 

 

しかし、その目論見は、すぐに打ち砕かれる。

 

 

 

「リサトさん?どちらへ?」

 

「のわっ!…ことりさん!…じゃなかったセーニャさん!」

 

「どこに行くんですか?」

 

「えっ?いや…ちょっと…」

 

「夜遊びはしちゃいけませんよ!…とは言いませんけど…ほどほどにしてくださいね」

 

「あ、あぁ…」

 

「ウミュさんを悲しませるようなことは、しちゃいけませんよ!」

 

「は、はい…」

 

この人に諭されたら、反発する気などなくなってしまう。

素直に返事するしかなかった。

 

「えっと…セーニャさんは、ここで何を?」

 

「うん…なんだか胸騒ぎがして、寝付けないの…」

 

「胸騒ぎ?」

 

「邪悪な気配が漂ってるの…」

 

「邪悪な…気配…」

 

「だから、出掛けてもいいけど…気を付けてくださいね」

 

「そこは許してくれるんだ」

 

「リサトさんも、勇者さんとはいえ、お年頃ですから」

 

「ははは…」

 

 

 

「本当はセーニャが面倒見てあげれればいいんだけど…」

 

 

 

「えっ?」

 

 

 

「…ううん…あっ!あれ?あの人は!?」

 

 

 

「!?」

 

セーニャさんの視線の先へ、オレは振り向いた。

 

 

 

「じいさん!?」

 

 

 

「おぉ!リサトよ、起きておったか!それなら、話は早い」

 

 

 

「何事だ?」

 

 

 

「姫の姿が見えんのじゃ!」

 

 

 

「なに!?姫…って…エリティカさんのことか?」

 

 

 

「うむ!」

 

 

 

「リサトさん、それって、この街で起きてる…っていう…」

 

「例の行方不明事件と関係が?…」

 

「何か知っておるのかね?」

 

「いや、詳しくは…でも…セーニャさん、その邪悪な気配ってヤツの出所(でどころ)は?」

 

「孤児院の方から…」

 

「孤児院…って…確か…ハンフリーが働いてるんじゃなかったっけ?」

 

「うん…」

 

「ヤツなら何か知ってるかもしれない」

 

「付き合ってくれるかね?」

 

「あぁ、もちろん!アンタたちには色々、訊きたいこともあるしな」

 

「では、参ろう」

 

「私は、みんなを呼んできますね!」

 

「いや、ここはオレたち2人で…」

 

「そうはいきません。リサトさんに何かあったら困ります!」

 

「あぁ…じゃあ、先に行ってるよ」

 

「はい、わかりました!」

 

「じいさん、急ごう!」

 

「うむ」

 

 

 

オレたちが孤児院に着くと、見るからに怪しい、大きな横穴が空いていた。

 

「まるで『ここにいます!』と言わんばかりだな」

 

じいさんは、コクリと首を縦に振った。

 

 

 

その穴に入ると、それは地中へと続いていた。

あまりに粗っぽい手口。

 

 

 

…誘われてるな…

 

 

 

そう直感した。

 

 

 

思いの外(ほか)地下道は広いが、蜘蛛の巣だらけで、オレの脚を鈍らせる。

あまり好きな人はいないと思うが、例外なく、オレも嫌いだ。

顔に纏わりつく感じが、どうにも堪えられない。

不快な思いをしながら、しかし、それを掻き分けて前に進む。

 

 

 

どれだけ歩いたろうか…。

 

 

 

「リサト!」

 

「あぁ、嫌な感じが、ビシビシ伝わって来るぜ」

 

目の前に現れた大きな扉。

その中に何かいることは、間違いなかった。

 

オレたちは音を立てないよう、それをゆっくり開けた。

 

 

 

…!!…

 

…ハンフリー!?…

 

 

 

オレが目にしたのは、ヤツの後ろ姿だった。

 

そして、その奥には…地面に横たわるエリティカさん。

 

さらにその向こうに…蜘蛛の姿をした巨大モンスター…。

 

よく見れば、天井から『繭』のようなものが、複数ぶら下がっている。

 

 

 

…この中に、行方不明者が?…

 

 

 

「シュルルル…。そやつが今日の獲物か…。ほほう…これは極上の女戦士だな」

 

巨大蜘蛛が、ハンフリーに向かってそう言った。

 

それに対して、ヤツは黙ったまま頷いた。

 

「では、早速、『そやつのエキス』も絞り出してやろう。ハンフリー、こっちへよこすのじゃ」

 

 

 

…エリティカさんのエキスを吸う…って…

 

…なんか、エロいな…

 

 

 

…って、おいおい…

 

 

 

オレはじいさんの顔を見て、飛び出すタイミングを合わせた。

 

 

 

しかし、その時だった。

 

 

 

「それは、認められないわ!」

 

ハンフリーの前で倒れていたエリティカさんが、跳ね起きた。

 

「アンタが、黒幕?」

 

「むっ!捕まったフリか!?」

とハンフリー。

顔に動揺が見える。

 

 

 

「リサトさん!」

 

「おぉ、セーニャさん!」

 

「私たちもいるわよ!」

 

「シルビア!」

 

 

 

「なんだ、お前たちは!!」

 

その声に気付き、巨大蜘蛛が叫ぶ。

 

 

 

「エリティカさんと…その仲間たち!かな?」

 

「ハラショー!」

 

彼女は目を丸くした。

じいさんはさておき、オレたちが駆けつけたことは、意外だったようだ。

 

 

 

「ハンフリー、どういうことだ!?説明しろ!」

 

 

 

「孤児院を守る為だ…」

 

 

 

「あぁ?」

 

 

 

「ふっ…まぁ、この状況では何を言っても理解するまい」

 

「あぁ…」

 

「だが、この秘密を知ったからには…生かしては返せん」

 

「正気か?いくらお前でも、この人数が相手じゃ、勝ち目がないぜ」

 

「それはどうかな?」

 

ヤツはそう言うと、例の小瓶を取り出し、ゴクリと飲んだ。

 

「ハンフリー…」

 

見る見るうちに、パワーアップしていくのがわかる。

 

 

 

「リサト、倒すべき相手は…」

 

「じいさん、わかってるよ!」

 

 

 

…コイツと闘っても意味がない…

 

…先に殺(や)るのは、巨大蜘蛛だ…

 

 

 

だが

「いざ!」

とハンフリーはオレたちに対峙した途端、胸を押さえて倒れこんだ。

 

 

 

「ぬっ?…おぉ…ぉ…ぉあ…」

 

 

 

「ハンフリー!?」

 

 

 

「…飲み過ぎたか…」

 

そう言ってヤツは嘔吐すると、そのまま突っ伏した。

 

 

 

「セーニャさん!」

 

「はい、大丈夫です。まだ、息はあります!」

 

「頼む、死なせないでくれ!」

 

「はい!」

 

 

 

「役立たずめ。まぁ、所詮、この程度の男よ。さて…とんだ邪魔が入った…と言いたいところだが…まとめて始末してくれよう!」

 

巨大蜘蛛が吠える。

 

「けっ!やられるかよ!…いくぜ…って、なんだよこれは!動きが…」

 

「ネバネバの糸攻撃ね!」

 

「シルビア!」

 

「ベロニコちゃん、なんとかならない?」

 

「任せて!…ベギラマ!」

 

彼女の呪文が炸裂して、糸を焼き切った。

 

「ナイスです!」

 

「当たり前じゃない、アタシを誰だと思ってるの?宇宙№1魔術師…」

 

「…言ってる場合ですか!次の攻撃が!」

 

「きゃあ!」

 

糸の次は、トゲ攻撃だ。

 

「ほら、よそ見してるから!」

 

「うるさいわねぇ!」

 

「2人とも、言い争いは後にしなさい」

 

シルビアが怒鳴った。

 

「それはわかってるけど…この攻撃は、厄介だぜ!距離が詰められねぇ!」

 

「支援はワシに任せるのじゃ!」

 

「じいさん!」

 

「私も支援しますよ!」

 

「セーニャさん!」

 

 

 

「ふん!ザコの分際で!」

 

 

 

「どわっ!また糸か!」

 

「トゲも来たわよ!」

 

「回復が間に合わん!」

 

「じいさん、マジか!!」

 

 

 

「喰らえ!」

 

巨大蜘蛛が何かを呟いた。

 

 

 

…なんだ!?…

 

…何をした?…

 

 

 

「あれ?私は何をしようとしてたのかしら?…」

 

「シルビア!?」

 

 

 

「アタシも…」

 

「ベロニコさん!?」

 

 

 

「『メダパニーマ』にやられたか!」

 

「じいさん!」

 

「混乱状態に陥っておる!気を付けよ!こっちに向かって襲ってくるかも知れんぞ!」

 

「おい、おい…そりゃねぇぜ…」

 

「エリティカさんは無事か!?」

 

「えぇ!でも…」

 

「近づけなきゃ、攻撃は難しいか…」

 

 

 

「そういうことなのですね…私の眠りを邪魔したのは…あの蜘蛛が原因なのですね…」

 

オレの後方で、これまで存在感ゼロだった『ヤツ』が、ボソッと囁いた。

 

 

 

「ウミュ!?居たのか!」

 

 

 

「はい、こと…いえ、セーニャさんに『無理矢理』起こされましたので…」

 

 

 

「ごめんね…」

とセーニャさんはペロッと舌を出した。

 

 

 

「成敗致します!」

 

言うが早いか、ウミュはブーメランをブン投げた。

ブチブチと音を立てて、粘着質な蜘蛛の糸が切り取られていく。

 

 

 

「まだまだです!」

 

ウミュは短刀を抜くと、単身、巨大蜘蛛に突っ込んでいった!

 

「えぃっ!えぃっ!えぃっ!えぃっ!えぃっ!」

 

ウミュは鬼神のような表情で、連続攻撃を喰らわした。

 

 

 

「なにぃ!?」

 

これには、ヤツも虚を突かれたようだ。

 

 

 

 

「うぐっ…」

 

巨大蜘蛛の表情が歪んだ。

 

 

 

「リサトさん、今がチャンスです!」

 

「セーニャさん?」

 

「私と心をひとつにして、祈ってください!」

 

「身体を…じゃなくて?」

 

「心です!」

 

さすがにムッとしたような顔をした。

 

「りょ、了解!」

 

 

 

…なんだかわからないけど…

 

…あの巨大蜘蛛を倒せますように…

 

 

 

その瞬間だった!

 

 

 

「『聖なる祈り』」

 

 

 

…連携技!?…

 

 

 

「はい!これで、全員の守備力と回復力が上がりましたよ!」

 

「やるなら、今ってことか!」

 

「はい!」

 

 

 

「姫!」

 

「ロウ!」

 

「ウミュ!」

 

「リサトさん!」

 

 

 

一斉攻撃、炸裂!!

 

 

 

 

 

「ぐおっ…バカな…この私が敗れるとは…」

 

 

 

 

 

「やったか!?」

 

「うむ…」

 

 

 

「はっ!私はいったい何を…」

 

「アタシも…」

 

 

 

「どうやら混乱は治まったようじゃな」

 

「あぁ…でも、今の巨大蜘蛛は相当ヤバかったぜ!ウミュが突っ込んでいかなければ…」

 

「えぇ、やられてたかも知れないわね…」

 

エリティカさんが、オレに同意した。

 

「サンキューな、ウミュ!」

 

 

 

「寝てますよ…」

と笑いながらセーニャさん。

 

 

 

…眠り狂四郎か!…

 

 

 

オレは釣られて笑った。

 

 

 

「うぅ…」

と呻きながら身体を起こしたのは、ハンフリーだ。

 

「悪の元締めは倒したぜ!だから、何がどうなってるのか、洗いざらい話してもらおうか…」

 

ヤツは観念した…という感じで、ポツリポツリと、これまでの経緯を説明し始めた。

 

 

曰く…

 

16年前…さっきの巨大蜘蛛『アラクラトロ』…はユグノア王国を襲った際、討伐にやってきたグレイグ将軍に返り討ちに遭い、手痛いキズを負わされたらしい。

しかし、何かの拍子に、自身のキズを癒やすには『強い人間から抽出したエキスを吸収すること』だと気付く。

そして、そのエキスは人間が飲むとパワーアップする…という効果もあったようだ。

 

そして、ここグロッタの街は…幸か不幸か…その襲撃がキッカケで武闘会が開かれるようになり…力自慢、腕自慢の強者どもが集まるようになった。

 

孤児院を維持する為、大会に出て優勝し、その賞金が欲しかったハンフリーは…自身のキズを癒やす為、強い人間を集めたかったアラクラトロの甘言に乗せられ、不本意ながらも『悪魔の契約』を結んでしまった。

 

つまり…それが、あの謎の小瓶の中身であり、武闘家たちが次々と行方不明になるという事件の真相…なのだと言う。

 

 

 

「さぁ、オレを焼くなり煮るなりしてくれ。こうなった以上…どんな裁きも受けよう」

 

ヤツはオレたちの前で正座をした。

 

 

 

「それなら改心して、イチから出直しなさいよ」

 

「ベロニコちゃん…」

 

「方法は間違ってたけど…孤児院を守らなきゃ…っていう志に嘘はないんだから」

 

「ニコちゃん…」

 

「ウソで偽りのヒーローを演じても…虚しいだけじゃない…。アタシも向こうの世界で、それを体験してるからさ…」

 

 

オレは彼女の言ったことの意味は、あまりよくわからない。

 

だが、ウミュ、セーニャさん…そしてエリティカさんが大きく頷いているところを見ると、それぞれ思い当たる節があるのだろう…。

 

 

 

「ハンフリーとやら…今回の件は、ワシらで上手く誤魔化そう。じゃから、あとはお主が…」

 

ロウにそう諭されると、彼は正座したまま、静かに頭を下げた。

 

 

 

 

~to be continued~

 

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