【ラブライブ μ's物語 Vol.6】オレとつばさと、ときどきμ's × ドラクエXI   作:スターダイヤモンド

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束の間の休息

 

 

 

カジノの景品で引き換えた『バニースーツ』…。

 

エリティカさんにそれを着てもらい、オレたちはソルティコの街の海岸へと向かった。

白い砂がメチャクチャ綺麗な浜辺だ。

 

エリティカさんを木陰に待たせ、オレは前に会った老人を探した。

 

そう都合よく、同じ場所にいるとは思わなかったが…意外にもアッサリ見付けることができた。

 

「あぁ、ここにいたか…」

 

「ん?お主は…いつかの旅人」

 

「覚えていてくれてたんだ?」

 

「もちろんじゃ!…ということは…」

 

「連れてきたぜ。アンタが言うピチピチのバニーガールを!」

 

「なんと!!」

 

「エリティカさ~ん!カモン!」

 

彼女がこちらへと歩を進めると、その瞬間老人は鼻血を垂らして、しゃがみこんだ。

 

「お、おい!大丈夫か?」

 

 

 

「いやいや…これは…た、たまらん!!なんと素晴らしい!!なんと美しい!!わが青春のメモリアルそのままじゃ!!」

 

 

 

なに、この人?…とエリティカさんが目でオレに訴えかける。

 

ごめん、オレも実はよくわからないけど…もうちょっと待って…と無言で返答した。

 

 

 

「量感のある胸!くびれた腰!張りのあるお尻!網タイツ!!そしてそして、その網タイツに負けないスラリと伸びた長い脚!!すべてがバニースーツと調和し、まるで見るものをひれ伏せさせるような…圧倒的な高貴さと美を体現しておる!!まさにバニー中のバニーじゃ!!」

 

老人は賛美の言葉を立て続けに放った。

 

 

 

「は、はぁ…」

 

エリティカさんは多少引き気味だったが、しかし、老人の言葉に偽りは無い。

オレも激しく同意だ。

 

だが、

「だから…なんなの?」

と怪訝な顔をして、彼女は老人に問う。

 

 

 

「いやはや失礼、失礼…。あまりの素晴らしさに、つい興奮してしまったわ…オホン!…実はワシが若かりし頃…恋焦がれたバニーガールがおってな…。それはついぞ叶わぬことはなかったのじゃが…死ぬ前にもう一度、彼女に逢いたい、そう思っての…ふぉふぉふぉ…いい冥土の土産ができたわい。これでワシはいつ死んでも悔いがない」

 

 

 

…いや、その様子じゃ、当分死にそうにないけど…

 

…しかし、まぁ、ロウのじいさんといい、こんなキャラばっかりだな…

 

 

 

「バニースーツは『みりょく』を上げる効果がある。お主がこれからも旅を続けるなら、いつか役に立つ時がくるじゃろうて」

 

「…だって…」

とオレはエリティカさんの顔を見た。

 

「私はイヤよ。こんな格好で旅を続けるなんて」

 

「そうかな?これまでの服と、そんなに変わらないと思うけど」

 

「変わるわよ!!」

 

 

 

…ムキになって怒るエリティカさん…

 

…可愛い…

 

 

 

「…うん、変わるよね…」

 

仕方ない。

ここは一旦、妥協しよう。

 

 

 

「さてと…よろしいかな?これは願いを叶えてくれたお礼じゃ」

 

老人は手にしていた紙袋をガサゴソと漁ると、中から何かを取りだし、オレに手渡した。

 

「ん?これは…ガーターベルト?」

 

 

 

…なんでこんなものを…

 

…普通に持ち歩いてたら、職質されるぜ…

 

 

 

「ん?なぜワシが持ってるかだって?細かいことは気にせんことじゃ。うむ…露出は少ないが、こっちも『みりょく』が大幅にアップするアイテムじゃ!必要に応じて使うが良い」

 

「あ、あぁ…まぁ、一応もらっておくよ」

 

 

 

…あれ?たったこれだけの為に?…

 

…まぁ、目の保養にはなったけど…

 

 

 

そんな気持ちを察したのか

「それと…お主、ちょっとこっちに来たまえ」

と老人はオレに声を掛けた。

 

「?」

 

老人はエリティカさんから離れるように歩き出すと、手招きをしてオレを呼んだ。

 

「本当にいいもの見させてもらったのぅ」

 

「あぁ、まあ…それについてはオレも同じだけど…」

 

「そこで、じゃ…もうひとつ、いいことを教えてやろう」

 

「ん?」

 

「ワシの友人が、ナギムナー村におってな…」

 

「ナギムナー村?…それって、これから行くところだ…」

 

「なるほど、それなら丁度いい。そこにワシの友人…『カメーン』がおってな…ヤツに会ったら、話しかけてみるがいい。『ソルティコのツールン』の紹介だと言えば、きっと『究極の奥義』を教えてくれるぞい…おっと!その為には、あのバニーちゃんと一緒にいくことが、絶対条件だがのう」

 

 

 

…究極の奥義…

 

…エリティカさんと一緒にいることが絶対条件?…

 

…それって、つまり…連携技か?…

 

 

 

「では、健闘を祈る!」

 

「サンキュー」

 

礼を言うと、老人…ツールン…は親指を上げ

「縁があったらまた会おう。カメーンによろしく伝えとくれ」

と言って、オレたちを見送った。

 

 

 

「なんの話?」

 

「えっ…あ、いや、たいしたことじゃないです」

 

「ふ~ん…」

 

「男同士の…たわいない話ってヤツかな…」

 

「まぁ、なんとなく想像は付くけど…」

 

誰かみたいに、すぐ「破廉恥です!」と言わないところは、流石、大人の女性だ。

 

 

 

「それより、もう元の格好に戻っていいかしら?」

 

「う~ん…もう少し、その姿を堪能していたいけど…」

 

 

 

…ウミュやベロニコさんがうるさいだろうな…

 

 

 

「そうですね。エリティカさんのそんな姿を、一般人にタダで見せる訳にはいきませんからね」

 

半分本音。

半分嘘。

 

「本当は一緒に歩いて、見せびらかしたい気持ちもあるんですけど」

 

「ば、ばか…」

 

彼女は顔を赤らめると、走って着替えに戻っていった…。

 

 

 

…照れるエリティカさんも、可愛い!!…

 

 

 

 

 

船に着くと、買い物を終えたベロニコさんとセーニャさんが帰ってきた。

 

 

 

「見て、見て?」

 

 

 

「か、かわいい!!」

と思わず言ってしまったのはオレ。

幸い、ウミュたちはまだ食事から帰ってきてないようだ。

 

 

ベロニコさんは緑の、セーニャさんは赤の…それぞれ新たなコスチュームを身に着けていた。

 

 

 

「ニコちゃんのが、プリティキャップとプリティーエプロンで…」

 

「セーニャのが、ラブリーバンドとラブリーエプロン」

 

「売り切れてなくてよかったね!」

 

「そうね。これもアタシの日頃の行いが…」

 

「セーニャさん、スカートも短くなってないですか?」

 

「うん。ワンピースタイプのエプロンなんだ。ちょっと短かすぎたかな?」

 

「いえいえ、全然!…っていうか似合い過ぎです!!なんて言えばいいんだろ?新妻?幼妻?…」

 

 

 

…キッチンにいたら後ろから襲いたくなるような…

 

 

 

「ちょっとぉ、人の話を聴きなさいよ!!」

 

「あ、ベロニコさんも、似合ってますよ…」

 

「『ついで感』が、ハンパないんだけど」

 

「いや、そんなことないですよ!例えて言うなら…お手伝いする幼稚園児?」

 

 

 

ぼこっ!

 

 

 

「ふん!誰が幼稚園児よ!」

 

「じょ、冗談です…」

 

「でもね、リサトさん…これ見た目だけじゃないんだよ。このアイテムふたつで『しゅび』も『まりょく』も『みりょく』も、かなり上がるんだよ!」

 

「機能性も高いんですね!」

 

「へぇ…さすが、μ'sが誇るオシャレコンビ!」

 

オレと一緒に船に戻ってきたエリティカさんも、2人の姿を見て感嘆の声を上げた。

 

「えへへ…エリティカさんに褒められちゃった!」

 

「私にはそういう格好、似合わないもの」

 

「そうかな?そんなことないと思うけど…」

 

「無理よ!」

 

「確かにエリティカさんはスタイルが良すぎるから、フェミニンな格好はどうかな…って思うけど…」

 

「でしょ?…」

 

「でも、着てみないとわからないんじゃないかな?ね、ニコちゃん」

 

「まぁ、モノは試しって言うし、案外、違う魅力が生まれるかもね…」

 

「そうかしら…」

 

「じゃあ、今度、アタシたちが選んであげるわ」

 

「えっ!」

 

「アンタのコスチューム!」

 

「は、ハラショー!!」

 

「なによ?」

 

「い、いえ…2人に私の服を選んでもらうなんて考えたことがなかったから…ちょっと嬉しいっていうか…」

 

「まぁ、アンタはいつでも『希』とベッタリからね」

 

「そ、そういうわけじゃないけど…たまたま、あなたたちと出掛ける機会がなかっただけで…その…」

 

「そういえば、希ちゃんは、まだこのお話で出てこないね」

 

「アイツの行動は結構、予測不能だからね。そのうちヒョッコリ出てくるわよ」

 

「やっぱり…占い師の役なのかな?」

 

「街のパフパフ娘じゃない?」

 

「そうだねぇ、それ、あるかも!」

 

 

 

…あるんかい!!…

 

 

 

…って…の、希さんのパフパフ…

 

…やっぱ、オレ、この世界にずっといたいかも…

 

 

 

「なにがパフパフ娘ですか!!破廉恥です!!」

 

「あぁ、ウミュ、みんな…お帰り…」

 

 

 

…おっと…一気に現実世界へと引き戻された…

 

 

 

「なに、なに、どこにパフパフ娘がおるんじゃ?」

 

「出たな!エロじじい!」

 

「誰が、エロじじいじゃ」

 

 

 

「私と…パフパフ…してみる?…」

 

 

 

「ビビアンジュどの!ぜ、是非!…い、いや、何を言わすのじゃ」

 

 

 

…危ねぇ、危ねぇ…

 

…オレも思わず反応するところだったよ…

 

 

 

「…永い付き合いだが、私もビビアンジュの言葉が、どこまで本気なのか、いまだに判断つかない…」

 

サイエリナさんが、ボソリと呟いた。

 

 

 

「うふっ…ロウさんは、まだまだお盛んなんですね!」

 

「いや、セーニャどの…」

 

「なるほど。これからアンタのことは『ロウ』じゃなくて『エロウ』って呼ぶことにするわ」

 

「ベロニコどの、それは…」

 

「ふふふ…」

 

「姫!笑うとこではありませんぞ」

 

「ごめんなさい。なんとなくこんな賑やかで騒がしい感じが『懐かしく』思えて…不思議ね…」

 

その言葉に、ウミュもベロニコさんもセーニャさんも頷いた。

 

 

 

 

「これでみんな揃ったのかな?」

 

「いえ、まだシルビアさんが見当たりませんが…」

 

「あぁ、そうか」

 

「『姉さん』なら、食糧を調達に行ってるでやんす。長い航海になりますんで…」

 

「あ、それは悪いことをしてしまいました。言って頂ければ手伝いましたのに」

 

「そうだね」

 

「それでゴリ…いやシルビアどのは水門の許可を取りに、ジエーゴのところには行ったのかね」

 

「いえ、それは…恐らく…」

とアリスは口ごもった。

マスクで中の表情はわからないが、その口調からして困った顔をしているの容易にわかった。

 

「仕方ないのう…では、ワシが掛け合ってくるか。リサト、一緒に付いてくるのじゃ!」

 

「どこに?」

 

「聴いておらんかったか?ジエーゴの家じゃ」

 

「あ、あぁ…わかった。じゃあ、みんな、ちょっと行ってくる」

 

「はい、お気をつけて」

 

オレはじいさんのあとを追い、大きな邸宅の前まで来た。

 

 

 

街の名士っていうだけあって、たいそうな家構えだ。

しかし、向こうの世界で園田家を知っているオレにとって、そこまでビビることじゃない。

初めて『あの家の門』をくぐった時の緊張感に較べれば、どうってことはない。

 

 

 

「久しぶりじゃの」

 

「これはこれはロウ様じゃありませんか。お久しゅうございます」

 

訪れたオレたちに対応したのは、この家の執事だった。

 

「じいさん、知り合いなのか」

 

「ふむ…まあな…」

 

「おや、そちらは…」

 

「あぁ、前に一回、訪ねたことがある。その時は、そのジエーゴさんとやらは不在だっけど…」

 

「はい、残念ながら本日も…」

 

どうやらお目当ての人物は外出中らしい。

 

「そうか。まぁ、それは仕方ない。ワシもアポを取ってきたわけじゃないからのう…」

 

「…では、どのようなご用で…」

 

「うむ…実はかくかくしかじかで…」

 

「左様でございますか…。それでは、私が水門を開けておきますので、皆様は船に乗ってお待ちくださいまし」

 

「すまんのう」

 

「いえいえ…」

 

「ところで『ゴリアテ』のことじゃが…」

 

「はっ!!ロウ様、なにかご存知で!?」

 

「ん?いい、いやぁ…たいしたことではないが…ジエーゴには『気長に待っておれ』と伝えておいてほしのじゃ」

 

「は、はい…」

 

「安心せい。ヤツはきっと元気な姿で戻ってくる」

 

「か、かしこまりました。そのようにお伝え致します」

 

「宜しく頼んだぞ」

 

「はい。いってらっしゃいませ。どうかお気を付けて…ご武運をお祈り致しております」

 

オレたちが見えなくなるまで、執事は頭を下げていた。

 

 

 

 

 

「なぁ、さっきのゴリアテって…」

とオレはじいさんに訊いた。

 

「ジエーゴの息子じゃよ」

 

「息子?…息子…そういえば前にこの街に来た時、そんなを聴いたっけか…息子が行方不明だとかなんだとか…」

 

「うむ…」

 

「じゃあ、じいさんはそいつが今、何をしてるか知ってる…ってことか」

 

「まぁ…」

 

「だったら、なんでそう言ってやらなかったんだよ?」

 

「それは…本人が自分の口で言うから待ってくれ…と頼まれたからのう…」

 

「自分の口で?…」

 

 

 

…あっ!…

 

 

 

オレはこの街に到着した時のことを思い出した。

そういえば、パーティーの中にひとり、そんなことを言ってたヤツがいたっけ…。

 

 

 

…まさかアイツが…

 

 

 

「リサト…今の話は聴かなかったことにしてもらえんか…。人生、色々あろう…我々が口を出すことじゃない」

 

「あぁ…まぁ…」

 

 

 

「あら?リサトちゃん、ロウちゃん!お帰りなさい!」

 

 

 

「シルビア!戻ってたのか!」

 

「どうしたの、そんなビックリした顔をして…」

 

「あ、いや…なんでもない…それより、食料品の買出しは?」

 

「任せて!詰め込めるだけ詰めこんだわ。これで2~3ヶ月は大丈夫よ」

 

ヤツは明るい声でそう答えた。

 

「いやいや、そんなに長旅をする気はないけどさ」

 

「うふふ…そうね!」

 

どうにもオレには、ヤツが努めて、そう振る舞っているように見えた。

 

 

 

するとシルビアは、静かにじいさんに近づき

「ロウちゃん、水門の件はごめんなさい。本当はアタシが行ってこなきゃいけなかったんだけど」

と小声で囁いた。

周りのメンバーには聴こえていないようだが、ヤツを気にしていた分、オレの耳にはその声が届いた。

 

「ふむ、構わん。どのみちジエーゴは家を空けておらんかったわい」

 

「そう…いなかったの…」

 

「しかし…ヤツも元気じゃのぅ。きっとどこかの街で、騎士の特訓でもしておるのじゃろうて」

 

「…そうね…」

 

「まぁ、お主も今日がここに寄るのが最後ではあるまいに…チャンスはいくらでもある」

 

 

 

「ふふふ…ありがとう。さすがロウちゃん!単なるスケベじゃないわね」

 

 

 

「こ、こら!!」

 

 

 

「!?」

 

大きな声を出したので、みんなの視線が一斉にじいさんに集まった。

 

 

 

それを誤魔化すかのように

「アリスちゃん、準備はいいかしらぁ?」

とシルビアが船長に声を掛ける。

 

「はい、姉さん!バッチリでやんす」

 

 

 

「みんなは?」

 

 

 

「OKよ!」

 

「はい、大丈夫です!」

 

「ああ、問題ない」

 

「ニコちゃん、ワクワクするね!」

 

「しないわよ、別に…任務だから仕方ないけど…」

 

 

 

「取り敢えず、いいみたいだぜ」

 

 

 

「じゃあ、みんな!行くわよ!!しゅっぱーつ!!」

 

 

 

「しんこう!!」

 

 

 

こうしてオレたちは、執事が開けてくれた水門をくぐり抜け…園田海未…もとい…外海…へつながる運河へと旅立っただった…。

 

 

 

 

 

~to be continued~

 

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