【ラブライブ μ's物語 Vol.6】オレとつばさと、ときどきμ's × ドラクエXI 作:スターダイヤモンド
村の住人にアドバイスをもらい、オレたちは島の東端に住む『大砲ばあさん』なる人物を訪ねた。
随分と物騒なあだ名だが、別にヤバイ人というワケではないようだ。
この『島の大砲を管理しているおばあさん』…そんな意味らしい。
「ほほう…クラーゴン退治に行くとな…。ならば、これを持って行くがよい」
と、余っている大砲を1門譲り受けた。
実弾は入っておらず、威嚇用だという。
「昔はそれで、なんとかなったんだけどねぇ…この頃の暴れかたは異常なのさ…ちょっとやそっとの嚇(おど)しじゃ効きやしない」
…なるほど…
…この島にこんなものがゴロゴロしてるのは、それが理由か…
きっとヤツは遥か昔から、この近海で暴れていたのだろう。
だから『討伐』まではできないにしても、これで嚇して、海中深くへと帰ってもらっていた…というわけだ。
「バケモノは、ナギムナー村から見て西の沖合いにいる…って言ってたよな?」
船を走らせるアリスに、ポイントを確認する。
「位置的には、この辺りのハズなんでやんす…」
「ですが…周りに漁船は見当たりませんね…もしかすると、既に…」
「ウミュ!滅多のことを言うんじゃないわよ!アンタはすぐにネガティブな事を考えるんだから」
とベロニコさんが一喝した。
「すみません…」
オレには終始強気なウミュだが、こうして意外と素直なとこもある。
「しかし…静かだな…」
「嵐の前のなんとか…ってヤツじゃろうて」
「『嵐の中の恋だから』?」
「いや、違うでしょ!!」
エリティカさんのネタか、天然なのかわからないボケに、ベロニコさんが速攻でツッコんだ。
その時だ…
ざっぱ~ん!!という音と共に、盛り上がる海面。
波は大きくうねり、船がひっくり返りそうになる。
「きゃあぁぁぁ!!」
ほぼ女子しかいないオレたちのパーティーに、かよわい声の悲鳴が響く。
「出たな!!」
「やっぱり、アンタは『魔』を引き寄せる力があるのね」
「どうせなら、可愛い子を引き寄せる力が欲しいですけどね」
とベロニコさんの言葉に、軽口で答えるオレ。
「…」
ウミュに引かれた…。
「リサトちゃん、この子、もしかして…」
「…おぉ、この間、遭遇したヤツか!?」
シルビアは『この子』なんて呼んだが、もちろん、そんなに可愛いワケがない。
巨大なイカのバケモノだ。
前に遭った時は、かなりピンチな状況に追い込まれたが、なんとか『ダーハルーネの町長率いる援軍』に助けられ、オレたちは難を逃れた。
「さしずめ、リベンジマッチ…っていうところだな…」
「ふん!待ってなさい。今、アタシが『イカそうめん』にしてあげるわ」
「何人分できるかしら?でも、そうめんだけじゃ飽きるわ」
シルビアの言葉に
「なら…イカリング、イカ飯、ゲソ揚げ…何だって作るわよ」
とベロニコさんは不敵に笑った。
「みんな、準備はいいか!!」
「はい!」
「とーぜんよ!」
「ちゅん!」
「OKよ!」
「うむ!」
「まかせて!」
「かかってくるがよい!」
「カモ~ン!!」
オレたちが戦闘体勢に入ったのを見計らったかのように、ヤツが攻撃を仕掛けてきた。
「避(よ)けろ!!」
長い触手をムチのように撓(しな)らせ、ぶん!と甲板を叩きつけた。
直撃すれば、一溜まりもない。
それを避けつつ、反撃を試みる。
「えいっ!」
「やぁ!」
「とぉ!」
襲い来る触手に集中攻撃。
「どうだ!?」
「手応えあったわ!!」
だが…
「あぁ!?」
…さ、再生しただとぉ!?…
「確かに今、腕を一本『殺した』ハズなのですが…」
ウミュの顔に焦りが浮かぶ。
「ぶった斬っても、また生えてくるっ…てか?」
「だとすると、相当厄介ね…ロウちゃんどうする?」
「…うむ…シルビア殿…この触手を掻い潜(くぐ)って、本体をやっつけるしかないんじゃないかのぅ」
「面倒ねぇ…」
「しかし、やるしかあるまい!」
そうこう思案している間にも、ヤツは攻撃の手を弛めない。
「うぉっ!と…危ねぇ…危ねぇ…」
「リサトちゃん、このままじゃ…」
「あぁ、わかってる…よし!オレとエリティカさん、サイエリナさんで本体を直接攻撃する。ウミュとベロニコさんは右腕を、シルビアとビビアンジュさんは左腕を頼む」
「わかったわ」
「じいさんと、セーニャさんは後方支援してくれ」
「承知した」
しかし、苦戦する。
大苦戦。
「のわっ!!船を揺らしやがった!」
「『こおりつく息』!?」
「『ばくれつけん』だと?生意気な!!」
あと一歩まで追い詰めるも、ここぞという時に全体攻撃を喰らい、フィニッシュまで持ち込めない。
「私…タフね人は好きだけど、こういう、しつこい人は嫌いなのよね…」
ビビアンジュさんが呟いた。
まったくだ。
持久戦なら勝ち目がない
もっとも相手は人じゃなくて、モンスターなんだが。
「エリティカさん、サイエリナさん!『ウインク』で『みりょう』できない?」
「アンタ、バカじゃない?あんなヤツ相手にセクシー攻撃なんて通用するわけないでしょ!」
と、ベロニコさんが叫ぶ。
「一応、やってみるわ…」
…通じる相手じゃなかった…
「当たり前でしょ!」
そんなベロニコさんのキツイ言葉からオレを救ったのは、セーニャさんだった。
不意に
「そういう時こそ、これの出番じゃないのかな?」
と大砲を指し示す。
「…でも、それは威嚇用で…」
「いや、折角持って来たんじゃ…使わない手はないじゃろ」
「じいさん…わかった、任せる!!」
「うむ!アリス殿、手伝ってくれんかのぅ」
「ようがす!」
「では行くぞ!…撃ち方…構え!!」
その声に、オレたちの動きが止まった。
視線の先には、アリスと大砲。
「撃てぇ!!」
どぉ~~ん!!
轟音と共に、船が大きく揺れた。
空砲とはいえ、すごい反動だ!
…どうして弾を込めないのか?…って思ってたけど…
…これじゃあ、この勢いで船が転覆しちまうってことか…
「見て見て、リサトちゃん!クラーゴンが今の衝撃波で『混乱状態』に陥ったわよ!」
「ハラショー!!」
「空気砲、恐るべし…です!」
「感心しとる場合じゃないぞ!今がチャンスじゃ」
「あぁ、そうだな!よし、行くぜぇ」
本体に向かって全員攻撃だ!!
「やったか!?」
「…みたいですね…」
ヤツの巨大な身体は、生気を失い、ゆっくりと海中へ消えていった。
「そう思わせておいて、また『バシャーン』って出てこないわよね?」
「エリティカ…あんたって意外とビビリなのね」
「言ったでしょ!暗闇とかお化けとか…『驚かす系』は苦手なのよ…」
しかし、そんなエリティカさんの心配をよそに、クラーゴンはどれだけ待っても浮かび上がってくることはなかった。
「もう、さすがに大丈夫じゃろうて」
「みんな、お疲れさま!」
「ニコちゃん、残念だったね…イカ料理ができなくて」
「そうね。みんなにアタシの手料理を味わってもらおう…って思ったのにねぇ」
「またの機会を楽しみしていますよ」
ウミュがそう言うと
「だけどアイツとは、もう二度と会いたくないけどね」
とベロニコさんは笑った。
オレたちより先んじて『クラーゴン討伐に出掛けた漁民たち』は、運悪く…いや…運良くヤツと出くわさなかったようだ。
それ故、彼らは、このポイントよりも、遥か西へと船を進めていた。
しかし、あの空砲の音を聴いて異変に気付き、慌てて応援へと駆けつけたと言うのだが…すでにヤツの身体は海に沈んだあとだった…と島を取り仕切る村長は語った。
村へと戻るとすぐに祝賀会が催され、オレたちは盛大に饗(もてな)された。
会う人、会う人に賛辞と謝礼の言葉を投げ掛けられる。
そして、上手い魚料理と酒に舌鼓を打つ。
至福の時間だ。
ロウのじいさんは、いい感じに酔っ払ってるみたいだし、サイエリナさんとビビアンジュさんも、なぜかダンスを披露して、住民たちと一緒に盛り上がっている。
…まぁ、たまにはこういうことがあってもいいんじゃないかな…
「いえ、リサトさん…目的を忘れたワケではないですよね?」
とオレの横にやってきたのはウミュ。
オーマイガッ!
…キミはリラックスするっていう言葉を知らないのかね…
「もちろん、そんなことはありません!」
オレは何も喋っていないが、表情で悟ったらしく、ヤツはそう答えた。
「キナイのことだろ?忘れてるワケないじゃん」
「なら、よいのですが…」
「この周辺には、どうやらいないみたいよ」
「ベロニコさん!?」
「アタシはお酒を飲ませてもらえないからね!食べるだけ食べたら、あとはヒマだもの」
「なるほど…確かに…」
…そう言えば、初めて会った時も、バーに『入る』『入れない』で押し問答してたんだっけ…
「楽しくやってる連中は放って置いて、さっさとキナイを探すわよ!」
「そういうところは、わりとしっかりしてるんですよね…」
「わりと…ってなによ、わりと…って」
思いきりベロニコさんに睨まれる。
その横で、クスクスとセーニャさんが笑っていた…。
~つづく~
この作品の内容について
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ふつう
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つまらない
-
ドラクエ知らない
-
続編作れ