【ラブライブ μ's物語 Vol.6】オレとつばさと、ときどきμ's × ドラクエXI 作:スターダイヤモンド
オレにとって…故郷であるイシの村が、デルカダール軍に焼き払われたことの次に…人魚のノゾミアさんが目の前で命を絶ったのは、ショッキングな出来事だった。
だが、いつまでも下を向いている場合じゃない。
『マーメイドハープ』なるアイテムを求めて、彼女が棲んでいた場所へと、船を進める。
…そういえば…
…ソルティコの浜辺で『エリティカさんのバニーガール姿を見せたじいさん』に、ナギムナー村に行ったら、鶴だか誰だかに会え…って言われたっけ…
…すっかり、忘れてた…
…まぁ、いっか…
…そのうち、また行くだろう…
「着いたでやんす」
主(あるじ)を失った白い砂浜は、静寂を保っている。
果たして、ここはそのことに気が付いてるんだろうか…。
何年経っても、この美しい景色のまま、彼女の帰りを待っているんだろうか…。
みんなの表情も、心無しか暗い。
そりゃ、そうだ。
そう簡単に気持ちを切り替える…なんて普通の人間じゃできやしない。
「リサトちゃん?」
「!!」
シルビアがオレの顔を覗きこんだ。
「あぁ…大丈夫だ…なんでもない…。じゃあ、早速探すとするか…」
「リサトさん、あれではないでしょうか?」
ウミュが目敏く、お目当てのものを見付ける。
それは島の中央…平な石が積み重ねられた場所に立て掛けてあった。
「随分、これ見よがしに置いてあるのね」
「当然でしょ!ここまで来て今から『宝探し』なんてさせられても、時間のムダだから」
エリティカさんの呟きを、ベロニコさんが拾って毒づいた。
「さて…こいつを手に入れたはいいけど…どう使えば海底王国とやらに行けるんだい?」
「私は知りませんが…」
「アタシも知らないわよ」
「えっ!?ベロニコさんも知らないんですか?」
「知るわけないじゃない!」
「じゃあ…セーニャさんは?」
「…ちゅん…」
「マジか!エリティカさんは?」
「ごめんなさい…」
「悪いな、私も知らない」
「右に同じ」
セクシーコンビも首を横に振った。
「こんな時こそ、じいさんの出番だろ?」
「その通りじゃ!…と…言いたいところじゃが…」
「なんだよ、使えねぇなぁ…」
「ひょっとしたら『光の柱』が関係してるかも…でやんす」
「あら、さすがアリスちゃん!海のことなら任せておけって感じね」
シルビアに誉められて、船長は「えへへ」と頭を掻いた。
「光の柱?」
「へぇ…船乗りの間ではわりと有名な不思議スポットで…海面から空に向かって、文字通り、光の柱が立ち上ってるでやんすよ」
「へぇ…不思議スポットねぇ…」
「ただ、それが何なのか、誰も知らないんでやんす」
「スピリチュアルねぇ」
「いや、それ希のセリフ!」
ベロニコさんがエリティカさんにツッコんだ。
「つまり、もしかしたら、そこが海底王国への通り道かも知れない…と言うわけですね?」
「その『鍵』がこのハープじゃと」
「なるほど。アリス、場所はわかるか?」
「もちろんでやんす」
…
「ここが…光の柱?」
「綺麗ですね」
「あぁ…」
オレたちが目にしたのは、海面から空へと延びている『光の幕』。
なるほど…その幕が円筒状になっているから、確かにそれは柱の様に見えた。
「ですが…この中へはバリアみたいになっていて、入ることができないんでやんす」
「そこでこのハープが出番なわけですね」
「ウミュ殿、試しに鳴らしてみるのじゃ」
「はい、わかりました…」
「鳴らせるの?」
「リサトさん、それは愚問です。私、こう見えても特技の欄には『箏(そう)』と書いておりますので」
「そうだった…」
「それは『そう』だけに…と言うシャレでしょうか?」
「…」
…オレが寒いこと言ったみたいになっちゃったよ…
「ほら、いいから、早く弾いてよ!」
「えっ?あ…はい…」
♪ぽろぽろぽろり~ん…
オレはまったく演奏などできないが、経験者なら、ある程度どんな楽器でも弾けるのであろう。
ウミュはいとも簡単に、優雅な音色を奏でた。
ハープという楽器の特性上、誰が弾いても、そんな変な音は出ないと思うが、ちゃんとメロディになってるところが、さすがと言うべきか。
そう思った次の瞬間…
オレたちの船は眩い光に包まれ、そのまま海中に引き込まれていった。
…
「ここが…海底王国…」
「はい…恐らく…」
船ごと『ここ』に引っ張りこまれたオレたちがたどり着いた所は、どうやら『桟橋』らしかった。
恐々(こわごわ)とみんなで下船する。
「なんか水族館の海底トンネルに来たみたいだな…」
「はい、リサトさんとデートで行った、八景島シーパ○ダイスのドルフィンファンタジーを思い出しますね」
「別に具体的に名前を出さなくても…」
「ただ、そこと違うのは…」
「周りが何も囲われてない…ってことかしら」
「うむ…サイエリナ殿とビビアンジュ殿の言う通りじゃ。不思議なことに…水の中にいるはずなのに、普通に呼吸ができておる」
「まさに…スピリチュアルね」
「アンタ、そこは『ハラショー』でしょ!」
「ちゅんちゅん!」
「お待ちしておりました。リサト様ですね?」
「!?」
オレたちが、この慣れない状況に戸惑っていると、どこからともなく現れた人魚に声を掛けられた。
…しかし、人魚という生き物は、こぞってみんな美人だな…
「そういうイメージで見ているからです。本当は実体のないものを、脳に映し出しているだけなのかも知れません」
「ウミュ?」
「リサトさんの考えてることなど、だいたいわかります」
…スピリチュアルやね…
「女王様がお待ちです。ご案内致しますわ」
色々『彼女』に訊きたいことはあるのだが、取り敢えずあとに続くことにした。
海底と言うからには、太陽光は届かないと思うのだが、周囲は青白い灯りが点(とも)されていて、視界は悪くない。
故に、目の前に魚の大群が泳いでいくのが、よく見える。
…鯛やヒラメが舞い踊り…
…浦島太郎の歌だったけか?…
桟橋を抜けると…王国…と言うわりはこじんまりとした…野外音楽堂みたいな場所に出た。
いや、ショッピングセンターのイベントスペースか。
ボキャブラリーな貧困なオレには、そこをなんて称したらいいかわからない。
「きっと、王国自体はもっと広いのでしょう。ここはその中のほんの一部…そう考えるのが妥当だと思います」
…ハラショー!…
ウミュは、またしてもオレの思ってることを読み取った。
もはや、エスパーだと言っていい。
「どうぞ。この上に女王がおられます」
言われるままエレベータに乗る。
扉が開くと
「あなたが勇者リサトですね。海底王国ムウレアへようこそ。私は女王のセレンです」
と空間の奥にいる…美しい人魚…が名乗った。
ノゾミアさんよりは年齢が上だということはわかる。
人間で言えば40代前後というところだろうか…。
ただし、見た目が老けているとかそういんじゃなくて…得も言われぬ『漂う威厳』…が重ねてきた月日を感じさせるのだ。
だからなのだろうか…とても綺麗だが…いやらしい目では見られなかった。
それに…
何となく目付きが怖い。
オレたちに威圧感を与えるには充分すぎる雰囲気を持っていた。
「どうして、オレの名を知ってるんです?」
オレは疑問のひとつをぶつけてみた。
「カードが教えてくれたのです」
「!!」
「…冗談です…」
「冗談か~い!」
ベロニコさんは相手が女王だろうと臆せずツッコむと、張り詰めていた空気が、一瞬にして和んだ。
ふふふ…と微笑む女王。
だが、目は笑っていない。
「私はちょっとした魔法が使え…地上の様子が全てわかるのです」
「ハラショー…」
エリティカさんはついに、自らそのセリフを口にした。
「それでオレの名前も?」
「はい、ここに来ることはわかってました。…そして…ノゾミアのことも、当然知っております」
という女王セレンの言葉に、和らいだ空気が、再び重くなった。
「…」
「…ですが、この件に関しては、あなた方が責任を感じることはありません。…廻(めぐ)り巡(めぐ)って、世界樹の葉の意思のもと、ふたりが再び出会うことを祈りましょう」
「…はい…」
オレたちは言葉少なに頷くのがやっとだった。
「そんな顔をしないで下さい。…リサト…あなたにはもっと大きな使命があるハズです」
「えっ?あぁ…まぁ…」
「私は魔力によって『結界』を張り、邪悪な力から、この王国を守っております。しかし、それも…そろそろ限界が訪れようとしております…」
「!?」
「邪の力が日に日に強大になっており…私の力だけでは守りきれないのです」
「こんな海底にまで、そんな影響が?」
「行きなさい…リサト。世界はあなたの力を必要としています。悲しみを力に変えて…世界を滅ぼす悪と戦うのです!」
「悲しみを力に変えて…か…」
「あなたは悪魔の子ではありません。魔王を倒す為に生まれた勇者なのです!!」
…なるほど…
…この人の目付きの鋭さは、きっと、そう言ったことが積み重なった結果なんだろう…
オレは本来、平和主義だ。
争い事は嫌いだ。
だが…女王の目を見た瞬間、オレの心の中で何が弾けた。
「オレが勇者か…ふっ…女王様にそう言われて、ようやくそんな気になったよ」
「リサトさん、今頃ですか…」
「正直、みんなには悪いけど…やっぱりオレが勇者だなんて、どこか半信半疑で…いや、悪魔の子だとは思っちゃいないけどさ、でも…だからって勇者だとは…」
「うむ…16年間、何も知らずに育ってきたんじゃ…無理もない」
…♪眩しい空を…
…輝く海を…
…渡せるもんか…
…悪魔の手には…
…みんなの願い身体に受けて…
…さぁ立ち上がれ…
「だけど…今、オレの中でスイッチが入った。頭の中で『子門真人』が熱唱してるぜ」
「リサト…誰じゃ、それは?…」
じいさんだけじゃなくて、みんなが『?』を浮かべてるらしかった。
「♪行け、行け、勇者…リサト~、リサト~!!」
だが、オレはそれに構わず、口ずさむ。
…あれ、これドラクエだっけ?…
…スーパーロボット大戦じゃなかったな…
「なんだか知らないけど、リサトちゃんがやる気になったみたい!」
「何よりじゃ」
みんなが「ふふふ…」と笑った。
「そこでリサト…あなたに渡ししたいものがあります」
「これは!?」
「グリーンオーブ!!」
「邪悪な力を封じ込めるには、これが必要なのでしょう。長い間私が預かっていましたが…リサト、あなたに譲ります…」
「おっしゃあ!グリーンオーブ、ゲットだぜぇ!」
「リサト、それは違うゲームだから」
「前もそんなこと言われてましたね!」
「まぁ、お約束ってことで…」
オレは照れ笑いを浮かべた。
するとベロニコさんが、オレを一瞥したあと、女王に
「ところで…これでオーブは3つになったわけだけど…残りの3つはどこにあるか知らない?」
と訊いた。
「残念ながら…そこまでは…」
「ふ~ん…」
「でも、どうして、そんなにあっちこっちに、隠してあるのかな?」
セーニャさんのもっともな質問。
「それは、ひと揃い纏めて置いてあれば、なんの苦労も要りませんが…裏を返せば、やはりあの場所へは、それだけ苦労しないと行けない…ということなのでしょう」
「ウミュ殿の言う通りじゃ。それこそが…神に選ばれし者…ということじゃ」
「なるほど…。でも、あと半分…宛てもで探すのは半端なく大変なんだけど…女王様、何かヒントとか無いですかね…」
「わかりました…それでは、あなた方がこれから進むべき場所を占ってみましょう…」
「あぁ…お願いします…」
女王はジッと水晶玉を見つめた。
「…これは…」
「何かわかりましたか?」
「ここより、遥か西…少女たちが集う…華やかな場所が見えます…そこにオーブがあるかどうかは定かではありませんが…次の目的地はそちらに向かうのが良いでしょう」
「少女たちが集う、華やか場所?」
「今、リサトさん、破廉恥なことを考えましたね?」
「いや、そんなことは…って言っても、やっぱりパッと思い付くのは、女子校とか女子寮くらいしかないんだけど…」
「発想が貧困です」
「ごめん、ウミュちゃん…私も音ノ木坂を思い出したゃった」
「アタシも」
「さすが双子…というところでしょうか…」
「私たちはUT-Xだな」
「そうね…」
「まぁ、そうでしょうね」
「私は…『硝子の花園』かしら…」
「ど、どうしてそうなるのですか!?」
「な~に、それ?」
とシルビアが首を傾げた。
「『のぞえりのデュエットソング』よ!…いきなり『ユメの迷宮、ユリの迷宮…』で始まる『ゆりかもめに乗ってゴーゴー』な感じの曲」
「やんやん♡…♪大興奮のココロ、ちゅんちゅん!」
「やだ…楽しそうじゃない!」
「は、破廉恥です…」
「あ…思い出した!前にソルティコの町で情報収集した時にさ、そこから北の方に女子校があるって聴いたなぁ。確か…『メダ女』って言ってたような…」
「メダ女?…メダカの学校ですか?」
「ウミュ、さすがにそれは違うんじゃない?」
「うん、ウミュちゃん、セーニャもそれは違うと思う…」
「し、失礼しました…」
「メダ女ね…聴いたことあるわ。うん、方角的にも合ってると思うし…リサトちゃん、次はそこに向かうわよ!」
「了解!」
「リサトさん、妙に張り切ってませんか?」
「へっ?」
「言っておきますが、おかしな真似は…」
「しない!しないって!ほら、勇者としての自覚が芽生えたばっかりだから…」
…まぁ、ウミュにはすべて見透かされてるのはわかってるけどさ…
~つづく~
この作品の内容について
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ドラクエ知らない
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続編作れ