【ラブライブ μ's物語 Vol.6】オレとつばさと、ときどきμ's × ドラクエXI 作:スターダイヤモンド
「…リサトちゃん、ここは一旦スタートに戻って、考えない?」
『S5 E20』の謎に行き詰まったオレたち。
仕切り直し…とばかりに、シルビアが想い出の大樹へと引き返した。
「む?…スタートへ戻って…じゃと?…ほうほう…」
「どうした、じいさん?」
「例えばじゃが…SはスタートのSとかだったりせんかね?」
「なるほど。でもそうすると…Eの意味がわからない」
「それこそ、エンドじゃろ」
「いや、それなら普通、ゴールでGじゃないか?」
「どちらにせよ、それでは5と20の意味がわかりません」
「日数だったりして」
「邪馬台国でも探すつもりですか!」
「邪馬台国?」
「はい…未だにどこにあったのかはっきりしてません…」
「それは知ってるけど…」
「文献通りに進んで行くと海にあったことになってしまうとも言われており…そもそも出発地点が違うのではと言われて…あっ!…もしかして…」
「ん?ウミュ…」
「スタートの位置が違うのかもしれません!」
「えっ?」
「発想の転換です」
「?」
「つまり、スタート地点の大樹が移動していたとしたら、どうでしょう?」
「移動しただと?こいつは足でも生えてるのか?」
「いえ、そういうことではありませんが…」
「何らかの理由で埋め替えられた…とか?」
「はい、シルビアさん」
「ありえるわね」
「そういうことなら、もう一度、先生に訊いてみる必要があるな」
「はい」
「先生!」
「もう見つかったのですか?」
「いえ…まだです。…これは発見しましたけどね…」
とオレは彼女からのメッセージを渡した。
それを見て
「まぁ…お恥ずかしい…」
とグレースは顔を赤らめた。
「そこで、もう一度お尋ねしますが…この大樹ですけど」
「はい」
「昔、別の場所にありませんでした?」
「別の場所?」
「埋め替えられて、移動したとかありませんかね?」
「…」
「あぁ…」
「そう言えば…」
「私たちが卒業するときに、動かしたかもしれません」
彼女の記憶が、自然解凍された冷凍食品のように氷解していく。
「ええ、昔は別の場所にありました。卒業する直前に植え替えましたね」
「どこからどこに…って覚えてますか?」
「校舎の入口に向かって、右から左に…だったかしら…」
「…ということは、今の位置よりもっと東側にあったのですね?」
「う~ん…そういうことになるのかしら」
「だいたいどの辺りですか?」
「そうね…」
オレたちは先生を引き連れて、再び外に出た。
「この辺りだったような気がしますね…」
「わかりました。ありがとうございます」
その場所は校舎に向かって、水平に移動したとこだった。
「つまり…S5…南へ5歩という見立ては間違っていないということだ」
「はい」
「ここから東に20歩のとこを探していけば、目的の品があるハズ」
「…ということじゃな…」
「改めて、ここから南へ5歩、東へ20歩移動してみると…」
「この位置です」
「ここ掘れ、ワンワン…ってか?」
オレはそう言いながらスコップを突き刺した。
がきっ!
「!?」
何度か掘り進めているうちに、鈍い衝突音と振動が、スコップを通して伝わってきた。
「ビンゴ!!」
…今度こそ…
地中から現れた箱を、壊さないように丁寧に掘り起こす。
「先生、開けていいですか?」
「はい、お願いします…」
「これが目当てのものじゃといいのだがのぅ」
ゆっくり箱を開けると中からは…真っ赤なリボン…が現れた。
「!!」
グレースはそれを見るなり、息を呑んだ。
「先生!?」
「不思議なものですね…一瞬にして当時のことを思い出しましたよ」
「あっ…もうひとつ手紙が…」
エリティカさんがそれを見せると
「代読してくださる?」
とグレースは言った。
「私が?…」
「読んでるうちに、泣いちゃいそうだから」
そう言って彼女は下を向いた。
「わかりました。じゃあ、失礼します…」
…
≪親愛なるグレースへ≫
≪私はこの学園を卒業したら、遠い国に行きます≫
≪妃として生きることを決めたのです≫
≪正直なことを言えば…貴女が言う通り、私にその大役が務まるのかしら…という不安はあります≫
≪自分が自分でなくなるようで、怖いのです≫
≪でも…私はこの王と一生添い遂げたいと思いました≫
≪この学園で貴女と過ごした日々は、絶対に忘れません≫
≪だからお願い…貴女も私が普通の少女だったことを忘れないでくださいね≫
≪いつまでも私の親友でいてください≫
≪友情の証しとして、私のリボンを差し上げます≫
≪追伸≫
≪デルカダールの王は、見た目は少し怖そうだけど。本当に素敵な人なのですよ≫
≪いつか貴女にも、わかってもらえる日がくると思います≫
…
「!?」
手紙を読み終わったあと、今度はエリティカさんが息を呑んだ。
いや、オレたちも一瞬言葉を失った。
「これってもしかして…」
…エリティカさんの…
「ハラショー…まさか、こんなところでお母様の形見が?…」
彼女の目から涙が零れる。
「どうされました?」
「い、いえ…」
「あなたは涙もろいのかしら…私のこんな話で泣いてしまうなんて…」
「は、はい…どうしてでしょうね…他人事とは思えなくて…」
「そうだわ。よかったら…このリボンをもらってくださらない?」
「私に…ですか?」
「ふふふ…こんな老いぼれが持っていても、使いようがないし…」
「でも…お友達との大事な品じゃないのですか」
「私には…この手紙があれば充分だわ。それにこれは…あなたみたいなロングヘアの人なら、とてもお似合いだと思うの…」
そう言って彼女はエリティカさんの頭に、それを巻きつけた。
「思った通りね…」
「…」
「まるでタイムスリップしたみたいだわ」
「えっ?」
「貴女は…私の親友にそっくりなの…」
「あっ…」
「昨日、お見掛けした時から、ずっとそう思ってたわ。世の中には似てる人っているものなね…」
「…はい…」
「勇者さま、大切な品物を見つけてくださり、ありがとうございます」
「えっ?あっ…いえ…お役に立ててなによりです」
「聴けば、悪の魔王を倒す為、冒険をされていらっしゃるとかいないとか…。私などは何の力にもなれませんが…陰ながら応援させていただきます」
「ありがとうございます」
「では、私はこの辺で…ご武運をお祈りいたします…」
「あぁ…はい…でも、まだ出発できないんですよ。オレたちは図書室に行こうかと」
「はい、そうですね。向こうに合流して、オーブに繋がる手掛かりを探さないといけませんから」
「そうですか…では…ごきげんよう…」
何度も何度も頭を下げる先生に手を振って、オレたちは図書室に向かった。
「この想い出の品がオーブだと思ってたんだけど…まさかのこんな物が出てくるとはな」
「はい」
「『事実は小説より奇なり』って言うけど、本当なのね…」
「本来の帰るべきところに戻った…ということじゃな」
「あら、あなたたち。お宝発掘は終わったの?」
ベロニコさんはオレたちの姿を見つけると、ニヤリと笑いながら声を掛けてきた。
「はい…残念ながらオーブは入ってませんでしたけど」
「でしょうね。それがどこにあるかは、こっちでわかったから」
「なるほど…それで、その意地の悪い笑顔ですか…」
「失礼ね」
「その替わり、こちらも大変の物が見つかりましたよ」
「大変な物?」
「えぇ…まぁ、その話はまたあとで」
「?」
「…で…わかったんですか?オーブの在処」
「たった今、わかったところよ。このあたりの歴史を記した文献に載ってたわ」
「へぇ…」
「どうやら、目的のオーブは…例の渓谷にあるらしい」
「例の渓谷?」
オレはサイエリナさんの言葉を訊き返した。
「あぁ、朝方、おおきづちの『』が言っていた『壁新聞の飛来先』だ」
「お~」
「その『ごくらくちょう』が、シルバーオーブを奪って行った…と書いてあった」
「なるほど。早い話がモンスター退治をしなけりゃ、オーブは手に入らない…と」
「そういうことね」
ビビアンジュさんがニッコリと笑って頷いた。
~つづく~
この作品の内容について
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ドラクエ知らない
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続編作れ