【ラブライブ μ's物語 Vol.6】オレとつばさと、ときどきμ's × ドラクエXI 作:スターダイヤモンド
次に向かったプチャラオ村にて『壁画の中の魔物』を倒し、5つ目のオーブを手に入れた。
そして…『ユグノア城跡』の地下から6つ目を発見する。
この辺りのいきさつは…長くなるから、省略させてもらう。
まぁ、なんだかんだとあって、ようやく全てのアイテムを手に入れた…ってことだ。
「これで『神龍(シェンロン)』を呼び出して、願い事を唱えればいいんだな?」
「それは別の作品です!」
ウミュが冷静にツッコミを入れる。
オレたちは意気揚々と『始祖の森』へ向かった。
その先にある『祭壇』にコイツを供えると、まばゆい光があたりを包み込んだ。
『極楽浄土』
一瞬、そんな言葉を思い浮かべる。
気付けば目に前には、青々とした草木と妖しい光を放つ花々が咲く、長く細い道。
それが『天空の島』と延びている。
「さぁ、もう一息だ!」
頭に『君をのせて』が鳴り響く。
「それも、違う作品です!」
…ウミュ、あんたはエスパーか!…
驚いたオレに
「梨里さんの考えていることくらい、わかりますよ」
と彼女はのたまわる。
すると、なぜだがわからないが、セーニャさんがオレを見て、くすりと笑った。
眼前に大きな木が迫ってきた。
そこまで行けばゴールだ。
具体的に何をすればいいかわからないが、これでようやく旅が終わる。
どれほど登ったか…。
「これが…」
一同、目的の地に辿り着いた刹那、ハッと息を飲んだ。
しばらく言葉が出てこない。
圧倒されたというか、魅了されたというか…世界を平和に導くはずの、その存在は、しかし何か得体の知れない恐さみたいなものも感じた。
樹齢は何千年だか、何万年かわからないが、とにかくデカイ。
しかし、だからといって、決して老木というわけでもない。
むしろ、その木は生命力で満ち溢れていた。
神々しくも…禍々しい…。
「さすがね…『命の大樹』って言うだけのことはあるわ…」
エリティカさんは上空を仰ぎ見ながら、そう呟いた。
「うむ…なんというパワーじゃ…なにもせんでも、ここにいるだけで若返るようじゃ」
「ホントね!」
「えっ?ニコちゃんはこれ以上若返ったら、赤ちゃんになっちゃうよ」
「あら、そうね!…そうしたら、アンタが面倒見てちょうだい」
「あっ…うん!そうだね!そうしたら私がニコちゃんのお姉ちゃんになるんだね」
「まぁ、アンタみたいに『とろい娘』に世話してもらうつもりなんて、毛頭もないけどね」
「ちゅん…」
ベロニコさんの軽口に、セーニャさんはちょっと拗ねたフリをした。
そんな微笑ましい2人のやり取りをよそに
「この葉っぱ1枚1枚が、私たちの命と直結しているのですね」
とウミュは独り言を述べた。
「私の命は…どの葉っぱなのかしら…」
それを聴いていたのか、ビビアンジュさんが言葉を繋いだ。
「どの葉っぱ?…」
「…せっかくここまで来たんだもん。印くらいは付けておきたいと思わない?」
「ふふふ…面白いことを言う。なるほど、それはそうだな。だが、私は自分の葉がいつ落ちるのかなんて、毎日気にしながら暮らすのは性に合わない。」
「うふっ…それもそうね!」
ビビアンジュさんとサイエリナさんは『オレたち』と違って、特別『悪と闘う使命』があったわけでもなく、暇つぶしがてら、ここまで付き合ってもらっていた。
「すみません、こんなことに巻き込んでしまって…」
「気にするな。最終的には自分たちで決めたことだ」
「そうそう!」
「もうすぐ、この刺激がなくなるのかと思うと、少し残念な気もしてるんだ」
「なんだかんだ言って、私たち、人に注目されるのは嫌いじゃないから」
「そう言って頂けると、助かります。ここまで同行してくれたこと、本当に感謝します」
「では、リサト…仕上げと参るかのう…」
オレが礼を言うのを見計らって、じいさんが声を掛けてきた。
「あぁ!…って言いたいとこだけど…ここから先、何をしたらいいかがわからない」
「う~む…」
「とりあえず、その左手の紋章を命の大樹に掲げてみれば?また、なんか光ってヒントがでてくるんじゃないの?」
「はい、ベロニコさん…そうしてみます」
「あら、リサトちゃん!ちょっと待って!アレを見て!!」
「ん?…あっ…」
シルビアが指差したその先…大樹の根本には…大きな剣が突き刺さっていた。
「これは?」
「伝説の…『勇者のつるぎ』…じゃな…」
「じいさん?」
「恐らくご先祖様はこの剣を手にして、悪に立ち向かったのじゃろう…」
「伝説の…勇者のつるぎ?…なんで、こんなところにわざわざ?」
「なるほど、わかったわよ…つまり、リサトの先祖は、何者かにこの剣が悪用されないよう、この地に隠していた…ってことよ。何重にもロックを掛けて…ね」
「さすがニコ!そのカギが6つのオーブってこと?」
「まぁね…」
「はぁ…やれやれ…」
2人のやりとりを聴いて、オレは大きなため息をついてしまった。
「どうした?」
「いや、じいさん…ここがゴールだと思ってたからさ…ってことは、あれだろ?コイツを持って、ラスボスと対決しろ?ってことだろ…」
「その通りじゃ」
「まいったなぁ…サッカーで言うなら『これでタイプアップか』と思ってたけど『まだアディッショナルタイムが10分近く残ってる』感じだぜ…」
「あら、リサトちゃん。やっぱり最後は敵を倒して終わらないと、面白くないじゃない?ここまで来たけど、知らないうちに世の中、平和になってました…なんて拍子抜けだもん」
「まぁ、それもそうか…」
まぁ、それはシルビアの言う通りだ。
「うふっ!でもこの剣があれば…魔王なんてヘッチャラってことで…しょ…って…これ、全然抜けないわ…」
「どれどれ…うむ…確かに…ビクともせんのう…」
「でも、じいさん…見たところ、この剣、単なるブロンズ像にしか見えないんだけど…これ本物か?」
「確かにそうね…『精気』が足りない気がするわ。物に向かって精気っていうのも変だけど」
「そうね…オーラって言うの?…長い間、放置されてたからかしら」
「いや、エリティカさん…だとしたら…こんな物、使えませんよ…」
「案外、レプリカかも知れないな」
「マジっすか!!…サイエリナさん、それだと『アディショナルタイム』どころじゃなくて…『延長戦突入』になっちゃうんですけど…」
「いえ、みなさんは先ほど言ったことを忘れています」
「ん?ウミュ」
「最後のセキュリティロックをハズすカギを、忘れております」
「?」
「あぁ…そうね…そのアンタの左手の紋章…勇者の証が残っていたわね」
「あっ、これか…なるほど!」
「うむ、そうじゃった!さぁ、リサトよ!その左手を剣の前に、かざすのじゃ」
「わかった!やってみるぜ!」
オレは左手で握り拳を作り、剣へと差し出した。
すると、どうだろう…想像通り、甲に刻まれた痣が、金色に光り始める。
そして、それに共鳴するが如く、鉛色にくすんでいた剣が、鮮やかに輝き出した。
大きく幅の広い刃は、ギラリと…鍔口に埋め込まれた宝石はピカピカと…シルビアの言葉を借りるなら「精気を無くした人間が生き返るが如く」本来の姿に戻っていく。
そして、完璧にその色が再現された瞬間、まったくビクともしなかった、剣がすっぽりと抜け、オレの手元に収まった。
「おぉ!!」
「これが…勇者のつるぎ…」
「どうじゃ…感触は…」
軽く、振ってみる。
「思った以上に軽くて…握った感じも悪くない」
「やったね!リサトちゃん!これで、鬼に金棒、恐いものなしね」
「いや、これだけなら、ほかの剣と変わらない。でも…実践で試してみなきゃわからないけど…きっとコイツには『負の魔力』を打ち破る効果が宿されてるんだろう」
「そうよね、なんて言っても、伝説の勇者のつるぎなんだ…」
ドゴ~ン!!!!
「うおぉっ!?…」
「きゃあ!!…」
シルビアの言葉が言い終わるのを待たずに、オレたちの身体は『激しい衝撃』と『ドス黒い闇のパワー』と共に吹っ飛ばされた。
…チッ…不意打ちとは卑怯な…
…完全にノーガードで背後からやられた分、想像以上にダメージがひどい…
…みんなは?…
オレは古傷である頚椎の痛みに堪えながら、必死に顔を上げた。
…どうやら…
…無事…
…じゃないみたいだな…
…オレと同様に、地面に倒れている…
再び、顔を上げて、サプライズプレゼントをぶちかましてくれた『犯人』を確認する。
「やっぱり…な…こんな汚いマネをするのは…テメェだと思ったぜ…」
向こうでオレたちを見下してしたのは…
デルカタールの二大将軍の1人…
ホメロスだった…。
~つづく~
色々あって、4ヶ月間ほど放置してました…。
ご愛読頂いていた方、申し訳ございません。
もうしばらく、お付き合い願います。
この作品の内容について
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面白かった
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ふつう
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つまらない
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ドラクエ知らない
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続編作れ