【ラブライブ μ's物語 Vol.6】オレとつばさと、ときどきμ's × ドラクエXI 作:スターダイヤモンド
「双子!?」
「はい。ニコちゃんは、私のお姉ちゃんなんです」
「似ていませんねぇ」
「二卵性?」
「アンタたち、話を聴いてなかったの?アタシの魔力を吸い取るヤツがいて…それを堪えているうちに、幼児体型になっちゃたのよ。理由はわからないけど」
「つまり…若返ったのですね?」
「ここまで若返る必要はないのに」
「…その、魔力を通り戻せば、元の姿に戻れる…ってこと?」
「その通り!」
ベロニコさんは、オレに向かって親指を立てた。
「よし!早くそいつを退治しましょう!」
「ちょっと待ってください!」
「ん?どうしたウミュ?」
「いえ、リサトさんのそのやる気に…なんとなく不純なものを感じたものですから…」
「えっ?」
「ことり…いえ…セーニャさんが2人いたら、どんなに嬉しいことだろう…まさにこれこそ両手に花!…などと思っていないでしょうね!?」
「…ん?…ん?…いやいや…そんなこと…」
「ん?…じゃありません!そもそも、最初に…こと…いえ…セーニャさんを見たときから、顔がニヤついていました」
「そんなことない!って」
「私という人がありながら、破廉恥です!」
「勘違いだって!オレは海未ちゃんだけを愛しているから」
「本当ですか?」
…あれ?オレにはイシの村に、アヤノという幼馴染みがいたような…
…アイツは恋人なんだっけ?…
…別れたんだよな…確か…
…ヤツは今頃、ドイツでサッカーしてるハズ…
オレは現実世界と、この世界の状況に混乱しながらも
「本当だって!」
と答えた。
そりゃあ「本当ですか?」と訊かれて「違う」とは言えない。
「梨里さん…」
「海未ちゃん…」
「悪いけど…イチャつくのは後回しにしてくれない?」
「あっ…」
ベロニコさんに思いっきり睨まれた。
「さぁ、着いたわよ。見て!あそこにある壷にアタシの魔力が封じ込められているの」
「魔封波みたいだな…」
「それで、アイツらがそのにっくき相手…『デンダとその手下』たち」
「おぉ!強そうだ」
オレたちの視線の先には、超巨大なガマガエルみたいなヤツがいた。
「不覚にもアタシひとりじゃ、太刀打ちできなかったわ。手下たちが意外に侮れない」
「油断対敵ということですね」
「私が回復呪文で後方支援します!だから、思い切り戦ってくださいね!」
「さすが、こと…じゃない…セーニャさん!この役どころは癒し系のあなたにピッタリです」
「むっ!リサトさん!!」
「冗談、冗談。ウミュ、いくぜ!」
「はい!」
「必殺!『火炎斬り』!!」
オレとウミュの連携技が、敵に炸裂した。
「見事です!!」
「まぁ、ざっとこんなもんよ」
「『冷たい息』を吐かれたときはどうなるかと思いましたが、さすが、こと…いえ、セーニャさんです」
「確かにホイミで治してくれなかったら、やられてたかも」
「ちゅん、ちゅん!」
「それじゃあ、さっそく壷から魔力を開放しますか!」
「リサトさん、ウキウキしすぎです…」
「せーの!よっ!…と…」
壷を開けると、凄まじいパワーが渦を巻きながら放たれた。
「うぉ…」
その勢いに思わず仰(の)け反るオレたち。
「これがベロニコさんの魔力…」
ウミュも驚きを隠せないようだ。
目に見えるほどの巨大で禍々しい力が、彼女を包みこんでいく。
いや、体内に吸収されていく…が正しい表現か。
そして、立ち込める煙(?)の中から現れたのは…
「?」
「?」
「?」
「あれ?変わってないじゃない!…何よ、リサト…そのガッカリとした顔は…」
「あ、いえいえ…」
「まぁ、いっか!魔力は元にもどったみたいだし、今回はこれでよしとするしかないわね。アタシもこの姿の方が『馴染み』があるし」
「そ、そうですね…」
…意外にベロニコさんは気にしてないみたい…
…それに較べて…リサトさんの落ち込みようと言ったら…
「ゴ、ゴホン!…え~リサトさん…考えてもみてください。仮にベロニコさんの姿が元に戻ったとして…外見は『ことり』でも、中身は『にこ』なのですよ。それはそれで、どうかと思うのですが…」
ウミュはひとつ咳払いをしたあと、オレにそう言った。
「あぁ…それは確かに…」
「ウミュ?なんか言った?」
「いえ、別に…」
「そうそう…もうひとつ大事なことを忘れてたわ」
「あっ、もしかして…迷子の父親ですか?」
「そう!」
「まったく、子供を放っておいて宝探しなんて、ある意味、感心するわ」
ベロニコさんに説教を喰らっているのは、地下迷宮の中から助け出された、目つきの鋭いオッサンだった。
ここに潜入した挙句、さっきのヤツらに囚われたらしい。
「面目ない…」
「いい?今度そんなことをしたら、ただじゃおかないんだから」
「あぁ、わかったよ」
「なんで、そんな危険なことを…」
オレの単純な疑問だ。
「それはあなたが…情報屋のルパスさんだから…ですよね?」
「ウミュ?」
「へぇ、驚いた。オレの素性を知ってるヤツがいるとはねぇ」
「確証はありませでしたが…どこか『私と似た匂い』がしたもので…」
「そうすると…アンタも『裏』の人間かい?」
「…」
その問いにウミュは答えなかった。
「えっと…その情報屋がなんでこんなところに?そんなすごい宝物があるのか?」
「オレにとっての宝物ってのは、情報のことだ。ネタ元は明かせねぇが…ここのところ魔物が増えている原因は、この地下迷宮にあるんじゃねぇか…ってニラんでてな」
「子供は危険だから置いてきた?」
「いえ、リサトさん。あれは捨ててきた…です」
「どうとでも言ってくれ」
「それにしてもベロニコさん、よくわかりましたね」
「今、この辺りで怪しいところ…って言えば、ここしかないもの」
「取り敢えず、助けてもらったことには感謝するぜ。何はともあれ、命あっての情報屋だからな。何か困ったことがあったら、オレに訊きな。知りうる限りの情報は提供してやるよ」
「じゃあ、さっそくだけど『命の大樹』について、教えてくれない?」
「ほう…それを知ってるとは…アンタたち、只者じゃねぇなぁ…」
ルパスは、不思議そうに、オレたちの顔をまじまじと覗き込んだ。
その命の大樹がなんなのかは後回しにするとして…彼の話によれば、それに辿り着く為には、まず『6色のオーブ』と呼ばれる神具が必要だと教えてくれた。
そして、それを探すには『虹の枝』というものがいるらしい…ということも。
近くにオーブがあると、そいつが輝いて教えてくれる…一種のレーダーのようなものなんだそうな。
最後にルパスは
「因みに…虹の枝はサマディ王国にあるのを見たぜ。まぁ、オレには必要の無いものだからな。特に欲しいとも思わなかったが…」
と言って去って行った。
「さて、次はおふたりのことを聴かせてもらえますか?」
ウミュは、彼女たちに問い掛けた。
ベロニコとセーニャの話によると、2人は『聖地ラムダで育った』双子らしい。
その使命は…端的に言えば、勇者の血を引く者を守ること。
すなわち、それがオレというわけだ。
だが、オレはこの世に生を受けてから数日後(自らの意思でないものの)いきなり消息を絶ってしまった。
そして行方不明のまま16年が過ぎたわけだが…彼女たちはその間ずっとオレを探し回っていたようだ。
各地を転々としているうちに辿り着いたのが、さっきいた地下迷宮。
ことさら邪悪な気配が高まっているのに気付き、2人で潜入したが…戦闘の最中に離ればなれになってしまい…。
「アタシがアイツと戦っている間、セーニャはホムラの里に戻ってきたのね」
「はい。でも、こっちに来た様子がなかったから、もしかしたらまだあっちに…って思って」
「そこで行き違っちゃった…ってワケ」
「そうだったのですね…」
「…」
「リサトさん、なにか?」
「あ、いや…さっきのガマガエルさ…死ぬ前に変なこと言ってなかったか?ウルノーガがどうの…とかなんとか」
「ウルノーガは…この邪悪なる気配の権現…世界を支配しようと企む忌まわしき魔王よ」
「はい。遥か昔、リサトさんのご先祖にあたるロトの勇者たちが、その存在を消したはずなのですが…」
「復活したとでも言うのですか?」
「恐らくね…。そして、リサト…アンタがするべきことは、そいつを見つけ出し、退治すること」
「オレが?…」
「ウルノーガを倒す為に必要なのが…命の大樹の力。…と言っても…アタシたちも具体的に、何をどうする…ってことはわかってないのよねぇ…まぁ、きっと冒険を続けていくうちに、その手掛かりが掴めるとおもうんだけど…」
「それが…虹の枝であり、6色のオーブ?」
「そういうこと!」
なるほど。
これでオレの旅の目的はハッキリした。
要は悪の親玉を見付け出し、倒せばいいってことだ。
「それで…なんだけど…」
「はい」
「ここからの旅は、アタシたちも同行するから!」
「えっ!?」
オレだけでなく、ウミュも一緒に驚きの声を上げた。
「ベロニコさんと…」
「はい、私もです」
「おぉ!!」
「リサトさん!!」
とウミュがオレを睨む。
「ん?ん?い、いやぁ…ただ単純に心強いなぁ…って、それだけなんだけど…」
「リサト、先に行っておくわ。アタシたちは聖女なの。下手に手を出したら、どうなるか…わかるわよね」
「は…はい…もちろんです」
「まぁ、このベロニコ様の魅力に、メロメロになっちゃう気持ちはわからなくもないけどさぁ…我慢しなさいよ!」
「…」
「なに?その冷めた目は…」
「大丈夫です…オレ、幼児趣味はないので」
「ぬわんですって!!これでもアタシはアンタより年上なのよ?」
「あぁ、そうでしたね…」
…ん?…
…そうか…
…身体はこんなだけど、年上なのか…
…そう考えたら…
…それもアリなのかな…
…いやいや…
…オレにはそもそも、村に残したアヤノという幼馴染がいるんじゃないか…
…だがしかし、だがしかし…
…これからの長い道のり…
…オレひとりに対し、女性が3人…
…何か間違いがあってもおかしくないよな…
…果たしてオレの理性は保てるんだろうか…
「リサトさん!顔がニヤついてますよ!」
ウミュはブーメランを構えて、オレの横に立っていた。
~to be continued~
この作品の内容について
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