【ラブライブ μ's物語 Vol.6】オレとつばさと、ときどきμ's × ドラクエXI 作:スターダイヤモンド
オレたちの前には、戦闘能力を失ったホメロスがいる。
だが、ヤツだけじゃない。
さらにデルカダールの雑魚兵士が、四方八方、オレたちを取り囲んでいる。
ひとりひとりを倒すなら大したことはないが、何せ数が多い。
そして、今いるところは街の端っこ。
三方を海で囲まれている。
「逃げるが勝ち…って訳にもいかなそうだな…」
「大丈夫!私に任せて!」
「シルビア!?」
「私がカウントダウンしたら、一気にあっちに走るわよ」
とホメロスに向かって左方向に視線を送る。
「敵がいるじやない」
「違うわベロニコちゃん。目標はその先よ!」
「海ですか?」
とウミュ。
「正解!」
「勝算は?」
「もちろん、アリよ!走りながら、アイツらに一斉攻撃を仕掛けるの。道が開けたところで海に向かってジャンプよ!」
「ちょっと待ってよ!アタシは泳げないわよ!」
「私もです…」
…ベロニコさんとセーニャさんはカナヅチなのか…
「大丈夫、私を信じて!」
「どのみち、このままじゃ捕まるだけだ。やるしかねぇ…」
「はい!今は信じましょう!」
「…仕方ないわね…」
「ちゅんちゅん!」
「じゃあ、行くわよ!3…2…1…0!」
うぉ~
ウミュがブーメランを投げる。
ベロニコさんも攻撃呪文を唱える。
シルビアが左右にムチを振る。
デルカダールの雑魚たちが『モーゼの十戒』の如く、左右に割れた。
…道が開けた!…
オレはセーニャさんの手を引き、その中を走り抜けた。
「翔ぶぞっ!!」
オレたちは海に向かってジャンプした。
そのあと聴いた音は「ドッボ~ン」ではなく「ドサッ!」だった。
「…?…」
「あいたたた…」
「ハッ!…これは?…」
「お船?」
「間一髪!ってとこかしら?」
飛び込んだ先は、船の甲板だった。
「どう?なかなかのものでしょ?」
シルビアは鼻高々に自慢する。
「あぁ…」
クルーザー…漁船…いやちょっとした客船くらいあるか。
想像以上にデカイ船だ。
「あ、そうそう、紹介するわ。こちらが、この船の航海士…アリスちゃん」
「よろしくお願いするでやんす」
シルビアが連れてきた航海士は…名前からはおよそ想像もつかない、筋骨隆々の大男だった。
顔にピンク色のマスクを被っている為、年齢は不詳だ。
だが雰囲気からして、オレたちより相当上であることはわかる。
決して若くはない。
唯一アリスという『名前らしさ』を表しているのが、ピンクのマスクだが…早い話、ヘビー級の覆面レスラーという表現がピッタリだ。
「あぁ、よろしく…」
オッサンか!…っとツッコミたいところであったが…こういうときは、どうリアクションしたらよいものか。
「それじゃあ~ホメロスちゃ~ん!ま~たねぇ~!」
シルビアは遠ざかるダーハルーネの街を見ながら、大きな声で叫んだ。
船のスピードはグングンあがり、ホメロスの表情はもうわからないが、さぞ悔しい顔をしていることだろう。
しかし、一難去ってまた一難。
沖に出る前に、巨大イカが襲ってきた。
今のオレたちで、どうこうできる大きさじゃない。
…ここまでか…
だが、捨てる神あれば拾う神あり。
その巨大イカを取り囲むように、何隻もの船が集まり、大砲を撃ち放ち、ヤツを水中へと沈めた。
「アンタは…」
その一団を率いていたのは、ダーハルーネの町長。
彼は当初「悪魔の子とは、関わるつもりはない」とオレたちとの接触を避け、虹の枝の情報入手に非協力的だったのだ。
「『私の息子』の声を治して頂いたお礼です。リサトさんが悪魔の子だと思っていたのですが、今回の騒動で、それが間違っていたことがわかりました」
「いいの?デルカダールを敵に回すことになるわよ?」
「シルビアさん、大丈夫です。私は私の信念に置いて自分の街を守りますよ。では、みなさん…」
彼はそう言って、街へと戻って行った。
まさに、情けは人の為にあらず…ってことだ。
「さて、アリスちゃん、私たちは…どこに向かうのかしら?」
「おいおい、ノープランかよ!」
「いえ、まずはバンデルフォン地方に向かうでやんす」
「バンデルフォン地方?」
「虹の枝を持った商人は、そちらに向かったと聴いているでやんす」
「それは確かなのか?」
「はい、アッシに任せるでやんす」
人は見た目じゃない…というが、このアリスという男もなかなか曲者(くせもの)らしい。
ただの大男、ただの航海士ではないようだ。
「あぁ、じゃあ…よろしく頼むぜ…」
「それにしても、アンタ、大きい船を持ってるのね…」
ベロニコさんは、あちらこちらと歩き回り、物珍しそうにあれこれと眺めている。
「ふふふ…」
シルビアはそれに答えずに、ただ笑っただけだった。
…普通の旅芸人でないことはわかっていたが…
…一体、何者なんだ…
コイツに対する謎が、更に深まった。
「ん?ここは?」
「ソルティコの街でやんす」
「ここが目的地?」
「いえ…しかし長い航海になりますので、諸々補給が必要なんでやんす」
「あぁ、そう…」
「ここはカジノで有名な海辺のリゾート地なのよ。少しの間、街を堪能すればいいわ」
「シルビアさん、私たちは遊んでいるヒマはないのですが…」
「あら、ウミュちゃん…少しは骨休みも必要よ」
「ですが…」
「まぁまぁ、ウミュ…アンタは頭が堅すぎるのよ。リラックスする時はリラックスしないと」
「ウミュさん、ほらほら、この中でポーカーが出来るよ!」
「こと…いえ、セーニャさん!私はトランプは嫌いです!」
「あ、そうだったね…」
…ん?…
…ウミュはトランプが嫌いなんだ…
…知らなかった…
「じゃあ、スロットマシーンは?」
「はい!やりましょう!」
ウミュは即答した。
「ちょっと、こと…じゃなかった、セーニャ!…うみ…じゃなかった…ウミュって意外に熱くなるタイプだから、ギャンブルをやらせるのは危険じゃない?下手したらスッカラカンになるわよ」
「そ、そうかな…たぶん大丈夫だと思うけど…ね?」
「はい、なんでしょう?」
「ん?」
セーニャさんは、何も言わずにニコニコ笑っていた。
「あ、オレはちょっと、散歩してくるわ」
「はい、では…またあとで…」
「おう…」
オレはグルッと街を廻ってみた。
そして幾つかの情報を得た。
虹の枝を持った商人は、実はこの地を訪れていた。
なんでも、近々大金が入る可能性があるとのことで、別荘を見に来たんだそうな。
しかし、既にバンデルフォン地方に向かってしまったらしい。
アリスの情報通りだった。
それを教えてくれたのは、この街の名士に仕える『執事』だ。
その名士…『ジエーゴ』…は騎士道精神を重んじる実力者らしく、住民の信頼も厚い。
残念ながら、オレがその家を訪ねたとき、その本人は出掛けていて不在で…代わりに対応してくれたのが執事だった…というわけだ。
…だけど、意外とそういうやつ程、裏で何をしてるかわからないもんだぜ…
それが関係しているかどうかは定かではないが、その息子…『ゴリアテ』…が行方不明であるという話も聴いた。。
なんとなく、この息子が、この旅の鍵を握ってるんじゃないか…そんな気がした。
あとでシルビアに訊いてみるとしよう。
浜辺にいた老人に話し掛けたら「バニーガールの衣装を着たピチピチの美女を連れてきたら、お礼あげる」と言われた。
そんな物、どこで手には入るんだ?
…ウミュは破廉恥だ!て言って着てくれなさそうだし…
…ベロニコさんは…可愛いけど、美女とは言いがたいし…
…セーニャさんにお願いするしか…
…セーニャさんのバニー姿か…
…これは是が非でも手に入れないと!…
オレの旅の、新な目標ができた。
そして、もうひとつ。
この街の遥か北に『メダ女』と呼ばれる学校があるとの情報も得た。
なんでも、旅の途中で見付けた『小さなメダル』を持っていくと、数に応じて色々な景品に交換してくれるらしい。
そういえば、オレも十数枚持っている。
武器や防具が強化されるなら、寄らない理由はないだろう。
そんなこんなで、取り合えず、オレは情報収集を終えたのだった。
~to be continued~
この作品の内容について
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続編作れ