【ラブライブ μ's物語 Vol.6】オレとつばさと、ときどきμ's × ドラクエXI 作:スターダイヤモンド
「…で、カジノはどうだった?」
「アタシは微増ってとこかしら」
とベロニコさん。
口調が粗っぽいから、一見大雑把そうな感じがするが、実際は凄く堅実な人だと、一緒に旅をしていてわかった。
だから、微増と聴いたときは、なるほどな…と思った。
大博打はしない…そんなタイプだ。
コツコツと勝ちを重ねた結果…というとこだろうか。
「私はちゅんちゅんかな?」
とセーニャさん。
「ちゅんちゅん?」
「トントン…ってこと」
ベロニコさんがフォローしてくれた。
「あ…トントンね…」
とオレは言ったが、その言葉を額面通りには受け取っていない。
結構勝ったな…そう思ってる。
何故かと言えば…セーニャさんは、決して『そう』であったとしても自慢するような人じゃないからだ。
ちょっと天然で、ときたまポゥッとしてて、このパーティーの中じゃ圧倒的に守ってあげたい人。
実際は彼女に助けてもらってるんだけど。
しかし…戦闘中でも感じるのだが…わりと「えい!いっちゃえ!」みたいなところがあって、ノリがいいと言うか…その場の勢いに任せるタイプだったりする。
それでも、あまり大ケガをせず…むしろ結果がいい方に出るというのは、この人の持ってる星…天性の運のようなものがあるのかも知れない。
「…でウミュは?」
「…」
顔を見れば、答えは聴かずもがな…。
つまり…そういうことらしい。
「だから、アンタは勝負事に熱くなり過ぎなのよ!勝つまで止めない…って悪い癖、治した方がいいわよ」
「…最後のゲームは、勝てると思ったのですが…」
「それで何回失敗してるのよ!」
ベロニコさんは、ウミュのことを昔から知ってるかのように、そう叱った。
ウミュは普段『石橋を叩いても渡らない』ほど慎重なくせに、一度、勝ち負けに拘りだすと、見境がなくなるらしい。
「新婚旅行…ラスベガスだけはやめといた方がいいわよ…」
ベロニコさんが、そっとオレに耳打をした。
そういえば…ウミュが『こっちの世界』で盗賊をやってるのか…なぜ、あそこで捕まっていたのか…まだオレは聴かされていない。
ベロニコさんの言う通り、ギャンブルに嵌まり『貧すれば鈍する』とでもなったのか?
確か「神の導き」というようなことを言っていたが…。
…まぁ、いずれわかるんだろうけど…
三者三様、悲喜交交(ひきこもごも)…。
それぞれ、思いおもいに休息を取り終え、オレたちは再び船に乗り込んだ。
目指すは虹の枝を持った商人が向かったという、バンデルフォン地方だ。
「さあ、じゃあ、旅の再開ね!」
「そういえば、シルビア…アンタ、船から降りてないんじゃないか?街の中では見かけなかったけど」
「私?私は…実はこの街には何度も来たことがあって…」
「へぇ…」
「だから、少し飽きちゃってて…船でゆっくりとさせてもらったわ」
「でも船にいるより、外の方が休めるだろ?メシもなかなかうまかったぜ」
「う、うん…まぁ、私のことはどうでもいいじゃない…。それより、これから先、少し長い航海になるから、気合い入れていくわよ!」
「お、おう…」
コイツがこの街と深い関わりがあったことを知るのは、随分あとになってからで…まだ、この時は今の言葉がどういう意味なのか、知る由(よし)もなかった。
船は何度か魔物に遭遇しながらも順調に進み、無事バンデルフォン地方へと辿り着いた。
「では、姉さん、アッシはここで…」
「うん、留守番を頼むわ」
シルビアはアリスから『姉さん』と呼ばれている。
マスクをしている為、年齢は定かじゃないが、それでも彼は、明らかにシルビアより上のハズだ。
だが、主従関係からすれば、アリスの方が下にいる。
…この2人に何があったのだろう…
ウミュ…シルビア…アリス…。
謎が謎を呼ぶ。
そのアリスは、オレたちとは同行せず、船に残るようだ。
外観だけなら、相当強そうだ。
肉弾戦なら無類のパワーを発揮するハズだ。
しかし、彼から闘気のようなものは感じられない。
海上で魔物に遭遇しても、戦闘には加わらず、冷静に戦況を見つめ、舵を切っている。
ある意味、プロフェッショナルだといえば、その通りなのだが。
…実は見かけ倒しなのだろうか…
そんな疑問すら湧く。
それはさておき…船から上陸したオレたちは、この地方で唯一、人が行き交う…『ネルセンの宿屋』…で一休みすることにした。
そこで得た情報によると『ネルセン』というのは、遥か昔『勇者のローシュ』『賢者のセニカ』『魔導師のウラノス』と共に『邪神』を討伐した戦士の名前なんだそうだ。
「ふ~ん、英雄四天王って感じかな?」
「そしてアタシたちが、そのセニカの生まれ変わり…ってワケ!」
「えっ?」
「あら、言わなかったっけ?アタシたちは双賢の姉妹って呼ばれてて、彼女の生まれ変わりだ…って言われてること…」
「いや、オレを守るのが使命とは聴いてましたが…そこまでは詳しくは…」
「なるほど、そういうことですか…。では、もしかしてセーニャとベロニコという名前は…」
「ウミュさん、正解!セニカさんから取った…って言われてるんだ」
「つまり、アンタを守る使命がある!ってことは、そういうことなの。わかった?」
「あ、はい…」
…この地で、そんな話を聴かされるとは思ってもみなかった…
…そんなんだ…
…そんな古(いにしえ)の時代から…
因みに…今は跡形もなくなってしまっているが…かつてここには『バンデルフォン』という花の都と呼ばれた美しい『王国』があったらしい。
それを建国したのが、ネルセンというわけだ。
かなり大きな王国だったようだが、十数年前に、魔物によって滅ぼされてしまったのだとか。
「何か、闇の力を封じるアイテムがあるかもしれない」と、跡地を訪れたが、まるで成果はなかった。
建物は朽ち果て、見る影もない。
足元はぬかるみ、所々異臭を放っている。
「触らない方がいいわ、それは猛毒よ」とシルビアが教えてくれた。
これでは『遺跡として観光地化する』のも難しい状況だ。
しかも最近は、夜な夜な『アンデッドマン』という魔物がうろついてるらしい。
ネルセンの宿屋にいた神父から「彼を安らかな眠りにつかせてほしい」を受けたオレたちは、夜になるのを待って、跡地へと出掛けた。
待つこと数分。
「リサトちゃん、現れたわよ!」
「アイツが…」
この世にどれだけの未練があるのか…死んでも死にきれない魂の成れの果て…。
そんなところか…。
「リサトちゃん、ただ倒すだけじゃダメだと神父さんが言ってたわ。確か…セーニャちゃんとの連携じゃないと」
「あぁ、わかってるって!…セーニャさん、準備は?」
「はい、できてますよ!」
「よし!行くぜ!」
「『聖なる祈り』」
…成仏しろよ…
オレたちは、ヤツが「…ありがとう…」と言って消えていったように見えた。
「私たちも、いずれ、ああなるのかしら」
「さぁ…今は死んだあとのことなんて、考えたくもないけどね」
「今をどう生きるか…が先決ですから」
ウミュは、オレの言葉に頷きながらそう言った。
「確かに、その通りね…」
シルビアも、首を縦に振った。
翌朝、オレたちはここから北にある『ユグノア地方』の『グロッタの街』へと向かうことにした。
その地方にも、かつて王国があったようだが…今はここと同様に滅びてしまっている。
従ってバンデルフォン、ユグノア地方の中で、唯一栄えているのが、この街だと言っていい。
そして今いるネルセンの宿屋は…そこへ向かう中継地点…そんなところ。
だがここには、虹の枝を持つ商人はいなかった。
ならば…ヤツが向かった先は、そこしかない!…そういうことだ。
こうしてオレたちは、遥か遠くの北の街を目指して、ここを出発した。
~to be continued~
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