トリップ先のあれやこれ(完結)   作:青菜

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第22話

 燦々(さんさん)と太陽の光が降り注ぐテニス場。

 自校の代表選手を応援する野太い声が空気を振動させている。

 都立永田町高校で行われているテニス部の練習試合を観戦しているのは、部員達とフェンスの外に締め出された多くの観衆。そのほとんどが女子だ。

 磯貝悠馬を始めとした女子に人気のある選手が都立永田町高校に多くいることが理由である。

「うちの学校負けてるね」

「えー、でも相手強いみたいだし仕方ないんじゃない?」

「冷たいジュース一本100円!」

「BLキター‼︎」

「まあ良いや。頑張っている姿もかっこいいし。写真撮ろう」

「でも磯貝君凄いよね。まだ二年生なのに代表選手になって、それでも勝ってるんだもん」

「スポーツドリンクやお茶、新発売のジュースまで! 全て百円です‼︎」

「確かに勝ってるの磯貝君だけだね」

 都立永田町高校の対戦相手は全国大会で好成績を残している強豪。

 観衆が多い永田町高校の選手は苦戦しているが、観客席から応援の声は全く聞こえて来ない。

 というのも、集まったほとんどの生徒達の目的は顔の整った選手を見ることであり、応援ではないからだ。

「磯貝君……」

 不安げに試合を見つめるのは片岡。都立永田町高校イケメングランプリにおいて、堂々一位に輝いた女子生徒だ。

「あっ、だいぶ試合が進んでる! ジュース売ってる場合じゃなかった‼︎」

 人混みを縫って片岡の横にやってきた菜々は肩にかけていたクーラーボックスを地面に降ろし、首からぶら下げていた一眼レフカメラを構える。

「何やってんの……」

 磯貝を連写し始めた菜々に片岡は呆れたかのような目を向ける。

「殺せんせーに頼まれた。一枚五百円で買ってくれるんだって」

 なんとなく予想していた答えが返って来る。

 片岡はそれ以上追求しないことにした。今はこの試合の流れを変えなくてはいけない。

 

 決断してすぐ、片岡は持ち前の運動能力を駆使してテニス場を囲んでいるフェンスの上に飛び乗る。

 私服のズボンを履いているため、さほど動きに気を使う必要はない。

「皆聞いて!」

 観衆は静まり返り、聞こえてくるのは選手がボールを打ち合う音と、何事かと控えの選手達が周りに確かめ合う声だけだ。

「私はちゃんと応援するべきだと思う」

 太陽の光によって輝いて見える女子はまるで地に降り立った王子のようだった。

 誰かが息を呑む音がやけに大きく聞こえる。

「そうだよ。私も応援するべきだと思う。写真を撮るなんてくだらない事するんじゃなくて」

 前に出てきた菜々も堂々と言い放つ。

 その瞬間、皆の心の声は一つになった。お前が言うな、と。

 彼女の首にかけられた、本人は頑なにネックレスだと言い張っているカメラのレンズがキラキラと輝いていた。

 

 この行動により片岡のファンが増えて第一次イケメン大戦が勃発したり、磯貝と片岡が少女漫画のような展開になったりした。

 一方、菜々は写真の買い値を上げてもらうために、殺せんせーと交渉していた。

 

 

 *

 

 

「で、地獄に攻めてきた桃太郎さんは今どうしていると思う?」

 役員でもなんでもないくせにここ最近生徒会室に居座っている菜々が一同に問う。

 磯貝、片岡、竹林はプリントをまとめていた手を止めた。

 皆の視線が一点――菜々の横に置かれた空き缶――に集まる。

 どうせ金を渡さなければ続きを話さないつもりなのだろう。

「磯貝君は五十円じゃなくて保健の教科書貸してくれるだけでいいよ」

 明日小テストがあるのだが、菜々の保健の教科書は巨人が進撃している上、魔法陣によって人間が召喚されている。勉強なんてできる状態じゃない。

「まあ、文化祭の準備手伝ってくれてるから払うけど」

 会計を務めている片岡は財布から小銭を取り出す。

 菜々はこの歳で借金を抱えているのだ。前からこんな感じだった気はしないでもないが、力になれるのならなんでもしたいと思っている。

 

 初めは皆が貰った賞金を少しずつ出し合おうかとも考えたが拒否された。貸しは作りたくないから真面目に自分で稼ぐと言われて。

 これが真っ当な手段なのかと問われれば首を傾げざるをえないが、「菜々だから」という魔法の言葉で全て解決する。

 

「この行動には意味があるんだよ。地獄のおもしろ話をする事によって私は儲かるし、皆は楽しく地獄の知識をつけることができる」

 金を取る必要性は全くと言っていいほど感じないが、皆はスルーした。

「殺せんせー達は今どうしてるんだ?」

 皆が気になっているであろうことを、小さく手を挙げた磯貝が尋ねる。

 旧校舎の掃除で集まった時などにこの件だけは無料で教えてくれるところを見ると、今回もタダだろうと踏んだのだ。

「鬼灯さんが閻魔大王第一補佐官で、地獄の黒幕だって話はしたよね?」

 物凄い速さで作業を進めながら発せられた問いに対し、三人が揃って頷く。

 彼が鬼だと言われた時も、閻魔よりも発言力があると知った時も妙に納得したものだ。

「殺せんせーは鬼灯さんのーーつまり、閻魔大王第一補佐官の直属の部下になっている。もともと多才だし、マッハ20は便利だからね」

 しかし、手入れをしすぎたりして定期的に減給を食らい、その度に一人でデモ活動をしているあたりは相変わらずだ。

「死神さんは殺せんせーのストッパーだよ。それと貴重な突っ込み役」

 最近では独自にあの世の植物の勉強をしており、金魚草の飼育にも手を出している。

 このままいけば金魚草コンテストで優勝するのではないかと言われている程の腕だ。

「ところで磯貝君。衆合地獄に興味はない? あそこで働ける男性獄卒ってすごい貴重なんだけど」

 勧誘が始まった。

 菜々は、E組女子のほとんどと渚に衆合地獄の誘惑係として働いてもらいたいと思っている。

 他にも千葉は変成庁、カルマは内政担当、原と村松は食堂など、誰がどこで働くかを勝手に考えていたりする。

 そんな菜々が真面目な磯貝を逃すわけがなかった。

「で、なんで君はこんな所に居座っているんだい? 僕ら以外の人間は様々な事情があって戦力外だから手伝ってくれているのはありがたいんだが」

 面倒臭い展開になったので、話題を切り替えるためにメガネの位置を直しながら尋ねたのは竹林だ。

「地獄に行ったらツノが危険で……」

 遠い目をしながら呟いた菜々は面食らう皆に気がつかないのか、少し考え込んだだけで自己完結してしまった。

 この前起こった事を思い出したが、現状維持以外にいい方法が思いつかないのだから仕方がない。

 

 

 原因は殺せんせーだ。

 ブツブツ言いながら鬼のツノについての本を読み漁っていたので何事かと尋ねたら、恐ろしい答えが帰ってきた。

「私、E組の皆の恋愛話を書いてるじゃないですか」

「書いてますね。下手したら訴えられる内容ですよ」

「菜々さんだって似たような事してるじゃないですか」

「私は事実を書いてるだけです。でも、殺せんせーは事実無根の創作」

 軽口を叩きあった後、本題に入る。

「で、私最近は漫画にも手を出しまして。鬼灯様と菜々さんで描いてるんですよ」

「初耳ですよ⁉︎」

 こうなれば余計に現世で籍を入れたことを知られてはいけなくなった。死神にもう一度口止めしておこうと誓う。

「しかし二人は全く甘い展開にならない。少女漫画でよく見かけるシュチュエーションをやろうとしても、そもそも起こるはずがなかったり、ボケが入ってわけわからん事になったりするんです」

 心当たりがあるので、菜々は言葉が無くなった。

 

 菜々の強さでは望めない話だが、ピンチに陥ったヒロインをヒーローが助けに来るという展開に憧れたことがないわけではない。

 周りからは散々、女を辞めているだの結婚したら地球が滅ぶだのと言われ続けてきた菜々だが、乙女心はそれなりにある。

 米花町という恐ろしすぎる世界で生きていくうちに、ライフルの弾を避けられる系女子になっただけだ。

 

「で、こうなったら思いっきりいちゃつかせようと思ったんです」

 いちゃつくような関係になるまでの経緯を考えるとなると、かなり大変なのは頷ける。

 殺せんせーの判断に賛成はしたくないものの、菜々は反論が見つからなかった。

「しかし、ここで最大の敵が立ちふさがりました! ツノです‼︎」

 図書室に居るというのに大声を出した殺せんせーの口を、菜々は慌てて抑えた。

 殺せんせーも自覚し、声を落として話し続ける。

「抱き合おうとしてもキスをしようとしてもツノが刺さります!」

 衝撃の事実が発覚する。

 菜々と鬼灯の身長差は30センチ。そして菜々のツノは額から生えている。腕でガードしない限り、鬼灯に刺さるのは明白。

 さらに、キスとなれば顔を近づける。

 近づけられた顔のどちらも額からツノが生えている。

 刺し合いになるのは容易に想像がつく。

「ホモサピエンス擬態薬を飲んだとしても根本的な解決にはなりません。ツノを引っこ抜くなりなんなりしなくてはならないのです!」

 ツノの位置についてはなんとかしなければならないが、ツノを抜かれるのは嫌だったので菜々は逃げる事にした。

 

 

「あ、文化祭当日は警備の人とか雇った方がいいと思うよ」

 プリントをホチキスで止めながら、菜々は思い出したかのように提案した。思い出したくない過去を頭から振り払うためだ。

「警備?」

「私、事件を引き起こす体質みたいでさ。学校行事の時は毎回事件に巻き込まれてるんだよ」

 小学生の時のキャンプでは人食い熊に遭遇し、修学旅行で大阪に行った時には連続殺人事件に巻き込まれた。

 遠足に出かければ遺体を、タワーに登れば爆弾を発見する。六歳の時に行った、初めての爆弾解体授業ですら今ではいい思い出だ。

 殺せんせーが周りの危険から守ってくれていたので、超生物を暗殺していた一年が一番平和だったかもしれない。

「そういえば中学の文化祭で、飲食店に毒物が入っていたって噂になってたな……」

「去年林間合宿を行った森に指名手配犯が潜伏していて、うちの生徒が捕まえたって噂もあったような……」

「去年の文化祭の時、警察の人が大勢学校に来てたな」

 しばらく無言が続く。

「加藤、これ……」

 沈黙を破ったのは保健体育の教科書を差し出して来た磯貝だった。

 

「ところで、他の生徒会の人が居ないのはどういうわけ?」

 菜々は磯貝から受け取った教科書をリュックに仕舞いながら尋ねる。

「病気で出られない人とか、やる気はあるんだけど居ても仕事をややこしくするだけだから出禁になった人とか、女子と遊びに行っている人が居て、結局俺達だけなんだよ」

 磯貝の説明を聞いて菜々は疑問を抱く。

「この学校って選挙に出るために、校長の許可が必要でしょ? なんで仕事をサボるような奴が選挙に出てるの?」

「僕達も校長先生に聞いたさ。挫折を味わうべきだと思って選挙に出るのを許可したらしい」

「で、その年は会長の立候補者が他にいなくて、信任投票だったんだって」

「あのハゲ馬鹿だろ」

 竹林と片岡の話を聞いて、菜々は吐き捨てる。

 立候補者が一人しかいないのなら、大抵の人間は取り敢えず信任しておくに決まっている。

「そういえばなんでその会長、この学校に入れたの?」

 受験に影響が出ないようにという配慮で五月に文化祭を行う事からも分かる通り、都立永田町高校は進学校だ。

「ほら、馬鹿と天才は紙一重と言うだろう」

 竹林のメガネが一瞬光ったような気がした。

「じゃあさ、会長が仕事していないっていう証拠集めて新聞部にタレコミしようよ」

 まとめたプリントをホチキスで止める作業も終わらせ、パンフレットを作る作業に入っていた菜々がなんでもないかのように言い放つ。彼女は社会的抹殺を推奨するタイプだった。

 

 しばらくして会長は辞めさせられ、新しい会長の選挙が行われて片岡が当選した。

 会計の席が空いてしまったので跡を継いでほしいと菜々は頼まれたが、面倒だったので志穂に押し付けた。

 その後、磯貝と片岡が双方のファンクラブに邪魔されつつ青春を謳歌しているのを見て、菜々はしょっぱい気分になった。

 彼女の前にはツノという厄介な敵が立ちふさがっていた。

 

 

 *

 

 

 夏休みに入り、菜々は中学の時に修学旅行の班員だった皆と一緒に静岡の海まで来ていた。

 青春といえば海。恋愛が大きく動くのも海。という殺せんせーの持論に従ったのだ。

 菜々による、くっつけ大作戦が幕を開けた。

「ターゲットは渚君とあかりちゃんペア、カルマ君と愛美ちゃんペア、杉野君と有希子ちゃんペアの三つ!」

「ねえ、さりげなく二人きりにした後は何もしなくてもいいからね⁉︎ 菜々が関わると絶対にこじれるから」

 ターゲット達を二人きりにするのに成功した時、ソラが釘を刺してくる。

 ただでさえ暑いのに、フライパンの上のように熱い砂浜に足をつけなければならない状況にしてしまった事を菜々は申し訳なく思っている。しかも個人的な理由でだ。

 なので、ここは折れる事にした。

「分かった。後で浄玻璃鏡で確認するだけにするよ」

 これでも菜々はだいぶ妥協したのだと理解し、ソラはなにも言わない事にした。

 

 側から見れば菜々はボッチである。しかもスクール水着という色気もへったくれもない格好だ。

 人目につかずに一人で楽しめる場所に行こうと彼女が考えたのは当然の流れだった。

「海賊王に俺はなる!」

 人気のない岩場で叫びながら海にダイブした菜々を、ソラは干からびたミミズを見るような目で見ていた。

「なにやってるの……」

「ソラ! そういえば居たのか……」

 菜々は海から顔だけ出し、まじまじと稲荷の狐を見つめる。

 今まで海に来た時は水死体が発見されたりとすぐに事件に巻き込またので、ろくに楽しめた記憶が無い。

 今のところ事件が起こっていないため、どうやらはしゃぎすぎてしまったようだ。

 ここには工藤家の人間はいないだろうし、大阪ではないので服部家の人間もいない。多分白馬家も居ない。

 昨日は二回も殺人事件に巻き込まれたのだから、今日事件が起こることはないだろうと菜々は高を括っていた。

 崖の上を走っていた自動車がガードレールを突っ切って海にダイブして来るまでの話だが。

 

「やっぱり事件が起こったか……」

 菜々は飛び込んで来た車によって作られた水しぶきと慌てふためく人間を認識すると同時に、遠い目をした。

 お祓いは全て断られたことだし、もう地獄に逃げるしか手は残っていないのかもしれない。

 菜々は考えにふけるが、サングラスを掛けた男性と赤髪の少年が海に飛び込んだのを見て我に帰った。

 この混乱だ。バラバラになった皆も一箇所に集まろうとしているだろう。ひとまず彼らと合流しなければならない。

 

 

 菜々は渚達と合流できたが、カルマが見当たらなかった。

「あれじゃない?」

 カルマはどこに居るのだろうという話になり皆が辺りを見渡した時、あかりが一点を指す。

 人混みの中心地で、先程駆けつけた刑事がいる場所だ。よく見ると、刑事に説明をしている男と時折口を挟んでいる少年が居る。

 とにかく、あの場に近づいてみようという話になった。

 女優活動を再開したあかりは有名になっているが、変装もしているし大丈夫だろう。

 

 とっさに海に飛び込んだが、運転席の男は即死。

 ただし、助手席の窓が開いていたので一緒に乗っていた人間は助かったのだろう。

 また、後部座席に値札が付いたままのブランド物の時計がぎっしり詰まったバックがあったことから、事故を起こしたのは近所で起こった強盗事件の犯人二人組だと思われる。

 カルマ達が証言した車の様子と推理を聞き、考え込んでいだ刑事は顔を上げた。

 近づいて来た団体の中に、見覚えのある少女を見つけたのだ。

「ん? 君か。久しぶりだな」

「また巻き込まれました。……刑事さんも変わってないですね」

「お前、名前忘れてるだろ」

「静岡県警の方ですよね」

 誤魔化すためにこの場にいる全員が分かる事を言った後、菜々は視線を感じた。方向からグラサン男のものだと判断する。

 この時、菜々は初めて男の顔をちゃんと見た。

 サングラス越しに見える目には隈がある。

 見覚えがあった。どこからどう見ても「名探偵コナン」のシャアだった。

「じゃあさ、車が落ちてから海の家でなんか買った人が犯人なんじゃない?」

 カルマが指摘すると、赤井も同じことを考えていたらしく一つ頷いた。びしょ濡れでは目立つ。

 赤井家に加え工藤家の人間もいるのだから、事件が起こっても仕方がない。菜々はそう考えながら意識を彼方に飛ばした。先程からそばにいる新一の存在を無い事にしたかった。

 

 赤井に頼まれた新一が海の家で買い物をした四人を連れて来たのを遠目で見た時、菜々は疑問を抱いていた。

 お約束で、大抵容疑者は三人と決まっているのだ。

 なんとなく嫌な予感はしていた。菜々は容疑者達の顔を見た途端、脳内に出現した判事に証言する。

 体積が大きめな男性とタレ目の女性とチャラそうな男性の後ろに三白眼の男性がいた。

 

「そういえばあの人も巻き込まれ体質だった。だから私は決して呪われているわけではない。ただ単に呪われた人の近くにいるだけだ……」

 菜々が誰にでもなく言い訳をしている間に事情聴取が行われていた。

「おじさん……お兄さん」

 最近は推理ごっこばかりしている新一が鬼灯に話しかけるが、目つきの悪さにたじろいで呼び方を変える。

 ホモサピエンス擬態薬の副作用で目つきが悪くなっているだけなのか睨んだのかという問題が発生し、菜々は脳内会議を始めた。

「裏社会の人間だろ? 刑事さん、早くこの人捕まえた方がいいですよ!」

「え? いや、それはないよ」

 過去に数回会っただけに過ぎないものの菜々には人を見る目があると考えているので、事情聴取をしていた刑事はすぐさま否定する。

 菜々がいつ結婚するかという賭けの結果を大きく左右する人物()()()鬼灯の顔は刑事の間でも有名だ。

 過去形なのは、目暮が賭けを辞退した事によって問題が解決したからである。

 余談だが、この事件が起こってから目暮を崇拝する者は爆発的に増えた。

 

 信じてもらえず新一はむくれたが、推理を聞かせて納得させた方が早いと判断したのか話を続けた。

「お兄さん、あなたは派遣社員だと言ってましたね? しかし、この手を見ればそれが嘘なのは明らかだ。ただの派遣社員の手のひらがこんなに硬いわけがない。そしてその筋肉質な体。体を鍛えている証拠です」

 自信満々といった様子だ。

 雲行きが怪しくなって来たので、ソラは菜々をこづいた。

 ようやっと菜々は我に帰り、打開策を考え始める。

 新一はまだ幼いためか、目を見張る知識を持っているものの推理のツメが甘い。

 今回は簡単に論破できるだろう。問題は鬼灯である。

 

 どう見ても遊んでいるとしか思えない。

 いつも適当に切られている髪は綺麗に刈りそろえられており、美容院に行ったのだろうと一目で分かる。彼の言葉を借りるのなら、現世の爽やかアナウンサーヘアーだ。このためだけに髪を切ったのだろうか。

 しかも海パン姿で浮き輪を持っている。視察と言われても信じられないような出で立ちだ。

 

「つまりお兄さんの職業は、鍛える必要があって重いものを持つ事が多いもの。さらに隠さなければならないもの」

 新一の推理はまだ続いていた。ホームズを意識して冷静に見えるように努めているが、口角はヒクヒクと動いている。犯人を追い詰める爽快感に早くも目覚めてしまったらしい。

「そう! どう考えても堅気の人間じゃないんですよ‼︎」

 新一が言い放ったのとカルマが吹き出したのはほぼ同時だった。

「新一君。ジムで鍛えてるとかなんじゃないの?」

「あ……」

 自分の推理の穴を菜々に指摘され、小さな探偵は仄かに顔を赤らめる。

「新一ったらまた変なこと言ってる……」

 工藤有希子を連れてきた蘭にも咎められ、新一は恨めしげに菜々を睨んだ。

「おい菜々! どっちが早く事件を解けるか勝負だ‼︎」

「年上を敬いなさい。なんで私ってこんなにも年下に舐められるんだろ……」

 日頃の行いである。

 ターボエンジン付き自転車で登校して教師に怒られたので、ターボエンジン付きセグウェイに変えて大目玉を食らうなんて事は日常茶飯事だった。

 作った阿笠も阿笠だと菜々は思っている。

「元気出して。確かに変なとこもあるけど、菜々さんが悪い人じゃないって蘭知ってるよ」

「年下で私に敬称をつけてくれるのは蘭ちゃんだけだよ。初めの方は聞かなかった事にしておくね……」

 将来エンジェルと呼ばれる少女の優しさは尋常ではなかった。菜々は思わず涙ぐむ。

 バレンタインの一件があってからというもの、蛍までもが菜々を呼び捨てにし始めたのだ。三池の呼び方が移っただけだと蛍は主張しているが、今までの経験のせいで菜々は信じることができなかった。

 

 昔一緒に仕事をしたことがあったあかりと元女優である有希子が再会を喜んだり、一回り下の少女に菜々が慰められたりしているうちに事件は解決していた。犯人はタレ目の女性だった。

 

 ようやくメンタルが回復し、菜々は立ち上がる。鬼灯に何をしているのか問いたださなくてはならない。

「あの、鬼灯さん」

「取り憑かれてるんじゃない……冒されているんだ。……好奇心と言う名の……熱病にな」

 菜々が言葉を発したのと、無駄に溜めが長いセリフが聞こえてきたのは同時だった。

 その途端菜々は砂浜に両腕をつき、土下座のような体勢をとる。

「どうかしました?」

「思わぬところから黒歴史をえぐられました……」

『あ、小学生の時の菜々さんが先程の言葉と似たような事を言っている場面を発見しました!』

 鬼灯が掲げているプライベート用のスマホに映し出された律が元気よく爆弾を投下する。

 新一達は少し離れた場所にいるため、この辺りには律について知っている元E組しかいない。

「あなたが前に言っていた、律さんと浄玻璃鏡を繋げる装置が最近完成したんですよ。お陰で倶生神に聞くまでもなくすぐに犯人が分かりました」

 菜々が必死に「必要以上に人の詮索をするのは良くない」と律に訴えかけている間、鬼灯はカルマに対して熱心に勧誘をしていた。

 

 

 *

 

 

「あれは視察です」

「嘘ですよね」

 数日後、死神の協力を得て殺せんせーがいない隙に閻魔殿にやって来た菜々は、開口一番に鬼灯を問い詰めた。

 この前は心の傷が深すぎて問い詰める気力がなかったのだ。

「いえ、本当です。実はあの海、よく車が突っ込んでくるんですよ。ネットの一部では霊の仕業だと騒がれてまして。ちゃんと犯人はしょっぴきました」

「それってお迎え課の仕事じゃ……」

 二つの視線が交錯し、しばし静寂が訪れた。

「だってお盆明けですよ! 忙しさから解放されたんですよ! 遊んでもいいじゃないですか‼︎」

「やっぱり遊びだった‼︎ ワシ、しわ寄せが来て大変だったのに‼︎」

「いつも仕事しないアンタが悪い」

 閻魔が参戦してきたが、あっさりと鬼灯に言い負かされた。

 

 浄玻璃鏡を使う許可を貰い、菜々はノートを取り出す。

「律。この前海に行った時、事件が起こる前に皆が何してたか知りたいから様子を映してくれない?」

『ダメです』

 手をクロスさせて大きなバツを作る、浄玻璃鏡の画面に映った律。菜々は数度目を瞬かせた。

『この前菜々さんが言ってたじゃないですか。必要以上に人の詮索をするのは良くないって』

 菜々は目を見開く。知らず知らずのうちに自分の首を締めていたらしい。

 その後、菜々は律を説得したが効果は皆無だった。

 

 

 *

 

 

 長門道三。鈴木財閥と肩を並べる程の力を持つ長門グループの会長である。

 菜々は彼の豪邸でバイキング形式のご馳走を頬張っていた。

 こうなったのは全て怪盗キッドのお陰である。

 

 

 ある日、長門道三が持つビッグジュエルを盗むという予告が怪盗キッドから送られてきた。

 そこで鈴木次郎吉が湧いてきた。この前キッドに一面大見出しを奪われたとかで逆恨みしているらしい。

「ワシが持つ全ての権力を駆使してキッドの奴を捕まえてやる! そして今度こそワシが一面大見出しを飾るのじゃ‼︎」

 荒ぶる次郎吉を道三は笑って受け入れた。菜々はこの話を聞き、広すぎる懐に感動するのと同時に道三がいつか騙されるのではないかと心配になった。

 

「ワシはいい助っ人を知っておる」

 キッドに勝つための助っ人として菜々を推薦した次郎吉は止まることを知らなかった。

 本来は頭のいい人間なのかもしれないが、どうやらキッドの事になると周りが見えなくなるらしい。

 こういう人が将来成功を収めるのだと菜々は無理やり納得した。

 これだけで済めば道三は丁重にお断りしていただろう。しかしそうは行かなかった。

 彼の遠い親戚も菜々を推薦したのだ。父親を殺してしまった跡取りに自首を進めた功績があるからだ。

 

 次郎吉に恩があるため断れなかった菜々は戦慄した。成り行きとは恐ろしい。

 

 昔から事件に巻き込まれてきた菜々だが、初めのうちは力も弱くとても大の大人に勝てる状態ではなかった。

 多少の犠牲は必要である。菜々は躊躇なく周りのものを破壊して身を守った。

 将来少年探偵団がするように本棚を倒して犯人を倒したこともあるし、ちょうど近くにあった威力の小さい爆弾で道路ごと吹っ飛んで難を逃れたこともある。

 その度に弁償しなくてはならなかったのは言うまでもない。

 自営業を営んでいた菜々の父親といえども、そんな金は用意できなかった。

「将来お主は大物になる。これは投資じゃ。返さなくて良い」

 笑って言いながら代わりに金を払ってくれていた次郎吉が、菜々には神に見えた。白澤なんかよりもよっぽど神様っぽいとすら思っている。

 彼の頼みを断るなんてできるわけがなかった。

 

 

 予告日当日。

 菜々はキッドに対して何もしない事に決めた。

 予告の三時間前の午後七時となったが、キッドのライバルである優作や道三の後輩にあたる服部平蔵までいるのだ。次郎吉には悪いが、出された食事を全て制覇する以外にやる事がない。

 菜々はデザートのプリンを頬張りながらこれからどうするかを考えていた。

 そこで原作知識を思い出す。十年後にここで殺人事件が起こるはずだ。

「よくある原作改変でもするか」

 原作で殺人の罪を着せられそうになったが後に自殺していた事が判明した長門秀臣と、犯人だった日向幸の二人には特に幸せになってほしいと菜々は思っていた。

 

 行動を起こすにしても、相手がキッドの可能性があるので倶生神に聞き込みをした結果、キッドが化けているのは執事の武蔵之介だと分かった。これなら特に計画の変更はない。

 まだ口にしていない料理を誰かに奪われないように細心の注意を払いながら瞬時に何を先に食べるかを決め、素早くかつ味わって料理を食べる。菜々にとって食事は戦場だった。

 そんな戦場の中、頭の片隅で二十分間練った計画を菜々は実行に移す事にした。まずは本屋に行かなければならない。

 

 まずは長門家の長女である信子だ。

 彼女は行き遅れるらしいが、原作を読む限り恋人が既婚者だったという理由があった。

「信子さん。出来ることがほとんどない私を、わざわざ夕食にまで招いていただいてありがとうございました。道三さんにもよろしくお伝えください」

 よそ行き用の丁寧な言葉を述べ、菜々はプレゼントである本を差し出した。

 本の題名を見た途端、信子の顔が凍りつく。

 新しい恋を見つけるための十の法則。間違いなくそう書いている。

 怒りのあまり体が震えそうになったところで、信子はもう一冊本がある事に気がついた。

 今度はまともなものかもしれないと少しだけ期待して確認する。

 既婚者の寝取り方法。女子高生が買ったら店員から変な目で見られる事間違いなしの題名だ。

「どこまで知ってるの⁉︎」

 信子が鬼気迫る表情で問い詰めてきたが、めんどくさそうだったので菜々は逃げた。

 

 気を取り直して次は長門康江だ。

 彼女には「いい男を見分ける方法」という本を渡しておいた。

 彼女は姉とは違い、ただひたすらに困惑していた。

 

「喧嘩でも売ってるの?」

「まさか。私は皆幸せになって欲しいだけだよ」

 人気のない廊下で尋ねてきたソラに返す。

 少し歩くと顔を包帯で覆った人物の背中が見えた。長門秀臣で間違いない。

 菜々は彼の前に回り込み、「レッツ自首〜まっさらになって想い人に愛を伝えよう〜」という看板を掲げた。

「十年前の旅館の火事について語り合いましょう!」

 包帯で半分ほど顔が隠れているので表情が分かりずらいが、秀臣の瞳は恐怖をありありと映し出していた。

 

「屋根の上に登る必要なんてあったのか?」

「私は一応キッドから宝石を守るために来てるんです。キッドが逃げてもすぐにわかる場所にいないといけないじゃないですか」

 もちろん建前である。

「馬鹿は高い場所が好きってよく言うよね」

 ソラが呟いたが、菜々は聞こえないふりをした。

 都会なので空に浮かぶ星の光はくすんでいるが、青白い三日月は眩い輝きを放っている。

 最近は涼しくなって来たせいか、菜々の肌は粟立っていた。

「火事の件は自首した方がいいと思いますよ。長門グループの評判を気にしたのかもしれないですけど、ここは米花町なんだし犯罪なんてよくある事です。誰も気にしません」

 しばらく無言が続く。

「これは幸ちゃんのためでもあるんです。ずっと励ましてくれたあなたが犯人だと知ったらどう思うでしょう? 私、年の差がある相手を好きになった人と孤児の人は見逃せないんですよ」

 幸の名前が出て来た事により、秀臣に迷いが生じたようだ。目の動きで分かる。

「なんで彼女の事を知っているんだ? それに君は何者なんだ?」

「後輩だからです。たまたま立ち寄った孤児院で会って、高校で再会しました」

 予想外の答えが返って来たので秀臣は目を見開く。

「昔話でもしましょうか」

 秀臣は話の流れが全く読めない事を指摘しようかとも考えたが、菜々の表情を見てやめた。

 今日初めて会った相手だが、平蔵や次郎吉からの扱いで彼女はいつもアホな事をやっているのだろうと容易に想像がついた。

 それに思い返してみれば、色々とやばい先輩がいると淀んだ目をした幸が話していた。どう考えても彼女のことだ。

 そんな菜々が、やけに大人びた表情をしているのだ。彼女の目は月を映し出しているが、もっと遠くを眺めているのではないかとすら感じる。

「四千年以上前のおとぎ話です」

 

 孤児だからという理由で生贄にされた少年が村人への恨みで鬼になり、地獄のラスボスまで上り詰める話が終わった。

 作り話のはずなのに、語る菜々の声色が妙に生々しかった。

「ここで質問です。もしも男の子が生贄にされず、寿命を全うしたらどうなっていたでしょう」

「……どうもならなかったんじゃないか? 村人は復讐されることも無かったし、地獄が劇的に変わることもなかった」

「では、生贄にされて鬼になるのと天寿を全うするの。どちらの方が幸せだったと思いますか?」

「……」

 秀臣は口を閉ざす。

 遠くから若手刑事の怒鳴り声が聞こえて来たが、二人は気に留めなかった。

「結果は誰にも分かりません。ただ一つ言えるのは、生贄にされたから今があるんです。そして、人として天寿を全うする人生を歩むことは絶対にできません」

「俺も同じだと?」

「そうです」

 火事を起こしたからこそ幸と出会えた。火事を起こさなかった人生の方が幸せだったかもしれないが今となっては分からないことだし、やり直すことはできない。

「割り切っちゃえばいいんですよ」

 秀臣の心は自首に傾いている。しかし、決断できないのは幸と光明の事があるからだ。

 菜々は天秤の「自首」の台にもっと重りを乗せることにした。

「あなたと一緒に火事を起こした光明さんを説得してみてください。駄目だったら警察に売っちゃいましょう」

 親友を売るという提案をしているくせに、菜々はあっけらかんとしていた。

「で、命の恩人が両親を殺した犯人だと幸ちゃんが知った場合についても心配しているんでしょうけど、あの子は大丈夫です。最近では私にチョップ食らわせたりしているくらい強い子です」

 幸は、菜々が暴走しようとした時に対処するメンバーの一員だ。最近試験にパスして正式に入会したらしい。

 また、幸は両親を亡くした事だって吹っ切っている。

 菜々だって幼少期から師匠が慕っていた人間に殺されたり、銃で撃たれたり刀で刺されたり爆発に巻き込まれて生死をさまよったりしている癖にピンピンしている。

 それくらいの強さがないと米花町では生きていけない。

「分かった。光明を説得した後自首する」

 覚悟を決めた秀臣は声を絞り出す。

「じゃあ体を鍛えてからにしましょう! 説得しに行っても口封じのために殺されちゃったら元も子もないですし」

 割と物騒な事を想定しているが、ここは米花町である。警戒するに越したことはない。

 

 

 *

 

 

「有名グループ会長の息子が十年前の火事の原因を作り出したって分かったのに、後ろの方の小さな記事にしかなってないのか」

 菜々は新聞を読みながら呟いた。

 最近別居を始めた腕の立つ弁護士を紹介したおかげなのか、秀臣の裁判結果は結構良かった。

 故意では無かったこと、人を助けている事、自首した事、周りの人のことを考えて言い出せなかった事も判決に関わっているのかもしれない。

「おい、病室で新聞読みながらくつろぐのやめろ。そしてなんで来るんだ? 嫌がらせか? そうだな、嫌がらせだな」

 ベッドに横たわった男が文句を垂れる。

「わざわざお見舞いに来てあげているんですよ。第一、底意地の悪い犯罪者を更生させてあげたいと思うのはあたりまえです。それと私、犯罪者を更生させるのに定評あるので見過ごせないんですよ。ところで慰謝料二千万払ってください」

 菜々はわざとらしくむくれてみせた。孫バカっぽいジジイならたまに騙される事もあるのだが、今回の相手はそうではないらしい。

「またそれか」

 今まで何度慰謝料を要求されたことか。

「だいたいお前、なんでこの場所知ったんだ? 国家規模で隠されているはずなんだが」

 訝しげに菜々を見上げるのは植物状態になっているはずの男だ。

 

 血がにじむ思いで阿笠が柳沢の情報を調べ上げてからというもの、菜々は彼の見舞いと評してネチネチと嫌味を言いに来た。死んだ恋人に十五年間ラブレターを書き続けた「僕」以上にねちっこかった。

 変化が訪れたのは菜々が看護師達と一緒にお茶を飲むような間柄になり、でっち上げた柳沢の過去を病院全体に広めた頃だ。なんと柳沢は話せるようになった。

 ロリコン呼ばわりされたり白澤作の呪いの絵を壁一面に貼られたりしたので文句を言おうとした結果、気力が勝ったらしい。

 重要な器官に埋め込んでいた触手が溶かされたにも関わらず生きながらえた柳沢はゴキブリくらいしぶとかった。ちなみに、彼がゴキブリなら菜々は魔人ブウだ。

 

 菜々が自分がいる場所を知ったのは「コイツだからだ」と柳沢は自分を納得させる。

「で、借金でもあるのか?」

 菜々の反応を見て、柳沢は自分の仮説が確信に変わったのを感じた。

「簡単な事だ。だんだん要求する金額が少なくなって行ったからな。どうせ少しずつ自力で返してるんだろ」

 吐き捨てるように推理を話した柳沢を菜々はまじまじと見つめる。

 あぐりや殺せんせー、元クラスメイト達に対して彼がした事を許したわけではない。

 今でも死後の裁判中にとことんいびってやりたいと思っているし、長い事正座させて痺れた足を突いてやりたいとも思っている。

 しかし、殺せんせーが殺し屋だった事を知っている柳沢は口封じのために問答無用で転生させられるだろう。孤地獄に落とすことができないのは明白だ。

「一番嫌な人生ってどんなんですか?」

「……今以上に嫌な人生なんてあるか」

 自暴自棄にでもなったのか、最近の柳沢はよく喋る。

「それ困るんですけど」

 烏頭あたりに頼んで輪廻の輪を改造してもらい、亡者の転生先を決められるようにして、柳沢の来世をハードモードにする計画が崩れた。

 どうやって復讐しようかと菜々が考えを巡らせている時、柳沢は微かに微笑んだ。

 菜々の話によれば多くの犯罪者が更生しているらしい。

 虫が良すぎるのは百も承知だが、彼らのように胸を張って外を歩ける日が来るのだろうか。

 取り敢えず、病院の奴に歩み寄って見るとするか。心の中で呟いた柳沢は、重度のロリコンで性犯罪を繰り返しているという自身の噂を知らない。

 

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