「はいはい、また明日ねー、こころ」
「……まったく、こころの元気はどこから来てるんだか……」
「……あ、おつかれさまー」
「うん、こころと帰ってたところ。 そっちは?」
「そっか、そっちも学校帰りなんだ」
「今日もバイトあるの?」
「あ、今日は無いんだ。そっか」
「…….なら、あのさ。……その、一緒に帰らない?」
「…………」
「……えっと」
「最近、急にあったかくなってきたよね」
「そうそう、この間まで雪が降ってたのにさ」
「ミッシェル的には、中もあったかいから寒くても平気なんだけどね」
「うん、ただ、あったかくなるとあいつらが元気になるからさー……」
「そう、雪が積もると逆に元気になるけど、そこまでじゃなければ大人しくなるから……」
「まぁ、最近はちょっとずつ、あいつらのことも分かるようになってきたけど」
「なんやかんや、もう1年近く一緒にいたからね……」
「……そっか、あんたともそれくらいか」
「……ありがとね、色々」
「分かってるから。あたし達のライブを成功させる為に、あんたが頑張ってくれたこと」
「大したことじゃない? ……そんなわけない。大変だったに決まってるじゃん」
「他の人が誰も見てなかったとしても、あたしはちゃんと見てるから」
「だからさ」
「もうちょっとくらい、あたしを頼ってよ」
「ね?」
「……ん」
「……な、なんか変なこと言っちゃってごめんねー! あいつらに当てられたからかなー!」
「お礼とかご飯でも奢ってくれればそれでいいし! ……なんて」
「……え、ホントに?」
「……ご飯のついでに映画でも、ってそれは、あの」
「イヤとかじゃなくて! 絶対行くから!」
「……あ、うん、えっと。……あたしも、楽しみにしてる」
「……そ、それじゃあたしこっちだから! またね!」
「…………」
「……デート……」
「…………」
「……っ!」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「……流石にまだいないかー……」
「……なんでこんな早く来ちゃったんだろ、あたし」
「絶対そういうキャラじゃないと思ってたんだけどなー……」
「……この格好、変じゃないよね?」
「うわぁ! い、いつからそこに?!」
「今来たとこ? な、ならいいけど……」
「や、あたしも今来たところだから、うん」
「え、やっぱり変……かな」
「似合っててかわいい……?そ、そっか。……ありがと」
「ん、そうだね。行こっか」
「映画なんて久しぶりだなー……」
「うん。前は時々1人で観に行ったりとかしてたんだけど、最近は忙しくてねー」
「どういうのが好きか? んー……わりと何でも見るよ」
「アクションから恋愛モノまで、ミステリーとかも見るし」
「あー、でも強いて言えば、ハッピーエンドのやつが好きかな」
「だって折角フィクションなんだから、ハッピーエンドの方がよくない?」
「わざわざ作りものの世界に辛いこと持ち込まなくていいじゃん、って思っちゃう」
「流石ハロハピ、ってそれ褒めてる?」
「……まぁいいけど」
「……はー……」
「……なんかさ、映画が終わった後の、現実に戻ってくる感じって、ちょっと切ないよね」
「やっぱりあるよね、あの感じ」
「とりあえずもうお昼だし、どっか入ろっか」
「何にするー?」
「あたし? あたしは何でもいいよー」
「どれどれ……パスタのお店か。 うん、いいよ」
「あたしはこのカルボナーラで」
「はい、お願いしまーす」
「……ん、映画の感想? そうだなー……やっぱり流石、って感じだったよね」
「そうそう、細かいところまで作ってあって」
「ね、あのシーンおもしろかったよね」
「ラストもさー……あ、料理来たみたい」
「おー、おいしそう」
「それじゃあ……いただきます」
「……ん、おいしい」
「そっちもおいしい? ならよかった」
「……あ、あのさー……その、もしよければなんだけど」
「お互いの、ちょっとずつ交換しない?」
「いいの? ありがと」
「……うん、こっちもおいしいね」
「……ふふっ」
「ありがとね、買い物付き合ってくれて」
「フェルトの材料ちょうど切らしちゃっててさー……」
「そうそう、ちょくちょくやってるの」
「最近は妹だけじゃなくこころとかにも作ったりしてるかな」
「んー、ミッシェルとか作ったこともあるし、色々かな」
「……そのうち」
「そのうち、あんたにもなんか作るかも」
「……あ、あんまり期待しないどいて」
「今日は、誘ってくれてありがと」
「楽しかったよ、ホントに」
「映画もおもしろかったし、ご飯もおいしかったし」
「買い物にも付き合ってもらっちゃったし」
「……その、さ」
「また、誘ってね。 ……待ってるから」
「そ、それだけ! じゃあね!」
「……あーもう何言ってんだろあたし……」
「待ってるから、とかさー……」
「……いや、うん、楽しかったって言ってたし、うん」
「……つぎ、あるといいな」