side一夏
ふーむ、俺は兆秋とともに
「織斑君、自己紹介をお願いします。」
((((じ~~~~~~~))))
何だって兄弟共々IS学園に入っちゃったかねえ、しかも兆秋は1組で俺は3組で別れちゃったし・・・普通こういう場合って一か所に固めておくもんじゃないのかねえ。
「織斑一夏です。趣味はテレビ鑑賞で、主にバラエティーを見ます。
ISに関しては小学生程度の知識なので分からないことが多いと思いますが、頑張っていきますのでよろしくお願いします。」
「落ち着いてるね~」
「大人っぽいね。」
「覇気にかけた感じ?」
「はい、ありがとう織斑君。次、オリヴィアさん」
とりあえず失敗したわけではなさそうだな。
さて、何故男である俺が女性しか操作できないはずのISの専門校に通うことになったのかというと、ざっくり言うと兄弟そろって試験会場を間違えてそこでISに好奇心で触ってみたら反応しちゃった。何ともまぬけな話だが仕方ない、自分たちだけ男でもISを操縦できるなど誰が想像できようか。兆秋なんかビックリしすぎて、ルフィに雷が効かないことを初めて知ったエネルみたいな顔になってたからな。
そうして皆の自己紹介が終わって休み時間になった。男性用トイレが廊下の端のほうにしかないから早くトイレに行きたいのだが・・・
「ねえねえ、織斑くんって1組の織斑くんと関係があったりするの?」
「双子の兄弟だよ。どういうわけかあんまり仲が良くないけどね。」
「じゃあ織斑先生とは?」
「年の離れた姉だよ。まさかこの学校で教師をしてたなんて、俺も今日初めて知ったよ。」
「好きな食べ物とかある?」
「和食系かな。魚が好きなんだ。」
「じゃあ嫌いな食べ物は?」
「特にないね、よっぽど変な物じゃなければ何でも食べれるよ。」
まいったな、抜け出す暇がないや。
「皆、そこまでにしておきなさい。織斑君が困っているでしょう?残りの質問は次の機会に取っておきなさい。」
「はーい。ごめんね一夏くん。」
「また色々質問させてね。」
「うん、構わないよ。ありがとうございます、エイミー先生。」
「早く行ってきなさいな。間に合わなくなっても知らないわよ。」
「はい。」
担任のエイミー先生はいい先生らしいな。気配りもできるし適度に力も抜けているから話しやすいし相談しやすい。
「急いでいても廊下は走るなよ。」
副担任のジェイミー先生、居たんだ。
そうして、俺は休み時間内にトイレを済ませることができたのだった。
IS学園は始業式の日から早速授業がある。さて、一週間で叩き込んだ分厚い参考書の知識がどこまで通用するかな?
「この問題、織斑君は解けるかしら?」
「拡張領域・・・ですか?」
「短い期間にしては良く出来てるわね、えらいわ。」
「ありがとうございます。」
「だがこれで満足するなよ、お前にはISの知識を基礎からしっかりと覚えてもらう。」
「ジェイミー先生、書類を職員室に届けに行ったはずでは?」
「さっき戻ってきた。」
「教師も初日はいろいろ忙しいから、この時間は自習よ。ただ、私がいないからって遊んでちゃだめよ。」
『はい!』
「宴じゃあああ!!」
『イェエエエエエイ!!!』
「何をしようとしているんだお前たち!!!」
「バカな、ジェイミー先生も職員室に行ったはずでは・・・」
「ずっと残ってたわ馬鹿者ども!!」
「午前の授業はこれで終わりよ、ここの食堂は美味しいしメニューも多いから楽しみにしていなさい。」
「食堂で皆で宴じゃああああ!!!」
『イェエエエエエエイ!!!』
「限られた昼休みに何をしようとしているお前たち!?」
「ジェイミー先生!?さっきの授業のときは居なかったはずでは・・・」
「最初っから居たわ馬鹿者ども!!」
色々あったが午前の授業はこうして終わった。
一般科目には問題なくついていけるようだが、ISの科目については努力が必要だな。100倍以上の倍率を勝ち抜いてきただけあって皆スゲーわマジで。
授業の疲れと空腹を癒すためにこうして美味いと評判の食堂に来たわけだが、
(((((((じ~~~~~~~~)))))))
他のクラスや学年の人が来ているだけあって視線の量が半端じゃないな、食べづらい。
そんなことを思っていると前の方から兆秋が箒ちゃんと共に俺の座ってる席にやってきた。
篠ノ之束の妹も1組にいるとは噂で聞いていたけど、本当だったんだな。
「前、座らせてもらうぜ。」
「構わないよ、むしろありがたい。」
「・・・だろうな」
いつもなら学校で一緒に食べるなんてこともないし、同じ食卓を囲んでも罵詈雑言ばかり飛び出してくるが、今回ばかりはまあ、ねえ。
・・・もっそもっそ
兆秋、スゲー居心地悪そう・・・。多分兆秋から見た俺も似たような感じなんだろうなあ。
「あー・・その・・二人はまだ決着はついていないのか?」
ギン!!!
おい兆秋、見るからにコミュ力不足の箒ちゃんがわざわざ話を振ってくれたんだぞ。そんなに睨むな。
「す・・すまない・・・一夏もまだ周りを見返す気は起きないのか?」
「ないね。俺はそんなことで苦労したくない、敵対よりは嘲笑のほうがマシさ。」
「テメエいつまでそんな腑抜けたこと言ってん「大声を出すな、食堂だぞ。」・・チッ。」
男二人でいれば気も紛れるかと思ったが、こんな険悪な雰囲気を出してたら注目も跳ね上がっちゃうよな~。せっかくの焼き魚定食が砂の味しかしねえ・・・。
無言で箸と口を動かしていたらいつの間にやら食べ終わっていたので、さっさと教室に帰ることにする。初日から嫌な空気出してごめんね、食堂のみんな。
「午前の授業と昼食を通して、みんなある程度クラスメイトのことが分かったと思うから、これからクラス代表を決めるわね。自薦と他薦、どちらでも構わないけど、嫌がってる人に押し付けるのはダメよ。」
クラス代表か、学級委員長みたいなものかな?だったら遠慮したいな。
なんせこっちはまだ素人なんだ、みんなより勉強しなきゃいけないのに人の面倒なんて見られるわけがないけど・・・
「織斑くんを推薦します!」
「あたしも!」
「たった2人の男性操縦者だもんね!」
「ちょっと待ってくれ、俺はまだ勉強不足だしISの搭乗時間だって1時間足らずだ。とてもじゃないが代表なんて器じゃない。」
「ISに乗ったことがないのはみんな同じだから大差ないよね。」
「それに適度に目立たせないと他のクラスの娘に恨まれちゃうし。」
「どうしても嫌というならアタシが代表になって毎日を宴に・・・」
「テメエは一番器じゃねえよ座ってろ。」
「でもなあ・・・」
そんな風に悩んでいると、誰もいないはずの教壇の隣から声がした。
「やりたくないなら強制はしないが、ISを学ぶということに関して言えば代表になっておいた方が得だぞ。」
「ジェイミー先生いt・・じゃなくて得とはどういうことなんですか?」
「習うより慣れろと言うだろう。確かにクラス代表は委員会や生徒会の会議などで時間も取られるが、それ以上に代表戦などでISの試合をする機会が非常に多い。そのため、毎年生徒の中で最も成長するのは、決まってクラス代表の人間だ。学ぶ事の多いお前にはもってこいの役職だと思うが?」
成程、確かに代表になったほうがメリットはありそうだな。
それに・・・
「分かりました。まだまだ未熟ですが、精一杯やらせていただきます。」
「じゃあクラス代表は織斑君で決まりでいいわね。
『はい!』
男の俺が満場一致で決まるってことは、変な女尊男卑に染まった人がクラスに居ないってことだもんな、喜ばしいことじゃないか。
「今日の授業はこれで終わりよ。初日はあんまり寄り道せず、まっすぐ寮に帰ること。いいわね。」
『はい!』
俺と兆秋は一週間の自宅通学だったな。寮が決まるまでは多少早起きしなくちゃあならんな。
「おい、織斑兄。」
!?
「ジェイミー先生、脅かさないで下さいよ。」
「普通に話しかけたつもりだがな、まあいい。お前の寮の部屋が決まった。」
「一週間は自宅通学では?」
「世界に二人だけの男性操縦者だからな、身の危険などを考え急遽決まった。最低限の荷物は織斑先生が用意してくれたそうだから心配するな、ゲームや漫画の類は休日にでも取りに戻ることだ。IS学園の寮は持ち物の規則が緩いからな、プレステ4でもニンテンドースイッチでも持ってきてかまわんぞ。」
「はい、わかりました。それじゃあ織斑先生から荷物を受け取りに行ってきます。」
「ああ、それともう一つ。女子と同室だから部屋に入るときはノックをしろよ。」
!!?
「ちょ・・待ってくださいジェイミー先生!」
「部屋割で色々揉めたのだ。まあ心配するな、相手側にも説明しておいた。」
「まってくださいジェイミー先生!説明の問題じゃないですよ!女子と同室って・・・ジェイミー先生が消えた!?どこにいるんですか!!まって!!話を!ジェイミー先生ぇぇぇ!!」
(普通に廊下を歩いてるだけなんだけどな・・・)
なんてこった、部屋に着いてしまった・・・
ク・・クソ、まさかこんなことになるとは・・・
しかし、ここで棒立ちしていても始まらない。俺は勇気を出してノックをした。
コンコン
「入ってもいいですか?」
「はーい。」
自己紹介の時には聞かなかった声だな。別のクラスの人かな?
そんな事を思って部屋に入ってみたら・・・痴女がいた。
「ご飯にします?お風呂にします?それともわ・た・し?」
「へ・・・変態だああああああああああ!!!!」
「ちょっまって!冗談だから逃げないで!!ああ!!!寮長室に駆け込まないで織斑先生に殺されちゃう!!!!」
「成程、あなたは俺の護衛として同じ部屋になったわけなんですね、生徒会長。」
「そういうことよ、3人部屋は無いから私が2人の面倒を見るわけにはいかないのよ。」
「ほう、それで兆秋には誰が護衛についているんですか?」
「篠ノ之さんよ。幼馴染だから気心も知れてるし、何よりこの世界に篠ノ之束の宝に手を出そうなんて愚か者はいないもの。」
「あ~、おっかないですからね、束さん。」
「まあそんなわけでこれからよろしくね。あ、私の名前は更識楯無よ。たっちゃんでもいいわ♪」
「織斑一夏です。お好きに呼んでください。」
こうして、握手とともに俺のIS学園最初の1日は幕を閉じた。
side楯無
「お前には織斑一夏と同室になってもらう。」
そんなことを学園のお偉いさん達に命じられた私は内心穏やかじゃなかった。
そりゃそうだ、いかに暗部の人間とは言え私だってうら若き乙女なのだ。ある程度情報が集まってからならまだしも、入学初日の書類でしか知らない男の子と一緒なんて出来れば避けたい。
とはいえ私にも仕事があるのだし、危険だといわれている子を放っておくわけにもいかないし、仕方ないわね。
さてと、そろそろ同室になる織斑一夏くんがこの部屋にやってくるころだ。
まずはこの水着エプロンで様子見といきましょうか。一応情報では穏やかで紳士的とあったけど、実際どうか確かめるためにもこの程度のイタズラは許してほしい。
これで襲ってくれば適当に弱みでも握っておちょくってやればいいし、照れて慌てるのならある程度安心してもいいだろう。
コンコン
来たようだ。
「はーい。」
ガチャ
「ご飯にします?お風呂にします?それともわ・た・し?」
さあ、どう出てくる?
あ・・・危なかった・・・あのまま寮長室に駆け込まれていたら私は織斑先生に
でもその後ちゃんと話は聞いてくれたし、部屋のルール決めの時も紳士的に配慮してくれた。うん、いい子だわ。
そしてもう一つ何となくわかったことがある。
この子、冷静に見えて案外脆いわね。心の容量が限界まで一杯になっても変わらず冷静を装えるけどちょっとでも超えたら暴走するって感じね。
教師プロフィール
エイミー・アルバーン(二十代後半)白人
だいたい平均くらいの身長とふんわりとした長い金髪、明るい水色の瞳をした豊満なスタイルの美女。
たれ目でどこか気だるげな雰囲気を出しているが、教師としての義務感は強く、どんな生徒とも根気よく向かい合っていく隠れた熱血教師。
元はアメリカ代表候補で過去の代表とも互角の戦いをするなど、限りなく代表に近い実力者だったらしい。現在彼氏募集中。
ジェイミー・ドラモンド(二十代前半)黒人
低めの身長と黒いショートヘア、暗い茶色の瞳をしたスレンダーな美女・・・と美少女の中間、凛々しい顔つきなのに童顔。
ピシッとした雰囲気で、キツイ言い方をするときもある厳しい先生。
しかしただ厳しいわけでもなく、反抗する相手に論理的に物事を説明したり、時には自らの非を認めて生徒を相手にもちゃんと謝罪をするとても柔軟な教師。
元はオーストラリア代表候補で、同期の代表とは人種の壁などから険悪だったものの、戦いを通して無二の親友となっているらしい。
おっかない先生のはずなのに地味。とにかく地味。
地味に結婚している。
外人キャラの名前は人名録から適当に取っております。