side一夏
なんで俺は寝てるんだ?
慣れていない感触の布団で落ち着かない。
眩しくてもう少し目をつぶっていたいが、そうも言っていられない。
「真っ白な部屋だな。」
「そりゃあ保健室だからな。」
すぐ隣から兆秋の声が聞こえた。
保健室?ああ、思いだしてきた。俺はあの時止めを刺し損ねた無人機と相打ちになったのか。
意識がはっきりしてきたらほぼ全身から痛みが襲ってくる。よく見たら俺包帯だらけだな。
「おい。」
「・・・なんだよ。」
痛くて辛いからそっとしておいてほしかったが、俺と同じく包帯だらけで辛かろう兆秋が聞いてきたのだから、仕方ない。
「テメエ、あの機体の防御力ならそこまでにはならなかっただろどういうことだよ。」
「なんで自分の機体の秘密をベラベラ喋らなくちゃいけないんだよ。」
「ハッ、勝手にしろ。」
「でもまあ、俺だけ白式の特性知ってるのもなんだし教えてやるよ。」
「じゃあ最初から素直に喋れよ。」
「俺の機体“色鋼”はな、フォームチェンジするんだよ。」
「だから色なのか。」
「そう、赤・青・黄の三つのフォームをもってるぞ!」
「なんか信号機みてえだな。」
「色の三原色と言え、三原色と!」
「それは赤紫・水色・黄だろ・・・。」
「細かいことはいいんだよ。話を戻すと、あの時俺は間に合わないと思って機動力のあるフォームにチェンジしたんだよ。その分装甲が薄くなったからこの様ってわけだ。」
「ああ、納得。」
「じゃあ今度は俺からの質問だ。」
「何だよ。」
「・・・俺たち、誰もお見舞いに来てくれてないのか?」
さっきからこの保健室、俺ら二人しかいねえ・・・
「時計見ろよ、もう11時だ。全員帰されたんだろ・・・多分。」
さては兆秋もさっき目が覚めたところだな。
全員と、いかにも大勢のような言い方をしたのは本人の願望もあるんだろう。
「しかし電気がついているということは保険の先生はまだいるってことだよな。」
「ああ、多分電気を消すためにもう少ししたら・・・」
ガチャ
噂をすればだな。
「目が覚めたか一夏、兆秋。」
保険の先生じゃなくて姉さんか。
「オレらはどれくらい寝てたんだ?千冬姉。」
「安心しろ、何日も目が覚めなかったわけじゃあない。数時間程度だ。」
どれくらい寝てたかも大事だが、俺が今一番気にしなくちゃならないのは・・・。
「園山さんは大丈夫だった?」
「ああ、お前のことで強い罪悪感を感じて不安定になっていたからな。お前のベットからかじりついて離れなかったが、少し無理やり剥がしてカウンセリングを受けさせた。今は精神用の保健室に押し込んで寝かせた。鳳はもう既に治療を終えて部屋で休ませている、お前たちのいる保健室よりは疲れもとれるだろう。」
鳳さんは怪我よりも体力の消耗のほうが酷そうだったからなあ。しかし、この学園には精神疾患の人のための保健室まであるのか、仮にも兵器を使う学園だけあってしっかりしている。
と言うか兆秋、お前も真っ先に箒ちゃんたちのことを聞くべきだったろうに。
「あいつらは大丈夫なんだよ。オレらが無事な以上、すぐに立ち上がれるさ。」
「俺まだ何も言ってないだろ。」
「ツラ見りゃわかんだよ。まあ、箒と鈴はただの一般生徒とは違うんだよ、多分俺らともな。」
当然、動けるようになったら詫び入れに行くけどな。そう付け加えて兆秋は脱力してもうひと眠りする体勢になった。
「兆秋の言うとおり、二人とも無人機のことについてはもう気にしていないようだ。」
無人機のことについては?ああ、なるほど。
「・・・兆秋が傷ついたことについてはかなり気に病んでいるようだったがな。」
ぼそっとつぶやくが、この言葉は兆秋には届いていないだろう。
「お前ももうひと眠りしろ。明日には見舞いも来るから今のうちに休んでおけ。」
「わかったよ。じゃあ、お休み。」
side園山
昨日の襲撃事件で私は精神的なショックを受けてしまい、今日もカウンセリングを受けることになった。まるで被害者かのように治療を受けるのは気が進まなかった。私のせいで一夏くんがあんな目にあったのに・・・。、
「お願いですから無事に目を覚ましてください、お願いしますお願いします・・・。」
昨日は4時くらいまで寝付けず、さっき目が覚めたのが7時だ。
体がとても重たい、でも寝れそうにもない・・・。
コンコン
扉からノックが聞こえた。いったい誰だろうか、カウンセラーの先生だろうか。
「園山、起きているか。」
織斑先生の声だ。弟さんが酷い目にあったのに私にも気をかけてくれる優しい先生だけど、その優しさが今の私にはつらい。
いっそ責めてくれた方が楽かもしれない。
しかし織斑先生が放った言葉は私を責めるものでも慰めるものでもなかった。
「織斑兄弟が目を覚ましたぞ。何か言いたいことがあるならさっさと言いに行って吐き出してこい。」
!!!
2人とも目が覚めたんだ!
「ありがとうございます織斑先生!!」
「おい、廊下を走るな!」
後ろから聞こえる織斑先生の声にも気付かず、私は一夏君たちのいる保健室に走った。
よかった!本当によかった!!
side一夏
「うーん、いい朝でもないなあ・・・。」
二度寝での就寝だったが、実戦の疲れというものは思った以上に大きいらしく、ぐっすりと眠れた。
でも、相変わらず体は痛いし保健室のベットは慣れないし、早く少しでも慣れた寮に帰りたいなあ。たった1日とはいえ、たっちゃん先輩とのやや気の休まらないルームシェアが懐かしい。
「なんで朝っぱらからテメエなんぞの顔を見なくちゃなんねえんだよ。」
「なんで朝っぱらから文句を言われなくちゃならないんだよ・・・。」
まあ、文句を言われつつも一緒に暮らす相手だけはこっちのほうが落ち着くんだよなあ。
ドタドタドタドタ!
うん?外から結構な数の足音が近づいて・・・
ガチャ!!
「「一夏くん!!!」」
「「「兆秋(さん)!!!」」」
「あ、いらっしゃい。」
「心配掛けたな。」
俺の名前を呼んだのがたっちゃん先輩と園山さんで、兆秋を呼んだのが箒ちゃんと鳳さんとオルコットさんだ。少しして、後ろから千冬姉さんも付き添いで入ってきた。
「鈴、お前もう体力は大丈夫なのかよ。」
「1日寝れば大体の疲れは吹き飛ぶわよ。」
「本当に心配しましたのよ!」
「ああ、悪かったよ。」
「一夏くん、無事でよかったわ・・・!」
「たっちゃん先輩の教えのお陰ですよ。」
さて、一番の問題は・・・。
「一夏くん・・・。」
「兆秋・・・。」
「園山さん・・・。」
「箒・・・。」
「「「「あの時は危ない目にあわせて悪かった(ごめんなさい)!!!」」」」
ん?
「なんで一夏くんが謝るの?悪いのは足を引っ張っちゃった挙句に敵の前に出た私だよ!!」
「いや、あの時の園山さんを放置した俺の落ち度だ。そのせいでただの制服姿でISの前に立たせてしまった。誤って済む問題じゃないけど、本当にゴメン。」
「兆秋、あの時私が余計なことさえしなければ・・・!」
「あれは俺も勝ったと思っちまったからな。どの道、撃たれて今と同じだったろうよ。」
side兆秋
うーん、しばらく話してるが、謝罪合戦になってさっぱり埒が明かねえ。
「じゃあ、オレも箒も落ち度があったってことで一緒に成長しようぜ。」
「あ、じゃあ俺らのほうもそれで。」
「「え!?」」
「ぐ・・・それでは私の気が済まない!何か償いをさせてくれ!」
「そんな!あんなに迷惑かけちゃったのにそれだけなんて・・・っていうかぞんざい!隣から丸パクリで済まそうとするなんてぞんざいだよ!」
「だってこのままじゃあ延々と謝罪合戦になっちゃうしあんまり気を遣わせるのは俺も本意じゃないし。」
「うっ・・・そう言われると私も・・・。」
別にパクるのはいいけどよお、“じゃあ”は無いだろう・・・ホントにぞんざいじゃねえか。
まさかとは思うが途中から面倒臭くなってきたわけじゃねえだろうな。
(そんな訳ないだろう。)
目線で話しかけてくるんじゃねえ!って言うかそこまで察っせるってことは図星じゃねえか!!園山さんへの申し訳なさはどこに行ったんだよ!!
(だって埒が明かないし、別の形で償えばいいかなーって。)
その意見そのものがぞんざいだわ!つーかあんまり目線で話しかけてくるんじゃねえ!!仲良いみたいで気持ち悪いわ!!歪んでいたとはいえ積み重ねてきた双子としての時間が憎い!!
(そろそろ教師として話があるから切り上げろよ。)
千冬姉、ややこしくなるから入ってくるんじゃねえ!
(だって私だけ家族からはぶられてるみたいで寂しいだろう。)
(そうだぞ兆秋、それにいいじゃないか。どうせ俺たちこれやってる最中も普通に皆と会話してるわけだし。問題はないだろ。)
自分でやっててなんだけどホントなんなんだよオレらのこの特殊能力。
((親なし3人暮らしの苦労で培った物だ。))
まあ、昔は苦労したからな・・・
(あ、それとお前らまだしばらく体が痛むだろうが明日から普通に出席な。)
「「なにぃ!?」」
「「「「「いきなりどうした(の)一夏(兆秋)くん(さん)!!」」」」」
旅行してたんで投稿遅くなりました。
色鋼は平成ライダーをモチーフにしました。