帝国貴族はイージーな転生先と思ったか?   作:鉄鋼怪人

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大丈夫だ、(多分)問題ない



………駄目だった時は消えるかも


第九十九話 事実上の第百話で更新が聖誕祭なので、作者は愚かにもらいとすたっふルールを少し挑発してみた

「うっ……あっ…はぁ……!?」

 

 室内で私は呻き声に似た声を漏らした。苦しみの声?いや違う。寧ろその声には第三者から見ても分かる明らかな快楽の感情が見てとれる事であろう。事実今私の脳内では快楽への誘惑とそれに抗おうという理性が壮絶なせめぎあいを演じていた。

 

「はぁ……ち、中尉……そ、そろそろ……止めないか?もうすぐ勤務時間だっ……はぁ……このままだと…んんっ……間に合わないかも知れない」

「ふふふ、そう仰いますが若様、御自身はここから離れようとは為さらないのですね?どうやら身体の方は素直のようにお見受け致します」

 

 私が快楽の中でどうにか理性を繋ぎ止めそう口にするが、私を見下ろす従士は微笑みの中にどこか肉食動物を思わせる笑みを浮かべ、その攻めを止める様子はない。

 

「そ、そんなっ……仕方ないだろっ!こ、こんな事になってたら……自分から止められる訳ないじゃないか!?」

 

 私は言い訳がましくそう叫ぶ。私は決して禁欲的でも、自制的な人間でもない。楽な選択があれば光に誘われる羽虫の如くそちらに向かってしまうような人間だ。そんな私が今このような状況では自分から物事を止められる訳がなかった。

 

 いや、もしその強固な意志があろうとも無意味だ。全ての主導権は既に私を見下ろす従士が手にしている。彼女にその意志が無ければ私はそれをただ受け入れるだけの無力な存在でしかないのだ。

 

「うふっ……ええ、その通りで御座います。良いのですよ?この悦楽から逃避する必要性なぞ何一つとして御座いません。ただ今は私の奉仕により生じるこの悦びに身を任せれば宜しいのです」

 

 わたしの叫びに蠱惑的な微笑みと共にノルドグレーン中尉は肯定し、私の制止も無視して楽しそうにその動作を再開する。

 

「はっ…あっ……」

「うふふ、思いのほか可愛らしいお声を出しますね?普段の御勇姿からは想像も出来ません」

「くっ……!」

 

 まるで赤子を可愛がるように中尉は語り、私の頭を撫でる。その状況に悔しさを感じるが、同時に上下に動くそれの感触と摩擦、それが生み出す快感にその反抗は砕かれ、私はただただ無念の声を上げるのみであった。

 

「御安心下さい、若様は何もせず、全てを私にお任せしてくだされば良いのです。全て私が行います故、若様はそこでこの一時をお楽しみ下さいませ」

 

優しく、中尉は私の耳元で囁くように息を吹き掛ける。

 

「ふふ、分かりますか若様?凄い……こんな奥の方でこんな大きく……」

「ふぇっ……中尉…これ以上は……!お願いだっ……もう……!」

 

 私はそれ以上の快楽に耐えられそうになかった。殆んど懇願に近いか細い声で私は従士に頼みこむ。

 

「駄目で御座います。ふふ、後少し……後少しで……そう、そこです。そこを……そこを……そこを……若様、やっと耳垢がとれましたよ?」

 

 耳掻き棒を巧みに使い、耳の最奥にあった耳垢を摘出したノルドグレーン中尉は達成感を含んだ喜色の笑みを浮かべそう報告した。

 

「ふぁ…はぁ……ようやくかぁ。中々手強かったな」

 

 ノルドグレーン中尉の膝の上で耳かきをしてもらっていた私はほっとした表情で呟く。早朝、士官官舎から捕虜収容所に向かおうとして着替えをしていたら急に耳の奥がむず痒くなり、それに気づいた中尉の勧めで耳かきをしてもらっていたのだがこれが中々取れず、勤務時間になる前に耳奥の痒みを我慢して耳掻きを中止しようとしても中尉の方は中途半端に終わらせる事を潔しとせずに続行したために困った。

 

 ……まぁ、実際私も時間が無いのに耳掻きの感覚が気持ち良くてされるがままだったのだけれどね?ん?もう少しでらいとですたっふなルールから通報されていた?済まない、何の事かさっぱり分からん。

 

「若様、そろそろお時間ですので準備を御願いしてもよろしいでしょうか?」

「ん?ああ、済まないな。タクシーはもう停めてあるのか?」

「家の前に停車中でございます」

 

 既に完璧に着替え終えたベアトがそう私を急かすので私もそれに応じて立ち上がる。上着は来ているが埃は取って無いしスカーフと帽子はまだしていない。ベアトは急いでブラシで上着の埃を取り除き、スカーフを私の首元に回す。まだカッターシャツしか着ていなかったノルドグレーン中尉は上着を着始めていた。

 

「やはり耳掻きで時間が押しているな……急ごうか?」

 

 ベアトに身嗜みを整えてもらいノルドグレーン中尉が着替えと髪の手入れを終えたのを確認すると官舎を小走りで出て、既に停車している無人タクシーに乗り込む。これは軍が契約している物で基本的にこの一帯の官舎街住みの士官達は軍施設と自宅への往き来に無料で利用可能であった。  

 

「時間は……ギリギリ間に合うかね?」

 

 出勤後はこのまま所長に挨拶をして自治委員会にて朝食を摂る事になる。これは本来自宅か収容所の看守用食堂で摂るべきのものを委員会の代表達の信頼を得るために態態出向いて口にするのである。

 

「………捕虜収容所ねぇ」

 

 私はタクシーの中で頬杖をしながらあの自治委員会について思い出す。

 

 自治委員会自体は珍しいものではない。捕虜達の間でのいさかいの対処や待遇を巡る看守達との交渉のためという実用的な理由もあるし、多くの捕虜収容所の場合、その長が捕虜の中での話し合いで決まる事が多く同盟政府から見ればある種の共和制への理解を深めるための場としても使う事が出来る。

 

 尤も現実はもう少し複雑だ。多くの場合捕虜収容所では平民と貴族、都市住民と地方民、士官と下士官・兵士に分断される事が多い。それは文化や価値観の違いもあるし、貴族階級は帝国側が優先的に交換しようとするためだ。実際貴族階級の捕虜は莫大な身代金や数百数千単位の同盟人捕虜と交換されるのが常である。また同盟も外交交渉の駒として利用するし、一部の貴族には捕虜になった事への絶望から自殺をしようとして独房に拘束される例もある。そのために貴族階級は長期に渡って収容される事が少ないために多くの捕虜収容所では下士官兵士が自治委員会を運営している場合が多数派である。

 

 しかしこのサンタントワーヌ捕虜収容所はその点が少し違う。サンタントワーヌ捕虜収容所は貴族階級を中心に収容しており、様々な理由から帝国に帰らない者も少なくない。それ故にほかの捕虜収容所に比べ中・長期に渡り収容される者も多く、結果的に自治委員会のメンバーにもほかの捕虜収容所に比べて貴族階級の数が多くなる。

 

 そして当然貴族達は多くの場合軍組織における階級も高く、彼らの持つ情報の価値は非常に高い。よって彼らへの対応はかなり特例のものとなる。

 

 0830時、所長以下への挨拶回りを終え、辛うじて私は予定の時間に自治委員会の本部に顔を出す事が出来た。

 

「良く来てくれた、さぁ上がりたまえ、もう準備は出来ておる」

 

 捕虜収容所の敷地に到着し、自治委員会に顔を出せば委員長のボーデン大将に案内され、予定していた朝食の席に招かれる。椅子が従兵によって引かれたので私はその席に座り、付き添い兼護衛役の従士達は側に控えた。招かれたのはあくまで私だけだから、多少はね?

 

 ボーデン大将の用意した朝食は、捕虜収容所にしては大変豪華な食事であった。テーブルクロスのかけられた木製テーブルに高級食器が並べられ、その上には各種のパンにスープ、サーモンと野菜のマリネ、スモークハムやベーコン、茹で玉子、ジャーマンポテト、デザートに林檎のパイにチョコレートティラミス、瑞々しい果物の数々、水とワインはグラスによって提供される。ナプキンは従兵によって首元にかけられた。

 

 もしこの様子が同盟人に知れたら怒り狂うかも知れない。自分達の税金で貴族共をここまで養うとは何事だ、と。

 

 だが、それは間違いだ。彼らは同盟人の血税で養われている訳ではない。彼らのこの捕虜らしくない贅沢な生活は自腹であった。

 

 フェザーンでは捕虜保険などと言われる商売がある。主に軍人として勤務する貴族達に向けたフェザーンの金融商品で、毎月数万帝国マルクもの金をフェザーンの保険会社に支払い、その代価として同盟軍に捕虜となった貴族達は保険会社から収容所での生活に様々な便宜を図られているわけだ。因みに商魂逞しい事にフェザーンではほかにも亡命保険やら暗殺保険なんて物を帝国貴族に売っているし、同盟の国境星系の市民には帝国軍の占領に備え奴隷にならないで済むように送還保険なんてものもある。

 

 尤も、同盟人にとってはあり得ない程に快適なこの捕虜収容所の生活も彼ら帝国貴族からすれば漸く最低限の生活水準が維持されているという認識であった。

 

豊穣神への形式的な祈りの後に食事が始まる。

 

「碌な物は用意出来ぬが……その点については場所が場所だからの、どうか許して欲しい」

「いえ、私としてはこの場で皆様との食事の席を共に出来るだけで望外の幸運です、どうかお気になさらないで下さい」

 

 大将は心からこの食事の席を粗末なものであると認識しているように見えた。彼らにとって普通とは自身の屋敷で領地で収穫された新鮮な食材を代々抱える一流の料理人達によって調理される事であり、高級な皿に添えられ何十という使用人によって運ばれ、腕利きの音楽隊の演奏を聴きながら口にする事である。それに比べれば確かにこの朝食は粗末であるのだろう。

 

「ふむ、どうやら反乱軍はこのタイミングで攻勢を止めたか」

 

 フェザーンの富裕層向け新聞を手にして珈琲を口にしながらボーデン大将は呟く。内容は同盟議会での予算案が紛糾している事を伝えた内容だ。年が明けて1月に入った同盟軍はしかし増大する出征費と艦隊ローテーションの負担により停滞していた。

 

 全一二個艦隊ある同盟宇宙軍正規艦隊の内国内治安維持を中心とした多目的部隊たる第一艦隊を除く一一艦隊が現在の対帝国戦の主力だが、基本的に常時即応状態の艦隊が四個艦隊、訓練中及び予備戦力待機状態の艦隊が四個艦隊、損害補填及び訓練状態の艦隊が三個艦隊となっている。  

 

 そして同盟軍が投入出来る最大動員可能戦力は無理をしたとしても即応状態の四個艦隊と訓練中の予備状態艦隊四個の計八個艦隊である。それ以上の動員は艦隊の練度や戦闘効率の低下、損害補填能力の不足を招く。

 

 平均して年二回の大規模会戦において最低一個艦隊、平均三個艦隊、最大で四個艦隊を投入する事、それ以外の辺境任務で派遣される事もある事、各艦隊が一年ごとに三つの状態をローテーションする事、これらを思えば余裕が無い事は判る筈だ。

 

 まして帝国軍とのここ数年の度重なる戦闘で兵士が疲労し、艦隊の充足が出来ず、しかも予算不足となった同盟軍にはこれ以上の攻勢は物理的に不可能であった。

 

「ここで無理をしてでも攻勢に出るのが後々のためであろうにな、民主主義とやらは非効率的な事よの」

 

 ボーデン大将は嘆息するように語る。世論に迎合せず、犠牲を厭わない帝国では多少の国民や兵士の負担は気にせずそれが有利であると認識すれば気にせずに実施する全体主義的国家だ。ましてボーデン大将程の効率主義の戦略家となればその傾向は一層強い。

 

 宇宙暦740年後半代から760年代は帝国にとって苦難の時代であった。ファイアザードやドラゴニア、そして第二次ティアマト会戦によるブルース・アッシュビーに対する敗北により帝国の正規艦隊十八個のうち半分以上が壊滅した。その後もジョン・ドリンカー・コープやアルフレッド・ジャスパー、ウォリス・ウォーリックと言った残る730年マフィアとの激闘が繰り広げられた。数でも質でも同盟軍に対して不利であり、しかも760年代にはイゼルローン要塞建設のために帝国軍は敢えて同盟領に進出して要塞周辺宙域の安全を維持しなければならなかった。一歩間違えれば帝国の残る艦隊も壊滅し、要塞も破壊されていた事であろう。

 

 帝国にとっての幸運は740年代当時の皇太子が名宰相オトフリート(後のオトフリート三世)であった事、そしてエックハルト、シュタイエルマルク、ゾンネンフェルス等の名将の存在故である。

 

 アルムガルド・フォン・ボーデン大将は権門四七家の一つにして宮中一三家の一つ、ボーデン侯爵家の分家筋に当たるルードヴィング=ボーデン伯爵家の当主である。エックハルト上級大将と並び優秀な戦略理論の専門家として知られ750年代末から760年代中頃にかけてイゼルローン要塞建設を阻止せんとするジャスパー大将率いる同盟軍の大軍を迎え撃った。しかし764年、ジャスパー大将の元帥昇進の直接的理由である第四次ケリンベルハイム星域会戦において敗北し捕囚となる。

 

 尤もこの時同盟軍の負った損害も馬鹿にならずその後一年半に渡り同盟軍の攻勢は停滞し、最終的に767年の要塞完成までの貴重な時間稼ぎに成功して今に至る状況を作り出した張本人の一人であった。以後二〇年以上に渡りこのサンタントワーヌ捕虜収容所に収監されている。第二次ティアマト会戦の損害と要塞建設による財政と軍事力の低下の中、国力を挙げて同盟軍の攻撃を弾き返した経験を持つ大将にとっては今の同盟の動きはある種滑稽に見える事であろう。

 

「いやはや、少佐。儂も長年この収容所におるが共和主義者の考えは理解出来んのぅ。よくもまぁこんな非効率的な事をするものじゃ、卿はそう思わんかね?」

「非効率性には理解は致しますが……ここは帝国とは違います故同じ政治条件で考えるのはナンセンスでしょう。それはそうと先日触れました閣下のジャスパー元帥との戦いについて続きを御聞きしても宜しいでしょうか?」

 

 大将のその質問に対して否定も肯定も出来ないために私は苦笑いして話を煙に巻く。

 

「おお、そうかそうか!宜しい、では一つ武勇伝を語ってやろうかの」

 

 しかし大将は私の意図に気付かず上機嫌にかつて730年マフィアとの戦いにおける武勲について語り始める。話によれば新しく着任した収容所幹部や捕虜に毎回しつこいまでに語るらしい。この代わり映えの無い収容所での数少ない娯楽なのかも知れない。

 

 尤もその辺りは私も昔から長老衆の昔語りやら何やらを散々聞かされてきたのである種慣れてはいる。私は形式的な笑顔と適当な相槌で長々と続く話を聞き続ける。言っておくがこういう貴族の会食で食事を楽しめると思うなよ?会話し、阿り、機嫌を取るのが目的だ。

 

 丸一時間余りの武勇伝はいつしか当時の宮廷や貴族達への噂や愚痴に移り変わる。私はそれを聞きながら合間合間に栄養補給として義務的に料理に手を付ける。うん、味がしねぇ。

 

「おお、そうじゃったウィルヘルムの奴め、今や社交界からも追放されたらしいの!ふんっ、あ奴は昔から尊大で、無責任で、その癖臆病者じゃった!いい気味じゃ、あ奴が宮廷で好き勝手しよったせいで前線にいた儂らがどれだけ苦労した事か!」

 

 思い出したように罵倒の言葉を吐き捨てる大将は不機嫌そうにマリネを食べ始める。

 

「あそこまで零落れたのも自業自得というものだ」

 

 大将がそう侮蔑する者の名はウィルヘルム、ウィルヘルム・フォン・クロプシュトック侯爵の事であった。

 

 

 

 

 

 

 

 クロプシュトック侯爵家の先祖を遡れば、その初代は「白衣の弾劾者」たるアルブレヒト・クロプシュトックに辿り着く。出身は緑豊かな辺境の開拓惑星アウストラシア、開拓第一世代の血を引き継ぐ中流階級のブルジョワの出であったと言われる。

 

 その半生は政治とは無縁であった。難関校たるテオリア連邦中央医科大学を卒業し医者として医療活動に従事し、故郷の幼なじみと結婚してからは多数の著書や論文を出して連邦医学協会の幹部にまで登り詰めた。仕事が多忙になりそれが元となった喧嘩により家族と疎遠になったが社会的にはまず順風満帆の人生を歩んでいるかに思われた。

 

 全てが変わったのは妻の病死であった。慌てて家族を残した故郷に戻ると彼は絶句した。そこは既に彼の知っている故郷ではなかった。

 

 連邦中央域の企業が置いた化学工場により汚染された故郷、少なくない住民が垂れ流される有毒物質により公害病を患っていたのだ。そしてそれは死んだ妻と、幼い娘もまた同様であった。

 

 銀河連邦末期の混乱の一つに疫病や公害病の流行が挙げられる。フロンティア開拓の過程における新種の病原体は勿論であるが、特に辺境においてはインフラの不足・老朽化による衛生環境の悪化、粗雑な工場の安全管理による環境汚染や有毒物質の流出、薬害等により様々な病が流行しつつあった。難病患者の増加とそれによる社会保障費の増加や労働力の減少、社会不安は連邦体制に多くの悪影響を与え、そして案の上連邦議会では政争からその対応も後手に回っていた。

 

 アルブレヒトは直ちに工場に抗議したが相手にされず、工場のオーナーたる財閥側はマフィアを雇い彼の命を狙い、学会に手を回して医学の世界から追放した。裁判に訴えようにも弁護士達の中に大財閥とことを構える気概のある者は極少数、もし弁護士を雇えたとしても裁判所自体が腐敗していた。

 

 裁判に破れ、自身を追放した学会の長老達に土下座してまで入れたテオリアの大病院にて娘が酸化ハイドロメタル中毒で病死したのは宇宙暦288年の事だ。それ以来アルブレヒトは何年も酒に溺れながら死んだような生活をしていたと言われる。

 

 宇宙暦297年、そんなアルブレヒトの自宅に救世主が訪問する。その名をルドルフ・フォン・ゴールデンバウムといった。29歳の若手政治家である。

 

 新興政党「国家革新同盟」の党首となっていたルドルフは地方における疫病対策に関する法案を提出するためにかつて大財閥に対する公害責任追及の訴訟で注目を浴びたアルブレヒトの助力を仰ぎに来たのだ。

 

 当初アルコール中毒で自暴自棄になり乱雑にルドルフを追い出したアルブレヒトはしかし再三に渡るルドルフの申し出に最後は不本意な表情で渋々了承した。そして………彼の熱烈な崇拝者となった。

 

 アルブレヒトの助言があったとはいえ、ルドルフは次々と法案の成立に成功させた。連邦による新薬開発の投資に企業責任の明確化と賠償金支払い、薬害や工場の安全基準の厳格化……幾度も命を狙われても(そしてファルストロングの家が爆破されても)不屈の闘志で進み続け自らには果たせなかった夢を実現していくルドルフの姿は彼には眩しかったようであった。遂にルドルフが彼の故郷を汚し、妻子の命を奪った工場を封鎖し、財閥に巨額の賠償金支払いを同意させた時、アルブレヒトにとってルドルフは神に等しい存在となっていた。

 

 以後、アルブレヒトは国家革新同盟の議員として、書記長、帝政成立後は内閣書記官長、財務尚書を歴任、更に帝国暦9年には侯爵位を与えられここに権門四七家の一つクロプシュトック侯爵家の当主ともなる。帝政期には優秀な官僚であると共に過激なルドルフ崇拝者としてファルストロングを筆頭とする穏健派と帝国再編や旧勢力への対応、劣悪遺伝子排除法の適用を巡って対立、ファルストロングの爆死やエーレンベルク元帥の暗殺未遂事件によって穏健派が失墜すると社会秩序維持局局長も兼任し後の世に悪名高い「血のローラー」を決行、共和主義者や劣悪遺伝子保持者を前任者を遥かに越える過激な手段で殺戮して回る事となる。

 

 以来一族が続く事二十代余り、その間に本家・分家より国務尚書六名、帝室に嫁ぐ者七名、内一人は皇后にまで登り詰めている。それ以外の尚書や書記、地方の総督に列せられた者は数知れず、広大な領地と荘園、駒となる多くの従士や奉公人、食客を何千と有する。名誉・富・権力を両の手一杯に抱えた典型的な大貴族の家系てもあると言えよう。

 

 その繁栄に翳りが見えたのは現銀河帝国皇帝フリードリヒ四世の即位と共にである。リヒャルト大公とクレメンツ大公による皇位争奪戦において当時のクロプシュトック家当主ウィルヘルムが血筋としてはより濃いクレメンツ大公に付いた事自体は必ずしも否定される事はないし、放蕩者のフリードリヒを嘲笑するのも別に彼一人の行いではなかった。

 

 だが彼が宮廷から追われる最大の理由は、彼自身はそれを否定するであろうがその卑屈さと臆病さ故にであった。元々高慢で宮廷闘争でなりふり構わない手段を行っていた事から少なくない恨みを買っていたのは事実ではあるがその程度ならほかのクレメンツ派主要貴族も同様である。

 

 切っ掛けはクレメンツ大公のリヒャルト大公への陰謀が発覚した際150名を越えるクレメンツ大公派の門閥貴族当主が自裁という「名誉ある方法」での処断が命じられた時の事だ。

 

 多くの当主が一族朗党にまで課せられる罪の清算のために服毒なり先込め拳銃、あるいは剣による自裁を行う中、歴史と名誉ある大貴族であり、クレメンツ大公派の幹部たるウィルヘルムは当主として最も大事な場面で臆病風に吹かれた。

 

 彼は当時の宮内尚書や典礼尚書、司法尚書、国務尚書等に泣きつき、遂には当時の皇帝オトフリート五世に多額の寄進を行う事で辛うじて処断を免れたのだ。しかもそうして命長らえた途端皇太子たるフリードリヒ四世に不平を口にする始末であった。

 

 当主としての義務から逃げ、しかもこの後に及んでのこの態度ではいつまた陰謀に嵌められ陥れられるか分かったものではないし、実際フリードリヒ四世に政治への意欲があればそうなっていたであろう。クロプシュトック侯爵が死を賜らなかったのは単にフリードリヒ四世自身が彼に関心が無かっただけの事だ。

 

 いっそフリードリヒ四世即位の時に実際にそうした幾つか家のように反乱を起こせば名門としての誇りを取り戻す事も出来、権力を取り戻す事も出来たかも知れない。フリードリヒ四世のこれまでの品行から心から忠誠を誓う諸侯は決して多くはなかった。反対勢力を糾合すれば、あるいは同盟と手を結ぶか、フェザーンに権益と引き換えに援助を求めるのも良かろう、そうすれば帝国を簒奪する事も不可能ではなかったかも知れない。

 

 だが侯爵はその選択もしなかった。それどころか恥を忍んで隠居する事も、亡命する事すらしないと来ている。彼は愚かにも自身の命を危険に晒す事も、恥を忍んで許しを乞う事も、権限を捨て表舞台から消える事も選ばず無条件で全てを取り戻そうとしたのだ、呆れたものであった。

 

 宮廷では誇りが無い事を嘲笑するばかりか遂には蔑視すら行われ、息子や家臣達の縁談も次々と取り消され、交際は断られ、祝宴やパーティーにも呼ばれなくなった。そうなれば食客が離れ、次いで従士達の中にも主人に幻滅して親戚を頼りに他家に臣従する所も出てくる。それでも反乱も自裁も隠居もしないので更に宮廷から孤立する。

 

 結果としてクロプシュトック侯爵家は名門でありながら急速にその勢力を衰退させ、今となっては殆んど貴族社会における影響力が無い忘れ去られた存在となっていた。

 

 そして原作通りに物事が進めばここから何年後かに侯爵は息子の死や自身の老い等幾つかの理由から今更のように皇帝暗殺を計り、そしてその失敗からクロプシュトック侯爵家は完全に破滅する事になる筈である。

 

(そして、その息子が……こいつ、か)

 

 私は、少し湿気たソファーに座り、安物のティーカップ片手に思いを巡らす。

 

「ん?どうかなさいましたか、伯爵様?」

 

 私の視線に気付いたのだろう、相対する席ソファーに座りインスタントの紅茶をマグカップに注いで、本を読みながらシュミット大佐は流暢な宮廷帝国語で尋ねる。

 

 ボーデン伯爵との朝食の後、幾人かの委員会幹部の部屋の訪問と面会をし、今日の昼頃にはシュミット大佐の元に訪れお茶を御馳走してもらっていた(もし同盟人が見れば私は今日一日ただお喋りばかりしている暇人に見えるだろう、真っ先にリストラ要員だ)。

 

「いえ、随分と綺麗な宮廷帝国語を使うと感じまして」

 

 私は大佐の疑問に対して尋問の意味も込めて質問する。

 

「今時平民でも宮廷帝国語を使う者は少なく有りませんからね。貴族と商売したり、軍人としても公用語以外に覚えておいた方が便利ですからね」

 

 私も家で家庭教師を付けられて散々指導されましたよ、と呆れ気味に語る大佐。

 

「成る程、確かに近年は平民将校も増加してますからね。公用語を話したがらない貴族も多いですから昇進するには宮廷帝国語を学ぶのは必須、という訳ですか」  

 

 帝国における上流階級は限りなく貴族階級と同意である。そして貴族階級は公用語よりも宮廷帝国語を使う方を好む傾向が強い。それは軍でも同様で、一応公用語による書類作成や会話が義務化しているが上級将校の主流が貴族階級であるこ故に、事実上会食や会議において宮廷帝国語や宮廷マナーがそのまま使用される事は多く、そうなると平民将校も昇進に備え貴族文化の真似をする事になる。そのために宮廷帝国語を平民将校が使う事自体は可笑しい訳ではない。だが……。

 

(上手すぎないかね……?)

 

 自覚しているかしていないかは分からないが、大佐の口調は余りにも慣れ過ぎた言葉遣いであった。それは明らかに後から学んだものではなく、生まれつき話慣れた言い方であった。

 

 いや、そもそも彼がハンス・シュミット大佐である事自体が自称でしかない。一年半前のポメラニウス星域会戦で捕虜になった彼の身分を証明するのは階級章位のものだ。捕虜となった後フェザーンを通じた帝国との捕虜名簿交換のリストから外すよう本人が希望したのは決して珍しいものではないが恐らくそれは彼の本当の身分を隠すためのものであろう。

 

 疑惑が浮上したのは約一年前の事だ。複数の捕虜の尋問中に偶然本物のハンス・シュミット大佐の戦死が把握されると秘密裏の調査の末、半年程前に彼の本名が戦死したヨハン・フォン・クロプシュトック大佐である可能性が非常に高い事が発覚した。

 

「それはそうと……大佐は自治委員会の書記とお聞きしますが、委員会に顔を出さずに良いのでしょうか?私は本日もそうですが、何度か朝食を御一緒させて頂きましたが大佐の姿を見た事がない」

「ああ、その事ですか?私は所詮平民ですからね、書記の地位もこの収容所の平民将校の中では特に高い方で、かつ基本的にここに閉じ籠るだけの存在ですからね、神輿として担がれているだけですよ」

 

 皮肉気に語る大佐。実際この収容所はほかの収容所に比べると階級と身分による上下関係が厳しい。その上で自治委員会の幹部に一人も平民出がいなければ看守たる同盟側とのつまらない言い争いが起こりかねない。結果形式的に幾人かの平民将校が自治委員会幹部として登録されているだけであった。

 

「まぁ、代わりに趣味が捗っていいんですけどね」

 

穏やかに笑みを浮かべる青年。

 

「そういう面はあるでしょうね、確か最近の研究は……」

「アウグスト流血帝の政策分析、ミヒャールゼン提督暗殺事件、クレメンツ大公亡命事故、この三つについてですね。どの件も帝国では碌に資料もありませんからね、いやぁ流石同盟、帝国には無い資料が沢山ありますからね。知的好奇心が刺激されますよ」

 

 大佐は微笑みながら本のページを捲る。彼の読むのは「大流血時代 狂気と智謀の皇帝」だ。ハイネセン記念大学歴史学科教授シンクレア氏が著した「銀河帝国歴代皇帝研究集」の一つでありアウグスト二世の記録とそれを基にしてその政策を斬新な手口で再評価し批評した名著の一つである。

 

「流血帝ですか、一般的にはシリアルキラーかシャンバークの傀儡でしかないと語られますが……」

 

 溶けたラードの塊の事アウグスト二世は同盟では身分の分け隔てなく殺戮を続けた狂帝として、帝国においては少なくとも表向きは奴隷階級から宮中近衛軍団司令官にまで成り上がったシャンバーク准将によって情報操作をされたために失政と虐殺を行う事になった皇帝と言う評価をされている。

 

 後世の評価はどうあれアウグスト二世も悪い意味で有能であったのは事実だ。最低でも六〇〇万、最大で二〇〇〇万を超える虐殺を、しかもその中に多くの特権階級を含んでいる。

 

 つまり門閥貴族ですら殺しまくったのだ。当然ながらその在位期間六年の間に多くの反乱計画や暗殺計画があった。その数確認出来るだけで三桁に昇る。そしてその九九%までが計画段階でアウグスト二世の「直感」により首謀者が拘束され壮絶な拷問の結果その事実が証明され、残る実行された一%も十重二十重に敷かれた防備体制により阻止される事になる。

 

 恐ろしい事にこの計画の発覚は全て拷問の結果のでっち上げではなく全て本当に計画されていたものである事だ。アウグスト二世は見境なく殺戮しているように見えその実非常に冷徹に自身の脅威となりうる者から順番に粛清し、しかも恐怖政治ではあるものの帝国の行政と経済は問題無く動いていたと言われる。後の止血帝であるエーリッヒ・フォン・リンダーホーフ侯爵すら幾つかの偶然が無ければ反乱を起こす前に粛清されていた筈であり、もしその幸運が無ければラードの塊はその後も何年も玉座についていたであろうと言われている。

 

「彼の虐殺の理由の一つに後継者問題を挙げているのは面白い所です。詳細は御知りで?」

「ええ、吸血姉妹ですか」

 

 アウグスト流血帝の子供には男子がおらず、いるのは二人の姉妹のみであったと言われている。

 

所謂「流血帝の吸血姉妹」と呼ばれているが、流血帝も溺愛していたらしいその姉妹は父親の遺伝子の存在を疑う程の美貌で知られており二人の仲も良かったと伝わる。しかし同時に性格は父同様残虐で気まぐれであったと言われており、一説では殺した貴族の処女百人分の血でバスタブを満たしてその中で恍惚の表情を浮かべていたとか子供の血肉を使い人形を作ってコレクションしていたなぞと言われている。

 

「ジギスムント一世の例があるとはいえ女帝の前例は皆無、自身は軽んじられており傍系には幾らでも帝室の血の流れる有能な男子がいる。逆に姉妹を娶りノイエ・シュタウフェン宰相の後追いをしようとする大貴族達が当時宮廷で暗闘していた。当然その場合は姉妹で敵対する事になる。娘達を共同女帝にするために邪魔者の粛清を敢行したのが虐殺の一因、という筋書きは私としては結構気に入っていましてね。……そう言えば似たような話が近くにあるような気もしますね」

 

苦笑する大佐の言う通り近場に近似した状況がある。

 

 現皇帝フリードリヒ四世も宮廷では軽んじられ、二人の娘が大貴族に嫁いでいる。尤も、アウグスト流血帝とは違い虐殺する程の気力が皇帝になく、まだ一人男子が残っているが……。

 

「大佐は歴史研究が御好きなようですが、帝国では歴史研究でも学んでいたのですか?」

「いえまさか、知っているでしょうが歴史研究や編纂は内務省の文科局の仕事です。同盟のように公に自由研究なぞ出来ませんし、出来たとしても公式記録になる事は永久にありませんよ」

 

 大佐は帝国人の常識を語る。教育や歴史編纂、書籍出版等は内務省の文科局が司る分野である。当然ながら権威主義の帝国において学問の自由なぞあるわけなく、都合の悪い事実は歪曲されるなり、別解釈がなされ、それでも誤魔化せないなら忘却の彼方に消し去られる事になる。

 

「帝国である程度自由な学問をしたいならサロンに出てお抱え学者になるしかないですからね」

 

 帝国にて公的な自由研究は御法度な以上、そういった分野に大きな役割を果たすのが貴族サロンだ。特に学問サロンは比較的基準が緩く平民階級でも然るべき教養があれば参加は難しくない。趣味人に注目されパトロンになってもらえれば平民では知ることの出来ない知識も知り、一層詳しい研究が出来る事もある。

 

 無論、それはそれでパトロンの面子や意向に配慮しないといけない訳だが……。

 

「純粋に学問を楽しむならフェザーンにでも滞在するか、あるいは同盟にいるのが一番ですよ。その意味では捕虜としての生活もそう不便なものではありませんね。……ああ、おかわり淹れましょうか?」

「では御願い致します」

 

 大佐は私のティーカップが空になったのを確認すると代わりを淹れ始める。給湯器の方に向かう大佐を私はその後ろ姿を観察する。

 

(やはり、この足運び……)

 

 歩き方の姿勢も宮廷風のそれであった。ここまで自然に出来ているとなると殆んど無意識であろう。即ち、宮廷作法が無意識に刷り込まれるような環境であった、と考えるべきだ。

 

「若様……」

「ああ、そうだな。やはり間違いない」

 

 控えるベアトも同じ印象を受けた様子で小声で指摘する。問題は彼が身分を偽る理由である。

 

(腐っても貴族、保険に入っている筈だが……)

 

 貴族階級であれば望めば優先的に返還される可能性が高いし、保険で獄中でもより良い生活が可能だ。少なくともこの小さい部屋でインスタントの紅茶や珈琲を飲む必要はない。

 

 ………で、あれば自身が捕虜となった事を隠したいのか?

 

「……どうかしましたか?」

「いえ、考え事をしていただけですよ。ああ、角砂糖は二つ御願いしても?」

 

 私の注文通り角砂糖を二つ入れたインスタントの紅茶を差し出す大佐。

 

「そうだ、私から今後の御願いがあるのですが宜しいでしょうか?」

「ええ、こちらに可能な事であれば」

 

 自身の手元のティーカップを見つめていた大佐は思い出したように質問する。

 

「捕虜の間で広報紙があるのはご存知でしょうか?」

「ええ、伺っております」

 

 捕虜収容所での数少ない娯楽として捕虜達が自作で新聞を作るというのは良くある事だ。同盟軍もジャーナリズムなどの普及のために検閲こそあるが彼らの広報紙製作を黙認している傾向にある。収容所内でのみ発行しているものが大半ではあるが、中にはほかの収容所でも発行されるものや、同盟の一般市民が取り寄せる物まで存在する。

 

「ええ、その読者コラムに面白い内容を書いている人がいましてね。実に興味深い内容でして、可能でしたらその人との超光速通信の許可が欲しいのですよ。私の研究にも関わるものでして話をしてみたいのです」

 

 コラムや文通では時間がかかるので、と付け加える大佐。

 

「成る程、可能かは分かりませんが上にかけあってみましょう。因みに相手の場所はお分かりでしょうか?」

「ああ、そうですね。確かその人のコラムはこの辺りに……ああ、ありました、これですよ」

 

 そう差し出したのは一年程前の発行日の広報紙であった。そのコラム欄に長々しい論文調の文章、そしてその著者名が記されている。

 

「………ええ、分かりました。一応聞いて見ましょう。所長とそのコラムの人物が承諾したら、ですが」

 

 

 私は僅かにその名前に驚き、次いで大佐にそう保証は出来ないと注意する。

 

「ええ、御願いします」

 

 一方、大佐の方はその答えに満足したように微笑みを浮かべた。

 

 その後暫し世間話に興じていたが、時間が来て私は大佐の部屋から切り上げる。部屋を出て、従士達に両脇を守られながら廊下を進みながらふと私は嘆息する。

 

「やれやれ、それらしい事は一つも言ってくれないな」

「見る限りこちらを警戒しているように思われます」

「だな、こちらが探りに来ているのを感づいてる。まぁ、それくらいは想定内だ。時間をかけて警戒心を解いていけばいい」 

 

 ノルドグレーン中尉の指摘に私は頷くが前向きに考える。相手はこれまで関わってきた貴族に比べて少し違うが、幸運にも時間はある。今は少しずつ親交を深めていけば良い。

 

「兎に角、今はこの相手に取り次いで恩義でも着せないとな」

  

 そういって私は受け取った新聞の一部を見据える。大佐が感心を持った彼と同じ歴史研究の内容について触れたコラムであり、ブルース・アッシュビーの戦術と情報収集能力を分析したものだ。

 

「少し面倒臭そうではあるがね………」

 

 私はそのコラムの著者を見て呟いた。コラムの著者はこう記されている。エコニア捕虜収容所収容者クリストフ・フォン・ケーフェンヒラー大佐と。




ラードの娘達のイメージは某弾幕ゲームの吸血鬼姉妹だったり   



それでは皆さん、良いクリスマスを

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