帝国貴族はイージーな転生先と思ったか?   作:鉄鋼怪人

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新年あけましておめでとうございます
作者は無事四年続けておみくじで凶を引きました(事実)


第百一話 新年最初の更新がリンチ愛に溢れている件について

 エル・ファシル失陥は同盟全土に衝撃を持って迎えられた。当然である。同盟は長年帝国との抗争を繰り広げ、当然有人惑星を占領された経験もある。

 

 だがそれは歴史上の出来事でありこの半世紀以上の間、同盟が多数の民間人の居住する惑星を失った例は無かった。

 

 まして、エル・ファシルは星系警備隊のほか780年代軍備増強計画に基づき艦艇一五〇〇隻、地上軍五万名に及ぶ駐留軍が別途編成されており、その司令官は第四次イゼルローン要塞攻防戦にて殿を務めた英雄、「岩窟王」アーサー・リンチ少将が任命されていた。

 

 更に言えばエル・ファシルを失陥したほんの一月前には同盟軍は反攻作戦を開始していた筈ではないのか?

 

 止めは駐留軍司令官アーサー・リンチ少将が市民と部下を捨てて脱出しようとしていたことが判明し、世論は一斉に同盟軍を、飛び火するように同盟政府のバッシングを開始した。

 

「同盟軍は市民を見捨てるのか!?」

「市民と兵士を見捨てるような人物を司令官に添えるとは同盟軍の人事はどうなっている!?」

「同盟政府は国境の市民を軽視するのか!?」

「軍部は前線の状況を把握しているのか!?」

 

 同盟軍はすぐさまシャンプール駐屯の第3辺境域分艦隊を中核とした救援部隊を派遣を決める。やがて、新たな情報がハイネセンに伝わった。安否不明であったエル・ファシル市民三〇〇万名、及び駐留軍・星系警備隊に所属する同盟軍将兵約一〇万名の脱出成功である。

 

 そして、脱出船団が派遣されていた救援艦隊とカナン星系近辺にて合流するとより詳細な情報が伝わり、誰もが驚愕した。

 

 脱出計画を立案したのは弱冠二一歳の中尉であったのだ。エル・ファシル駐留軍司令部作戦参謀スタッフ、ヤン・ウェンリー中尉は司令官アーサー・リンチ少将が駐留軍司令部の一部の者を伴い脱出した後、それを囮とすることで市民と残存戦力の脱出を計画し、混乱するエル・ファシル星系警備隊司令部に提出、そしてほかに手がない星系警備隊司令官はそれを受け入れ……見事に若き参謀スタッフの立案した作戦は成功し、最悪の事態は回避された。

 

 そしてヤン・ウェンリーが救ったのは市民達の生命の安全だけでなく同盟軍の名誉もであった。

 

 国家とは国民と領土の統治機構であり、国民の生命と財産の保護は同盟軍の存在意義の根本であった。まして同盟は長年辺境と中央の対立があり、出自による対立が続いていた。国境の辺境有人星系にあり、旧銀河連邦の植民地をルーツに持つエル・ファシル市民を見捨てる事は同盟軍と同盟政府への信頼そのものを損ねかねないものであった。仮に最悪の事態が発生していれば同盟の支配体制を危機に晒す事になっていただろう。

 

 同盟軍と同盟政府はその働きに対する報酬を彼に支払った。ハイネセンに帰還すると同時に同盟軍最高勲章たる自由戦士勲章が授与され、事実上の二階級特進を果たした。  

 

 そのほかヤン中尉の作戦を聞き入れて実際の実施面で手腕を発揮したエル・ファシル星系警備隊司令官シャルル・ガムラン准将、エル・ファシル市民を輸送するための船舶をかき集める事に尽力した星間交易商工組合シャンプール方面組長ロイド・ジョージ、エル・ファシル星系政府機能の移転を指導したエル・ファシル星系政府首相ガミエラ・ファボリウス、避難に反発するエル・ファシル市民を説得して残留者が出るのを回避した地元名士フランチェシク・ロムスキー氏等にはそれぞれ勲章や昇進、栄誉賞や報償金等が提供されたほか、早急なエル・ファシル奪還や避難民の生活援助、損害保証の確約が会議で同意された。市民を護衛したエル・ファシル駐留軍及び星系警備隊の兵士達は全員が一階級昇進と一時金が与えられた。多くの英雄を引き立てる事で政府と軍部への批判をかわそうと言う意志が見てとれる。

 

 同時に逃亡を企てたアーサー・リンチ少将を筆頭としたメンバーは軍籍及び勲章の剥奪等の厳しい処分を受ける事となった。市民と部下を見捨てて逃亡を企てた事は軍司令官としても、一同盟軍兵士としても重大な軍令違反であると見なされたのだ。マスコミも政府の対応に文字通り忖度してリンチ少将を初めとしたメンバーを激しくバッシングする。

 

『リンチ君は運が悪かった』

 

 一方、軍部ではリンチ少将への同情の声がひっそりとではあるが囁かれているのも事実であった。第四艦隊司令官として司令部の構築と艦隊の再編・練兵に勤しむドワイト・グリーンヒル中将もその一人だ。ソリビジョンに映る中将は沈痛な表情を作る。ある意味で此度の事件の被害者とも言える彼は、それでもリンチ少将に同情していた。

 

『彼は優秀な軍人だった。優秀な用兵家だった。せめて駐留軍司令官などと言う立場に立たなければこのような事にはならなかったのだが………』

 

 同盟軍は無能者を出世させるような組織ではない。グリーンヒル中将の二年年下であるアーサー・リンチ少将は士官学校における席次は41位、三大研究科の一つ艦隊運用統合研究科出身であり、四十代にして少将にまで登り詰めた所謂エリートに属する人間である。常に第一線で最初に戦い最後に退く猛将として知られていた。渾名たる「岩窟王」は第四次イゼルローン要塞攻防戦において数倍する帝国軍の追撃を退けた功績からきたものだ。

 

 彼の不運はエル・ファシル駐留軍司令官に着任した事そのものだ。

 

 エル・ファシルは昔からハイネセンの中央政府と険悪な関係にある惑星であった。旧銀河連邦植民地のドーム都市を基としたエル・ファシルは同盟と接触当初人口三〇万人、惑星改造の途上で放棄された惑星は辛うじて大気と塩分濃度の高い海こそあったが装備無しで長時間行動するのは困難な惑星であった。

 

 ハイネセンファミリーはエル・ファシルを半ば強制的にその勢力圏に吸収した。惑星改造により居住に適した惑星と化したエル・ファシルは、しかしその恩恵は殆ど原住民の元には還元される事は無かった。

 

 惑星の土地の大半を支配するハイネセンファミリーと原住民たるエル・ファシル人との抗争は最終的に607年の妥協によるハイネセンファミリーのエル・ファシル撤収により終結した。エル・ファシル人は同盟の支配体制に従属する代わりに先祖の土地と利権を取り戻す事に成功した。

 

 それでもエル・ファシルの同盟中央政府との溝は深い。同じような歴史を持つ星系政府自体は数ダース程の数があるが、その中でもエル・ファシルが特に中央政府に不信感を抱くのはやはり帝国との国境に近いため幾度となく戦争の犠牲となり、政策に介入されてきたからであろう。  

 

 ハイネセンの中央政府はエル・ファシルを始めとした諸惑星に長年配慮してきた。同盟軍もまた同様であり、エル・ファシル星系警備隊は同盟軍の中でも地元出身者が多く独立性の高い部隊だ。

 

 だが、所詮は人口三〇〇万程の過疎惑星に過ぎないエル・ファシルの警備隊の戦力はたかが知れている。イゼルローン要塞建設による帝国軍の脅威の増大もあり、780年代初頭にはほかの幾つかの国境有人惑星と共に中央より駐留軍が派遣された。だが、この現地市民を保護するための駐留軍に対してエル・ファシルは警戒心を抱いたのも事実だ。歴代の駐留軍司令官は地元との関係に苦心してきた。

 

 リンチ少将が一年前にエル・ファシル駐留軍に着任した時も状況に変化は無かった。「岩窟王」と称される程の粘り強い戦いに定評があるリンチ少将は、しかし前線向きの提督ではあるがこのような複雑な配慮のいる軍政には不適格であった。星系警備隊や星系首相との関係構築、部下の統制による不祥事の抑制、市民への配慮などのストレスは前線でのそれとはベクトルが違う。彼の精神は少しずつ磨耗し、蝕まれていた。

 

 帝国に対する反攻作戦により駐留軍は戦力の三分の一を反攻部隊に貸し出す事になった。同時期エル・ファシル駐留軍の兵士が不祥事を起こし、市民から多くのバッシングを受けていた。

 

 帝国軍がエル・ファシルに対して想定外の侵攻を開始したのはそんなタイミングであった。本来は星系警備隊と協力して可能な限り帝国軍の補給線を引き伸ばして戦うべきであったが市民感情がデリケートなこの時期にそのような事は出来ない。結果として本来の防衛線より手前で戦力が減少した駐留軍だけで帝国軍を迎撃する状況に陥った。

 

『しかも相手はあのフォーゲル少将とヒルデスハイム准将だ』

 

 ドワイト・グリーンヒル中将は帝国軍の司令官の名を口にする。名門士族階級出身の古風で勇敢なフォーゲル少将と名門武門貴族出身のヒルデスハイム准将は共に帝国軍の警戒すべき提督である。それと万全の体制で戦う事が出来ないなぞ悪夢である。

 

 それでもリンチ少将は最初のうちはその職務を十全に果たした。地の利も数の利もない中で、しかしこれまでに比べて慎重過ぎる戦い方ではあるがリンチ少将は互角の戦いを演じて見せた。それは彼が決して無能な軍人ではない事の証明である。 

 

 だが、帝国軍の後退を見てリンチ少将が艦隊を退かせた時、それは起きた。

 

 別に同盟軍も馬鹿ではない。帝国軍が後退したように見せて襲いかかって来る事位は想定する。帝国軍の奇襲攻撃があり得ないと見た時点で同盟軍は反転した。

 

 だが、帝国軍の副司令官ヒルデスハイム准将はその戦術の常道を敢えて無視して襲いかかった。それだけならば同盟軍は余裕を持って撃退しただろうが帝国軍の動きは余りに早く対応する時間は無かった。

 

 突如の奇襲、しかも普段からのストレスで精神的に疲弊し、しかも戦闘が終わった事により緊張が緩んでいたリンチ少将は動転した。そして同時に優秀な頭脳はこの時点でこの戦闘での勝利は不可能であると判断することが出来ていた。

 

 追い詰められたリンチ少将はこの場での最善の判断は戦力を保存してエル・ファシルに撤退する事であると理解していた。だが通信は帝国軍が妨害して混乱、艦隊の統制を回復させるのは困難であり時間の余裕も無かった。

 

 リンチ少将は旗艦が後退する事で全軍に司令部の意志を伝えようとした。それ自体は必ずしも誤りとはいえないが旗艦「グメイヤ」艦橋における彼の動転ぶりは逃げたと批判されても仕方ないものであったのも確かだ。

 

 エル・ファシルに立て籠る事を考えたリンチ少将は、しかしすぐに問題にぶつかった。エル・ファシル星系政府から見ればリンチ少将は帝国軍を連れて逃げ帰ったように見えた。防衛体制を整えるより先に政府や星系警備隊はリンチ少将に責任追及を行う。この辺りは普段のエル・ファシル人の不信感が爆発した格好だ。

 

 有効な防衛戦準備も出来ず、市民はこの時点で事実上不可能な惑星脱出を要望する。普段からのストレス、戦闘のショック、戦死への恐怖……様々な要因が重なり彼の精神は擦りきれていた。

 

 市民は山岳部への避難もせずに宇宙港に集まり、星系警備隊との連携も難しい。このままでは録な戦闘も出来ずに敗北するであろう。ならばいっそ司令部だけでも脱出して急いで救援を要請するべきであろう。残存部隊は降伏させれば市民の犠牲が出るような混沌とした乱戦状態が起きる可能性は低い。三〇〇万の市民を帝国領に連行するには相応の時間がいるから救援部隊を引き連れて戻れば犠牲は最小限で済む筈……決して理屈が通らない訳ではないがそれが命惜しさの言い訳である事は明らかである。だが……。

 

『リンチ君も何度も訴えていたよ。最前線でいいからエル・ファシル以外に赴任したいと。人には得手不得手がある。私も彼の転任を提案したのだがその前にこんな事に………』

 

 心から残念そうな表情をするグリーンヒル中将。士官学校の後輩であり、将来を嘱望されていたリンチ少将の境遇に思うところがあるのだろう。

 

『リンチ君の妻は離縁したらしい。せめて彼女とその子供達の生活はサポートしてやりたいが……』

 

 リンチ少将の士官学校での同期生である妻はグリーンヒル中将とは当然顔見知りだ。士官学校の繋がりと言うのは強いもので同期や先輩後輩での情報交換や援助は良くある事だ。グリーンヒル中将は特に面倒見が良く知り合いの中で戦死した者の家族への援助や退役した者への就職先の斡旋などに力を入れている事で評判だ。

 

「そういえば娘さんがこの前テレビに出ていましたね。兎も角も無事でなりよりでした」

 

 グリーンヒル中将の陰鬱とした内心を思いはかり私は話を変える。

 

『ああ、フレデリカの事かい?確かに妻と娘が無事で良かった』

 

グリーンヒル中将が穏やかな、安堵した表情をする。

 

 銀河の妖精ことフレデリカ・グリーンヒル嬢が同盟領巡業の一環でエル・ファシル星系に訪問したのは丁度帝国軍が侵攻する直前5月1日の事である。母テレーゼの故郷でのコンサートは盛況であったという。

 

 問題はリンチ少将がエル・ファシルに逃げ帰った後の事で、付き添いの母やマネージャー、その他関係者と共に宇宙港に逃げていたらしい。当然そこには同じくエル・ファシル市民が大量に押し掛け、しかも帝国軍が近付いていた。

 

 一応莫大な大金を払いフェザーンの返還保険に加入しているとはいえ、売れっ子美少女アイドルとなれば帝国軍にエル・ファシルを占領された後どうなるか分かったものではない。それどころか市民の暴動に巻き込まれる恐れすらあった。

 

『だが、流石にあれは予想しなかったよ』

 

 苦笑いするグリーンヒル中将。フレデリカは緊迫する中で現地の同盟軍と交渉してゲリラライブを行ったという。どうやら今にも暴動になりそうだったために市民の注意を引きつけるために現場の兵士達が独断で頼み込み、彼女もまた無償で快諾したという。

 

 結果として彼女のライブが当時詰めかけていた市民の混乱の沈静化に一役買ったのは事実であり、ヤン・ウェンリーやシャルル・ガムラン等と並び「エル・ファシルの奇跡」の当事者として同盟マスコミの注目の的となった。同盟政府も彼女に共和国栄誉賞を授与したほか、同盟軍も自由戦士勲章、市民守護勲章を授与、同盟軍名誉少尉の階級を拝命した。第四艦隊司令官ドワイト・グリーンヒル中将の娘である事も大きいだろう。元々の人気もあり今ではテレビで見ない日は無い位だ。

 

 つーかおい待て、自由戦士勲章とかマジ?私あの小娘にあったら先に敬礼しないといけないの?嘘だろ?

 

『ははは、私もだよ。まさか娘に先に敬礼しないといけない身になるとはね』

 

 同盟軍名誉勲章は有するものの流石に自由戦士勲章は授与されていないグリーンヒル中将は苦笑いを浮かべる。

 

「娘さんが勲章を胸に付けて偉そうに敬礼するのを待つ姿が浮かびそうです」

 

 私は肩を竦める。あの少女なら実際にそうしそうだ。マスコミの取材やコンサートでは高飛車ではあるが純粋な美少女を気取っているがその実会ったばかりの頃と変わらずやんちゃで調子に乗る小娘だ。原作では大人しめの淑女を装っていたがまさかあれは演技だったのか?いや、成長して落ち着いたのかも知れんが……。

 

『もう少し落ち着いてくれたら良いのだが……妻も妻だ。元気になったのは良いが少し元気になりすぎだ』

 

呆れぎみのグリーンヒル中将。妻のテレーゼは病弱であったのだが娘が夫以上に稼ぎハイネセンの大病院で最新の治療を受けた事と娘の一層の活躍のために目覚めたのか今では同盟中を娘と共に駆け回っている。

 

うん、だから何でそんな方向にばっかりバタフライエフェクトするんですかねぇ……?

 

 

 

 

 

 このエル・ファシルの陥落は私にも幾つかの小さな影響を与える事となった。

 

 一つは私個人に対する風評被害である。エル・ファシルの戦いにおける帝国軍の副司令官は権門四七家の一つにして武門の名門たる十八将家が一つヒルデスハイム伯爵家の長子であるカール・アウグスト・フォン・ヒルデスハイム准将であった。幼年学校・士官学校を共に優秀な成績を残し、特に艦隊運用面では幼少時にあのシュターデン教官を領地に呼んでマンツーマンで学んだ少壮の貴族士官として有名であり、その素早い艦隊運動と恐れ知らずの攻撃から「グリンブルスティ」の異名を持つ。

 

 名門の生まれにして優秀な若き貴族士官は、多くの門閥貴族の例に漏れず残虐な一面も持つ。帝国軍の戦勝祝賀会の席でエル・ファシルでの奴隷狩りやマンハント(人間猟)が出来なかった事を悔しがるヒルデスハイム准将の録音が流出した。

 

『この日のために先祖伝来の猟銃を用意してきたのに、これでは無駄足ではないか!』

 

 一部の貴族の間では罪人を狩りの獲物に見たてて追い立てるゲームがあるとは同盟でも知られていたがまさか同盟市民がその対象にされようとは想像しておらず、この発言は同盟全土で非難を浴びた。

 

 その余波か、同盟の亡命した門閥貴族達にも同盟市民の疑念の目が向かっているらしく、同じく権門四七家の一つにして十八将家でもあるティルピッツ伯爵家の一員たる私には何も知らぬ一般人の不審の目が向いてしまう事態が起きていた。

 

 尤も、そちらはまだ実害は殆どないから良い。問題はもう一つの問題であり、この事件により改めて同盟市民の帝国軍に対する猜疑心と敵対心に火がついたらしく、同盟各地の捕虜収容所には捕虜の危険性を訴える抗議文が普段の三倍の量が届き、地元自治体からも不安を漏らす声が増えていた。それに関連して同盟各地での帝国系市民への嫌がらせ行為や事件も増加しており、亡命政府等は帝国人街に重武装の警備員を配備して暴徒に応戦、各惑星の星系警察や同盟警察が介入し、百人単位の逮捕者が出る事件も起きていた。

 

 各地の捕虜収容所はこれらの事態に対して市民への配慮と捕虜の身の安全のために警備体制の強化を行う事になる。

 

 捕虜収容所内での定例会議や各地の捕虜収容所同士による意見交換の末捕虜の外出時間の短縮や手続きの厳格化、収容所内の巡回警備の強化や地元自治体への説明会の開催等が決定し、参事官補である私はそちらの会議や事務への参加が命じられた。

 

「エコニアでは深夜の巡回を復活させたそうです。このサンタントワーヌでは元より行っておりますがこの人員を倍にするべきでしょう」

「現地警察との協力も一層強化するべきだ。捕虜の外出における勤め先等での巡回を増やせないか?」

「無茶を言うな、警察は市内の帝国系の保護で手一杯だ。昨日帝国系の運営する喫茶店に投石があったらしい。その前日は嫌がらせ電話、その前には帝国料理店で強盗事件ときたものだ」

「幾らかはどさくさ紛れの犯罪者の犯行だな、今なら犯罪しても愛国無罪ってか?呆れたものだな」

 

 サンタントワーヌ捕虜収容所幹部会議室ではそのような会話が行われる。

 

 出席者の呆れ声はある意味では正しい。元々同盟自体が帝国からの脱出者から始まった国家である。無論長征組は奴隷階級が中核であったのは確かだが少なからず平民階級や貴族階級が混ざっていたのは事実、そもそも国父アーレ・ハイネセン自体母の時代に大貴族とのトラブルで強制労働者に落とされた下級貴族の出である。またそれを別としてもダゴン星域会戦以来十億人を越える帝国人が亡命しており、亡命政府の支持者だけで数億人、それ以外の派閥やハーフ、クォーター、親戚を含めれば帝国系との血縁的関わりの無い者なぞ絶対的に少数派である。

 

「どさくさ紛れの小物はまだマシです。問題は明確な反帝国組織ですよ」

 

 軍人経験者も多く、よく事件を起こす「サジタリウス腕防衛委員会」を筆頭とした極右勢力による捕虜収容所襲撃は特に警戒が必要だ。

 

「その点に関しては直接収容所を襲撃するよりも小包等を使った爆弾テロの方を注意すべきだ。奴らにとってもリスクが小さいし、足もつかないからな」

「いや、『人民裁判会議』が銃器を集めているとの情報がハイネセン警察から提供されている。油断するべきではあるまい」

「極右勢力の警戒についてだが我々単独の努力だけでなく市民からの協力も必要だ。特に結束力が強く、現実に襲撃の対象たる帝国系市民の独自の情報網は収容所の安全に寄与するだろう。ティルピッツ参事官補、貴官にその点について任せたいがいけるかね?」

 

 会議の途中話題が変わり、クライヴ准将は少し遠慮がちに私に尋ねる。

 

「了解致しました。帝国人街等から極右組織に関する情報収集を行います。捕虜達にも外出を控えるよう呼び掛けた方が宜しいでしょうか?」

「可能であれば頼みたい。この繊細な時期に無用な争いの種を蒔く必要はないからな。情報収集についても市民に危険の及ばぬ範囲で構わない。市民の巻き添えはそれはそれで問題だ」

 

私の申し出にクライヴ准将が注意と共に許可を出す。

 

「はっ、承知しております」

 

 私のはっきりとした承諾に対して、しかしクライヴ准将は少し心配気味の表情を作る。世間一般では私が戦功稼ぎに夢中で危険な事を平気でするとかいうガセ情報が流れていると言うがそれを真に受けているのかも知れない、酷い風評被害だ。

 

「何はともあれ、これは幸運か……」

 

 会議の最中、私は小さく呟く。市内の帝国系市民に対して合法的に事情聴取出来る大義名分が出来たのは幸いだ。

 

 エル・ファシルの陥落により、そちらへの対応に暫く関わらざるを得なかった我々は当初の目標であったグラヴァー氏への接触を中止するしかなかった。幸い面会の方は途中で中止せず行われたが、盗聴した内容のみでは大佐もグラヴァー氏も当たり障りのない話しか口にする事はなかった。尤もその会話は明らかに盗聴を警戒しているのが伺えたのも確かでもある。

 

 その意味ではエル・ファシル事件は私の任務を一時的に滞らせたが、代わりにより一層動きやすくしたのも事実である。後は………。

 

「その状況をどう生かすか、だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女、アイリーン・グラヴァーにとっての一日は同盟人の日課と然程変わらない。月850ディナールの家賃の家で目覚まし時計の騒がしい音で目覚めた後、寝惚けた表情でテレビをつけ、トーストを焼く。その間に洗面台に立ち顔を洗い、歯を磨き、櫛で若干紺色がかった黒髪を解きほぐし、寝癖を抑える。鏡に映る彼女の姿は控えめにいって美形に類するだろう。もうすぐ三十代に入るがその肌は十分潤いがある。長い睫毛に大きな蒼い瞳、鋭い視線は頼り甲斐があり、気安そうだ。

 

「……まぁ、こんなものよね」

 

 金に糸目を付けずに磨けば一層輝くであろう美貌を、しかし申し訳程度に身嗜みを整えると彼女はリビングに戻りフライパンで卵とミルクをさっと炒めてスクランブルエッグを、そして残り物のベーコンをバターで焼いてしまう。後は冷蔵庫のサラダとフルーツ、それに焼き終えたトーストを取り出し、即席の紅茶にジャムを投げ込み、彼女はテレビのニュースを見ながら朝食を始める。

 

「む、ミスったわ、油っこい」

 

 ニュースでは学者や専門家達がパラトプール星系で発生した宇宙海賊による星間交易商工組合の運送船団襲撃事件について詰まらない説明をしていたが、そんな事は気にも止めず彼女は自身の作ったスクランブルエッグの出来について気難しそうに評価する。

 

 普段より少し遅めに起きてしまったので手早く食事を胃袋に納めると、そのまま小走り気味に着替えて、バッグに昨日描いたデッサンを詰め込み家を出る。

 

 ヌーベル・パレのベッドタウンであるクラムホルムから満員のリニアモノレールで出勤、悲しい事に宇宙暦になろうとも人類は満員電車と言う悪しき伝統から解放される事は無かった。大抵の場合狭苦しい車内で携帯端末で電子新聞を見るか、ネットサーフィンをするか、ゲームをするか、幸運にも座席に座る事が出来た者は職場に到着するまで居眠りに興ずる事になる。

 

当然ながら壮絶な椅子取りゲームにおける圧倒的多数の敗者に名を連ねる事になったグラヴァーは目の前の涎を垂らして眠る中年会社員を恨めしそうに一瞥した後腹いせにゲームをしていた。頭の鬘が微妙にずれているので八つ当たりに投げ捨ててやろうか、と思ったがぐっと抑える。

 

 人の波を掻き分けて職場のある駅に到着、時計を見ながらオフィス街を駆け抜ける。

 

「アイリーン、またギリギリね?早くタイムカードを打刻なさい。遅刻になるわよ?」

「あはは……すみません、課長」

 

 職場の課長からの三割程の嫌みと五割程の呆れを含んだ注意にグラヴァーは頭を掻いて誤魔化す。

 

「負けたわ、今日アイリーンが遅刻するのに賭けてたのに」

「やった!先輩、お昼の珈琲奢って下さいね?」

「貴方達、人を賭け事の道具に使わないでくれないかしら?」

 

 オフィスに着くやいなやそんな会話をする職場の同僚達にジト目で彼女は口を開く。

 

「だって先輩いつも遅刻寸前じゃないですか!有名ですよ?毎日駅をマラソンランナーみたいに走る女性社員って。いや、障害物走かな……?」

 

後輩が嫌な現実を指摘する。

 

「エレベーターが混んでいるからって階段で十五階駆け抜けてしかもエレベーターより先に到着したのは呆れたわ。あんた、陸上選手になった方が良くないかしら?」

 

同期に入った友人も肩を竦める。

 

「あれはエレベーターが一階ずつ停まってただけだし。あれは本当に苦しかったんだけど」  

 

 遅刻十数秒前に到着した後汗まみれの姿でぜーぜーと淑女にあるまじき唸り声を挙げていたのは思い出したくもない記憶である。

 

「はいはい雑談しない!仕事にかかりなさい!アイリーン……その分だとデッサンは出来ているのよね?」

 

 上司の指摘に対してニヤリ、と不敵な笑みを浮かべるグラヴァー。バッグから勿体振るようにスケッチデッサンを取り出す。

 

「当然です、昨日の夜遅くまで作業して漸く出来上がりました、見ます?」

 

そういってデッサンをデスクの上で広げて見せる。

 

「わぁ……」

 

 周囲のほかのデザイナー達が集まり、彼女のデッサンの出来に思わず感嘆の声を上げる。宇宙暦8世紀にもなって態態紙と鉛筆でデッサンを創るのはこの会社では彼女位のもの、非効率的であるがそれが許されるのは彼女のファッションデザイナーとしての才覚故だ。いや、寧ろ紙に鉛筆と言う伝統的なやり方であるが故によりそのデザインの良さが引き立つのかも知れない。

 

「けど……大丈夫ですかね?この春服、帝国風の影響を受けたものですよね……?」

 

 後輩が恐る恐る尋ねる。ファッションデザインと言うのは大抵発表や販売の一年程前から製作するものである。来年のこの時期どのような色彩が、デザインが流行るかを予測し、それを元にして細部を突き詰めたファッションを作り上げる。業界の予測では来年は青や緑の寒色の清楚なデザインが流行ると予測しており、グラヴァーのデザインもまたそれに沿ったものだ。

 

 だが、それはファッション史に詳しい者が見れば銀河帝国にて二〇〇年程前に流行した懐古趣味風からの影響を受けた衣装であると分かるだろう。帝国の芸術やファッション文化を徹底的に否定するほど同盟は排他的ではないにしろ、特にエル・ファシル陥落以来始まる反帝国機運から見て余り推奨する事は憚られるものであることは否定出来ない。

 

だが……。

 

「いえ、構わないわ。良いデザインじゃないの。貴方達もそう思うでしょ?」

 

中年の名デザイナーでもある課長が皆に尋ねる。

 

「ええ」

「確かに可愛いですけど……」

「いいんじゃないの別に?」

 

 ある者は積極的に、ある者は消極的に課長の意見を肯定する。腐ってもデザイナーの端くれとして同僚の作製したデザインの秀逸さは否定出来ない。

 

「どうせ実際に売るのは来年よ。その頃には世間も忘れている筈だし問題ないわよ」

 

 今でこそ衝撃が続いているが、それによる帝国排斥運動もこれまでの経験から見て一年以上続くとは思えない。排斥運動が続いたとしても同盟の絶対的多数派は帝国の脅威に晒されていないので口ではあれこれ言いつつも買う者は買うのだ。少なくとも上に掛け合えば認可が出る程には良いデザインであることはこの場の誰もが認めるところだ。

 

「人気が出るなら作る!売れるなら売る!只でさえ戦争のせいで民需が減っているのよ?遠慮なんかしていられないわ!」

 

 フェザーン移民らしい厳しい口調で断言する上司。少々荒い言い様ではあるが、実際長年に渡る戦争とそれに伴う経済の圧迫は同盟に対して短期的には然程のものではないが長期的に見た場合同盟の民需を少しずつ衰退させていたのは事実だ。

 

 尤も、その点では寧ろ同盟はこれまで上手くやってきた方である事も忘れてはならない。同盟は帝国に比べ物量と地力では圧倒的に劣勢であり、一度の大敗が致命傷となり得る。更に内部では常に内部分裂の危機に陥りかけている中で同盟は「経済が許容出来る範囲」での戦争を一五〇年に渡り続けてきたのだ。それは同盟経済の頑強な基盤と最高評議会と同盟議会の政治力、そして同盟軍の絶え間無い努力によりもたらされていた。

 

 逆説的に言えばそれによる変わらない豊かな生活が一般的な同盟市民にとっての常識となり、市民のある種の無茶ぶりに近い不満の発生源かも知れないが……。

 

 何はともあれグラヴァーのデザインが来年の商品に決められたのはほぼ確定的だった。後はデッサンの案をより詰めていき、細部の設定と調整、それによる問題点の洗い出しが必要となる。

 

「また先輩の案採用ですか、羨ましいなぁ」

 

 昼食の時間自弁してきた弁当を口にしながら後輩がそう口にする。職場のデザイナーは何人もいるが何十、何百というデザイン案の中で採用されるのは十に一つである。そして毎日のように遅刻寸前に来る先輩の案が大抵その中に含まれていることは後輩には何となく不平等に思えてしまうのである。

 

「ふふふ、これで来月の臨時ボーナス頂きよ!これは次の連休はパルメレント旅行に決まりね」

 

 そんな不満たらたらの後輩にどや顔しながらグラヴァーは街の弁当屋で買ったサンドイッチセットをアルーシャ産茶葉を使ったアイスティーをお供に頬張る。

 

「余り調子に乗らないの。まぁ、それはそうとして羨ましいのは確かね。やっぱり御貴族の御嬢様となると美的センスが違うわよねぇ」

 

 淡々とコンビニのデザートケーキを食べる同僚の指摘。グラヴァーが帰化帝国人の貴族である事自体は秘密ではない。無論、同時に明け透けに語る事でもないが、やはり一般的同盟人は彼女の出自を聞くとそこに意識が向いてしまう。

 

「別にそこまでなんだけどなぁ、向こうにいた頃の記憶なんてもうあんまりないし、まぁ帝国風デザインの造詣は結構詳しくなれたという意味では影響があるかな?父が厳しめの人で裁縫とかの知識も教え込まれたし」

 

肩を竦めてそう述べるグラヴァー。

 

「ふぅん、そういうものなの?」

「ぶっちゃけ帝国にいた時期よりハイネセンにいる時期の方が遥かに長いからね、御嬢様なんて言われてもピンと来ないわよ」

 

 少なくともハイネセンの一般市民と同程度の価値観であると彼女は自覚していた。これが同盟まで亡命して宮廷ごっこに興じている亡命政府の門閥貴族達ならば違うのだろうが……。

 

「そう言えば先輩、噂になってましたよ?この前結構格好いい人とランチしていたでしょ?どこの人なんですか?」

 

ふと思い出したように後輩が興味津々で尋ねて来た。

 

「ランチ?……ああ、あれね」

 

 後輩の言葉にふと考え込み、思い出したかのようにグラヴァーは答える。

 

「本当に耳が早いわねぇ、昔の幼馴染みよ。別にあんたが期待するようなものじゃないわよ」

「えぇ~?本当ですかぁ?」

「あんたが全く信用していないのだけは分かったわ」

 

 呆れ気味に肩を竦めるグラヴァー。相変わらずこの手の話に考え無しに首を突っ込む後輩である。

 

「あんたそんな風に人のプライベートに首突っ込むから恋人出来ないのよ?押し強すぎて男がドン引きするのよ」

「えぇ~だって気になるじゃないですかぁ!それにまだ私は若いですからぁ、賞味期限が切れそうな先輩とは違いますよぅ」

「お前ぶっ飛ばすわよ?」

 

口も多い後輩である。

 

「はいはい、二人共馬鹿やらない。さっさと食べないと昼休み終わるわよ?」

 

 同期の友人が急かすと、グラヴァーはそこで機械仕掛けの腕時計を見やり、残り時間にげっと女性らしくない声を漏らし、慌てて残るサンドイッチを口に放り込みペットボトルの紅茶で胃に流した。

 

「そろそろ終わりだけど……少し前に隣街で引ったくりがあったわ。大丈夫?」

 

 午後の仕事が終わり、社内で帰り支度していると上司の女性がグラヴァーにそう伝えた。話によれば帝国系の女性が何時間か前に仕事帰りに引ったくりにあったらしい。ハイネセン警察の警報アプリから携帯端末に来た最新情報であり、時期から見て恐らく帝国系を狙っての犯行と見て捜査しているらしい。

 

上司の言に同僚が心配そうに顔を向ける。

 

「アイリーン、大丈夫?心配なら車で送っていくけど……」

「大丈夫よ。まだ明るいし、警察も見回りを増やしているみたいだから。それに私の家は別に帝国人街じゃないから見張られてなんかないわよ。最悪自衛位出来るし」

 

 そういって職場の同僚の前でぴっぴっ!と拳をつけ出すグラヴァーの態度は決して無理をしたものではない。柔道やシステマを学んでいる。退役した同盟軍人が指導する本格的なものだ。そのほか懐には護身用のスタンガンやスプレー類、防犯ブザーも忍ばせておりいざ襲われても逃げるだけならば余程の事がない限りは安心だ。その辺りは自衛に力を入れる帝国系らしい。そもそも彼女は帝国からの亡命者一世とはいえ既に帰化しているので名前は同盟風だし、同盟公用語もネイティブ同然に話す事が出来る。一目で帝国系であるとバレる心配はなかった。

 

「だといいんだけど……気を付けてね?」

 

 気立てが良くはきはきした友人に同僚は心配そうにそう口にする。ずばずばとした雰囲気であるがその実物腰が良くお喋りの上手い彼女は社内でも気に入られていた。遠いエル・ファシルだとか言う星での事件で帝国系への風当たりが急に厳しくなっているが、少なくともこの社内でそれを元に彼女を詰る者は一人もいない。

 

 尤もそれは差別への反対というよりもハイネセンから碌に外に出た者も多くはないので余り帝国との戦争を意識していない、という面はあるかも知れなかったが。ハイネセンを始めとした後方の惑星が帝国の軍事的脅威に晒される事は滅多にない上、徴兵も選抜式で大半は地元の星系警備隊で兵役を終える。軍人家系や志願兵が身内にいるのでなければ戦争を身近に感じれない者も少なくはないのだ。

 

 社内での心配を余所に、最終的にアイリーン・グラヴァーは送迎を受けずに帰る。途中まで帰り道が同じ数人の同僚が付き添ってくれたのは彼女の人徳によるものだろう。お喋りしながら一人一人と別れていき……最終的には一人で夜道を帰る。リニアモノレールから降りて夜中のクラムホルムの街を歩く彼女は暫し静かに帰路についていたが……ふと、何かに気付いたかのように足を止める。そして、警戒したような表情で振り向く。

 

「……何?いつまでもこそこそとストーカーするなら警察を呼ぶけど……用があるなら顔を見せなさいよ」

 

 不信感と警戒感を全開にして彼女は暗く視界の悪い夜道で誰とも知れぬ者達に語りかける。彼女は何分も前から自身の後をつけ回る視線と気配を敏感に感じ取っていた。それは女性としての鋭敏さと共に帝国系特有の観察力と警戒心によるものだろう。

 

「…………」

 

暫くの沈黙、しかしすぐに追跡者達は姿を現す。

 

「いやいや、怪しい者じゃないんだけどな?……少しだけお話をお聞きしたいのですが宜しいですかね?」

 

 両手を挙げて降伏の意思を示した私、ヴォルター・フォン・ティルピッツ少佐はご機嫌を伺うような表情で彼女にそう事情聴取を求めたのであった。

 

 




本作のガムラン准将はノイエ版でリンチを帝国軍を連れて来たと罵倒したりヤンにリンチ逃亡を無線で伝えていたエルファシル基地の司令官という設定です
本来ならば上官をあのように貶すのはあり得ませんし、ヤン一人で何百という艦艇を指揮するには階級が足りません。ですので本作ではリンチは中央から派遣された余所者という形にして、作戦は士官学校出身、駐留軍司令部参謀というエリートな立場のヤンが考えたものの、直接的な指揮はエルファシル星系警備隊司令部が行ったという形です

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