帝国貴族はイージーな転生先と思ったか?   作:鉄鋼怪人

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二話位前に投稿から一年近い事に気付いた
これまで御覧頂きありがとうございます、今後とも宜しくお願いします


……御礼に主人公をやべー奴らの所に送りました(満面の笑み)


第百十四話 あれ?もしかしてもう一周年……?

 宇宙暦789年8月21日0000時、シャンプールに置かれた司令部から全軍に向けて攻撃命令が発令されると同時に、自由惑星同盟軍による一大反攻作戦、「レコンキスタ」が開始された。

 

 宇宙暦789年8月時点において、同盟軍はイゼルローン回廊の同盟側出口に接続する四つの航路の全てで押し込まれていた。帝国軍サジタリウス腕方面討伐軍の総戦力は、戦闘艦艇八万二〇〇〇隻、地上軍も四個野戦軍に拡充されていた。第4星間航路ではアスターテ星系近辺のヴォーバン・ラインで小競り合いが続き、第10星間航路ではヴァラーハ星系の手前までの有人惑星を全て喪失していた。第16星間航路ではドラゴニア=クィズイール星系を結ぶ防衛線で一進一退の攻防戦が続き、第24星間航路ではエンリル星系で必死の防戦が行われている。

 

 一大反攻作戦「レコンキスタ」において、同盟軍はその戦力の中核である五個艦隊四個地上軍を大きく二手に分割した。  

 

 攻勢の主体は第10星間航路である。これには二個艦隊と二個地上軍……第六艦隊及び第一〇艦隊、第三地上軍及び第六地上軍が任じられた。第六艦隊は昨年12月に着任したラザール・ロボス中将が、第一〇艦隊はヴァラーハ出身の熟練の用兵家プラサード中将がそれぞれ指揮を執る。また第三地上軍司令官にはメッセ中将、第六地上軍司令官にはバルトバッフェル中将が任じられていた。

 

 見ての通り、主攻は帝国系や旧銀河連邦植民地系の部隊や指揮官が多く、その他後方部隊や独立部隊もその系統の部隊で固められており、占領地からの義勇兵部隊や亡命軍部隊も多数編成に含まれている。故郷を自ら奪還したい旧銀河連邦植民地系と自らの手駒を消耗させたくない長征派、戦果を上げる事で更なる軍事的発言力を高めたい帰還派の思惑が複雑に合わさった結果と言えた。

 

 搦め手として第4星間航路に二個艦隊と一個地上軍が投入される。第八艦隊司令官は今年1月に就任したばかりのシドニー・シトレ中将、第一一艦隊司令官には同艦隊の航海参謀・参謀長を歴任したトビアス・フェルナンデス中将が着任する。ベルティー二三世中将の第二地上軍がそれに同行していた。

 

 こちらは逆に長征系ないしハイネセン・ファミリーが中核となっている。第4星間航路はバーラト星系に至るまでに先祖が開拓した航路であり、その意味歴史的経緯が配慮された結果であるといえよう。

 

 無論、第16・24星間航路にもある程度の戦力は派遣される。艦艇四〇〇〇~五〇〇〇隻、地上軍五〇万~六〇万を投入して限定的攻勢を実施する予定だ。

 

 ドワイト・グリーンヒル中将率いる第四艦隊、ゲンドー中将の第五地上軍は後詰めと戦略予備戦力として備える。比較的派閥の色が薄い彼らならばどの戦域に派遣されようとスムーズに協力体制を敷く事が出来ると期待されていた。

 

 さて、私は第六艦隊第六宇宙軍陸戦隊所属という事で、派遣された「リグリア遠征軍団」が亡命軍との合同部隊である点からも分かると思うが、主攻たる第10星間航路の戦線に投入される予定となっている。この航路は帝国軍の主力も配備されているため激戦が予測されるが、リグリア遠征軍団は実質的に私の御目付部隊であり、激しい戦線に派遣される可能性は少ない。そのため戦死の危険は低い。低いのだが…………いや、うん。ねぇ……?

 

 

 

 

 

 

 ハロー!さて良く来てくれた諸君!『リグリア遠征軍団』のイカれた仲間達を紹介するぜ!?えっ?その紹介の前置き前にも見た事あるって?はははっ!ナイスジョークだ!

 

 さて、一人目の面子はリグリア遠征軍団戦闘支援艦隊司令官兼遠征軍団副司令官オットー・フォン・シュリードリン准将だ!シュリードリン子爵家の分家ライヒェナウ=シュリードリン男爵家当主でありこの年五五歳、禿頭に黒い髭を生やした髑髏のように痩せた古風な武人だ。優秀にして勇猛果敢な典型的な帝国系軍人であるが、同盟や亡命政府においてはそれ以上に大のルドルフ信奉者として有名だ!自宅にはこの世に十枚とない激レア肖像画「君臨せしルドルフ大帝」を保管し、日課は自宅の大帝陛下の一分の一大理石製胸像の手入れ、趣味はルドルフ大帝ご執筆の書籍を読み耽る事である。帝政党の支持者にして筋金入りの貴族主義者・選民主義者・差別主義者としても名が知られ、刊行した著作の多くがハイネセン等で発禁処分を受けた普通にやべー奴だ!

 

 二人目は『リグリア遠征軍団』の基幹部隊、『北苑竜騎兵旅団』旅団長代理マックス・フォン・フレーダー大佐だ!帝国開闢以来続く騎爵位の帝国騎士家フレーダー家の出の眼鏡をかけたこの肥満男は生粋の戦争狂にして危険思想の持ち主だ。同盟軍士官学校において二桁席次にありながら危険思想の流布と公言から注意に注意を受け、三年次にとうとう退校処分を下されたクレイジーな伝説を残してくれた!今でも定期的にヤバい集会を行い、戦闘前には気が狂ったような演説を兵士達にぶちまけるやべー奴だ!

 

 三人目は同盟軍宇宙軍陸戦隊より派遣された独立第五〇一陸戦連隊戦闘団司令官ヘルムート・フォン・リリエンフェルト大佐だ!いつもいつもマスクやらお面をつけて素顔を見せず、しかも会話は手話を付き人に翻訳させるかボーカロイドの合成音声を用いるやべー奴である。その癖仕事はきちんと遣り遂げ、おかげ様で昨年部隊再編により独立第501陸戦連隊こと「薔薇の騎士連隊」は連隊から連隊戦闘団に昇格、本人も大佐に昇進した。因みに今目の前でタイガーマスクつけてるぜ!

 

 四人目は『リグリア遠征軍団』第六五八装甲旅団を預かるフーゴ・フォン・ノルトフリート大佐だ!優秀なパワハラじょ………ではなくて陸戦指揮官であり、戦車部隊の運用にかけては亡命軍においても五本の指に入る五十近い上等帝国騎士である。だが敵味方双方に厳しく、敵兵に降伏の隙を与えず吹き飛ばし、脱走や命令違反する部下はフェルディナンド重駆逐戦車の砲門に括りつけて汚ねぇ花火にしてくれるやべー奴だ!

 

 五人目は『リグリア遠征軍団』の数的主力である第一五地上軍団を指揮するヨーゼフ・フォン・カールシュタール准将だ!カールシュタール男爵家当主にして厳格であるがまともな中年軍人である。何故か毎回トラブルが起きそうな部隊の目付の上司や部下に送り込まれるために万年胃に穴が開いており、常に痛みとストレスに耐えるような険しい顔を作っている。ガンバッテネ!!

 

 さて、御待ちかねの六人目は『リグリア遠征軍団』司令官兼『北苑竜騎兵旅団』旅団長ローデンドルフ伯爵夫人ことアウグスタ・フォン・ローデンドルフ亡命軍少将だ!父は現銀河帝国亡命政府皇帝グスタフ三世、母はバルトバッフェル侯爵家の分家筋に当たる。幼少時より気性が荒く、宮廷では近衛兵達を勝手に従えて戦争ごっこに興じる問題児であった。駄々を捏ねて亡命軍幼年学校に入り、偽名で勝手に亡命軍士官学校の試験を受け合格、紆余曲折の果てに厳しく指導すれば止めると考え教官達が本気で指導したのに食らいつき上位席次で卒業してしまった。

 

 止めは怖がらせて軍を辞めさせようと戦闘中の地上部隊の補給科事務に配属したのに撤退した敗残兵を勝手に束ね、軍用サーベル片手に敵陣に銃剣突撃を命じてくれたと来ている。敵陣占領と引き換えに肩や頬等に銃撃を受け、血まみれの姿で占領した陣地で軍旗を振るう姿は当時の上官達を失神させるに十分過ぎた。

 

 この問題児も結婚させれば大人しくなるだろうと、態態武門の出ではないローデンドルフ伯爵家の大人しい当主と無理矢理結婚させた。そして何だかんだあって子供も出来てこれで安心……ではなくて子供を産んだら何故か前線に戻って来た。跡継ぎはもう産んだので問題ない、という事らしい。制止すべき夫は完全に尻に敷かれていた。

 

 その後も数度の戦傷と戦功、その性格と血統とカリスマで兵士達から謎の信仰を獲得し今では亡命軍地上軍少将にして『北苑竜騎兵旅団』旅団長の役職を得ていた。毎度毎度良識的な上司と同僚と部下の胃を粉砕してやべー輩とつるむやべー奴だ。

 

「で、そんなトラブルメーカーが今の私の上官の訳だが……」

「ん?ヴォル坊、何か言ったか?」

 

『リグリア遠征軍団』旗艦「ジグムント」(第二次ティアマト会戦時代の旗艦級戦艦を近代化・地上戦支援に改修した艦だ)の艦内で、ローデンドルフ少将は隣に座る私の独り言に目敏く反応する。

 

「い、いえ……少し酔いが回っただけですよ、叔従母様」

 

 私は必死に笑みを浮かべて色々とぶっ飛んでいる叔従母に答える。

 

 宇宙暦789年9月1日2100時、即ち時間でいえばそろそろ就寝時間になる訳だが、夕食後に叔母でもある上官に誘われ私は高級ホテルのような士官用のガンルームの一角で、叔従母とその重臣達(つまりやべー奴ら)とアルコールと共に世間話に興じていた。いや、世間話というには少々物騒であろう。彼らの会話内容を聞けば善良な同盟人は泡を吐いて気絶するであろうから。

 

「つまりですな。偉大なる大帝陛下は慧眼にも人民が如何に衆愚で短絡的な思考回路しかないかを理解しておいでだったのです。故に大帝陛下は90年戦争や銀河統一戦争のような戦乱を回避し人類社会の長期的安定を目指し、そのために自らが後世の非難を受ける事すら支配者としての義務として受容し正義の政策を推進していったのです。その結果は五世紀経た現在の銀河情勢を見れば明らかでしょう」

 

 発刊した書籍全てがその危険思想からハイネセン等の主要星系で発禁処分を食らい、逆にフェザーンを介して帝国の知識人層等相手に三〇〇〇万部を売り上げたシュリードリン准将が、目の前で同僚達にブランデーの入ったグラスを手に持論を語る。

 

「外縁宙域には未だに複数星系を統治する高度な星間国家が発生せず、混沌の中にある。同盟にした所で所詮長征した奴隷共が広大なサジタリウス腕に原住する蛮族を制覇出来たのは銀河連邦時代から連綿と維持されてきた帝国の科学技術のために過ぎぬ!奴らは大帝陛下が人類社会を衰退させたとほざくが現にこの銀河情勢からこれ程説得力を伴わぬ戯言はほかにあるまい!」

「そうだ!その通り!」

「所詮ハイネセンの歴史学者共なぞアルタイルの奴隷共の御用学者に過ぎぬわ!」

「自分達の血が穢れているからと嫉妬し大帝陛下と偉大な同志達の偉業を貶すなぞ笑止千万よ!」

 

 シュリードリン准将と同志達が威勢よく叫び琥珀色の液体を「乾杯!」の掛け声と共に喉に流しこむ。

 

 ……突っ込み所は沢山あるが、中途半端に事実も含んでいるのが質が悪い。実際、銀河連邦の最盛期レベルの科学技術を辛うじて維持できているのは帝国と同盟、そしてフェザーンのみだと言える。これらの「文明圏」の外側には放棄された旧植民地があるのだが、今は宇宙海賊や犯罪組織が跋扈している。その総人口は数十億人とも言われるが、当然治安は最悪、惑星によっては千年単位で文明が衰退してしまった蛮族の地と化している。同盟もまた帝国から生まれ出た「憎しみ合う双子」の「弟」である以上、帝国の存在が人類文明の存続に貢献したと言う学説は帝国やフェザーンでは根強い支持を受けていた。

 

「常々私も周囲に啓蒙しているのだがね、戦争というものは凡そ人類の行う文化的活動の中で最も高尚で必要不可欠なものである事は間違い無いものだ」

 

 一方、別のソファーではグラスに注いだ赤葡萄酒につまみのカリーヴルストとザワークラウトを楽しみながら風船のように腹を膨らませた大佐は満面の(そして凄惨な)笑みを浮かべる。

 

「古代より戦争が社会体制の効率化を促し、技術の発達を促してきた。同時に戦争と言う極限状態が人の剥き出しの欲望を晒しだし、美徳を見せつけ、それを観察する事で道徳の発達に寄与してきたのだ。即ち何が言いたいかと言うとだね………私は戦争が大っ好きという事だよ!」

 

 いっそ清々しい程の笑顔を浮かべオリベイラ教授も引きそうな戦争論を語るフレーダー大佐。うん、こりゃあ確かに士官学校強制退学させられるわな。

 

「………!……!?………!!!」

「ティルピッツ様。旦那様は明日、連隊同士の合同試合を行いたいと申しております」

 

 リリエンフェルト大佐の手話を付き人が淡々と翻訳する。うん、分かった。

 

「どうしたのかね准将?酒が進んでいないようだな?口に合わないのなら別のを用意させましょうか?」

「お前達のせいだよ、馬鹿野郎共め」

 

 ソファーの上で腕を組み気難しい顔をするカールシュタール准将は静かに尋ねるノルトフリート大佐に苦々しく呟く。毎度毎度同盟軍との会議中に暴言と差別用語を平然と投下する上官と同僚と部下達のせいで戦闘前から彼の胃は破綻していた。

 

 あ、因みに多分私も「馬鹿野郎」の中に含まれていると思うからね?(同盟における風聞的に)

 

「ははは、カールシュタール。貴様は昔から苦労症の上小心者だな?良いじゃないか、同盟の市民軍の奴らが口を間抜けに開くわ、顔を赤くするわ青くするわ、滑稽で愉快なものさ」

 

 部下の態度を見てはははっ、とソファーに手を掛けながらカクテルを口に含む叔従母である。

 

 ……いやいや、カールシュタール准将の態度は普通だからね?皆が色々ぶっ飛んでいるだけだからね?

 

「んんん?どうしたヴォル坊!浮かない顔だなぁ?ははは!まさか久々に前線勤務で不安なのかぁ?」

 

 アルコールにより酔っているからだろう、頬を火照らせて私に陽気に尋ねる叔従母。

 

「ま、まぁそんな所ですかねぇ……?」

 

 この場にいる問題児共のせいだよ、とは流石に言えないので叔従母に合わせる私である。

 

「はっはっはっ!!安心するがいい!今回ばかりは何も危険な事なぞ起きんさ。何せこの私が保護者なのだからな?」

 

 私の内心を知ってか知らずか、ほろ酔い気分で自慢げに腕を組み叔従母は語り始める。

 

 司令官ローデンドルフ少将、副司令官をオットー・フォン・シュリードリン准将に定め亡命軍の一個竜騎兵旅団及び第一五地上軍団の三個師団と一個装甲旅団、司令部直属の二個装甲擲弾兵連隊、一個猟兵連隊及びその他支援部隊………そこに同盟軍より私の連隊を含む一個陸上軍師団及び二個陸戦連隊、その他支援部隊からなる『リグリア遠征軍団』の兵員は五万八五〇〇名に及ぶ。

 

 しかもこれら部隊は全て常時定員以上で充足させたフル編成であり、物資は潤沢で、熟練兵も優先的に配備された精鋭部隊ばかりが選ばれている。

 

 特に『北苑竜騎兵旅団』は初代皇帝ユリウス・フォン・ゴールデンバウム(ユリウス二世)が亡命前に指揮官に任じられ、亡命計画において多大な貢献をした名誉ある部隊、亡命軍にとってその部隊名の重さは近衛師団にも匹敵する。その練度は亡命軍の中でも一、二を争い、その士気は恐らく亡命軍部隊の中でも最高であろう。

 

 そんな精鋭軍団と言える『リグリア遠征軍団』は、しかし知っての通りその第一の目的は極めてあきれ返るものである。ヴォルター・フォン・ティルピッツ宇宙軍中佐……即ち私にこの作戦にて「安全」かつ「確実」に戦功を立てさせるために編成されたようなものであった。

 

 毎度毎度任地に就く度にトラブルを起こす私に母は眩暈を起こし、その度に伯父である皇帝やら重職にある親族に泣きつくので宮廷からしてみればガチガチに周囲を守ってそのような事態を回避したいと思ったのだろう。私個人の才能は兎も角、皇族の血を引き、軍部に影響力のある武門三家の一つの唯一の直系だ。死なれたら困る。

 

 同時に同盟軍からしても責任を取りたくなかったのだろう。毎度毎度上層部に亡命政府からのクレームが来る上、送りつけた先の上司の胃袋をストレスで粉砕するのだ。噂では誰も私を部下にしたくないとか言って押し付け合っているとか、実は私は帝国の工作員で高級士官をストレス死させようとしているのだ!なんて半分程本気で語られているとか……。

 

 両者の思惑が一致したのか『リグリア遠征軍団』の編成は比較的スムーズに行われた。因みに軍団幹部に思想的にアレな輩が多いのは私も同類扱いなのと私のお目付け役を買って出た叔従母がそういう人物ばかり集めて部下にしているという理由からだ。面倒な輩は一ヶ所に集めた方が良い、という事だろうか?

 

まぁ、何はともあれ………。

 

「ツェツィ従姉様も随分と心配していたからな。ここは一つ、私が可愛いヴォル坊の面倒を見てやろうと立候補したわけだ」

 

 我が母ツェツィーリアを実の姉のように慕っており、母もまたやんちゃな従妹を実の妹と同じように可愛がっていた事もあり、母と叔従母の関係は深い。しかも亡命軍少将という事もあり、自前で相応の人材と部隊を子飼いにしている叔従母が私の保護者を買って出るのはある意味必然であった。

 

「はい、母から御話は聞いております。此度については誠に御手数をお掛けして恐縮しております」

 

 私は謝意を伝えるが叔従母の方は手を振って構わない、と答える。

 

「はははっ!遠慮するなヴォル坊。このくらい何でもない。私達は家族だからな!同じ血が流れる血族同士助け合うのは当然だ!」

 

 元気良く笑う叔従母である。豪快で奔放なこの叔従母がトラブルメーカーで悩みの種になっても敵視され憎まれないのはこういう貸し借りを根に持たず、身内思いな所が理由なのだろう。

 

 ………尤も、この叔従母もあくまで私が相手であるから友好的であるに過ぎないのも事実だ。親戚ではない、同じ帝室、あるいは名門の血が流れない者や子飼いの部下以外に関してはこの叔従母も悍ましい程冷淡であるのもまた事実であった。かつて遠縁の親族が戦死した際、この叔従母は子飼いの軍勢を率いてその戦地に出向き、親族を戦死させたであろう敵部隊を降伏も許さず文字通り徹底的に殲滅し、掃討し、殺戮したという。その苛烈さと執拗さは常軌を逸しており、現地で共同していた同盟軍が見るに見かねて抗議まで来た事があるという。

 

 その際、叔従母は司令部キャンプに抗議に訪れた同盟軍の使者に対して玉座のように野戦用折り畳み椅子に座り込み、泥のついた軍靴を従士に磨かせながら塵を見る目でこう罵倒したという。

 

『復讐は高貴な血が求める当然の権利だ。一体何の資格を以て我の正統な権利を侵すか、下郎めが!!』(当然後で同盟軍と亡命軍でトラブルになった)。

 

 身内にはとことん寛容で、優しく、甘く、それ以外にはどこまでも冷淡で、冷酷にも、残酷にもなれる貴族のグロテスクな価値観を純粋に受け継いだのがこの叔従母であった。そう考えると与えられる好意にも素直に頷けないのも当然だ。私がどんな道徳的に問題がある我儘を言おうともこの叔従母は先程のように気楽に笑いながら部下に用意させるだろう。

 

 だから、私は心から親愛を込めて声を掛けてくれる叔従母に、しかし遠慮した愛想笑いを浮かべる事しか出来なかった。そしてそれは、相手に表裏が無い事が分かるがため、罪悪感として私の胸を締め付けるものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一辺が7.31メートルの正方形に仕切られた闘技場リング、その上で重装甲服に身を包み、戦斧を構える私は静かに正面の敵を見据えていた。相手もまた重装甲服に戦斧を携え、完璧な構えで微動だにせず私を待ち受ける。

 

(隙が……無い………!!)

 

 両者共に動かずに三〇秒は経っているだろう。これが興行用のボクシングなら何をしているんだ?と観客からブーイングの嵐であろうが、生憎とそんな事を無責任に叫ぶ者はこの場にいないし、私も仮にブーイングが来ようとも動く事はないだろう。下手に動けば殺られる事は分かっていた。幼少時にはライトナー家の当主や長老達に、幼年学校ではアレクセイやホーランドに、士官学校でも散々に死亡評価を頂戴した私には最早気配で分かる。動いたら秒殺される、と。

 

「…………」

 

 私は隙を見せないように戦斧をひたすら構える。とは言え戦斧自身も決して軽くはない。体を鍛えていても、隙を見せずにいつまでも軽くない戦斧を持ち、しかも集中力を維持するのは容易でない事もまた確かだった。

 

「………っ!」

 

 遂に私は耐えかねて攻勢に出る。上から戦斧を振り落とす……ように見せかけて戦斧の軌道を変えて横腹を薙ぎ払おうと襲い掛かる。だが………。

 

「甘いですな、視線はヘルメットで隠せても、頭が僅かに傾いてますぞ?」

 

戦斧の柄で横腹に襲い掛かる刃を止めた相手はバリトン調の声で悠々と理由を告げる。

 

「ちぃっ……!」

 

 すぐに私は第二撃に移る。戦斧相手の肩口目掛けて振るう。だが頭を下げてその攻撃を避けると次の瞬間には私はあっという間に攻守を逆転される。

 

「右!それ左!次は上!下、また上!下!上……!」

 

 敵は敢えて攻撃してくる方向を私に伝えながら戦斧を振るう。悔しいが私はその声に従うように相手の連撃を受け止める。

 

「ぐっ……!」

 

悠々と攻撃しているように見せて一発一発が重い……!

 

 遠心力も利用しているのだろう、その動作にして中々受け止めるにも苦労する攻撃である。とは言え私も素人ではない。辛うじてであるがそれを受け止め、あるいは受け流し、隙を見つけては反撃の構えを見せる。

 

だが………。

 

「ほぅ、やはりこの程度では駄目ですかな?では……!」

「つ……!」

 

 相手の攻撃が一段と激しくなる。一撃一撃がより速く、より重く襲い掛かる。それだけではない、フェイントと足技を交え始め私の集中力を削ぎ、決断力を鈍らせていく。

 

「糞っ……!」

 

私は相手の猛攻に耐えかねて、距離を取り体勢を立て直そうと後方に下がる。

 

「マジかよっ………!?」

 

 私が後方に下がると共に相手が一気に踏み込んだ。思わず目を見開いたよ。数メートルの距離を瞬時に詰められたのだ。殆ど瞬間移動同然だった。

 

この時点で詰んでいた。懐に入られた私は戦斧を振るえず、反撃するのは困難だった。

 

「うぐっ………!!?」

 

 横腹に衝撃と電気ショックが襲い掛かる。その刺激に私は呻き声を上げると共に体が仰け反る。手足が痺れ、戦斧も碌に持つ事が出来ない。横腹を切り裂かれたのだろう、重装甲服の右腹部の特殊繊維が私の負傷部位を締め上げる。重装甲服の機能の一つであり、負傷部位の出血を抑えるために服内の簡易コンピュータが傷口周辺を圧迫するように出来ているのだ。

 

 苦悶の声を上げる私、そこに止めの一撃が襲う。戦斧の柄が次の瞬間目の前に迫っていた。避けようとするが意志に逆らい体は動かない。つまり……。

 

「ガっ……!?」

 

ヘルメット越しに脳天に受けた衝撃に私は倒れ込んだ。

 

『右腹部裂傷、及び頭部脳震盪により戦闘不能、三分後に死亡』

 

重装甲服のヘルメットの中に備え付けられたスピーカーから、訓練支援用コンピュータが私に死亡宣告を行った。

 

「う……ぐっ……もう少し手加減してくれても良いんじゃないですかねぇ?少佐?」

 

 呻きながら闘技場の床に倒れる私は、ヘルメット越しに額と横腹を摩りながら、半分冗談めかして独立第五〇一陸戦連隊戦闘団第四歩兵大隊隊長であるワルター・フォン・シェーンコップ少佐へ愚痴ったのだった。

 

 

 

 

 

 

「いやいや、これは臣下としての誠意という物ですよ、敵は手加減なぞしてくれませんからな。自分の実力を見誤って馬鹿な行動を起こされぬように指導申し上げているのですよ」

「さいですか」

 

 揚陸艦に設けられた艦内闘技場、そのリングの一つにて前評判通りにシェーンコップ少佐に訓練用戦斧でズタボロに倒された私は闘技場の端でげんなりと倒れ、肩をすくませる。

 

「若様、大丈夫で御座いますか……!?」

 

 慌ててベアトが私に駆け寄り重装甲服のヘルメットを外す。次いでノルドグレーン中尉が冷たく濡らしたタオルで額の汗を拭き、内出血して僅かに腫れる場所を冷していく。

 

「シェーンコップ少佐、少々やり過ぎではありませんか?」

 

 私の重装甲服の関節部を緩めた後、非難がましくベアトは不良士官を詰る。彼女からすれば訓練で自身の主人がここまでなぶられなければいけない筋合いは無かった。

 

「いや、良いんだ。お陰様で自分の実力を再確認出来た。……やっぱりヤバいな、そっちの部隊は」

 

 私も陸戦技能は結構上だったのだ。修羅場もそれなりに潜っている。無論、「あの」不良中年に勝てるとは思わないし、学生時代ですら散々負けてきた。だが……。

 

「それでも昔はもう少し食らいつけたんだけどなぁ……」

 

 学生の頃は十回に一回位はどうにか勝てた。それが今や一方的な虐殺と来ている。しかもシェーンコップ曰く、連隊内で自身より強いのは半ダース、良い勝負が出来るのなら二ダースはいるとの事だ。笑えないね。

 

「まぁ、そう悲観する事もないでしょう。連隊長が態態最前線で戦斧を振り回す事態なぞ滅多にありませんからな」

 

 シェーンコップ少佐はヘルメットを外すと苦笑いし、肩を鳴らしながら一応のフォローを入れる。

 

「私のこれまでの経歴を見てそれを言えるかね?」

「………」

「いや、黙るなよっ!!?」

 

笑い飛ばせよ!泣けて来るわ!!

 

「随分と賑やかですな。御二人とも、どうですかな、鍛練の方は?」

 

 その声に私とシェーンコップ少佐は同時に振り向く。闘技場で観戦をしていた、あるいは鍛錬をしていた兵士達は一斉に入室者に背筋を伸ばして敬礼で答えた。

 

 付き人の従士二名を従えた独立第五〇一陸戦連隊戦闘団副連隊長ヘルマン・フォン・リューネブルク中佐は小気味の良い笑みを浮かべる。

 

「鍛練、というには少々語弊がありますかね?見ての通り一方的に揉まれていますよ」

 

 私は先任の中佐であり、士官学校の先輩でもある副連隊長に向け答える。

  

「ティルピッツ殿はシェーンコップ少佐と違い陸戦専門ではありませんからな、仕方無い事でしょう。シェーンコップ少佐、どうかね?伯爵殿の腕は?」

 

 リューネブルク中佐はシェーンコップ少佐に苦笑いを浮かべ尋ねる。

 

「……一方的に殴り続けた身でこういうのは何ですが、悪くはないでしょう。後方勤務や参謀職に就いていた期間を考えれば上出来です。護身に限定すれば装甲擲弾兵にでも一対一で出くわさない限りは十分でしょうな」

 

 顎に手を添え暫し考えた後、訓練用戦斧を肩に乗せて不敵な笑みを浮かべながらシェーンコップはそう評価する。

 

「だ、そうです。連隊長の仕事は戦斧を振るうよりも部隊の管理と指揮です。そう卑下するものではないでしよう」

 

 シェーンコップ少佐の評価を聞き、副連隊長は問題ないと太鼓判を押す。

 

「だと良いのですがね……」

「不安なら部下を頼る事ですな。元々伯爵に白兵戦までしてもらう必要なぞありませんからな。そうでしょう?ゴトフリート少佐?」

 

 不良士官は私を甲斐甲斐しく世話するベアトの方に話題を振る。ベアトは少し不機嫌そうな表情をしつつも口を開く。

 

「当然で御座います。主君が細事を気にせず務めを果たせるように御支えするのが従士の役割、雑兵なぞ若様が態態相手をせずとも私達だけで十分で御座います」

 

 そう口にして私の方を見るベアト。恐らくは同意を求めての事だろう。あるいは認識の差異が無いかの確認か。

 

「ああ、出来ればそんな事態はご免被りたいな。私は陸戦一筋じゃない。中佐にもなってそんな事態は懲り懲りだよ」

 

私としてもそんな状況笑えないのでベアトに同意する。

 

「さて、私は少し休憩させてもらおうかな?シェーンコップ少佐、随分と容赦なくやってくれたな?まだ眩暈がするぞ?」

 

 訓練用戦斧で殴りつけられた頭を擦りながら私は闘技場のリングから出てベンチに座り、周囲を見やる。第七八陸戦連隊戦闘団と独立第五〇一連隊戦闘団の共同訓練という事もあり、双方の連隊のメンバーがリング上で戦斧ないし短剣、あるいは徒手格闘による試合を行い、あるいは射撃訓練に精を出す。全体としては若干こちらの連隊が負け越しているが、流石にその事を叱責する訳にはいかないだろう。

 

「薔薇の騎士連隊」……即ち独立第五〇一連隊はエル・ファシル陥落以降の幾つかの防衛戦に参加、それ以前の同盟外縁星系の紛争や特務作戦への従軍も含めた功績から部隊の再編と拡充を受け連隊戦闘団に再編成された。既存の歩兵部隊だけでなく若干とは言え砲兵部隊・機甲部隊・航空部隊を追加し、偵察部隊・工兵部隊・補給部隊・衛生部隊を増強、人員拡大に応じて事務員も増やした。人員三六〇〇名は実質的に旅団に近い規模だ。

 

 亡命政府、あるいは投降帝国兵より選別した兵士達に数年に渡って訓練を施し、外縁星系等での紛争や対帝国戦などの実戦に投入して研鑽に研鑽を重ねたのだ。そこに潤沢な予算と装備を合わせれば当然一騎当千の兵士達が生まれる。

 

「手当と生活環境も中々ですからね。私としても喜ばしい限りです」

 

 リューネブルク中佐とヴァーンシャッフェ少佐の一騎打ちを見ている中で、ベンチの隣に座るシェーンコップ少佐が私に補足説明する。幼い娘がいるので給金が良いのは喜ばしい限りのようだ。

 

「その分働いてもらうけどな。薔薇の騎士を養う金は亡命政府が出しているんだから」

 

 スキャンダルまみれで一度見捨てられた連隊に再び宮廷が人と金を投資したのだ。その分宣伝部隊として、あるいは亡命政府が同盟軍名義で動かせる部隊として相応の働きをしてもらわなければならない。

 

「分かってますよ。だから我々も御守りに派遣されたのでしょう?」

「むぅ………それを言わないでくれないか?」

 

 にやりと笑みを浮かべ指摘されると私としては言い返せない。『リグリア遠征軍団』が私の御守りを請け負っているのだから、その一部である薔薇の騎士連隊もまた御守り役の一部であるのは当然の図式である。そも、連隊への再投資にはティルピッツ伯爵家も一枚噛んでいる。連隊再編に際して士官下士官の一部に伯爵家の息のかかった者達が送り込まれているのだ。彼らが『リグリア遠征軍団』に編入されているのはスポンサーの一員が私の実家だからだ。

 

「別に責めている訳ではありませんよ。こちらとしてもそう悪い話じゃありませんからね」

 

 少なくとも部隊の特性上捨て駒同然な使われ方はないし、支援も潤沢だ。御守りとは言え余程の事が無い限り「薔薇の騎士連隊」が危険な状況に陥る事はない筈だった。

 

「曲りなりにも亡命政府や貴方には食い扶持を貰っている恩義がありますからね。給料分の忠誠は誓いますよ」

「給料分、ね」

 

 毒舌……と言う程ではないがやはり不良中年は不良中年のようだ。丸くなってこれならモノホン相手なら口でも太刀打ち出来まい。

 

「そう不満そうにしないで下さいよ。給料に関係ない無償の忠誠心なら付き人にでも求めて下さい」

 

 そう指差す先ではベアトとノルドグレーン中尉が薔薇の騎士連隊の隊員……何時ぞやのライトナー家の兄妹と模擬ナイフで鍔迫り合いを行っていた。

 

「ライトナーの分家筋でしたな。今は連隊の偵察隊所属ですが……あの二人相手にあれだけ食らいつけるとは。意外ですな。よほど鍛錬していたのでしょうな」

 

おう、多分毎回私がトラブルに巻き込まれるせいでな。実家から小言受けているんだろうなぁ………。

 

「あの二人だって内心うんざりしてそうだけどな。実家からの叱責なんか無ければ外れたいと思っていても不思議じゃないぜ?」

「安心して下さい。そんないい加減な態度ではあれ程技術は磨きあがりませんよ」

 

ライトナー兄妹相手に一進一退の攻防を続ける付き人勢を観察して不良士官は語る。

 

「そういうものかね?」

「そういうものです」

「そうか………」

 

私は小さく溜息をついた後、シェーンコップ少佐の方を見る。

 

「で?話を誘導して何が目的だ?」

「バレましたか?」

「話の持っていき方に違和感があったのでね」

 

 スポーツ飲料を飲みながら私は答える。何だかんだあってそれなりに付き合って来た時間がある。本心を隠し、演技が得意な不良士官相手でも少しくらいは違和感がある事に気付く。

 

「誰の差し金だ?」

「第六地上軍のバルトバッフェル中将からですな」

「はは、マジかよ」

 

 母は老境にある現バルトバッフェル侯爵の孫娘である。

 

 バルトバッフェル侯爵家自体が権門四七家の一つであり、初代当主はルドルフ大帝の従兄弟という事もあって非常に帝室に近い一族で、宮廷でも特異な立ち位置にある。第六地上軍司令官バルトバッフェル中将は現当主の孫であり、次期当主であり、母の兄に当たる人物だ。同盟軍士官学校を22位の席次で卒業して以来順当に功績を上げて、今では同盟地上軍における帝国系の牙城である第六地上軍(構成員の八割が帝国系・投降帝国兵・混血が占める)の司令官の地位にある。流石に『リグリア遠征軍団』のクレイジー軍団に比べればまともであるが、それでもナチュラルに特権階級的な思考を有する人物である。少なくとも私が生まれた時、母に出産祝いに荘園あげた位には貴族している。

 

「地上軍と宇宙軍陸戦隊は競合している筈だが……ああ、『薔薇の騎士連隊』の人材引き抜きでパイプがあるのか」

「貴方が口添えしましたからな。伯爵家と姻戚関係にある侯爵家からも人が送り込まれています」

「よし、話が見えて来たぞ?母だな?母から中将、でお前さんに話が流れているんだな?」

 

 同時に監視と探り入れも、とは言わない。流石にそれで責めるのは気の毒だ。同時に話を誘導する目的も分かった。

 

「その手の話は棚あげだ。作戦中にそんな話したくないぞ?」

「私だってしたくありませんな。優柔不断な雇用主の夜の事情になぞ、何で私が探りを入れないといけないんです?」

「お前さんがやり手に見えるからだろう?」

「私は妻一筋なんですがね?」

 

 不機嫌そうにぼやく食客。いやいや、愛妻家している所悪いがお前ルート間違えたら「金銀妖瞳」並みにアレだからな?貴様が逆ナンパされてる事知っているんだぞ私は!

 

「大体、元を正せば貴方が態態付き人を両方淑女にするのがいけないんでしょう?妙な勘繰りを入れられるのもそのせいなんですから」

「その文句なら餓鬼の頃の私に言ってくれ」

 

私は逃げるようにそう言い捨てる。言いたい事は分かる。分かるが………。

 

「……出来ないだろ?」

 

 私は苦い表情を作り小さく呟いた。それはどうしても、貴族的価値観に順応している今の私には出来そうに無い事なのだから………。

 

 

 

 

 

 

 

 一大反攻作戦「レコンキスタ」に対して、宇宙艦隊副司令長官クラーゼン上級大将を総司令官とした帝国軍サジタリウス腕方面討伐軍は一旦戦線を下げ、戦力の集中を行った。

 

 宇宙暦789年9月7日1315時、遂に同盟軍は帝国軍の防衛線に到達して最初の戦闘が生じた。第10星間航路にあるコぺルニウム星系第三惑星軌道にて第一〇艦隊第三分艦隊所属第一〇一八駆逐隊がほぼ同数の帝国軍哨戒艦隊と遭遇、撃破した。同日1540時には第4星間航路のアクシオン星系第九惑星軌道上にて第八艦隊第二分艦隊所属の第八八七巡航隊が帝国軍駆逐隊の撃退に成功した。

 

 これを皮切りに前線各地で十数隻から数百隻単位の小競り合いが発生し、9月7日から9月12日までに計一五〇回の衝突があった。同時に小規模な陸戦も並行して行われ、小惑星帯や無人惑星の通信基地や補給基地を巡り小さなものでは中隊規模、大きいものでは連隊規模の戦闘が散発した。

 

 最初に大規模と言える戦闘が起きたのは今年1月頃に放棄された人口二八〇万を有していた惑星ロクスの争奪戦である。同盟軍第一〇艦隊第四・第五分艦隊を中核とした五五〇〇隻が、同惑星を防衛していた第五軽騎兵艦隊艦隊副司令官フリーデブルク少将率いる二個梯団六〇〇〇隻を打ち破った。

 

 その後衛星軌道上の戦闘艇部隊を排除、第一〇宇宙軍陸戦隊所属の第一〇五・第一〇六陸戦師団と第三地上軍所属の第一四遠征軍、ロクス星系警備隊義勇軍による地上部隊三五万名が降下、迎え撃った帝国地上軍約一五万名は二週間の激闘の末、9月27日に降伏した。以降、宙陸共に一気に戦闘の規模は拡大していく事になる。

 

 そして9月25日、シャンプールの作戦司令部からの命令に従い、『リグリア遠征軍団』は第六艦隊第四分艦隊、第六地上軍第二四遠征軍、その他独立部隊と共に第10星間航路の占領惑星解放の任務に就く事となったのであった………。




叔従母様のやべー部下達の元ネタ

シュリードリン准将→北米にコロニー落ししそうな親衛隊司令官
フレーダー大佐→最後の大隊を率いてそうな大隊指揮官代理殿
ノルトフリート大佐→銀の車輪に協力してそうな装甲列車大隊長

元ネタ的に原作時空だとこいつら地球教辺りと協力してローエングラム朝にテロしてそう

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