帝国貴族はイージーな転生先と思ったか?   作:鉄鋼怪人

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第百八十九話 まだ残機は残っているから……(後書きに考察的なもの有り)

「やれやれ、こんな道を使う事になるとはな……」

 

 イゼルローン要塞の一角にある用水路から這い出した重装甲服を着こんだワルター・フォン・シェーンコップ中佐はうんざりした口調でぼやく。数十万人に生活用水を提供する水道管の中を進むのは危険と隣り合わせであった。下手すれば水の流れに巻き込まれて何処に行くか分からない。最悪水道管の中で遭難して窒息死なんて事もあり得た。無酸素の宇宙空間でも運用出来、パワーアシストもある装甲服でも着ていなければ自殺行為そのものである。

 

「昔はもう少しが流れが緩やかでしたし、管の中一杯まで水が詰まっている訳でもなかったのですがね。同業者が横流し品や亡命希望者を水道管を使って流して軍港近くにまで輸送するなんて手を使っていたんですが……この分ですと発覚して対策されたようですね」

 

 後から軽装甲服を着た案内人……フェルナー中佐の副官でもあるヤーコプ・ハウプトマン大尉が片手に外した用水路の金網を持って、肩を竦めて自己弁護する。実際問題、要塞の警備システムを誤魔化してここまで移動する事の出来る手段はそう多くはなかったので仕方ない。

 

「ここは……見た事があるな。恐らくは食料生産施設、それも門閥貴族用のか」

 

 続いて用水路から現れた軽装甲服のファーレンハイト中佐が周囲の様子を見た後にそう呟いた。

 

 溜め池を兼ねた用水路から上がった彼らが見た光景は、到底宇宙要塞内部の光景としては似合わないものだった。

 

 要塞内部というよりかは地方惑星の荘園を彷彿とさせる。恐らくはドーム会場十個分はある空間、その天井には人工の照明設備があり、映像によって擬似的に作り出された青い空と白い雲が存在していた。

 

 足をつける床は人工物ではなく土だった。溜め池を兼ねた用水路の周囲にあったのは畑である。機械を殆ど使わず、手作業方式で生産される農作物が要塞内部に青々しく実っていた。その農作物もまた同盟やフェザーンで良くある遺伝子組み換え品種ではなく、あくまでも昔ながらの交配により作り出された品種ばかり。しかもどれもが高級品種ばかりだ。

 

 聞き耳を立てれば家畜のものであろう動物の鳴き声もする。恐らくはこれも同盟やフェザーンのシステマチックな生産工場ではなく、昔ながらの牧場を思わせる代物である事だろう。動物の鳴き声は明らかに伸び伸びとしたものであった。

 

「門閥貴族はオーガニック至上主義でしたかな?新鮮かつ天然物以外は舌が受け付けないとか言って、前線にこんなものを拵えるとは贅沢なものですな」

 

 のどかな田舎と言っても通用しそうな光景を見てシェーンコップ中佐は嘯いた。贅沢な事であるが、同時に監視設備もないこの手の貴族専用施設は忍び込むのに都合が良いのも事実だった。それに、この手の貴族用設備は大概要塞の外縁ブロックなぞではなく安全な中枢部ブロックに設けられている。それはつまり……。

 

「さて、時間が押していますから急ぎましょう」

「ここまで来たとなれば後戻りも難しいでしょうからな。後は突っ切るしかない訳ですな。……やれやれ、若様も無茶を仰るものです」

 

 ハウプトマン大尉の催促に不良士官が苦笑を漏らす。そして、背後を振り向き、手で合図を送る。

 

 溜め池から次々と現れる人影……重装甲服ないし軽装甲服を着こんだ兵士達。数は精々三十名かそこらか……。

 

 下水道を使って警備システムと帝国兵を誤魔化して、ファーレンハイト中佐とハウプトマン大尉が孤立していた第七八陸戦連隊戦闘団及び第五〇一独立陸戦旅団第二大隊を中核とした別動隊揚陸部隊の前衛と接触、有線ケーブルによる揚陸部隊本隊との通信を回復したのは三時間程前の事である。

 

 更にそこから通達された任務のために孤立部隊から選抜された彼らは、ファーレンハイト中佐、ハウプトマン大尉等イゼルローン要塞での勤務経験のある案内人に誘導される形で『目的地』へと向かう。

 

 全ては制限時間が過ぎて何もかもが消し飛ぶ前に確保しなければならなかった。同時にそれは余りに困難な任務でもあった。だが、だからといって投げ出す訳にはいかなかった。最悪彼らが失敗しても外の同盟軍の大艦隊が助かるための算段はついているが……内部に残された一五万に及ぶ味方が本国に帰還するためにはこの三十名の働きは欠かす事の出来ないものであり、その責任は重大なものであった。

 

 用水路から農園へと足を踏み入れ一人また一人と装甲服を着こんだ兵士達が案内人の後に続く。 「流石に水に濡れたままこの先を進むのは不味いですね、足下がびしょ濡れだと流石に怪しまれます。まずは身体を拭いて……待て、全員隠れろ……!」

 

 遠目に農園室のゲートが開いたのを確認したファーレンハイト中佐の命令に、後に続く半数が黄金色に実る小麦畑の中に潜むように隠れ、残る半数はそのまま用水路に身体を沈める。その後、数分程して現れたのは哨戒のために部屋へと足を踏み入れた数名の帝国兵であった。

 

「たくよ、まさかこんな散歩みたいな仕事を拝命することになるなんてよぅ。これじゃあ一生したっぱのままだぜ?糞、早く功績上げて出世したいぜ……」

 

 芝生と土の上を軍靴で踏みしめながら先頭の帝国兵が不満げに呟いた。それに続くように背後の他の帝国兵士が会話に乗っていく。

 

 

「はっ、お前なんか前線に出たってすぐにくたばるだけさ。そんなに専科学校落ちて兵士から任官したのがショックなのかよ?」

「当然だろうが。畜生……俺はな、本当は士官学校に行きたかったんだぞ!?それが何だ……したっぱ兵士なんて給料は安いし、訓練はきつい、しかも飯も不味いと来てやがる。……出た学校でスタートする階級が違うなんて不公平だと思わねぇか?」

「それはお前さんの頭が馬鹿なだけさ。偏差値や倍率見た時点で無理だって気付けよ間抜けめ。ただまぁ……お貴族様はみーんな少尉からだしなぁ。エアコン効いた部屋でお付きまでいらっしゃる。旨い飯に葡萄酒付きらしいしな。羨ましいものだよなぁ」

「ふぁぁ、にしても眠いな。反乱軍が攻めて来てるといってもこんな所まで来てる訳ないだろうによ。たく、さっさと終わらせて官舎に戻ろうぜ……?」

 

 欠伸をして、やる気のなさそうに雑談しながら農園をぶらぶらと歩くその姿を見ていると最前線のイゼルローン要塞に勤務しているようにも、そのイゼルローン要塞の外と中双方で激しい戦いが繰り広げられているとも到底思えない。尤も、それだけこの要塞が難攻不落という事なのかも知れないが……。

 

「……このまま通り過ぎるのを待ちまし……っ!?」

 

 ハウプトマン大尉が軽装甲服のヘルメットに備え付けれた無線機でそう連絡をしようとしたと同時だった。小麦畑から踊り出して来た影が次の瞬間帝国兵の警備二人を背後から襲い、彼らが振り向いた瞬間にナイフでその喉元を切り裂いて一撃で無力化していた。

 

「なっ……!?」

 

 驚いて振り向いた所で更に一名、首を綺麗に切り落とされて死亡する。ごろっと土の上に落ちて転がった頭部は驚愕の表情のまま固定されていた。

 

「ひいぃ……!?」

 

 残る一人が慌ててブラスターライフルを構えようとした瞬間、三人の帝国兵を殺害したナイフが投擲された。空を切り裂く音と共に突き進んだ刃は兵士の顔面に突き刺さり、その肉を引き裂き、頭蓋骨を貫通して脳細胞を損壊させた。間違いなく相手は即死していた。

 

「これは中々……」

 

 ファーレンハイト中佐は額に一筋の汗を流して、ひきつった表情を浮かべる。見事な手並みではあった。最小限の出血だけで敵兵四名は無力化されていた。しかしながらそのやり口は見ていて愉快なものではない。

 

「デメジエール少佐!勝手な行動は……!!」

「通り過ぎるのを待つなんて悠長な事で御座いませんか?時間がないのです。こうしている一秒一秒が黄金の如く貴重だと言うのならばとっとと始末をつけてしまった方が有意義に思いませんか?」

 

 勝手な行動に苦言を口にしようとしたハウプトマン大尉に機先を制して答えるエーデルハイト・フォン・デメジエール少佐。表面上は賑やかに、しかし冷たく貼りつけたような微笑みを浮かべる従士階級の女性……。

 

「それに、私も別に短絡的に仕止めた訳ではありませんよ?ほら、これは使えるとは思いませんか?」

 

 恐らく元よりそれを狙っていたのだろう、血液が付着していない軍服を倒れる死体から剥ぎ取る。態態飛び道具を使わなかった理由は銃声もあるだろうが、それだけで無いことを全員が理解した。そして携帯端末にIDカードをせしめ、無線機を拝借し、更にはナイフを構えてその人指し指と親指を……。

 

「……やはりご令嬢が包丁以外の刃物を持つ姿は頂けないな」

 

 ゴリッ、あるいはガリッという擬音と共に行われる目の前の少佐の蛮行に僅かに顔をしかめるシェーンコップ中佐。序でに言えば彼の妻の場合は包丁すら危ないので碌に持たせていない。致命的なまでに要領が悪く、手先が不器用なせいで料理中に指を切り落とすどころか事故死してしまいそうだからだ。

 

 デメジエール少佐は必要なものを頂くと下着だけとなった死体を小麦畑の中に放り捨てる。

 

「私は女ですから体に合いませんが……四名分、誰がお使いになりますか?」

 

 暫しの沈黙……次いで小さくため息をついたシェーンコップ中佐がヘルメットを脱ぐとファーレンハイト中佐に顔を向けた。

 

「此方の指揮の代行を頼めるかな?」

「構いませんが、宜しいので?」

「何なら俺達だけで片付けても良い位だぞ?何せ此方はこそこそせずに済むからな。辿り着くのは此方が早い。……リンツ!ブルームハルト!今すぐ着替えろ!ハウプトマン大尉、道案内頼めるな?俺とついてこい!残りはファーレンハイト中佐の指揮下に入れ!」

 

 部下二名を指名し、次いで道案内役を選ぶと残りにそう命じたシェーンコップ中佐。そしてそういうや早く彼もまた急いで重装甲服を脱着していく。

 

 帝国軍の出で立ちをした兵士四名がこの高級将校向け食料生産施設から出て来たのは0415時の事であった……。

 

 

 

 

 

 私はその時、本来ならば致命傷というべき失態を犯していた。

 

 一瞬の思考の停止、それは通常であれば取り返しのつかない失敗となり得た筈だった。目の前の赤毛の少年の狙撃の腕前を私は良く知っていた。

 

 幼年学校が幾ら門閥貴族のボンボンばかりが通う所であるとしても、全員が全員ではない。そういう輩は大概地方貴族か文官貴族の出身であり、武門貴族の子息は例外だ。彼らは入学前から相応に鍛えられているし、入学後も士官学校への進学を目指す者が多いため比較的自己研鑽を怠らない。

 

 そして獅子帝とて生まれながらにして無敵でもなければ用兵を知り尽くした存在な訳がない。原作における彼の個人技から戦略の構想まで、その土台は当然ながら幼年学校においての教育がその少なくない比率を占めていたのは想像に難しくないだろう。つまりは幼年学校の指導は士官学校程ではないにしてもそれだけ内容としても充実しており完成度が高く、真面目に受ければそれなりの実力はつく代物なのだ。

 

 逆説的に言えばそんな幼年学校で狙撃の席次が二位であった事は十分異常であるし、私の記憶に微かに残る原作の幾つかのシーンから見ても赤毛の孺子のその腕前は恐るべきものである。

 

 だからこそ、私がこの時撃ち殺されなかったのは、はっきり言って運が良かった。それに尽きる。

 

「糞っ!よくもやってくれたな……!!」

 

 フェルナー中佐が護衛に置いた二人の傭兵、そのうちで生き残っていた片方が小銃を発砲した。同僚が殺られた事への怒り、そして相手の実力を認識したために先制攻撃とばかりに引き金を引いて乱射する。

 

「っ……!!」

 

 次の瞬間に目の前の長身の少年は身を翻し、背を低め、一発ライフルの発砲音が響き渡った。同時に傭兵は小銃の引き金を引いたまま仰け反って倒れこんでいだ。その額からは一筋の赤い血が流れていた。

 

「若様……!!」

 

 その一瞬の間隙を縫ってベアトが私の手を引いた。すぐ後ろに続くテレジアが小銃を撃って赤毛の少年の動きを牽制する。数秒後には私は滑り込むように味方が要塞の建材で作ったバリケードの影に滑り込んでいた。

 

「っ……!?」

「テレジア……!?」

「だ、大丈夫です……!!あ、足を掠めただけです……!!」

 

 同じようにバリケードの影に潜り込んだ従士がそう答えるが、それはついさっき額の怪我について言及していた時の口調よりも遥かに苦しそうであった。実際、視線を彼女の左足に向ければ、そのズボンが脹ら脛の部分からみるみる内に赤い染みが広がっていた。

 

「それは掠めたってレベルじゃないな……!!ベアト、応急処置をしろ!」

「若様、しかし……!!」

「いいから早くしろ!加勢はその後で良い……!!」

 

 ベアトに命令しつつ、私はハンドブラスターを構えてバリケードの影から相手の姿を窺う。

 

 金属の擦れるような機械音を漏らす義眼をバリケードの影から覗かせ、その内蔵カメラを拡大モードに変更する。同じように物陰に移りこむ血のように赤い短髪……次の瞬間発砲の閃光に反応して私は顔を引っ込める。バリケードの端に命中した弾丸が火花を散らし、ひゅんひゅんと弾が空を切る音が耳元に響く。怖っ、スコープも無しにそんな正確に撃って来るのかよ……!?

 

「ちぃ、狙いが良いっ……!っ!?」

 

 そう舌打ちすると共に私は背後からの気配に気付いて勢い良く振り向く。同時にハンドブラスターを連射して背後に回り込もうとしていた敵の奇襲部隊の陸兵を射殺した。身体に数発のレーザーを食らい倒れこむ帝国兵。

 

「危ねぇな……!!」

 

 赤毛だけでも厄介というのに……!!

 

(さてさてこれは……正面で主力が戦い、その内に背後から奇襲か。はっ、獅子帝様はこれまた随分と副官様を信頼されている事だな)

 

 一個小隊……五十名にも満たない兵士で、後方の控えかつ混乱している相手を狙ったとはいえ、二〇〇名を超える敵に挑もうなどと二つ返事で出来るものではない。それを……これは不味いな。逃げ道も断たれたとなれば各個撃破されかねない。少数に包囲殲滅されるとか洒落にならねぇぞ……!?

 

「厄介な事になったな、これでは先の展開が分からなくなった……!!」

 

 元より私としては要塞主砲の送電ケーブルを確保出来れば最善、駄目ならばそれはそれで無理せず背後から援軍が来る前に撤収も視野に入れていたのだが……この状況では送電ケーブルの確保が困難であるだけでなく、引き上げすら無事に出来るか分からなかった。金髪の孺子も赤毛の側近もヤバいが、時間を浪費すればそこに帝国軍の大軍が御来店する事になる。そうなれば完全に詰みである。

 

「とは言え……!!」

 

 バリケード越しに相手の発砲に反応して私もハンドブラスターで撃ち返す。ちぃ、誰か加勢してこいよ……!!?

 

 苛立ちながらちらりと周囲を見ても、居るのは倒れた味方か、あるいは他の敵兵と銃撃戦をしている者ばかり……頼りに出来そうにはない。

 

(私一人くらい見逃して……はくれないだろうな)

 

 恐らくは見られていた傲慢不遜な門閥貴族ムーヴのせいで、私の首はプレミア付きである。軍功に貪欲なこの時期の金髪がそれを見逃すとは思えないし、そんな主君を狙撃しようとしていた時点で赤毛にロックオンされたと見て良い。私や従士だけでこっそり落ち延びるなぞまず不可能だろう。最悪だな。

 

「若様……!!」

「ベアトか。……テレジア、傷は?」

 

 応急処置を終えたベアトが火薬式の実弾小銃を手に参戦してくる。私は入れ替わるようにちらりと足の傷の止血をして、包帯を巻いたテレジアに呼び掛ける。

 

「ど、どうにか止血は……ですが流石に単独で歩くのは少し困難ではないかと……」

 

 若干言い淀みつつも、正確に自身の怪我について報告するテレジア。そうか、一人で歩くのは難しいか……。

 

(となると撤収するには肩を貸すしかないが……素直に逃がしては……くれないか)

 

 赤毛の射撃をバリケードを影にしつつ防ぎ、御返しに牽制の発砲をしつつ私は考える。となると腹を括るしかないな。

 

「ベアト、テレジア、ここで正面の敵を足止めしろ。無理に仕止める必要はない。……私はその内に物影から相手の死角に回る」

 

 危険はあるがそれしかあるまい。私も無理をする積もりはない。この数分の銃撃戦で赤毛の実力はある程度把握した。恐らくは仕止めるのは不可能だ。しかし、後退させる位は頑張れば出来ない事もない……筈だ。

 

「でしたら私が行きますが……」

 

 ベアトが死角に回る役を買って出ようとする。テレジアも不安げにそれに賛同する。彼女達も相手の実力が雑兵とは訳が違う事を理解しているようだった。

 

「いや、私が行こう。正面は頼む。……いや待て。テレジア、小銃だけ寄越してくれ」

 

 私は自身のハンドブラスターを彼女に押し付けて命令する。一つには相手が私がハンドブラスターを使っていると把握しているためその発砲が止めば怪しまれるからであり、今一つとしては負傷している従士にとっては反動のある火薬式の実弾銃よりもハンドブラスターの方が身体への負担がなく正確な射撃が出来ると踏んだためだ。

 

「若様、御無理はなされませぬよう」

「……当たり前だ。こんな場所で死にたくなんかない」

 

 テレジアと銃を交換して、その場から去る直前に心底不安げに、しかしそれに耐えるようにベアトが声をかける。私は一瞬目を細め、次いで苦笑しながら安心させるように彼女にそう答えた。

 

 尤も、この手の台詞はこれまで散々口にして来たし、同時のその舌の根が乾かぬ内にそれを反故にしてしまう結果を引き起こして事が何度もあったのだが……アレ?今私フラグ立てた?

 

 私が苦い表情を浮かべているとそれに気付いたベアトが僅かに困り顔になる。あ、うん……やっぱりそう思うよね?私の言葉なんて信用出来ないよね?

 

「いえ、そんな事は……いえ、確かに不安はあります。それでも………」

 

 そこまで呟いて、ベアトは私の目を見る。そして優しげに、小さく微笑んだ。

 

「それでも……信頼はしております。ですので、どうぞ武運をお祈り致しております」

 

 そこまで口したベアトの少し儚げで、しかし心から信頼している事が分かる表情に、私は一瞬呆けた。そして互いの視線を見やり……次の瞬間バリケードの端が飛び散る銃撃音に現実に引き戻されベアトは顔を振り戻して物影から応戦した。

 

「若様、お早く……!!」

 

 返礼の銃撃と共に圧し殺した声でベアトは私に催促する。その言葉に私は自身の役目を思い出して頷くと身体を低めながらバリケードの影からこの場からの移動を試みた。全く、空気の読めない射撃な事だ。

 

「……若様、お気をつけ下さいませ」

「あぁ。……テレジア。援護の方、頼むぞ?頼りにしている」

 

 テレジアの何処か居心地悪そうな見送りの言葉、その理由を何となく察しがついていた私は内心で苦笑いしつつも機嫌直しのためにそう声をかけた。

 

「……了解です」

 

 私の返答の意味に気付いているのだろう何処か不満を残しつつも、しかし仕方なさそうにそう応じてくれた。優しくて労りの心がある従士で本当に嬉しいよ。……何か自分が人間として更に下劣な存在になった気がするが気にしない事にする。

 

「……さて、行くか」

 

 そうして、私はそう呟いて気を引き締めると、小銃の弾倉を取り替えて、次いで未だにゼッフル粒子の爆発とそれによる火災と黒煙が広がる室内を煙と障害物を盾にして駆け出し始めた……。

 

 

 

 

「想定通り……いや、それ以上だな。どうやら陽動部隊は良く働いてくれたらしい」

 

 現在大きく分けて三隊に別れて作戦を遂行する要塞内部に取り残された同盟軍の内、最も重要な役割を担うジェニングス准将率いる三個師団は苛烈な、しかし想定よりも激しくはない帝国軍の迎撃を捩じ伏せてそこに辿り着いていた。

 

 第四予備中央通信室を完全に制圧した同盟軍はそこら中に散らばる敵味方の死体を片付ける。最早「物」扱いで運ばれていく肉の塊……それでも尚、広い室内のあちこちに血の跡が残り、室内の空気は生臭さが残っていた。

 

「現在時刻は?」

「0430時です。要塞内部の通信を傍受する限り、艦隊の前進は始まっているようです」

 

 ジェニングス准将の質問に通信室内のシステムの起動作業を行っていた特技士官の一人が答える。

 

 予備という名前がつく通り、第四予備中央通信室は要塞内部の主要な通信設備が使用不可能になった際に備えた部屋であり、通信機器の多くは停止状態で維持されていた。予備とは言え巨大要塞の中央通信室として活用する目的がある以上その規模は大きく施設も機材も潤沢であり、同時にその起動には大きなマンパワーを必要としており、今ジェニングス准将の目の前では二個小隊規模の特技兵達がコンソールと向き合い、あるいは床に穴を開けて足下の配線を弄くり回していた。

 

「他の部隊の動向は分かるか?」

「現状の通信内容から見るに恐らく真っ先に目標施設を確保したのは我々のようです。幸い、残る二隊が失敗したと思われる内容は未だ発見はされていませんが……」

 

 言い淀むように答える兵士。失敗はしていないにしろ、時間の余裕はなかった。既に艦隊の前進は始まっているのだから。 

 

「被害範囲と退避までにかかる時間を考えると……猶予は一時間もない、か。最悪、残り二隊の成否に関わらず通信回線を開く必要があるな」

 

 そして、その時には自分達は恐らく……元より要塞への揚陸は危険性が高く、帰れない事も覚悟していたが、まさか本当にこうなるとは……。

 

「司令……」

「嘆いても仕方あるまい。やれる事をやるとしよう。残存部隊に防衛線を作らせろ。何にせよ、時間を稼がねばなるまい。通信を開くまでこの部屋を維持し続けねばならん」

 

 ジェニングス准将はそう命じると、通信室内に設けられた椅子の一つに腰かける。そして、室内のスクリーンに目を向ける。

 

 そこに映るのはモスグリーン色の何万隻という艦艇が帝国軍の灰色でまばらな艦艇群を要塞前面に押しつけるように砲撃しながら前進し続けていた。

 

 艦艇同士の距離は狭い回廊を最大まで活用して空けられていた。その上で要塞駐留艦隊を砲撃と陣形で拘束して要塞に対して盾のようにしていた。それは帝国軍が味方撃ちの暴挙を行おうともその被害を最小化しようとしている意図が見てとれる。同時にその戦いぶりからは何としても要塞内に取り残された味方を救い、要塞を攻略しようという覚悟が見てとれた。しかし……。

 

「本来ならば喜ぶべきなのだろうが……。間に合うといいが……」

 

 腕時計の針を一瞥するとぎっ、と奥歯を噛み締めて、焦燥感を滲ませながらジェニングス准将はその報告を待ち続ける……。

 

 

 

 

 ジークフリード・キルヒアイスはその表情を険しくさせる。油断してきた訳ではない。相手の実力を軽視していた訳でもない。少なくとも彼は敵に対して、それが遥かに能力的に格下であったとしても慢心して手を抜くような性格ではなかった。

 

 強いて言えば、彼の手を鈍らせたのは幾つか重なった偶然と彼自身の性格と信条によってであった。

 

 親友でもあった主君の命に従い、伏兵として潜んでいた彼は重要な役割があった。室内に侵入した同盟軍の前衛と後衛をゼッフル粒子の爆発とそれによって生じた炎の壁が分断し、混乱した所を前衛では浮き足だった敵に反撃に出、後衛では奇襲を以て敵の指揮官達を掃討する。

 

 分断に奇襲、司令部への攻撃に各個撃破……一つ一つは戦術的には基本であり、殊更目新しさはない。しかしながらそれをどのような形で実践し、敵に悟らせず、実現させる事が出来るかは別問題だ。その点において主君の立てたこの作戦は大成功であると言えよう。

 

(とは言え、ラインハルト様も無茶を為される……余り危険な事はして頂きたくはないのですが)

 

 主君が明らかに囮になる形となる事、自身が主君の傍から離れなければならぬ事、更には反撃の際に兵達を奮い立たせるためとは言え自身の身を銃火に晒すという危険行為にはキルヒアイス中尉からすれば不安しかなかった。そして、実際後一歩遅ければ……。

 

「……恐らくはあれが指揮官、少なくとも幹部なのは間違いない。それにしてもまさか撃ち損じる事になるとは、見通しが甘かったか……」

 

 物影に身を伏せて手に持つ火薬銃の弾薬を装填しながら赤毛の少年は険しい表情で熟考する。

 

 油断はしてなかった。早撃ち、そして早撃ちしながらの狙撃をする技術を彼は一流と言っても良い程に身につけていた。主君を狙っていた狙撃兵を仕止めた後、そのままその傍らで指示を出していた亡命貴族の若者を射殺する事は不可能ではなかった。狙撃兵を射殺した時にあんぐりと口を開いて驚愕していた姿を見た時には成功を確信した程だ。後一秒時間があればキルヒアイス中尉は目的を達成していた筈だ。

 

 別の敵兵の反撃……それを無力化した時には目標は護衛の支援を受けて身を隠す寸前だった。急いで完全に身を隠す前に仕止めようとした時には護衛が発砲してそれを阻止されてしまった。仕方無く護衛から排除しようとしたのだが……。

 

「女性相手となると射撃が鈍りますか。反省が必要ですね……」

 

 同盟軍には帝国軍と違い女性の兵士の比率が遥かに高く、しかも帝国軍における数少ない女性軍人の殆どが後方勤務要員であり実質的には軍属に過ぎないのと違い、第一線の戦闘部隊にも当然のように配属されている事を彼は知識としては理解していた。しかし理解しているからといって実際に目の前で躊躇なく引き金を引けるかは別問題である。ましてや……。

 

(恐らくは純粋な軍人というよりは目標のお付きと見るべきか。それにしても、金髪ですか………)

 

 相手の射撃は素人ではなかったが、キルヒアイス中尉からしてみれば必ずしも敵ではなかった。幼年学校での狙撃の成績が次席であったのは伊達ではない。そんな彼が護衛を一発で仕留め損ねたのは相手が女性である事も大きな要因であったが、それ以上にある人物を思い出したためであった。

 

「アンネローゼ様……」

 

 金髪の女性、そして貴族の傍にいるという事実が彼の射撃の腕を一瞬だけ鈍らせた。恐らくは良く見れば似ても似つかぬ顔であるだろうが、それでもこの甘さのある赤毛の少年はその脳裏に一度敬愛する彼女の姿を見てしまえばどうしても迷いが生まれてしまうものだった。

 

「尤も、相手は此方に手加減してくれる訳ではないですが……!」

 

 此方の動きを止めるためであろう、ハンドブラスターが一瞬の隙も見せず間断なく発砲される。相手は此方に対して手加減する積もりは無さそうだ。ならば、此方も自身の命、そして親友の命も懸けている以上手加減するなぞ不可能であった。

 

「中尉殿……!!」

「相手の腕は悪くない。お前達には荷が重すぎる。ここは私が引き受けるから他を攻めるんだ!」

 

 奇襲部隊に所属する駆逐艦の憲兵がバリケードを盾にして手助けに来ようとするのをキルヒアイス中尉は拒絶する。風紀を取り締まり、反乱や犯罪を起こした兵士を制圧するために艦内に配備される憲兵達は艦艇の乗員達の中では比較的陸戦や白兵戦に優れている存在であるが、赤毛の副官はそれでも尚、彼らでは相手をするのは力不足である事を確信していた。そんな事で貴重な戦力を浪費するならば彼らには他の雑兵を掻き乱してくれた方が合理的であった。

 

「り、了解ですっ……!」

 

 憲兵の返答を殆ど受け流してキルヒアイス中尉は眼前の敵に集中する。物影からの攻撃、敵の装備は恐らくブラスターライフルが一丁にハンドブラスターが一丁……一方は太く、もう一方は細い青白い光線が相互に放たれる。火薬式に比べて連射性に劣る光学兵器の弱点をカバーしているのだろう。しかし……。

 

「………今!」

 

 文字通り顔のすぐ横を通り過ぎる光線にも怯まず、ただ一度、赤毛の少年は引き金を引いた。銃声が鳴り響くと共に金属の弾ける音が響くと同時に光線が止む。ブラスターライフルに比べてハンドブラスターは装弾数は少ない。故に相互に支えるにしても何時かは弾切れによって連携が崩れる。無論、それは一瞬の事であり、直ぐに予備のエネルギーパックがセットされるであろうが……その一瞬があれば彼にとっては十分だった。

 

 キルヒアイス中尉の放った弾丸は火力の高いブラスターライフルの銃口を直撃し、その銃身を炸裂させた。所詮は銃身なので飛び散る破片の数なぞたかが知れているし、それが人体にめり込んでも当たり所が悪くなければ致命傷にはなり得ないだろう。だが、火力を削りとっただけで十分であった。

 

(よし、このまま接近戦に持ち込めば……!!)

 

 エネルギーパックを装填する時間も、ましてや別の武器を手にする時間も与える積もりはなかった。腰元の手榴弾を掴む。これを投げつけて相手を怯ませて足止めすると同時に一気に物影から飛び出して躍りかかろうとする長身の少年……しかし、彼はその時、幸か不幸かその事実に気付いた。

 

 ……彼の視界の端、彼のいる場所からはバリケードが影になって見えるか見えないかの位置にまるで隠すように味方の死体があった事に。そして、それが先程言葉を交えた憲兵である事に。

 

「………!!?」

 

 次の瞬間、明確に殺気を感じ取ったキルヒアイス中尉は、その殺気を感じとった方向に慌てて振り向いていた。同時に反射的に手に持った火薬式小銃の銃口を向ける。

 

 刹那、物影から見えた人影……キルヒアイス中尉は直感的にそこに向けて銃口を合わせて引き金を引いた。相手の姿、それどころか軍服すら碌に確認してなかった行為は本来ならば味方を誤射する懸念もあったが……しかし、この場においては彼の第六感は最善かつ最良の選択を選んでいた。

 

「っ……!?」

 

 咄嗟に影は動揺しつつも、手に持った小銃を盾のように構えていた。カキン、と金属の弾けるような耳障りな金切り音が鳴り響く。それは人影の持つ小銃の銃身が弾丸でひび割れた音であったが、それだけではないようだった。

 

 だが、今はそんな事はどうでも良い。問題はここまで肉薄された事そのものだ。一撃では仕止められなかったが今一度引き金を引けば自動小銃から放たれる弾丸の雨は相手の息の根を今度こそ止めるだろう。

 

 しかし………。

 

「くっ……弾切れ!?このタイミングでか……!?」

 

 引き金を引いた赤毛の少年は、しかし数発の銃弾を吐き出しただけで小銃から鳴り響く銃声が途切れた事に目を見開く。

 

 だが、いつまでも驚いていられる時間の猶予はなかった。人影が物陰から飛び出して向かってきたからだ。

 

 銃弾を食らい機構が損傷した事で、最早使い物にならなくなった小銃を、しかしその銃身を持ち手にして鈍器のようにして襲いかかる敵。弾を装填する時間はなかった。キルヒアイス中尉は咄嗟に手に持つ銃を以て振り下ろされる鈍器の一撃を受け止める。ミシリ、と銃身から擬音が響く。銃身が歪んだ事は明らかだった。少年の持つ銃もこれで使い物にならなくなった。

 

「……!!」

「……!!」

 

 ほぼ同時に二人は使い物にならない小銃を捨てていた。そしてキルヒアイス中尉はハンドブラスターを引き抜き発砲する。しかし、射撃の名手たる彼の近距離からの銃撃は相手の命を奪いきる事はなかった。相手が引き抜いた炭素クリスタル製のナイフの一振りを避けなければならなかったからだ。

 

「くっ……!?」

 

 寸前で避けた少年であるが、完全には避けきれなかった。軍服の右腕から滲み出る血潮。決して深くはないが浅くもない切り傷を少年は右腕に受けた。慌てて後方に跳んで距離を取る。

 

 尤も、相手も近距離からのハンドブラスターの一撃を受けて無傷とはいかなかったらしい。寧ろ、ある意味では余計悲惨であった。ブラスターの光は凪ぎ払うように相手の右耳をその根元から切り裂き、切断したからだ。頬も少し焼いたかも知れない。敵の足下に落ちる耳にポタポタと落ちて赤い斑点を作り出す血……。

 

「ぐっ……この、畜生がっ……!!?」

 

 それは憎悪に似た感情が含まれていると容易に分かる声だった。キルヒアイス中尉はその声に釣られるように視線を相手の顔に向ける。

 

 敵は左手で長身のナイフを持って、右耳の傷口から流れる大量の血を右手で押さえながら、肩で切らしたように息をしていた。

 

 顔立ちは悪くない。少し女性的であるが人並み以上に整った顔立ちをしかし有らん限りの敵意と憎しみに歪ませ、同時に痛みに涙を浮かべつつも殺意を込めた視線で少年を射ぬいていた。それは赤毛の少年の警戒感を強めるに十分であったが同時に困惑を僅かに抱かせた。

 

 ヴォルター・フォン・ティルピッツ同盟宇宙軍准将、亡命貴族の若い青年将官は、明らかに疲労困憊の状態で、それでも全身全霊を以て英雄の雛鳥、その正面に立ち向かっていたのだった。

 

 それが到底勝ち目のない、絶望的な戦いであったと理解しても………。




・原作及び各媒体の描写から見るリッテンハイム侯爵家考察

 本作においてはリッテンハイム侯爵家は武門貴族として設定しております。理由としては原作中においてリッテンハイム侯爵がリップシュタット貴族連合軍の司令官として軍事の専門家を任命しようとした事が第一に挙げられます。恐らくはリッテンハイム侯爵家が貴族系軍人関係者が多く、それ故の提案ではないかと思われます。でなければ副盟主の地位に甘んじるとは思えません。実戦でのキャスティングボードを取れる自信があった可能性があります。

 仮説を補強するように藤崎版ではオフレッサー家がリッテンハイム系列の家と設定されています。ノイエ版でもミュッケンベルガーを引き入れようとしたオフレッサーをブラウンシュヴァイク公爵が釘を刺してますが、直後にリッテンハイム侯爵がオフレッサーを擁護しています。

 尚、その後のキフォイザー会戦は辺境の奪還が目的でした。恐らく地方に支持基盤があったのでしょう。本作においては武門貴族の領地は元々治安の悪い星系=旧銀河連邦の辺境域としているという設定にしており、それとも合致します。

 また劇場版アスターテ会戦もリッテンハイム侯爵家が武門貴族の証拠として挙げられます。ラインハルトから有力な提督を外して扱いにくい提督を押し込んだのはブラウンシュヴァイク公爵とされています。つまりはアスターテ会戦の敗北を願っていた以上、配属された提督勢は非ブラウンシュヴァイク系列の提督連中だった可能性が高いです。恐らくはシュターデンはリッテンハイム系列です。アルテナ会戦後レンテンベルグ要塞に逃げ込んだのは同じリッテンハイム系列のオフレッサーが守備していたのも一因と思います。血の気の多い筈のフレーゲル男爵が(藤崎版描写から見る限り多数の若手貴族が参加したと思われる)アルテナ会戦で前線にいなかったのもここが理由でしょう。アルテナ組は実質リッテンハイム派若手貴族連合軍だった可能性が高いです。

 逆にブラウンシュヴァイク公爵家はほぼ間違いなく武門系ではないと思われます。武門系であれば態態中立を望んでいたメルカッツを指揮官に器用しません。子飼いの提督がいたはずです。傘下にフェルナー、シューマッハ等の平民士官が目立つのも、恐らくは有力な下級貴族系士官の大半がリッテンハイム側だったからかもしれません。第四次ティアマト会戦ではフレーゲル男爵はミュッケンベルガーに釘を刺すようなマウントを取ってました。宇宙艦隊司令長官相手のあの態度は到底武門系の貴族とは思えません。逆に劇中の台詞からミュッケンベルガーもフレーゲル男爵を軍人の心得がある者として見てなかった節があります。

 以上の描写から見て、恐らくリッテンハイム侯爵家は武門貴族です。逆にブラウンシュヴァイク公爵家は恐らくは文官貴族の出の可能性が高いです。ブラウンシュヴァイク派は謀略の描写が多いことから警察ないし社会秩序維持局等とのパイプがあった可能性もあり得ます。

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