帝国貴族はイージーな転生先と思ったか?   作:古ぼけた蝶番
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何となく新作はローエングラム朝期に作られた史実を基にした大河ドラマ感がある。


第二十六話 お出かけ前に言付けはしておこう

 ワルター・フォン・シェーンコップは現在テルヌーゼン郊外、ベルヴィル街の借家に住んでいる。ベルヴィル街はテルヌーゼンの中では比較的古い住宅街で、昔から同盟軍士官学校を始めとしたテルヌーゼンの各軍学校を受験する学生……特に苦学生向けの低家賃の借家が多い事で良く知られる。

 

 因みに昔から同盟軍士官学校の受験生は受験期間中どこを借りているかで出自が分かると言われている。ブルーチャペル街ならばハイネセンファミリー(古い財閥系のビジネスホテルが多い)、グロデンラーデ街なら帝国系(帝国人街がある)、クロートヌィ街ならばフェザーン系(フェザーン領事館がある)、無論大昔の事であるから今はもう少しばらつきがある。それでも実際に今でもそういう傾向がある事は否定出来ない事は事実であり、自由惑星同盟の社会が見えない壁で分断されている事の証明でもあった。

 

 先程の言に従う場合、ベルヴェル街ならば銀河連邦系の低所得世帯の者が多い。ワルター・フォン・シェーンコップが態々帝国系でありながらベルヴェル街に借家を借りている事実が表す事実は二つ。一つは経済的に困窮している事、もう一つは帝国人コミュニティと距離を取っている事だ。

 

「さて、この辺りですね」

 

宇宙暦780年2月のとある休日、私とリューネブルク伯爵はそのベルヴィル街に来ていた。……二人だけで。

 

 理由?ああ、シェーンコップとかいう人物は恐らく権威嫌いの人間だからね。ぞろぞろと随伴者がいると鼻白むだろうからね。それに家臣が同席していると相手の非礼に激怒するしこちらも目上として尊大にならざる得ない。これじゃあ説得出来る訳無いよね、常識的に考えて!

 

 ……はい、嘘つきました。伯爵を連れだして二人だけで向かうための嘘だよ馬鹿野郎!なんでかって?原作知っていれば言う必要もねぇよ!

 

 いやな?別にシェーンコップ氏が漁色家である事は別に良いのよ。英雄色を好むともいうからね?私とは生きている世界違うからね?19、20の頃の御乱行なんか別に私に危害が来なきゃあどうでも良いのよ?

 

 ヘテロクロミアなヤリ逃げ野郎に比べたらマシでしょうが……うちの従士とは会わしたくないなぁ。

 

 いや、別に私の所有物というわけではないし、誰と付き合おうと、結婚しようと構わないけれど……不良中年は家庭持つつもり無いだろう?それ知っていると付き合ってしまっているところ見るの複雑だし、別れた後とか凄い話しにくくなる。無論、付き人から外してしまえば解決だがそれだと私の生存率が……。

 

 だったら不良中年と会うな?いや、侯爵から頼まれてるし……それに陸戦の切り札な奴はコネが出来れば私の生存率向上に使える。主にしたっぱのうちに金髪の小僧や赤毛の子分や双璧のキルするのに。

 

「では、行きましょうか?確か件の人物は昼頃に同じ店で食事するらしいですから」

 

 私が先導してシェーンコップが昼食を取る店に足を運ぶ。当然ながら事前のアポイントメントは取っていない。従士を行かせる訳にはいかないし、そもそも素直に待ち合わせしてくれるか怪しい。奇襲攻撃で心理的に揺さぶりをかけるのがこの場合は良いだろう。

 

「本日は申し訳ありません。御迷惑お掛けしてしまって……」

 

 どこか古くさい街道を歩きながら私は同盟公用語で謝罪する。門閥貴族である以上移動は運転手付きの高級車、礼服に身を包み、護衛付きが基本の筈なのに、今回は公共鉄道に直前に適当に買った市販の私服、当然我々二人での移動……故郷ならば論外である。キレられても文句は言えない。だが……。

 

「気にしなくていいのですよ。私としても片意地張らずにいられてそう悪くないですからな。カウフマンもハインラインも私には過ぎた忠臣ですが……あの二人がいると外食も簡単には行きませんからな」

 

 太陽のような笑みを浮かべ思い出し笑いをするリューネブルク伯爵。途中で食べた屋台の立ち食い蕎麦を思い出したらしい。

 

 門閥貴族が買い食いや屋台で食事なんて帝国では論外、そしてその文化は当然こちらでも引き継がれている。

 

 しかも帝国料理以外への距離感もそこにプラスされる。門閥貴族としては食事一つでも気が抜けない。と、いうか毒味してくる。どんだけ信用してないんだよ。屋台のおっさんは全員ヒットマン扱いなの?

 

「あ、申し訳御座いません。やはりライヒ(帝国風)の方が良かったですか?」

 

 駅構内で立ち食い蕎麦の店を見つけついつい入ってしまった。月見蕎麦美味しかったです(シチュー蕎麦とかトマトソース蕎麦があったのは気にしてはいけない)。リューネブルク伯爵の口にあったか微妙だ。

 

「いやいや、別に他意はないのです。寧ろ懐かしい。子供の頃、変装して屋敷を抜け出し、叔母と屋台で食べた事を思い出します。あの時は色々食べましたな。ピザにピロシキ、フィッシュアンドチップス……それにおでんも食べましたな。帰った後母に拳骨を食らいましてな」

 

ははは、と表裏無い笑い声を出す伯爵。

 

「今ではそんな事出来ませんからな。いやはや、あれだけでも今回同行した価値があるというもの」

「はぁ……」

 

 私は半分呆けるように返答していた。えっ?貴方そんなキャラなの?

 

「さて、見えましたな?」

 

 その声に私は正面を振り向く。「ザ・ボーダーレス」の安っぽい姿がそこにあった。

 

 

 

 「ザ・ボーダーレス」は正に低所得者向けのダイナーレストランだった。中年の女性が店長のようでガスコンロで大雑把な調理をした料理を安物の皿にどっさりと盛り付ける。メニューは、ボーダーレスの名前の通り雑多な種類の簡易料理やジャンクフードを提供しているようだ。前世でいえば一昔前の米国映画に出てきそうな雰囲気に思えた。

 

「大味で安っぽい、値段と量は文句無し。まぁ、苦学生や労働者向けというものですね」

 

 店内端の窓際席に座りコニードックとグリークサラダを半分乱暴に口に入れ私は同盟公用語で呟く。どうやら元庶民の癖に貴族生活をして舌が肥えたらしい。料理に使われる調味料の種類を私の舌は正確に把握していた。かつてなら普通に食えただろうが今となっては雑過ぎて正直余り美味しいとは言えない。不味い訳ではないが……。

 

「ははは、仕方あるまい。任官すればもっと大味のレーションが待っていよう。大衆食堂なだけまだマシというものですよ」

 

 そういって手元のフォークで切ったハッシュドポテトをフォークで突き刺し口にする伯爵。

 

「うむ、やはりじゃがいもはどこで食べても外れは無いな」

「一番マシに思えるのがハッシュドポテトと林檎パイとは……」

 

 私の舌も随分とルドルフの支配に慣らされてしまったらしい。

 

「それにしても……そろそろだと思うのですが」

 

 店の入り口に掛けられた丸時計を見やる。今時電子時計が一般である事を思えばその存在が一層店のクラシック具合を助長していた。時計の針は1430時を回った頃だ。店端の旧型テレビは冬季サジタリウスカップのフライングボールの実況放送が流れている。

 

「遅いですね……普段ならとっくに来ている筈でしょうに……」

 

 シェーンコップの監視員から彼の生活パターンは知らされている。とっくにここに来ている筈なのだが。

 

「……お客様、御注文の指南役で御座います」

「ん?ああ、ご苦労」

 

 ウェイターがこちらに来て注文した品をテーブルに置く。私は窓から不良中年が来るのを監視しながら軽く返事をした。

 

「ん?済まないが私の頼んだのは珈琲だ。紅茶じゃない」

 

 ふと、テーブルに置かれたティーカップを見て私は指摘する。

 

「おや、そうでしたかな?可笑しいですなぁ。『育ちの良い門閥貴族様がランチティーではなく珈琲を頼むとは、新美泉宮の新しい流行ですかな?』」

「へっ……?」

 

 バリトンボイスで響く流暢な宮廷帝国語に私は間抜けな声を上げる。

 

 ぎこちなく首をウェイターの方に向ける。そこには白地のコックの服装をした男が慇懃無礼な表情を浮かべこちらを見ていた。

 

 

 

『では、改めて自己紹介と参りましょうか、伯爵様?私はワルター・フォン・シェーンコップ、見ての通りしがない苦学生ですよ』

 

 ずけずけと、当然のように私の隣に腰かける不良中年……いや、今の所は不良学生か。

 

 私は改めてその姿を見る。掘りの深い顔立ちに私よりも高い身長、多分服を脱いだらギリシャ彫刻のような鍛え抜かれた肉体をお目にかかる事になろう。知性……というより悪知恵のありそうな企み顔でこちらを見る帝国騎士。……うわぁ、学生の癖にもうこんな覇気を纏っているのかよ。

 

 正直胃が痛くなりそうだが仕方ない。まずは自己紹介から始めようか。

 

「私達は………」 

『おや、同盟公用語で宜しいので?私は宮廷語でもお話出来ますが?』

 

 機先を制するようにシェーンコップは答える。惚れ惚れするような宮廷帝国語での事だった。

 

 私は、ちらりと対面側のリューネブルク伯爵を見やる。伯爵が小さく頷いたのを確認して私は答える。

 

「別に構いませんよ。ここは新無憂宮でなければオーディンでもない。郷に入れば郷に従え、貴方がその言葉でお話ししたければ配慮致しますが?」

 

 私は半分皮肉を込めて答える。帝国人は身内同士だと帝国語で会話する。特に貴族階級以上は宮廷帝国語で話す事を好む。シェーンコップの言は頑固なお前さん達に合わしてやろうか?という挑発に近い。

 

「おや、随分と御上手な事で。これは、失礼致しました」

 

 私の帝国訛りの無い同盟公用語に一瞬意外そうな表情をして、すぐにわざとらしく謝意を表す不良学生。そう言う本人も相当に綺麗な標準的な同盟語を口にしていた。

 

「さて、ではこちらも自己紹介が必要ですね。私はティルピッツ、ヴォルター・フォン・ティルピッツ。士官学校の一年生です。こちらが……」

「ヘルマン・フォン・リューネブルク四年生だ。よろしく頼む」

 

リューネブルク伯爵が小さく礼をする。

 

「これは驚きましたな。まさか、たかが帝国騎士一人の下に名家の跡取り様が御二人も御来賓になろうとは、子々孫々まで言い伝えられる価値ある珍事ですな」

 

明らかにからかうような口調で語る不良学生。

 

「それは喜ばしい言ですな……さて、本題に入る前に……シェーンコップ殿のそのお姿について尋ねても宜しいか?」

 

リューネブルク伯爵が腕を体の前で組みながら尋ねる。

 

「おや?何か可笑しな点でも御有りでしょうか?何の変哲も無い料理人の制服ですが?」

「卿はここで働いている、と言う事かな?」

「御明察ですな。何せ苦学生の身、アルバイトでもしなければ到底今日の食事にもありつけぬ哀れな境遇でしてな」

 

 嘘つけ、と内心で私は突っ込む。シェーンコップがここで仕事していない事位話で聞いて知っている。この店の店長と仲が宜しいのは知っているが。おい、もしやそんなに守備範囲広いの?ご乱行していた頃何していたの?

 

 尤もそれを突っ込んでものらりくらりと誤魔化されるだろうが。

 

「……まぁ、良いでしょう。なぜ、私達が貴族だと分かったのですか?」

 

 私の疑問に対して不良学生は、にやりと不敵な笑みを浮かべる。

 

「これだから行けませんな。伯爵様は御自身の常識を当然のもののように思いすぎている」

 

 やれやれ、と言うように首を振り、一つ指を立てて答えを口にするシェーンコップ。

 

「まずは時間ですな。言っておきますがここのアップルパイは確かに旨いですが到底ハニーキッシュ街の百貨店並みの格式はありませんからな。来る者と言えば労働者と苦学生程度ですよ。休日の労働者はアルコールを頼みますし、学生はこの時間に店に来る程に暇ではありませんからな。これが一つ」

 

中指を立ててシェーンコップは続ける。

 

「この店の客はお里が知れる者ばかりです。到底ご行儀良く料理を頂戴する者はおりません。貴方方のように時間をかけてフォークとナイフで丁寧なお食事会なぞ致しませんよ。これが二つ」

「あっ……」

 

 当然かのように私の目の前にあった紅茶をとりあげて口に含む。無駄に優美に飲みやがって。

 

「そう怒らなくても良いでしょう?貴方の頼んだのは珈琲の筈、私は責任取って誤注文の品を処理致しているのですぞ?」

 

いけしゃあしゃあとそう口にするシェーンコップ。

 

「さて、最後がその所作ですな。貴方方はね。食事の動作一つ、注文の動作も、雑談の動作もあからさまに動きが優美過ぎるのですよ。育ちの良さが染々と分かりますな。……同盟公用語に帝国訛りが無い所は評価しますが、ここでは少々文法が御上品に過ぎますな」

 

 キプリング街のエリートさんの話し方です、とつけ足す。

 

「……ようは状況証拠のみで判断したと?」

「……この自由の国でも、存外外面のみでも人の価値が判別可能なようでしてな」

 

 私の質問に皮肉気に答える不良学生。本当に皮肉だった。

 

 帝国は、俗に外見で人を判断しなければならない、と言われる。

 

 強固な身分社会である帝国では各身分事に言葉も、習慣も、食事も、衣服も、所作も……文字通り何もかも区別されている。「帝国語では身分事に自己紹介の種類が3ダースの区別がある」、等と冗談半分で言われるがそれは間違いで実際は6ダース分ある。自身と相手の身分事に紹介する際に使う単語や文法、アクセントが違うのだ。宮廷帝国語とか最早庶民の使うそれとは別言語に近い。

 

 そんな帝国社会では初対面の相手の外面から正確に互いの身分と関係を把握して対応しないといけない。自己紹介の言い回しを間違えるとスゴイ・シツレイになる。宮廷の社交界に出るためには最低限覚えよう。帝国人には肌でわかる自明のマナーだ(もしかしたら金髪の小僧が門閥貴族に嫌われた理由の一部はこれか?)。

 

 さて、自由惑星同盟はそんな帝国の反面教師……というよりは憎しみ合う双子である。この自由の国に置いても口にこそ出さないが所謂ステレオタイプというべきか……出自や階級、ルーツ事に区別と言うわけでは無いがかなり言葉遣いや食事、習慣やマナーも違う。そしてそれを見れば大概相手のお里が知れてしまう。

 

 そして同盟市民の中にもそれを過剰な程に意識する者は決して少なくは無いのだ。

 

「帝国人街でも無いのにそんなに貴族の匂いを醸し出すのは宜しく有りませんな。この街は特段帝国人に敵対的では有りませんが、懐具合の良い者を見抜く輩は少なくないですからな」

 

 どうやら他所のボンボンは油断したらスリに合うらしい。

 

「ご忠告痛み入る。シェーンコップ殿。そこまで頭が回るのならば我々の目的は察しがついていると思うが……どうかな?」

 

 謝意を示した後、リューネブルク伯爵が本題について尋ねる。

 

「さて、私はエスパーではありませんので。門閥貴族様に目をつけられる行いをした記憶はないのですがね?」

 

嘘つけペテン師め。

 

「貴方が士官学校を受験し、合格したにも関わらず辞退しようとしているとお聞きしています。私達としては貴方にこのまま入学して頂きたいと考え参上した次第です」

 

 私は、不良学生にはっきりと要件を伝える。本来ならば、もう少し雑談してから本題に入るのが貴族的マナー(がつがつした貴族は嫌われるのだ)だが……目の前の人物はそんの事望んでいまい。

 

「それはまた御苦労な事ですな。ですがもう決めた事でしてな。御断りさせて頂く」

 

 紅茶を一口含んだ後、意地の悪い笑みを浮かべて断言する不良学生。

 

「失礼ながら理由を御聞きしても?」

「士官学校の校風が私を嫌った……という所でしょうな」

 

 帝国騎士は、複雑な笑みを浮かべティーカップに映る自身を覗く。

 

「校風……とは具体性が無いですな。士官学校の合格は決して簡単な物では無い筈、卿は苦労して手にした入学の権利を容易く捨てるつもりですかな?」

 

リューネブルク伯爵は訝るように指摘する。

 

「まぁ、確かにこの私にしても鼻歌交じりに……とはいきませんでしたな。しかし、私としては無理して窮屈な空気を吸うような真似は好きではありませんのですよ。私は温室での純粋培養された野菜は苦手でしてな」

 

 残る紅茶を飲み干すと椅子を半分浮かせながらティーカップを取手で遊ぶそうに回す。

 

「……窮屈な空気、とは校則の事ですか?それとも………ん?」

 

 ふと、シェーンコップが心底驚いた表情を浮かべる。同時にリューネブルク伯爵に視線を向けるとこちらも口を小さく開き、茫然として窓辺を見つめていた。

 

「何が……あ、うん」

 

窓を振り向いて私は事態を察した。

 

「はっはっはっ、ワンワン!ぐへへへ、やっと発見致しましたぞ若様ぁ……!この不肖レーヴェンハルト曹長、臭いを辿って若様を見つけさせていただきました!御褒美?うへへへ。そうですなぁ、箪笥の中にあるした……」

「日差しが強いな」

 

私は真顔で窓のカーテンを閉める。

 

「……何ですかな、今の美貌と尊厳を溝水にぶちまけたような淑女は」

「はて、何の事でしょうか?私には見えませんでしたが」

 

 不良学生の言に私は即座に返答する。多分日光が硝子に屈折して幻影でも見たのだろう。騎兵将校軍服に涎垂らしながら恍惚の表情を浮かべる物体……いや物質なんて私は見ていない。断じて見ていない。見ているわけが無い。

 

 次の瞬間に仮想世界のエージェントみたいな出で立ちの屈強な男達が店の扉を蹴飛ばして侵入する。

 

「手を上げろ!」

「こちらⅣ、クリア!」

「Ⅱ、Ⅲ、保護対象2名の救出をっ!」

「動くな!動くと撃つ!」

 

 ブラスターを構えながら叫ぶように店員と客に警告する黒服。当然ながら訳の分からない一般人は小さな悲鳴を上げて固まって手を上げる。

 

「……伯爵様、貴方少々過保護に育ち過ぎでは無いですかな?」

「誤解……といっても駄目だよな?」

「駄目ですな」

 

不良学生が呆れ果てた表情で答える。ですよねぇ。

 

 横を見るとリューネブルク伯爵が鼻根を摘まみ眩暈のしそうな表情を浮かべる。

 

「はぁはぁ……若様っ、お許し下さい!不肖ベアトリクス、ただいま若様を御救い申し上げました!」

 

 同じくグラサンに黒服を着たベアトが屈強なボディーガード2名を引き連れて駆け寄ってくる。ああ……うん。

 

「なぁ、早速で悪いが命令していい?」

 

疲れた表情で私は尋ねる。

 

「はいっ!我々に可能な事であればなんなりとっ!」

 

敬礼して目を輝かせて即答する従士に私は引き攣った笑みを浮かべ命じた。

 

「私のポケットの財布から1000ディナール、カウンターに置いておいてくれない?」

 

……扉の修理代足りるかなぁ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




一応不良中年の学生時代の外見は新アニメ版と仮定







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