帝国貴族はイージーな転生先と思ったか?   作:鉄鋼怪人

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第七十六話9時
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第七十七話 向日葵畑で捕まえて

 マーロヴィア星系唯一の居住可能惑星リガリアは宇宙暦250年代頃に入植が開始され、恐らく280年代末頃に事実上放棄された惑星だった。惑星の大半が乾燥地帯であるが豊富な地下水から生まれた160余りのオアシス、そして各地のレアメタル鉱山が入植者の生活を支えていたとされる。

 

 だが辺境航路の治安悪化、それによる輸送コストや食料コストの悪化によりこの惑星の入植事業を企画していた銀河連邦の「ビッグブラザーズ」の一つ、ウェイラント・ユタニ社は住民に殆ど説明なくこの惑星を放棄した。

 

 元より入植者の大半は中央宙域の貧困層や辺境の無戸籍者であり腐敗した銀河連邦の保護とは無縁の存在、不採算部門である事もあり企業上層部はこの星と住民の放棄に対して一切の良心の痛みは無かった。

 

 当初、惑星の住民は曲りなりにも惑星の統治を続けられた。だが、すぐに限界が来る。食料やインフラ、工作機械や電子部品等は基本中央からの輸入に頼っていたのだ。それらは消耗品であり、幾らかは自給を進めても全てとはいかない。少しずつ生活は悪化の一途を辿った。

 

 宇宙暦380年頃に限界が来た。物不足から来る暴動は暫定星系政府への抗議、最終的には内戦へと繋がる。政府は450年頃には完全消滅したと思われ、以来幾つもの勢力が離合集散し抗争を続けた。人口は最盛期には2000万はいたとされるが同盟と接触する740年代には400万程度に減少していた。辺境にて同じような運命を辿った植民惑星は三桁はあるとされ、その中には全滅した植民地も少なくない。その意味ではマーロヴィア星系の人々は「上手くやった」と言えた。

 

 ……それでも同盟中央星域の市民から見れば地獄であろうが。

 

 自由惑星同盟と協定を結んだ当時惑星リガリア最大の勢力は同盟の人的・物的援助を受け暫定星系政府を発足する。同盟の援助を受けてリガリア、そしてマーロヴィア星系の完全平定を進めた。

 

「まぁ、何でもいいさな。給料さえ毎月出るならな」

 

 バハルダール解放作戦に向け、荒地で集結する暫定政府軍の一人フェデリコ軍曹はトラックの上で仲間達とポーカーしながらそう言い捨てる。

 

 同盟中央自治大学やらハイネセン記念大学やらという所でお勉強したらしい役人達が事務をするようになってからはこれまで中抜きや未払いも多かった給料が全額支給されるようになった。日々の食事の質も上がり、将軍共の指揮も昔より上手くなった。死ににくくなり、金が出て、上手い飯が食える。ならば文句なぞない。

 

「ははは、この作戦が終わればもう戦いは無くなるんだろ?これじゃあ俺らクビじゃねぇかよ!どうすんだこれから?」

 

 半分冗談気味に笑う同じ部隊に所属するムタリカ。勝負に出たようでストレートを出す。

 

「糞、ブタだ」

「俺もだ」

 

舌打ちしながらライとアミンはトランプを投げ捨てる。

 

「何、星系警備隊とか言うのが出来るそうじゃねぇか。そちらに滑り込みすりゃあいいさ。どうせ娑婆に帰っても今更手に職ねぇしな」

 

 アンネンコフがそう言いながら自信満々でフラッシュを繰り出す。彼は10歳の時に地方の軍閥に村を焼き討ちされ、徴兵された。以来幾つかの勢力を転々とし、今では勝ち馬の暫定星系政府軍の一兵士と言う訳だ。尤も、そんな経歴珍しくもない、部隊の半分以上は似たようなものだ。当然軍曹自身もだ。

 

「私は学校に行きたいなぁ……」

 

 トラックの奥から少し幼い声がした。軍曹が振り向くと15、6歳程の少女がいた。

 

「ルチーカ、お前も物好きだなぁ?算数なんかして何が面白いんだ?」

 

 このトラックに乗る者の三人に二人は文字を殆ど書けないし、半分は恐らく同盟の標準的な10歳児程度の算術しか出来ない。学が無くても銃さえ撃てれば食べていけるのだからその事に不自由はない。そんな中、彼女は一番年下でありながら一番教育を受けた身であった。

 

「結構出来れば便利ですよ?それに勉強出来ればなりたい仕事も出来るっていってましたし」

「誰によ?」

「先生です!」

 

 彼女が言うのは同盟からNGOボランティアとして故郷の村に来ていた小学生教師であった。現地語を覚えた上で危険地帯に向かう物好きであったらしい。

 

 尤も、村は敵勢力により焼き討ちにあい、住民はボランティア団体含め皆殺しにされた。彼女を含め少数の生き残りは食べていくために暫定政府軍に志願する事になった。残念ながら無償で子供の生活を保障出来るほどこの星はまだ文明的ではないし、財政も豊かではないのだ。

 

 それにしてもほかに仕事があろうものと思うが。実際碌に人も撃てないので弾運びや料理人(残念ながら男衆に出来る料理は鍋と丸焼きくらいだ)等の雑用が彼女の実際の仕事だった。

 

「それで、お前さんは兵隊でなければ何になる気だぁ?」

 

フェデリコはふざけるように尋ねる。

 

「えっ?えっと……そうですね……お花屋さん、とか?」

 

半分照れるように答える少女。

 

「なんじゃそりゃ?食えんだろ?」

 

トラックに乗る兵士の一人ロイクが疑問を浮かべる。

 

「野菜や果物なら兎も角なぁ」

 

 基本そういう生活に不必要で、煙草や阿片のような使用による快感もない物なぞに価値を見出ださない彼らにはそんな物売れるのか?というのが素直な感想だった。

 

「う、売れますよ!……多分」

 

 どうやらボランティア達からハイネセン(彼らの地元らしい)の風景や生活を聞いて知ったらしい。

 

「この星でも平和になれば需要が出てくるって言ってました!ですので私がリガリア初の花屋を開くのです!」

 

 先駆者は市場を独占します!と自信満々に答える少女に半分呆れる同僚達。

 

「へいへい、まぁクビになった後の目標があるのは結構な事だ。俺らにはこの仕事以外思いつかねぇからな」

 

 実際、彼らの大半は兵隊以外に働き方を知らない。芯まで兵隊で、そして荒くれものとして生きてきた。今更ほかの生き方なぞ出来ない。生き方を変えられる人間や、価値観を変えられる人間はそう多くはないのだ。

 

 そう言って軍曹はロイヤルストレートフラッシュを繰り出した。

 

「おおおぃ!フェデリコてめぇイカサマしてんじゃねぇぞ!」

 

一人勝ちの筈だったアンネンコフが叫び声を上げる。

 

「うるせぇ!さっさとてめぇら賭け金だせや!」

「誰が出すかボケ!」

「吊るし上げじゃあ!」

「吊るせ!吊るせ!」

「トラックの先頭に括りつけて弾除けにしろ!」

 

 もみくちゃにトラックの中で暴れ始める兵士達。というより殆ど喧嘩である。

 

「ちょっ…皆さん止めて下さい!流れ弾が来るでしょう!ほわっ!?」

 

 ルチーカは飛んできた拳を寸前でしゃがんでよける。因みに拳は彼女の後ろにいた兵士の顔面にめり込んだ。当然顔面から鼻血を出した兵士はこの喧嘩に割り込む。

 

「おい、貴様ら何をしている!」

 

 結局喧嘩は士官が拳銃を上空に撃って無理矢理止めるまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 反暫定政府軍最後の拠点たるバハルタールが攻略されたのはその一か月後の事だ。

 

 戦闘は一部で激戦が続いたが基本的に暫定政府軍の勝利だった。同盟軍からレンタルした軍事用ドローンを前面に押し出し、同盟地上軍の爆撃と特殊部隊の襲撃等の支援を受けた暫定政府軍は2000名余りの犠牲を払ったが立て籠もる敵軍が3万名を越えている事、厳重な要塞線を敷いていた事を思えば寧ろ少ない犠牲であったといえるだろう。

 

そう、例え友軍の誤爆で何百名もの味方が死んでいようと。

 

「それで、俺らは絞首刑ですかい?それとも銃殺ですかい?」

 

 連隊長司令部にて両脇に兵士に監視され、電子手錠で拘束状態のフェデリコは肩を竦める。バハルタール攻防戦にて部隊の過半が同盟軍の誤爆に巻き込まれて焼き殺されたフェデリコは戦いが終わるとすぐに同盟軍基地に殴り込みをかけ拘束を受けた。

 

「安心しろ、軍曹。今の我らが星系警備隊にそのような非人道的な軍規はないからな」

 

 自由惑星同盟の士官服を着た連隊長は椅子にふんぞり返りながら塵を見るように答える。暫定政府軍がマーロヴィア星系警備隊と改名したのは僅か三日前の事だ。下っ端は兎も角、士官階級の者や星都の防衛軍には支給された同盟地上軍の軍服を着こなす者がそこらかしこを歩き回っていた。

 

「軍規ねぇ、昔は逃げたら射殺、命令に背けば射殺、上官に反抗すれば射殺だったでしょうに」

「時代が変わったのだ。もう、昔のように何でも銃弾で解決する時代ではない」

「何が時代が変わった、だよ。散々そういうルールを押し付けてきたのはあんたらだろうが。ましてあんな事をしたお前さん達の言葉を信用出来るかよ……!」

 

 暫定政府軍は同盟軍と今回の誤爆事件の事実を隠匿した。マーロヴィア星系政府の市民と同盟市民の双方の非難を浴びる誤爆の事実は今後の両者の関係から見て好ましくなかった。幸運にも誤爆された部隊は旧来の盗賊同然の者達が中心となる部隊だ。同盟の援助を受けた、今後の星系警備隊の中核となる精鋭部隊ではない。公式には反体制派との戦闘による戦死とされたのだ。

 

「ロイクも、レイヴも、ライも、アミン、ビテック、ディアラ、ルチーカも死んだ」

 

全員生きたまま焼夷弾で焼き殺された。

 

 その言葉に、しかし連隊長は一切動揺もせず、冷たい目で睨みつける。

 

「そうか。どれもこれも下層民出身だな。幸運だ」

「……!」

 

 怒りのあまり殴りかかろうとするがすぐに両脇に控える兵士達によって阻止され、床に這いつくばる事になった。

 

「本来ならばさっさと軍法会議で罪をでっち上げて死刑にしてやっても良いのだが……お前にもチャンスをやろう」

 

 そう言って連隊長は同じく同盟軍服を着用する副官に命じて契約書を軍曹の目の前に置かせる。

 

「…これは?」

「見て分からんか?ああ、分からんだろうな。契約書だよ」

 

 連隊長は軍曹が文字を余り読めない事を思い出して説明する。

 

「お前達のような輩を欲しがる星があってな。我々からしても新しいマーロヴィアにお前達のような汚点はいて欲しくないのだ。治安が悪くなる。広い宇宙ならお前さんの居場所もあるだろうさ」

 

見下すように連隊長は語る。

 

「おいおい、そう取り繕うなよ。どっかでさっさと野垂れ死にしろ、の間違いだろうが?」

 

皮肉気に鼻で笑う軍曹。

 

「好きなように言え。どの道お前の選択肢は二択のみだ。私としても死体処理のために税金の無駄遣いは嫌でね」

 

暫くの沈黙のうち、軍曹は答える。

 

「……まぁ、ここには居場所が無いようだからな」

 

 そう負け惜しみを口にして軍曹はペンを受け取り、唯一書ける自分の名前を契約書に記入した……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『まぁ、ここでも居場所は無いようだがな』

 

 休みながら、ふと半年前の事を思い出しながら小さくそう呟く軍曹。結局この地も自分達には馴染めなかった。結局命日が半年ほど移動するだけになる可能性が高そうだった。

 

『痛ぇな……!あの野郎、ちょくちょく人質の女といた貴族のボンボンか……!糞ったれ!俺の足を撃ち抜きやがった!』

 

 共にキッチンの影に隠れているムタリカは悪態をつきながら銃弾を受けた左足に消毒液を乱雑にかける。銃弾を抜き取る時間はない。凍結スプレーで傷口の流血を止め、包帯を巻き、瓶詰の鎮痛薬を噛み砕くように飲み込む。フェデリコはそんな同僚を一瞥した後銃の装弾を行う。

 

『はぁ…はぁ……計画が狂ったな、フェデリコ。奴らに居場所がばれたぞ?』

 

浅黒い顔を歪ませて、苦々し気に尋ねるムタリカ。

 

『……何、そう絶望する事でもねぇ。見る限り一人か二人か……大部隊で来ねぇと言う事は、まだ本隊は来てねぇと言う事だ。あの野郎、戦功欲しさに独走したか、女目当てに違いない。……いつも傍に置いていたから入れ具合の良いお気に入りだったんだろうさ。つまり準備不足だ。やり様によっては逃げ切れる!』

『やり様、ね』

 

 肩を竦めて皮肉気にくすくすと笑うムタリカ。確かにまだ破局ではないが、破局に向かう道は傾斜を増しているのは間違いないのだ。

 

『やれるのかね?恐らく残り三名は全員やられた。アンネンコフもザルバエフも、アムルだっておつむは兎も角戦闘技能は無能じゃねぇ。御貴族様とはいえ、幾らかは腕はあるのは違いねぇ。始末するなり、逃げきるなりできるのか?』

 

 無論、幾人かは不意打ちとはいえ、唯の甘やかされただけの貴族士官ではなかろう。時間的余裕に乏しい以上、仕留めるにしろ、無視して逃げるにしろ困難とは言わないが簡単ではないだろう。

 

『びびってんじゃねぇ。こういう事態も覚悟しての脱走だろうが。失敗すればその時はその時だ。そう珍しい事でもねぇ』

 

 生まれ故郷では村が焼かれる事も、街が廃墟になる事も、まして捕虜がそのまま処分される事は珍しくない。脱走は即銃殺だ。同盟政府が本格的に介入を始める前はそれが普通であったし、介入後も多々そういう事件は日常的に存在した。

 

 それ故、死ぬ事自体には然程恐怖はない。寧ろ貴族である奴らに許しを請うのはまっぴらだ。あの息を吸うように高慢な奴らは故郷の星系警備隊の奴らを思い出す。自分達を塵のように扱った奴らに。土下座して命乞いするくらいなら刺し違えて死んでやる。

 

 あるいは死ぬ事に関する感覚が麻痺しているのかも知れないが、それはお互い様というべきだ。彼らからすれば食料や資源ではなくイデオロギーやらと言う形無いもののために150年も、それも毎年何十万何百万も殺し殺されている事実の方がイカれているように思えた。

 

『死ぬなら死ぬでまぁいい。決めた事は後悔しねぇで最後までやろうじゃねぇかよ』

 

 そう言って床に転がるワインボトルを手に取るフェデリコ。屋敷の蔵から拝借していたものだ。コルク抜きがないので一発鉛弾を叩き込み吹き飛ばす。ラッパ飲みで中の豊潤な赤ワインを飲みこんだ。

 

『まぁ、ドローン相手じゃねぇだけマシか』

 

 ムタリカ伍長は肩を竦めながら語る。対帝国戦では互いに高度な電子戦を行うために無人兵器群は文字通り玩具同然であるが対テロ戦や外宇宙における戦いでは十分過ぎる程にその役目を果たしている。同盟軍地上軍の使う「月光」や「タチコマ」等と渾名される同盟地上軍の無人兵器群は帝国軍相手ならば唯の的だが辺境武装勢力にとっては絶望そのものだ。

 

 敵意も憎しみもない、情念の欠片もない機械に流れ作業のように殺戮されるのに比べれば人間同士の殺し合いであるだけ幾分かマシであるだろう。そう納得する伍長。

 

『ほれ、お前も飲んどけ。かなり上物だ。下手すれば人生最後の最高の酒だぞ』

 

 ボトルのワインを半分ほど飲み干すとそれを伍長に突きつけるフェデリコ軍曹。がぶ飲みのために口元から葡萄酒が零れ血を吐いたようになっていた。一部は軍装まで汚している。

 

 それを受け取り同じくがぶ飲みする。飲み干すと共にげぷっ、下品に曖気する。

 

『お、こりゃあうめぇな』

『だろ?』

 

 元より地元では葡萄酒は高級品のため殆どが質の悪いテキーラやビール、貧困層になると殆どメタノールそのものを水に薄めて飲む程だ。そのため同盟の民間企業がアルコール飲料を販売しだすと客が殺到して殴り合いや暴動、銃撃戦も起きた。二人もその時のアドリアンビールの味に感動したものだが流石に伝統的な手法で醸造される帝国風葡萄酒の前には大量生産品では太刀打ち出来ないようであった。

 

『よし、良い具合に痛みも引いてきた。どうする?基本方針?』

 

 鎮痛薬とアルコールで痛みを誤魔化したムタリカ伍長は軍曹に尋ねる。

 

『屋敷の中では分が悪いな。逃げながら孤立させて逆撃だ。運が良ければ上物の弾除けが手に入るかも知れん』

『オーケィ、じゃあ、行くか……!』

 

 そう言って伍長は手元のM4火薬式自動小銃に装着されたM775グレネードランチャーに榴弾を捻じ込むとテラスの見える窓硝子に撃ち込んだ。

 

 

 

 

 

 

「ちぃ、何でもありかよ……!」

 

 窓硝子をアクション映画の如くグレネードで吹き飛ばすと逃亡兵の残り二人は花園の中へと逃げ込む。向日葵畑の中に潜られたら簡単には見つけられない。

 

「待てや、コラァ……!」

 

 後々思えばここで危険を冒してまで追う必要は低かったかも知れない。友軍が来るまで待機するのも手の一つだろう。だが、逃げた先で別の人質を取る可能性もあったし、何より私自身興奮状態で正常な判断が出来ていなかったのだろう。そのまま二人を追っていた。

 

 向日葵を踏み潰しながら(ああ、弁償代金が増えていく)、必死に逃亡兵の背中を追い、拳銃を構える。

 

「ちぃ、手足を狙うのは難しいか……!」

 

 暗視装置を装着していても、夜間に、しかも遮蔽物のある中走りながら移動目標を撃つのは、まして古めかしい回転式自動拳銃では無理がある。数発程、死亡させる覚悟で撃ち込むが当たりもしない。

 

 そして目の前の相手に夢中になるがために周囲に気を配る事が出来なかった。

 

「この……つ!?」

 

 次弾装填して相手に銃口を向ける瞬間、殺気のようなものを感じた。宇宙海賊やカプチェランカで感じたものだ。人の気配、視線と言っても良いかも知れない。そして私は慌てて伏せる。同時に頭の上を何かが空を切る音と共に通り過ぎる。

 

『ちぃ…!餓鬼の分際で勘が良い……!』

 

 十数メートル横合いから銃撃してきた浅黒い兵士が更なる銃撃を浴びせる。咄嗟に向日葵畑の中で転げるように隠れながらその鉛弾の洗礼から身を守る。

 

「糞っ……待ち伏せかよ……!」

 

 相手が暗視装置を装備してなくて良かった。恐らく月明かりのみを頼りに銃撃してきたのだろう。そうでなければ今の第二射で殺られていた。

 

私は背を低くしてゆっくりと動く。

 

「……警戒しているな」

 

 向日葵畑に隠れ、暗視装置の光学カメラから見える映像は逃亡兵二人が銃口を周囲に向けながら警戒しているのが見える。

 

 二対一か……ここで無理して双方無力化する必要もない、か。ここに潜むだけでも奴らの逃亡を抑止する事が出来る。味方が到着するまでここで牽制に徹するべきかもしれない。

 

 ゆっくりと、音を立てずに装備を確認し、弾を装填する。

 

 このまま何も起こらなければ私の勝ちであった。時間は私の味方だ。時間稼ぎさえ出来れば良いのだ。そう、何も起きなければ、であったが。

 

「若様!どこにいらっしゃいますか……!」

 

殆ど悲鳴声が向日葵畑に広がる静寂を破った。

 

それは明らかにノルドグレーン少尉の声であった。

 

 迂闊であった。恐らくは私の身の安全を案ずるばかりに気が動転していたのか。あるいは疲労により頭が鈍っていたのか………。

 

 いや、それは少々過小評価であろう。私の危険を理解して敢えて声を上げる事で私への注意を逸らした可能性が一番高いかも知れない。自惚れではない。彼女は私よりもずっと頭の回転が速い。そして従士ならばそれくらいの自己犠牲をして見せるだろう事は私は経験で十分理解していた。

 

「馬鹿野郎、無茶しやがって……」

 

 小声でそう呟きつつも、嫌悪感や不快感はない。彼女にとっては与えられた役割を果たそうとしているだけの事だ。達成出来なければ彼女の立場が困る以上責める訳にはいくまい。

 

 火薬式自動小銃とブラスターの撃ち合いが始まった。逃亡兵達は声の方向に銃撃を始める。応戦するように光条が闇の中で発光する。

 

「……やるしかないな」

 

 このままでは少尉の身が危ない。ならば……迅速に相手を無力化するほかない。

 

 向日葵畑を影に逃亡兵の一人に接近する。火薬式小銃は銃声が大きいので多少の音には気付きにくい。

 

『……!?』

 

背後から電磁警棒の一撃を頭部に与える。

 

『ごおっ……この……!!』

 

 相手が反撃しようとする前に足を払い姿勢を崩させる。こちらを撃ち抜く筈であった銃撃は空に空しく消えていく。そのまま勢いよく足蹴りで相手を押し倒すが……。

 

『舐めるな、ボンボンがっ!』

 

 押し倒されると同時に浅黒い肌をした伍長が前に出された足を掴み捩じる。

 

「ぐおっ!?」

 

 そのまま私も転げるように地面に倒れる。私達は同時に起き上がる。振り払われるナイフの一撃を電磁警棒で受け止めた。そのまま士官学校で学んだ警棒術でナイフの軌道を受け流し、体を回転させながら相手の首筋に一撃入れた。

 

『あがっ………』

 

 今後こそ白目を剥いて倒れる逃亡兵。私は倒れた逃亡兵に電磁手錠をかける。

 

「後一人……!」

 

 私は銃撃戦を演じる場所へと走る。ブラスターの光条と、暗視装置のおかげでどちらが敵で味方であるかは一目で分かっていた。

 

「少尉!無理するな!後退しろ……!」

 

回転式自動拳銃を発砲して逃亡兵を牽制しながら叫ぶ。

 

「若様っ!若様こそ後退を……!これ以上は危険過ぎます!御母上様が御心配なさいます!ここは私が足止めをしますので!」

「ちょっとここで大声で母上出すの止めてくれない!?」

 

いつまで経っても母親離れ出来ないみたいに思われるでしょうが!

 

『ぎゃーぎゃー煩せぇぞ!箱入り貴族共がっ!』

 

 宮廷帝国語を使うために公用語以外分からない軍曹には何を言っているのかは分からないがどうやら下らない内容である事は分かったようだった。罵倒の言葉を吐きながら一層激しい銃撃をする。狙いは少尉だ。暗視装置を装備せず、かつブラスターは発砲によりこの暗闇では火薬式銃よりも大まかな位置が分かり易いためだ。

 

 そして銃弾の一発が少尉の左腕に掠ったのが暗視装置越しに見えた。アサルトライフルの銃弾は掠るだけでも場合によっては肉を引き裂く。まして野戦服も着ず、人質として疲労し、まして女性である少尉には軽い怪我とは言えなかった。蹲る少尉。

 

「ちぃ……!」

 

 私は発砲しつつ少尉の下に駆け付ける。一発が逃亡兵の胸に当たる。尤も野戦用防弾着を着ている相手には小口径の拳銃では大した負傷は与えられない。少しよろめくがそれは衝撃によるものでそこまで大きなダメージは無さそうに見える。

 

「少尉、大丈夫か!?」

「も、問題ありません……!この程度……!」

 

 自身のスカーフで傷口を縛ったのだろう。しかしスカーフには既に赤い血が滲んでいた。深くは無かろうが浅い傷ではないだろう。

 

「何が大丈夫だ!いいからさっさと引け!こんな詰まらん所で死なれたら困るんだよ!」

 

そんな事を言って振り向くと……あ、ヤバい。相手が体勢を取り戻した。

 

自動小銃をこちらに向ける逃亡兵。おう、丁度月の光がバックにあるから随分と狙いやすいだろうな。

 

 少尉も、疲労と痛みで流石に冷静な思考と判断は出来ていないようで……あるいは気付いていないか……避けようとしていないようだった。

 

「まず……畜生!」

 

 軍事的には当然の判断だった。簡易とはいえ防弾着を着て怪我も浅い切り傷程度の私が、重傷で禄な防備もない少尉よりも生存率が高いのは明らかだった。

 

だから、咄嗟の判断で私は少尉の前に出る。

 

……うん、正直タタタ、と発砲音が聞こえたと同時に少し後悔した。

 

「ぐえっ……!?」

 

鶏が絞殺されるような声を上げながら、銃弾の運動エネルギーで私は後ろに倒れる。

 

「わ、若様……!」

 

 悲鳴に近い……いや、文字通りの悲鳴が響く。怒りの表情で、最後の逃亡者にブラスターを発砲する少尉。軍曹は小さな悲鳴を上げ向日葵畑に倒れこんだ。太股を撃ち抜かれたらしく、遠目からでも苦悶の表情で地面で呻いているのが分かる。もう逃げる事は不可能だ。

 

 脅威を一応無力化したのを確認すると、少尉は倒れる私に必死に駆け寄る。

 

 銃弾跡は簡易防弾着の胸元……心臓の近くに小さな穴を開けていた。そして後方勤務の事務要員に配られる簡易防弾着は、旧式の上に安物で、着ていないよりマシ、程度の性能であると考えれば胸元への銃撃は限りなく致命傷に近い。

 

 それでもこれが十分な医療設備がすぐ傍にあればまだ治療も可能であろうが、当然ながらそんな物はこの近くにありやしない。即ち、それは詰み、と言う事だ。

 

「あ、ど、どうすれば……あ、まずは傷口をどうにかしないと……」

 

 倒れる私の傍で膝を折り、混乱する頭でどうするべきか思案する少尉。その表情は恐怖と絶望に歪み、その眼は潤み始める。

 

 だが、そんな事をしている内に私の体は急速に冷たくなり、意識は混濁………。

 

「いや、しないからっ!?」

 

 慌てて私は起き上がると共に突っ込みを入れる。危ねぇ、もう少しで死亡扱いされる所だった……!

 

「……はい?」

 

 訳分からない奇声と共に起き上がる私に口を開いて訳分からない、という表情を作る少尉。うん、凄い分かる。

 

「あ、あの……若様、御体は………」

「ん……ああ、衝撃は結構痛かったが恐らく………」

 

 簡易防弾着を脱ぐと軍服と防弾着の間から地面に何か光る破片が落ちる。

 

「これは…まさか………!」

 

少尉は顔を再び引き攣らせる。

 

「ああ、あの糞大佐の助言を聞いて正解だったな」

 

 尤も、こういう形で役立つ等と思っていなかっただろうが……。

 

 私は粉々になった名誉勲章の残骸を見つめながら肩を竦める。五芒星のメダルは銅に金メッキをしたものだ。防弾着を貫通した弾丸はその先のメダルに受け止められ、それでも衝撃は殺し切れなかったのだろう。上着とシャツの間で止まっていた。出血は無いがかなり衝撃を受けた。痛い……。

 

「かなり運が良いな……。痛っ……」

 

胸の辺りを摩り、私は立ち上がる。

 

「少尉、それでは最後の逃亡者に御縄についてもらおうか」

「あ、しかし……いえ………」

 

 怯える表情で、しかし命令には従わなければならないと理解したのか、すぐに立ち上がりブラスターを手に私について来る。

 

 ……これは流石に後でフォローがいるよなぁ。絶対色々言われるだろう。……出来れば今すぐ言いたいが状況が状況なので悠長にはいかない。

 

なので、今言えるのは一つだけだ。

 

「少尉」

「は、はい……」

 

 不安そうに応答する少尉に私は少々言いにくいがずっと気になっていたので指摘する。

 

「……カッターシャツの釦だけでもいいから止めてくれないかね?その……ちょっと緊張感が出ない」

「えっ?……り、了解しました……!」

 

 言われて初めて気づいたのだろう。胸元が少し開けているシャツの釦を止めて、上着で隠す。うん、白レースとか地味にチラ見したよ?正直戦闘中に滅茶苦茶気になるから隠してくれた方が良いんだよ……。感想?取り敢えず豊満重点ですね。

 

 僅かに空気が柔らかくなった事を確認し、私は改めて緊張感を持って歩き始める。恐らくもう逃亡は無理であろうが、油断は出来ない。

 

 私は少尉を控えさせ、最後の逃亡兵の下に向かう。無論不用意には近づかない。まずは勧告する。

 

「……亡命地上軍、第36武装親衛師団フェデリコ軍曹だな……!」

 

 十数メートル離れた場所から私は声を上げる。私は拳銃を、少尉はブラスターを持っていざという時の迎撃準備をする。

 

 遠目に見れば人影が右手に小銃らしきものをこちらに向けているのが分かる、が仮に撃ったとしても今の軍曹では暗闇と疲労と怪我の痛みで当てるのは困難だろう。実際、足に怪我を受けた軍曹は倒れた体勢で、息も荒い。

 

「……ソウダ!」

 

少し訛りのある同盟公用語で叫ぶ軍曹。

 

「軍曹、貴官の選べる選択は二つだ。ここで抵抗して射殺されるか、ここで投降して軍法会議で裁判を受けるかだ。前者を選べばこの場で確実に死ぬ。後者を選べばこの場で助かり、怪我の治療は受けられる。裁判次第では助命の可能性もある。何方を選ぶ!?」

 

 まぁ、裁判でも十中八九ギルティだけど。それでもここで死ぬよりはマシな筈だ。

 

「………ワカッタ、サイバンウケル」

 

暫しの沈黙の後、疲れ切ったような声で軍曹は答えた。

 

「では武器を捨てろ……!」

「………」

 

 数秒考えこむ軍曹は、手に持つ小銃を投げ捨て、次に拳銃を、そしてナイフを取り出し遠くへと放り捨てる。

 

「……ステタ!スベテステタゾ!」

 

 命乞いするような声に私は、しかし情けないと思うよりも安堵の溜息を漏らす。正直意地になられても殺す側は陰鬱になる。素直に命を惜しんでくれた方が気楽だ。

 

「よし、行こう」

「お待ち下さい、若様。私が先行します」

 

私が向かおうとすると、少尉が進言する。

 

「いや、お前は随分弱っている、私が先に行く。……何、武器は捨てているんだ。油断は出来んが気を張り過ぎるな」

 

 そう言って怪我と疲労で弱っている少尉は後ろに下がらせる。無論、不意の反撃に備えて警戒は怠らない。

 

「り、了解しました……」

 

 弱弱しい返事を返す少尉。私は頷いて、改めて軍曹の下に拳銃を向けつつゆっくりと近寄る。

 

「立ち上がって手を上げろ」

「アシ……ウタレタ。アシ……」

 

懇願するように訴える軍曹。

 

「手錠かけた後で応急処置はしてやる。さっさと立て!」

「ア…ウゥ……」

 

 渋々と言った風に軍曹は立ち上がる。少々酷かもしれないが相手は凶悪犯だ。勘弁してもらいたい。

 

 立ち上がった軍曹に拳銃を向けつつ武器を隠していないかポケットや胸元、腰に触れる。武器が無い事を確認した上で電磁手錠をかける。永久磁石を利用した電磁手錠を人力での破壊は不可能だ。

 

「よし、足を撃たれたんだな。少し待て。痛み止めと止血はしてやる」

 

 ここでようやく警戒を解き、私は軍曹の出血する左足に向け膝をつきながら応急処置に入ろうとする。

 

その時だ。

 

「ん?」

 

軍曹の軍靴の下に何かがあるのに気付いたのは。

 

『誰がお前達に命乞いするかよ。くたばれ、ボンボンが』

 

 砂と共に私に蹴り上げられたのは安全ピンを抜いた手榴弾だった。

 

「あっ……」

 

 空中に浮かぶ手榴弾を見て、私は目を見開く。流石にこれは予想していなかった。この距離だと軍曹も確実に巻き添えになる。まさか刺し違えてまで私なぞを殺す気であるとは思わなかったのだ。

 

故に奇襲であった。

 

 安全ピンが抜けた手榴弾は5秒程度で爆発する。そしてこの事態を予想していなかった私は咄嗟に体が動かなかった。

 

あ、これ死んだ?

 

 恐怖心を抱く暇もない。私は唖然とした表情で死の瞬間を……。

 

「若様っ!!」

 

迎えなかった。

 

 咄嗟に腕を引かれ後ろに下がる。そして誰かに抱きしめられ、回転しながら地面に倒れる。同時に弾けるような爆発音が響いた。

 

「……!ノルドグレーン少尉!」

 

 今度は私が悲鳴を上げていた。慌てて私の上に倒れる少尉を抱きしめながら叫ぶ。

 

「わ……若…さま?ご…無事…でしょう…か……?」

「当たり前だっ!お前が盾になったからな……!」

 

 手榴弾は近くで受けた際は破片の飛びにくい地面に伏せるのが一番生存率が高い。私の場合、そこに更に上から覆い被さる少尉がいたため当然のように無傷だった。

 

 それはつまり少尉が破片を私の代わりに受けた、という事だ。見れば太腿や脇、肩から出血していた。決して深くはないが、弱っている少尉には決して軽い傷ではない。

 

「そう……ですか。はぁ……最後…くらいは…役目を……はたせました…ね……」

 

 荒い息をし、苦し気に、しかし私が無事な事に心底満足そうに答える少尉。

 

「……!待っていろ!」

 

 私は少尉を上向きの体勢にして上着を脱がす。べっとりと濡れる白いカッターシャツが痛々しい。私は傷口に冷却スプレーと消毒液をかけると共に軍服のスカーフをナイフで切って包帯代わりにして止血に努める(元より同盟軍服のスカーフの装備目的である)。

 

「おかまい…なく……どの道…捕囚は……恥です…じ…けつ…よりも…盾でしたら……家に顔を……たてられ…ます…ので……」

「馬鹿いうな。ここで死なれたら寝覚めが悪すぎる……!ミスなら後で取り返せ!」

 

 お前さんを盾代わりにしてその親兄弟に偉そうに頭を下げさせられないだろうが……!

 

『うぐっ……』

 

 耳をすませば、自爆しようとした軍曹もまだ息の根があるようだった。悪いな、お前さんの治療は後回しだ。死ぬなら死ね。運が良ければ死ぬ前に救援が来るだろうさ。

 

私は目の前の少尉の応急処置に専念する。

 

しかし、少尉は寧ろ疑念に近い瞳で私を見ていた。

 

「はぁ……ご…かんだ……い……です…ね……」

「まぁな。貴重な臣下をほいほい捨てんよ……!」

 

両手を真っ赤にしながら私は答える。

 

「だからお前もこの程度気に病むな。後で私から両親に口利きしてやる!」

 

 そう言って安心させる。しかし、少尉の視線は寧ろ、悲しそうだった。

 

「でし…た…ら……」

 

何故姉は駄目だったのですか?

 

 振り絞るように、口から血を流しながら、少尉は呟いた。

 

「えっ……?」

 

その意味が理解出来ず、私の手が一瞬止まる。

 

 それと同時だった。空から爆音が響き、突風が向日葵畑に吹き荒れ、サーチライトが周囲を照らしたのは。

 

「あっ……」

 

 空を見上げる。それはヘリだった。夜間飛行用のそれは同盟地上軍の偵察ヘリだ。その周囲には護衛の戦闘ヘリと人員輸送ヘリ、赤十字マークのドクターヘリもあった。

 

 ヘリが次々と着陸し、兵士達が降り立つ。逃亡兵の捕縛と緊急搬送、そして私の保護と少尉の治療の命令が響き、我々を囲む。

 

「地域調整連絡官のティルピッツ中尉ですね!救援に参りました!御怪我は!?」

 

 傍に駆け寄る兵士の呼び声にしかし私は答える事は出来なかった。私の視線は担架で慎重にドクターヘリに運び込まれる少尉にしか向いていなかった。

 

 私は、無事保護されたにも関わらず、その気持ちは寧ろより重苦しく感じていた。そして、少尉の言葉の意味を理解すると共に苦悩の表情を滲ませて膝をつき、血まみれの手で頭を抱えていたのだ。

 

 

 

 

 3月14日2320分、フローデン州ジークブルク市周辺で起きた亡命軍外人兵脱走事件はここに一応の終結をした。

 

 

 

 

 

 

 




同盟軍ドローンは「虐殺器官」、「攻殻機動隊」、「メタルギアソリッド4」、「劇場版PSYCHO-PASS」のそれがそのまま暴れているのをイメージしてください。

マーロヴィアではドレビンめいたフェザーン商人が戦場で武器を売ってそう

少尉は死なないから安心してください。取り敢えず少尉を盾にした若様は吊るし首決定でいいよね?

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