帝国貴族はイージーな転生先と思ったか?   作:鉄鋼怪人

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第九十話 都会と田舎が仲が悪いのはいつもの事

「叛徒共は撤退の機会を窺っている、それは間違いない。問題はそれがどの時点で、そしてどのように行われるかです」

 

 5月15日1400時、両側を盾艦に守護された有翼衝撃重騎兵艦隊旗艦「アールヴァク」艦橋内でエヴァルト・フォン・ブランデンブルク大将は、従兵を控えさせ、午後の紅茶と軽食を楽しみながらメインスクリーンに映るグライフス大将、メルカッツ中将を見やる。

 

 ティーカップの中で鈍く照らされる薄紅色の水面を見つめ、暫し逡巡した後、ブランデンブルク伯は再び口を開く。

 

「参謀達の判断では16日から17日の間に始まる可能性が高いと結論づけた。奴らの弾薬や燃料等の物資消費率、後方の戦力展開の実施と終了時間から計算した結果です」

「撤退は恐らくは第二艦隊からでしょうな」

 

 第二猟騎兵艦隊司令官グライフスは重々しく答える。此度の攻防戦において危機に陥る事が多く諸提督の中では今一つ功績に恵まれない彼はしかし決して家名だけでその地位についた無能ではない。

 

 元々提督というよりも参謀やデスクワークに適性があり、その方面で功績を上げて来たのだ、その上第二猟兵艦隊は定数一万四〇〇〇隻余りの中規模編成の艦隊、帝都からの一か月以上に渡る航海と回廊内での前哨戦での損失も含めれば元より艦隊の疲労は他艦隊に比べ大きいのだ。

 

 それらを合わせれば寧ろ善戦しているとも言える。事実この攻防戦において幾度か危機に陥りはしたがそれが破局的な結果を迎えた事は無い。その統率力と瞬時に敵の意図を把握して対抗策を編み出す作戦立案能力は無能とは程遠い。

 

「して、いかがなさるつもりか?」

 

 グライフス大将が尋ね、それに呼応するようにメルカッツ中将も頷く。

 

「……第二艦隊は見逃しましょう」

 

 胡瓜のサンドイッチを食べ終わり、口元の汚れを従兵にナプキンで拭かせると、伯爵は悠々とした表情で答える。

 

 意外そうな表情を向ける二人の提督を見つめ、僅かに口元を吊り上げると要塞駐留艦隊司令官は続ける。

 

「無論、そのまま逃がしてやるつもりは有りません。我が方も戦力の再配置を行いましょう」

 

 そういって伝えるのは要塞駐留艦隊の一個分艦隊を密かに第二猟騎兵艦隊に移転させる事である。

 

「要塞は本当に便利なものです。イゼルローンの通信能力、電子戦能力、索敵能力はこういう時に役に立つ」

 

 ブランデンブルグ大将の言う通り、その通信能力に電子戦能力、索敵能力の結果、要塞周辺の偵察は困難極まりない。同盟軍の偵察や通信傍受は難しく、一方で帝国軍は後方で気取られずに戦力の再配置が出来る。

 

「では、やはり狙いは第一一艦隊でしょうか?」

 

 グライフス大将の問いにブランデンブルグ大将が肯定する。

 

「反乱軍共の最後尾、疲労は頂点に達しているだろう、増援部隊が追加されているとしてもそれは変わりません。メルカッツ中将」

「はっ!」

 

 名を呼ばれた初老の中将は一回り以上年下の上官に厳粛な表情で答える。

 

「中央の第三艦隊が撤収すると同時に我の艦隊を盾にしつつ戦闘艇部隊を前進、第一一艦隊の後背に展開してください。第三艦隊の後退支援砲撃があるでしょうがこちらが対処しますのでお気になさらず」

「不可能ではありません。ですが……それでは要塞駐留艦隊が第三艦隊に正面突破される可能性がありますが」

 

 反乱軍の撤収に合わせて要塞駐留艦隊が第四弓騎兵艦隊を守るように展開した場合、間違いなく艦列が横に伸び、薄くなってしまう事だろう。そこを突かれて中央突破をされてしまう可能性が高く、そのまま更に第一一艦隊後背に展開しようとする第四弓騎兵艦隊の側面に襲い掛かる事もあり得た。メルカッツはその危険性を指摘する。

 

「その点は心配ありません、こちらもそのような状況は想定はしております」

「想定、ですか?」

 

メルカッツが怪訝な表情を浮かべる。

 

「ええ、その通りです」

 

 そう不敵な笑みを浮かべ、ブランデンブルク大将は説明を始める。その内容を聞きながら二人の提督はその内容を吟味する。

 

「不可能ではありませんが、危険性も高い策ですな」

 

 グライフス大将はその有効性と危険性を天秤にかけてそう口にする。

 

「我々は兎も角、要塞駐留艦隊の負担は覚悟しなければなりますまい。それに閣下自身も危険に晒される作戦となり得ます。小官個人としては御再考を進言したいと考える次第です」

 

メルカッツ中将は、重苦しい表情で返答する。

 

「タイミングを合わせる事に自信が御座いませんか?中将の手腕と指揮する艦隊の練度を想定しての作戦、決して困難なものでは無い筈ですが……」

「それは……」

 

 可能だ、とメルカッツは内心でとっくに結論を出していた。それは自惚れではなく自身の経験と分析から来る客観的な事実だ。

 

 だが、同時に極度に失敗を恐れる彼の保守的な価値観が警鐘を鳴らす。可能ではあるが各部隊が連携して行わなければならぬ作戦、少しのミスが全体に波及するだろう。自身が失敗した時どうするか、思慮深いとも、ある種臆病とも言える彼の性格が作戦への支持に二の足を踏ませていた。

 

 メルカッツ中将は実力はある、その才覚は彼の士官学校同期に当たるミュッケンベルガー大将と比肩するだろう。事実幼年学校時代はあのシュタイエルマルク中将、士官学校学生時代には当時のゾンネンフェルス中将の手塩をかけた指導を受け、首席と次席を独占していた程だ。だが威風堂々として威厳に満ちた首席と違い臆病で非積極的、その上で不器用な気質故に諸将を率いる器としては劣ると認識されたがために軍内での昇進が遅れていた事をブランデンブルク大将は思い出す。

 

「中将、懸念は理解します。ですが私がここで求めている返答は貴方の個人的な主観ではなく、客観的に分析した上で実施は可能かどうかを尋ねているのです」

 

 故にブランデンブルク大将は敢えて高圧的に振舞う。メルカッツ中将のような手合いに対してはある意味ではこのような二者択一を迫る方が良い場合もあった。

 

「……問題はありません。計算通りに物事が進むとすれば実現性はありましょう」

 

暫しの逡巡の末、最終的にメルカッツはそう答える。ブランデンブルク大将は頷く。

 

「宜しい、では両提督は作戦の実施に向けて動き始めて下さい。叛徒共をこのまま辺境に帰らせる訳ではいかない、正義の鉄槌を下すために」

 

 ブランデンブルク大将は両提督と敬礼して通信を切る。会議を終えた後、大将は従兵が差し出した新しい紅茶を手に取る。

 

「旦那様、恐れながらあのような質問の仕方で宜しかったのでしょうか?メルカッツ中将の不興を買い、作戦に非協力的になる恐れは御座いませんでしょうか?」

 

 ブランデンブルク伯爵家に代々仕える従士家出身の若い従兵が恐る恐る尋ねる。軍務に就いている門閥貴族の中には身の回りの世話をさせる従兵を信頼出来る臣下の子弟を選ぶ傾向が強かった。ブランデンブルク大将の場合も同様で一個分隊の従兵達は全員臣下の家の者だ。

 

「良いのです。あの人は優柔不断なのです。寧ろあのように命令した方が目前の任務に集中出来るでしょう」

 

 戦略眼も戦術眼も十分以上にあるが、それ以上に臆病故にそれを生かしきれない。ならば命令して目の前の義務だけに全力で取り掛からせた方が良い。寧ろ先ほどの命令は愚直な彼の精神衛生上寧ろ良い傾向を与えた筈だ。

 

「もう少し自信と決断力があれば元帥にもなれるのでしょうが」

 

 ある種の憐憫も含んだ口調でブランデンブルク大将はティーカップに口を付けた。だから宮廷でも軽視されるのだ。武骨なのはまだ軍人として良いとしてもあの小心な性格では受けが悪かろう。選ばれし指導者としての威厳が無い。

 

「フォルケンホルン少将の第Ⅳ梯団に連絡を。イゼルローン要塞の影から迂回しつつ第二猟騎兵艦隊後方に展開するように、と。また第Ⅴ梯団の残存戦力は第Ⅰ梯団の麾下に加える。各員作業に掛かれ」

 

そこまで命じた大将は手にしたティーカップを従兵に返して下がらせる。

 

「さて、私も覚悟を決めなければなりませんか」

 

 この先起こる戦闘が此度の攻防戦の勝敗を決める事を理解して、伯爵は僅かに、気付く者がいない程に僅かにその優美な表情を強張らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 狭苦しく、息苦しい独房内で私が行える事はそう多くない。

 

 だが、だからと言ってここで私が何もせず時間を無為にするという選択肢はあり得なかった。私の腹に一撃を加え、頭を踏みつけるどころか万年筆を拝借するような副長殿がこのまま私を生かしておくか、と言えば怪しいものだ。

 

 「副長の奴は本当に酷い奴だぁ、艦長が寝入っているのを良い事に好き勝手するんさな。危ない仕事は全部気に入らない奴にやらせて……」

 

 独房の外で私の監視役を仰せつかっている伍長はぶつくさと語る。三十代の中年軍人は地方の農村生まれの五男らしく、一族の土地を継げる訳でもないので徴兵後そのまま帝国軍に残り長年地方の警備の仕事に就いていたらしい。そして何の因果か軍人となって十年以上経ってから正規艦隊に配属され、初めての大規模会戦への参加と共に宇宙の漂流者となってしまったのだそうだ。

 

「ふむふむ、それは酷い上司な事だ。部下を指導する士官でありながらそのように狭量では艦長も普段から随分と苦労した事だろうな」

 

 愚痴を語る彼に対して私は牢獄の中から煽てながら話を引き出す。

 

「分かりやすか?艦長様は本当に良い人でした。あの人は私らのような無学者の世話をしてくれやした」

 

 業務を分かりやすいように指導し、訓練は厳しいが怪我や事故が起こらないように乗員の安全や福祉にも配慮されていたと言う。飲み会もよくあり、艦長が皆に奢る事も多かったらしい。

 

「副長は、貴族嫌いなんだって?」

 

 私が尋ねれば鉄扉を隔てた伍長は頭を強く振って口を開く。

 

「そうなんだべさぁ!あの人ぁ、御貴族様を良く思っていないのでさ!部下に来た貴族様にねちねちと嫌がらせして虐めるのですよ!」

 

 艦長もこれには随分と困っていたらしい。それでも軍隊は上官の命令は絶対であり、副長は軍規に違反しないギリギリの嫌らしい命令ばかりをしていたためにそれを元に軍法会議などにかける訳にはいかなかったそうだ。

 

「ファーレンハイト少尉が今の標的でさ。帝国騎士様だし、士官学校出のエリート様なのが特に癪に触るんでしょうなぁ」

 

 それでも次々与えられる無理難題を何だかんだありつつも解決して見せるらしいが、その慇懃無礼な態度が更に副長の顰蹙を買うようであった。

 

「全くせせこましい人です。立場が上の貴族様にはへこへこ頭下げる癖に下の貴族様にはそんな態度なんですから。俺らのような田舎者相手でも同様でさ。下の奴には冷たい本当に嫌な上司ですだ」

 

 口の軽い警備は訛りの強い帝国公用語で卑屈な上官への文句を垂れまくる。そこには同時に若い少尉への同情も読み取れる。

 

「成る程……」

 

 ここまで話を引き出し、これまで手に入れた情報から話の全貌が凡そ見えてくる。

 

 まず、この艦内の生存者は大きく二つに分かれている。所謂中階級以上の平民グループだ。こちらは副長が階級的に牛耳っているとみて間違いない。

 

 もう一方は貴族・士族・地方民からなるグループだ。恐らくはファーレンハイト少尉辺りが取り纏めであろう。この二つのグループは対立しつつも一応軍の指揮系統に基づき救助が来るまで行動していたと思われる(といっても艦長が指揮を取れない以上、副長グループが圧倒的に立場が上と言えるが)。

 

そこにやってきた特大の爆弾が私だ。

 

 私とベアトの乗ったランチはこの事態において彼らにとっては救いに違いない。無論ランチで移動出来る距離は知れているが少なくともこの巡航艦の残骸で物資を食い潰し窒息か餓死するよりはマシだ。他の残骸に向かう事が出来る。

 

 問題は二点。一つはランチの搭乗可能人数だ。あのランチでは三十名前後の生存者全員を乗せる事は出来まい。良くて半分と言った所だ。

 

 もう一つは捕虜になった私だ。こんな状況で御荷物を増やす訳にはいかないが、同時に殺害すれば軍法会議物という迷惑な存在が転がり込んできた訳だ。

 

 副長の選択肢は保身と共に合理的で悪質だった。私を「唯の同盟兵」として扱った上で、若い少尉に処刑させようとした。これには二点の利点がある。

 

 一つには自ら処刑しない事で助かった後に軍法裁判にかけられても全ての罪を実行した若い少尉一人に押し付ける事が出来る点。もう一点は面倒な士族や地方民のグループの取り纏め役で知恵袋になり得る少尉を孤立させられる点だ。

 

 流石にその場で「奴隷出身の同盟軍兵士」として扱い私を殺害したとしても本当に貴族である可能性は高い。もし本当に伯爵家の御曹司の場合、実行した帝国騎士は軍法会議で処刑は確実、とばっちりを受ける恐れを考え、グループ内から距離を置かれる。

 

 そうなれば占めたものだ。戦闘の基本、頭の回る小賢しい士官学校出のエリートと無学な地方民共を分断した上で各個撃破する。ランチの定員の関係上、置き去りにされる者が出るのは確実で、残される者が素直に聞くとも思えない。先手を打って永遠に黙らせれば問題は解決するのだ。後はどうにかして本隊に救助され、助かった者達の間で全ての秘密を闇に葬れば良い。

 

 問題は理路整然と物的証拠まで出して公然と私が本物の伯爵家の人間であると証明して見せやがった事だ。流石に副長も平民、貴族にしか分からない分野で証明されてしまえば知識が無い以上否定する事は出来ない。しかも無理に殺させようとしても反発する士族や地方民等の貴族を崇拝する兵士達との銃撃戦が起りかねない。自分達で殺すのは論外だ。結果牢獄で食料と酸素を食い潰す穀潰しが一人誕生、という訳である。

 

「それにしても、あんた様って、確か伯爵様なんですかい?」

 

 相変わらずの訛りの強い帝国公用語で尋ねる伍長。広大な帝国においては言語の完全統一は中々難しく、地方民は教育機関や軍内で公用語を覚えなければならない。……というよりも実は全国的に徴兵が行われるために帝国軍内での各地方出身者の意思疎通のために生み出された軍内言語が元に帝国公用語が生まれていたりする。

 

「ああ、正確には伯爵家の長男だ。父が当主なのさ」

 

 母は黄金樹と侯爵家の血を引いている、とまでは言わない。そこまで行くと流石に事実だとしても客観的には出来すぎな程に嘘臭く思われる。サラブレッド過ぎるわ。

 

 どうせ何千とある門閥貴族の具体的な関係性や上下関係なぞ分かるまい。少なくとも今は彼らに私が伯爵家のどら息子とだけ教えておけば良い。

 

「ひゃああ、そりゃ凄いですなぁ。確か伯爵って子爵の上でしたっけ?グライフス大将様より上とはたまげたぁ」

 

 冷やかしや皮肉、と言うよりは純粋な驚嘆に近い声を上げる伍長。

 

「通りで話し方や佇まいもお上品なんですなぁ。それに話に聞きやしたが御一人で四人を圧倒したとか、流石大貴族様だぁ」

 

 顔立ちが整っていること、宮廷帝国語のアクセントの混じる帝国公用語、宮廷風の影響の強い優美な所作、そして私が(装備や偶然の要素が強いが)四名の敵兵に対して互角の勝負を行いしかも一人は射殺した事、それらが私が大貴族の血を引いている事の証明として彼は見ているらしい。

 

 彼、いや少なくない帝国人にとって偉業や品格は優秀な遺伝子を引き継いでいるからこそのものであるとの意識は強い。実際は顔立ち以外はコスト度外視の教育の結果だけど。

 

「あー、天下の伯爵様にはこんな部屋じゃあ御不満でしょうが勘弁してくだせぇ、ほかの奴らはそこらで雑魚寝しないとあかんのです。これでもまだマシな方なんでさぁ」

 

 扉の向こう側から伍長は心底恐縮そうにそう弁明する。本来は捕虜と看守の間柄なので力関係は完全に逆の筈なのだが、それでもこの態度だ。地方民の階級社会万歳な教育がどれだけ徹底されているのかが良く分かる。

 

 私としては射殺された仲間に対して思う所は無いのか、とも聞きたくなるが止めておく。返答は予想出来た。彼らにとって高貴な存在たる貴族に挑めば秒殺されるのは当然とでも思っていそうだ。寧ろ三人生き残った事を手加減と思っている可能性すらある。

 

 そのため私は貴族らしい返答をして相手に私が貴族である事をより認識させようと試みる(というよりも演技を続けないと本当に貴族か怪しまれるかもしれない)。

 

「そうだな、確かにこの部屋は汚すぎる。明かりも絨毯も無い、ベッドに至っては……クッションが固すぎるし、毛布は薄汚い。後トイレが臭うな。到底客人を持て成す部屋ではないな。まるで豚小屋だ」

 

 最後は本音も混じっている。流石に重力制御装置が機能しなくなる事も想定して無重力空間でも逆流してこない設計が為されているが、寝食をする室内にトイレもあるのは不愉快だ。普通の貴族なら冗談抜きで家畜小屋と勘違いするだろう。到底人間(と書いて貴族と読む)場所ではない。

 

 扉の向こう側から見えなくとも伍長が若干怯えているのが分かる。彼らにとって門閥貴族などと言うのは雲の上の存在だ。気紛れの言葉一つで処刑されるどころか家族親戚一同が拷問の末惨たらしく殺される。しかも幼少時より平民はより優良な遺伝子を持つ貴族階級や帝室に奉仕するために生存を許されていると教えられていた。都市部なら兎も角純朴な地方民は以外な程それを信じている者も多い。

 

「そ、それは……」

 

口ごもる伍長。

 

「……いや、卿に言っても詮無き事だな。気にする事はない、どうせ卿なぞにはどうにも出来んのだろう?言っても無駄な者に問い詰めるような無駄をするつもりはない」

 

 私はベッドに座り込むと寛大な領主のように偉そうにそう口にする。何捕虜の癖に上から目線なんだ?なんて気にするな。同盟軍に捕虜になった貴族将校の態度より百倍はマシだ。

 

 あいつら従僕とダブルサイズベッド、それに食事に高級ワインをセットにする事を当然のように要求してくるからな。それどころか奴隷共と会話する事自体汚らわしいと拒否する者までいる。お陰様で応対が面倒なので貴族将校の捕虜が亡命政府預かりになる事も珍しくない。

 

「へ、へい……その通りです。ど、どうぞ御容赦を……」

 

 多分扉の向こうで伍長は平民らしく卑屈に頭を下げている事だろう。

 

「ふん、私も状況が分からん程愚かでもないからな。私の寛容に感謝する事だな、だが……」

 

 そこで私は敢えて間を空ける。そうする事で相手が不安がる事を見越しての事だ。

 

「な、何でしょうか……?」

 

恐る恐るという口調で伍長は尋ねる。

 

「……いや、卿の同僚達にも警告しておく事だ。余り無礼な真似をすると後悔する、とな。疲れた、少し寝るから二時間程度したら起こせ」

 

 私は悠々と、余裕を持った表情(無論、演技で内心緊張と吐き気で最悪の気分だ)で命令するとベッドにゆっくりと横になり、自身の体が浮かんで飛んでいかないようにを安全帯でベッドに固定する。

 

 私は就寝する振りをして内心で脳細胞を全力で働かせて現状の打開策を考える。

 

(落ち着け、ベアトが私の危機をいつまでも放置する可能性は低い。同時にあの食い詰めが何も考えていない筈はない)

 

 考えを整理する。まず副長が私を生かして帝国軍本隊の下に連行する事は無い(そんな事すれば身の破滅だ)。同時に食い詰めが私に無駄に情報を与えている時点で明らかに利用するつもりなの確実だ。

 

(つまり食い詰めは私を利用して副長に対抗しようとしている、という事だ。大方の利用法は予想出来るが……)

 

 その点は恐らく上手くいくだろう。先程までの伍長との会話、半分の思考経路が彼と同じならばギリギリどうにかなる事だろう。そして証拠なら……。

 

「こいつがある」

 

 カッターシャツの袖の下にある腕時計の感触を確認する。万年筆同様に見る者が見れば私の身分を証明してくれるだろう。後はいかに説得するかだが………その辺りは私がどの程度口が回るか、だな。懸念があるとすれば……。

 

(ベアトが食い詰め辺りと銃撃戦、なんてのは御免願いたいなぁ)

 

 ベアトを危険に晒したくないし、弾薬と戦力、そして生存の芽を無駄にしたくない。だが問題はベアトが行動を起こせばそういう訳にいかなくなる。ベストはベアトが行動を起こす前に食い詰めが私に接触と協力を取り付けて、私からベアトに合流を命じる事……。ああ、こっちから起こせるアクションが無いのがもどかしいな。

 

 私は舌打ちしつつ、瞳を閉じる。結局頭を働かしても私に主導権が無い事が分かるだけだな……精々その時が来るまで体力を温存する程度だな、私に出来るのは。

 

 私は焦燥感と不安に苛まれつつも少しずつ意識を手放す。ストレスと吐き気から無駄に体力を使っていたようで、一度瞳を閉じると私は呆れる程早く意識を手放していた……。

 

 

 

 

 

「ふん、見てみろこれを。良くもまぁ捕虜の身であんな堂々と、恥ずかしげもなく寝れるものだ。まるで自分の生命の危険を意識していないようではないか」

 

 巡航艦中央部に設置された艦内管制室、フォスター大尉は室内に設置された多数のスクリーンの一つを見ながら鼻を鳴らす。そのスクリーンの画面にはベッドの上で寝入る同盟軍装の若い中尉が映る。

 

「危機感が無いんですよ。恐らくは命の危険を感じた事が無いのでしょう。所詮は貴族のボンボンです」

「あの顔立ちでしたら二十やそこらでしょう?中尉なら多分士官学校卒業して一、二年の餓鬼です。反乱軍の士官学校もこっちと同じでコネで入れるんですねぇ」

「おいおい、反乱軍はどいつもこいつも元奴隷なんだろう?『優良』な御貴族様なら実力で入学出来る筈さ、まぁ本当に『優良』だったらだけどな!」

 

余り品が良いとは言えない嘲りの笑い声が響く。

 

 艦内のダメージコントロールや消防設備や修理用ドローンの作動、警備カメラを通して警備を行う艦内管制室は現在副長以下の人員が詰める臨時司令部……というのは建前で事実上副長派の生存者がほかの生存者を監視する部屋と化していた。

 

 彼らが今物笑いの種にしているのは捕虜として収監中の同盟軍士官の姿だ。艦が真っ二つになった際の衝撃で集音器は破壊され、監視カメラも損傷して映像は不鮮明、会話の内容も表情も不明瞭だが彼らには余り関係無かった。例えどのような理知的な会話をしていようと、毅然な表情をしていようと野次か罵倒か、嘲笑が飛び交うだけであっただろうから。

 

「何が優秀だよ、貴族なんて奴らは毎日御屋敷で酒と女で乱痴気騒ぎして浮かれている奴ばかりさ。安全な場所で酒飲んで女抱きながら二、三回戦争を観戦なされるだけで提督様さ」

 

 予備役士官学校出の索敵主任ケストナー中尉は高笑いしながら普段ならば到底口に出来ない言葉を放つ。彼はこの巡航艦の乗員の中で生存している数少ない士官だった。警備主任は宇宙空間に投げ出されたし、機関長は核融合炉の暴走で被爆死、水雷長、航宙長、砲雷長は艦が切断された時に吹き飛んだ破片で体を切断されたり切り裂かれて失血死していた。彼が助かったのは艦が揺れた時に床に倒れ破片が頭の上を通り過ぎたからだ。

 

「……あの若造の方は怪しい動きは無いな?」

 

副長は尋ねる。

 

「ええ、外に出てランチの修理をしていますよ、御苦労なこった」

 

 そう言って一人が生き残っている艦外光学カメラの映像を映し出すスクリーンを指差す。帝国宇宙軍簡易宇宙服を着た数名の人影が巡航艦に突っ込んだランチの周りで作業を行っていた。

 

「ふん、ファーレンハイトの奴、貴族だからって生意気な態度をしやがって。所詮二代目の貧乏騎士の癖に」

 

 詰るように罵倒するのは艦内経理担当だったオーマン曹長だ。自身よりも二十近く年上の上官に全く礼節の無い態度であった。兵士達の給与や物資を数字のマジックで長年少しずつ着服していたのを新任の若造に気取られ裁判沙汰になる前に足を洗わざる得なくなった恨みが彼にはあった。

 

 実の所帝国軍において不正等に手を染める者は圧倒的に平民階級の者が多い。大貴族となると物心がつく頃から物質的に恵まれているために横流しや猫糞をしてまで蓄財に励む者は意外と少ないし、下級貴族は多くの場合体面やプライドが許さない。

 

 寧ろ実際に物資を取り扱う現場の兵士や下士官の方が守銭奴のように不正蓄財する者が多い。上級士官で不正行為に励む者も成り上がりの平民出身者が主体であった。そこで不正蓄財に励みあわよくばそれを元手により上の階級を目指す訳だ。そして一部のそのような平民の存在が大貴族による平民や下級貴族蔑視に繋がり、平民や下級貴族による敵意を生み出す一因でもあった。

 

 ……尤も、逆説的に言えばそれだけ平民と大貴族の間に格差がある証明でもあったが。

 

「それよりどうする?一人口減らし出来たと思えば面倒な穀潰しが一人増えちまった。下手に取り扱うと田舎者共と猪共が何仕出かすか分からん」

 

 ある下士官が苦々しげに指摘する。その言葉に場が静まりかえる。

 

 田舎者は地方民、猪は士族階級を指していた。唯でさえ副長と対立している出自であり、まして大貴族がいるとなれば選択肢を誤れば暴動になりかねない。

 

「今は動けん、ランチの修復が終わるまではな。それまでは辛抱だ」

 

副長が端的に結論を出す。

 

「ですが……空気や予備電源はまだ何週間か持ちますが、食料が……」

 

 オーマン曹長が懸念を伝える。三十名余りの生存者がおり、食料が不足し始めていた。切り詰めて後一週間持てば良い方であろう。

 

「分かっている。それまでに始末は付ける……!」

 

 副長が少々腹立だし気に答える。長時間このような環境で責任者の立場に置かれる事で彼自身短気になっている自覚はあった。

 

「武器は集めている、この管制室から隔壁や空調操作も出来る、後はタイミングだけだ、問題は無い……!」

 

荒らげた声で副長はそう語る。

 

 尤もそれは半分程度は場の不安を和らげるための強がりである。武器は彼方側も保有しているし、隔壁や空調操作程度では決定打に欠ける。シャフトからの移動やマスク程度でも無力化は不可能ではない。

 

 それを理解しているからであろう、そう宣言しつつもテーブルで討議を続ける彼らの注意は次第にカメラ映像から議論の中身に移っていた。故に彼らはその瞬間を逃していた。一瞬、監視カメラからの映像が砂嵐と共に揺れた事に………。

 

 

 

 

 

 

 ベアトリクス・フォン・ゴトフリート中尉の内心は焦燥と悄然と葛藤で支配されていた。

 

 敬愛し、守るべき主人が捕囚の憂き目に遭ったのだ。貴族……それも門閥貴族が身体の自由を束縛されるなぞあってはならない事だ。自由が束縛されるのは無知蒙昧ですぐ流される愚鈍な平民共が課せられるべきものであり、貴族は束縛して平民共を管理する存在、これでは逆ではないか!

 

 平民の如き立場に身を置く、それがどれ程の恥辱であるか、ゴトフリートは良く理解していた。そして側に侍り、守るべき身でありながらそのような立場に主人を陥れた自身を大いに呪う。

 

 ゴトフリート家の初代は元を何処の誰が親かも知れぬカルト教団の少年兵という劣悪遺伝子排除法に基づき殺処分されても仕方のない卑しい身である。しかし護衛としての献身的な働きを初代ティルピッツ伯爵オスヴァルトに評価された結果従士家に取り立てられ、以来500年20世代以上に渡り代々伯爵家に仕えてきた。

 

 そして初代からの遺言を守り、代々一族の者は文字通り命を賭けて大恩ある伯爵家に忠誠を尽くした。主家を守り討ち死にした先祖の数は二桁に上る。

 

 数百ある伯爵家従士家の中で五本の指に入る権勢を得て、付き人や盾艦の艦長などの栄誉ある職務も任せられるようになったのはその一族の長年の忠誠への報酬だ。主家は臣下の忠誠と犠牲に対してそれに相応しい報いを与える事を忘れない。

 

 ましてその末裔たるベアトリクス・フォン・ゴトフリートは付き人の栄誉ばかりか、幾度となく過失を犯しながらも臣下として望外の寵愛を受けてきたのだ。

 

「それがこんな……!」

 

苦々し気な、無念の思いを込めた言葉が口から洩れる。

 

「……落ち着きなさい、今やるべき事は口を開く事ではありません」

 

 深呼吸して、怒りと自己嫌悪の感情を押し殺し、従士は手元の携帯端末を操作する。そう、今はそんな事をしている暇は無いのだ。口より手を動かさなければならない。

 

 巡航艦「ロートミューラー」の残骸の一角、艦表面の残存する光学監視カメラの死角となる位置にいたゴトフリートは宇宙服を着たままの状態で艦内システムに保有する携帯端末のケーブルを繋げて所謂ハッキングを行っていた。

 

 ハッキング自体は決して困難ではない。システムのソースコードは帝国語であるがゴトフリートにとっては帝国語はある意味同盟公用語以上の母国語だ、万全なら兎も角半壊した巡航艦のシステム、しかも電子戦要員も大半は死亡しているであろうし、電力の問題もあり十全なハッキング対策は不可能であった。そこに電子戦では一歩先を行く同盟軍式の教育と機材が加わるのだ。拍子抜けする程に簡単に艦内システムに潜入する事が出来ていた。

 

「これでは電子戦要員は大半どころか全滅している可能性も高いですね」

 

 余りにあっけなくシステムから情報を盗み見る事が出来たためにゴトフリートは呟く。問題は必要な情報が見つかるかだが……。

 

「あった。これですね……」

 

 独房の監視カメラが生きている事に気付き、端末の液晶画面に出力する。

 

「若様……!」

 

 携帯端末に映る解析度の荒い映像を見つめ、ゴトフリートは悲痛な声で呟いた。

 

 精度の低い画像ではあるが彼女には粗末過ぎるベッドに寝込んでいる人物が誰か、顔の判別がつかなくてもその姿で即座に理解出来た。代々優秀な遺伝子を受け継ぎ(少なくとも彼女はそれを信じている)、健康と安全と栄養価を保証した食事、科学的に効率化された鍛錬、そして厳しいマナー教育を受けた体形や物腰は平民共のそれとは雲泥の差だ(少なくとも彼女にはそう見える)。

 

 大帝陛下より認められた優良種の末裔がこのような狭苦しく、小汚い部屋に押し込まれている事は正に悲劇だった。それは優良遺伝子の凌辱であり、貴族階級への不敬であり、大帝陛下の理想への冒涜だ。許される事ではないように思えた。

 

「あのような固く小さなベッドで……何と御労しい……!」

 

 従兵の一人も付けない賊共の配慮の無さに怒りすら覚える。その程度の配慮すら出来ないとは、所詮は貴族階級に選ばれなかった劣等遺伝子の平民共が……!

 

 限りなく彼女の憎悪は偏見と差別意識と理不尽の混合物であったが、彼女の価値観においてはそれは間違い無く唯一絶対の正義であり、恐らくは銀河の両腕にあるそれぞれの宮廷でそれを叫んだとしても、そこの住民達は拍手喝采する事なく、寧ろ一周回って当然の常識を必死に演説するその行為を怪訝に思うだろう。

 

 その感情は偏見で固められていたが、少なくとも彼女は目下の目標に関しては極めて冷静で、合理的であった。主人の救出のための情報収集、特に賊共の数と位置の把握が先決であった。機会が来ればハッキングで落とした電源と爆薬で奇襲を行い、主人の救助とランチの強奪を行うつもりだった。

 

「機を待て、で御座いますね」

 

 主人の最後に残した言葉をゴトフリートは反芻する。その言葉ではやる気持ちと激情を抑える事が出来た。下手な動きは主人の救出の失敗、いや怪我をさせる危険もあるのだ。故に主人の言葉に忠実に従う。

 

「まずは艦内電源システムに干渉して………っ!」

 

 次の瞬間それに気付いてゴトフリートは手元のハンドブラスターを引き抜いていた。

 

「っ……!」

 

目の前にハンドブラスターの銃口が見えた。

 

 視線を動かせばそれは帝国宇宙軍の簡易宇宙服を着た敵が向けているものであった。

 

「………」

 

 ゴトフリートは動かない。彼女のハンドブラスターの銃口もまた相手の心臓に向いていた。引き金が引かれればその筒先から放たれる低出力レーザーの熱線が敵の心臓を簡易宇宙服ごと貫くであろう……とは限らない。

 

(隙が……ない)

 

 ゴトフリートは微動だにせず沈黙し、相手もまた同様であった。仮に引き金を引いたとしてもコンマ数秒のその動作の隙をついて相手は身を翻し反撃の銃撃が襲い掛かるであろう、そしてそれは相手もまた同様、故に二人は銃口を向け合いながらも文字通り指一つ動かすことが出来なかった。

 

 暫しの膠着状態、ゴトフリートは頭を回転させてこの難局をどう乗り越えるか、具体的に目の前の障害を増援を呼ばせずどう無力化するかについて策を巡らせる。

 

『中々の手練れだな、これは思いの外期待出来そうだ』

 

 ヘルメット内側に備え付けられた無線機からのオープン回線による通信が響いた。それは明らかに目の前の敵からのものであった。

 

『そう身構えるな、敵ではない……と言っても信用はせんだろうな、当然だ。だが矛を収めて貰いたい、我々に敵対の意思は無い』

 

 そこまで言ってもゴトフリートは警戒を解かないので目の前の帝国兵は肩を竦める。

 

『いやはや、良く訓練されている事だな。流石に伯爵家の側で御守……いや、護衛に付くとなると雑兵とは訳が違うな』

 

 ぴくっ、とゴトフリートが「伯爵家」という単語に反応する。強ばる表情はヘルメット越しのため見えないが、その雰囲気の変化に相手は目敏く気づいたらしい。

 

『そうだ、卿の主人の事だ……落ち着け、私は卿にも、卿の主人にも敵対するつもりも、危害を加えるつもりもない』

 

 強烈な殺気を感じて帝国兵はゴトフリートに落ち着くように語りかける。

 

『同じ帝国貴族、帝国騎士としての名誉をかけて誓おう、私は卿の味方だ』

 

 そう言ってゆっくりとブラスターを降ろして相手を刺激しないように貴族風に一礼する帝国兵。

 

『アーダルベルト・フォン・ファーレンハイト帝国騎士、と言っても卿が知る由もあるまい。伯爵家には及びも付かぬ新興の家柄だからな』

『………ゴトフリート従士家、ベアトリクス・フォン・ゴトフリート従士です。単刀直入に尋ねます、賊軍の一員の分際で何用でしょうか?それに…我々?』

 

 ハンドブラスターを下げ、オープン回線でファーレンハイト少尉に怪訝そうに尋ねるゴトフリート。ブラスターを降ろされ挨拶されれば同じ帝国貴族として相応の礼節を取るのは例え賊軍所属であろうとも当然であった。寧ろだからこそ非礼をする事は自らの品位を貶めるために許されなかった。

 

『……うむ、少々こちらでは問題が起きていてな、統率すべき艦長も指揮が出来ず、公正な指導が出来る者を欠く有様でな』

 

 恐らくは女性の声に驚いたのだろう、一瞬驚愕したような口調になりつつも平静に説明を行う帝国騎士。

 

『それで、だ。このままでは我々には余り愉快な未来が来そうに無い訳だ。よりによって副長が面倒この上無いせいでな』

『そうですか、それで?結局は何をご要望でしょうか?』

 

 状況を詳しく説明するファーレンハイト、しかしゴトフリートにとってそれは大事な事ではない。

 

『成程、我々の苦労には関心は無し、と。まぁそれもそうだろうな。さて、本題か……』

 

 自虐に近い僅かな苦笑、そして真直ぐゴトフリートを向いた若い帝国軍士官。

 

『そうだな、端的に言えば……卿の主人殿に貴族としての職務を果たしてもらいたい、と言った所だろうな?』

 

 白髪の帝国騎士は真剣な面持ちでその計画を説明し始めた……。




ちょっとした各設定の言い訳
少し辛口ですがメルカッツは「60歳近くまで、儂は失敗を恐れる生き方をしてきた」とあるのでこういう性格になりました、本編の十年前だから多少はね?

藤崎版ではロイエンタールの将兵達が敵側のフレーゲルに思わず様付けの敬語使っていたので多分亡命貴族相手でも(一部の)平民達は敬意を払うだろうと思います

藤崎版フーゲンベルヒ、原作のガイエスブルク陥落時に貴族将校に現場目撃された兵士達は皆平民、一方で前線に出る貴族は少ないとありながらラインハルトが物資横流しの可能性を上官に指摘した際に「そうでも無ければ前線に出る者はいない」という発言がある、ここから「横流し・不正を行う者=平民階級」の方程式が成立していると考えます、やっぱり平民共は貴族が指導しなきゃ!(選民主義的思考)

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