ウチの艦娘はちょっと違うようです。   作:しおさば

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一応言っておきます。

海軍とか軍隊とか、そんなに詳しくないので。
若しかすると違和感を感じるかも知れません……。


1/大淀と特例

時間にしてどれくらいだろう。数時間とも、数十分とも思えたが、それだけ頭の中の整理がついていないということだろう。

ともあれ車が止まり、漸く外の空気を肺いっぱいに吸い込めるようになると、レンガ造りの大きな建物が目に入った。建物と同じくレンガの塀に囲まれ、門柱には「横須賀鎮守府第三十二支部」と書かれている。

 

「お待たせしました、こちらが今日からアナタに指揮を執ってもらう鎮守府です」

 

隣に立つ大淀が眼鏡を光らせて言う。

どうしよう。全く意味がわからない。振り返れば先程まで乗っていた車は既に去ってしまっていた。

 

つまりあれか。あの神が言う救ってほしい世界ってのはこの艦これの世界なのか。

喜んでいいやら何やら、複雑な気分だった。確かに、元々艦これは好きだったし、何よりも昨日の最後の記憶では艦これをしながら寝落ちしている。

 

「さぁ、参りましょう。提督」

 

もはや後戻りは出来ないようだ。

先を行く大淀に促され、俺は鎮守府に足を一歩踏み入れた。

 

---

 

「では提督、先ずは最初の艦娘を一人選んでください」

 

鎮守府内の一室。扉の前に掲げられた札には『提督室』と書かれた部屋に入ると、想像通りみかん箱が数個在るだけの簡素な内装だった。これから家具も揃えなきゃならないのか。

 

「コチラが資料になります」

 

手渡された数枚の紙。そこには五人の写真付きの履歴書のようなものが書かれていた。

 

吹雪型駆逐艦一番艦吹雪。

同じく五番艦叢雲。

綾波型駆逐艦九番艦漣。

暁型駆逐艦四番艦電。

白露型駆逐艦六番艦五月雨。

 

この五名から選ぶ所までゲームと同じらしい。

さて、どうするべきか。

元の世界での知識をフルに思い出す。まぁ、ゲームと同じように全部が数字化されている訳じゃないし、ここは好みで選んでも良いのだろうか。

そんな事を考えているとある一文が目に留まった。

 

『初期不良により性格に難アリ』

 

なんだこれ、と不審に思っていればその一文は五人全てに記入されていた。

 

「大淀、この初期不良ってのは?」

 

「……気が付かれましたか。実はこの五人は建造過程で不具合が発生したらしく、他の鎮守府に在籍する同名艦とは多少の誤差が発生しています」

 

それだけ聞くと在庫処分の様にも思える。つまりは俺には期待をされていないと言うことだろうか。

 

「因みに、選ばれなかった娘はどうなる?」

 

「はい、不具合が解消されないようであれば解体処分となります」

 

この世界の艦娘がどういった原理で造られているのか分からないが、『処分』という言葉は嫌悪感を覚える。

 

「つまり俺の選択次第で、か」

 

「……そう、なりますね」

 

なんとも責任重大じゃないか。

 

「じゃあもう一つ質問だ。解体にはどれくらいの費用がかかる」

 

「そうですね艦種によってまちまちですが、駆逐艦となれば一艘数千万円にはなるかと」

 

かなりの金額になるな。ならば俺の選択は……。

 

「本気ですか?提督」

 

「無理か?」

 

「前例がありません。ですので一度大本営に確認を取りませんと……なんとも」

 

言葉は悪いかも知れないが、在庫処分だと言うのならば全て引き取ろうではないか。大本営としても解体費用をかけるよりは、利用価値を少しでも見いだせる方がいいだろう。

 

「で、では少し失礼します。大本営に連絡を取りませんと」

 

「あぁ、頼む」

 

 

 

それから数時間。再び戻ってきた大淀は何処か興奮したような様子で部屋へと駆け込んできた。

 

「き、許可が降りました!!」

 

「お?ホントか」

 

部屋の中で何もすることがなく、手持ち無沙汰に寝転がっていた俺はその報告に飛び起きた。

凡そ予想通り、大本営は解体費用をケチった様だ。

 

「それでは特例ではありますが、コチラの五名全員を配属させる手配を致します」

 

そして慌ただしくまた部屋を飛び出す大淀。え、なに、俺のイメージしてた大淀とは大幅に違うんだけど。あんなに落ち着きのない艦娘なのか?

 

「……せめて、俺の自室くらい案内して欲しかったんだけど」

 

また俺は数時間、この何も無い提督室で待たされることとなった。

 

 

---

 

翌日、初期艦娘が配属されることとなった。

つまり今日から本格的に俺の提督生活が始まることとなる。

大淀に手渡された艦娘の基本的な情報を纏めた資料に目を通しながら、内心期待に溢れていた。

宛ら憧れのアイドルに会うような、そんなワクワクに似た高揚を覚える。言うなれば「気分が高揚します」ってやつだ。

 

そんな事を考えている内にどうやら時間は経過していたらしく、ドアをノックする音で現実に引き戻された。

 

「提督、新たな艦娘を連れてきました」

 

「お、入ってどうぞ」

 

扉が開き、先ずは大淀が姿を見せる。

次いで二次元ではよく見た顔が並んで入ってくる。

 

俺の前に横一列に並ぶとそれぞれ海軍式の敬礼をした。

 

さて、それじゃ艦隊の指揮を始めますか。




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