八年前、特命係が解決した連続殺人事件。その模倣犯による殺人が発生した。場所、方法まで細かく模倣した事件。そして、捜一の捜査により、それ以前にも自殺や事故に偽装して、四件の模倣殺人が行われていたことが分かり……。
進ノ介は事件の背後にいる偽村木がロイミュードではないかと推理する。
村木重雄
:二十五年にわたり、七人の若い女性を殺害した連続殺人犯。被害者の右耳のピアスを奪うことが特徴。悪魔崇拝に傾倒していた。
警察に追い詰められ、八年前に自殺。
安斉直太郎
:村木に魅入られ、共犯となった精神科助手。三人の女性を殺害したのち、上司である内田美咲を殺害しようとしたところを特命係が阻止。自殺を図ったが逮捕された。
後に被害者遺族によって殺害される。
舞原ひとみ
:被害者。安斉の事件と同一の方法、場所で殺害された。
三崎謙吾
:模倣犯1。舞原ひとみ殺害事件の犯人。村木に傾倒し、自殺を図るも、逮捕される。村木が生きていると主張している。
村木の人格をコピーしたロイミュードが存在した。そんな自身の推理を声高々に宣言した進ノ介を待ち受けていたのは、伊丹と芹沢の呆然とした表情と、同情の視線だった。ついでとばかりに、
「お前、大丈夫か?」
「あちゃー、泊君も特命係にやられちゃったか……」
進ノ介を本気で憐れむような言葉の数々が突き刺さる。芹沢に至っては今すぐに病院を紹介するなどとも。
進ノ介もそのような反応がくることは覚悟はしていた。それでも、こんな物言いを聞かされると心も少しめげそうになる。それは仕方ないだろう。
進ノ介は自身の名誉を回復するためにも改めて宣言するのだった。
「大真面目ですって!! 村木の偽物がロイミュードなら全て説明できます!!」
相棒 episode Drive
第六話「悪魔の継承者 IV」
進ノ介は心底嫌そうな顔をした伊丹達に納得してもらうように説明を始める。
「多分、皆さん知ってると思いますけど、ロイミュードは正確に言えばロボットです。ただ、人間と同じようにそれぞれが思考回路を持っていて感情すら持っています。
そして、ロイミュードたちの目的は人間を分析し、人間に成り変わって世界を支配することでした。プログラムを意図的に歪められたロイミュードは、特に人間の悪意に反応して、様々な犯罪者に接触を図りました」
その学習の方法も様々だ。身近で観察を行ったり、人間の人格をコピーして犯行を再現したり、犯罪の共犯となったり。そして、最後には融合を図ったり。
どういった形であろうともロイミュードは人間に接触し、自身を進化させようとした。
そんな彼らを人間の写し鏡として見ることもできるし、進ノ介自身は人間の悪意に翻弄された彼らがある種の被害者であるとも考えている。
ただ、ここで考えなくてはならないのは、もしもの話である。もしも、あるロイミュードが村木重雄という凶悪な犯罪者の人格をコピーしていたら。
そして、村木の死後も人格を保ったままで活動を続けていたとしたら。
「なるほど。そうすれば様々なことが説明できますね? 人間でない彼らならば、入管を通らずにアメリカへ渡ることができ、事件の詳細について村木の記憶と警察のデータベースから知ることができる。
泊君、彼らの本体はネットワーク上に存在するデータだと聞きましたが、それは確かでしょうか?」
「ええ。ロイミュードなら安斉の逮捕現場を初め、一から十まで事件を知ることができるはずです。村木の事件が発生した八年前なら、ロイミュードが水面下で活動を続けていた時期とも合致しますし、これまでの疑問にも納得できます」
そして、村木と化したロイミュードは犯罪を行い、その中で三崎謙吾と知り合ったのではないか。そして、三崎謙吾を模倣犯として教育した。
だとすれば三崎が連続殺人鬼が死を乗り越えて蘇ったと勘違いしても不思議ではない。ロイミュードは体の暖かさも、かすかな動きさえも模倣するのだから。
「いや、だがなぁ……」
そこまでの説明を聞いて、伊丹が唸る。
「伊丹さん。確かに、納得できないお気持ちは分かりますが、現状、泊君の推理以外にこの事件を説明できる方法はありません。
実際にロイミュードの活動期間には死刑が執行されたはずの本多篤人が目撃されるなど、死者の目撃情報が相次いでいます。
……僕にも犯人が人間でないというのは盲点でしたが、それらの現象と同様にロイミュードが死者を騙って活動していたというのは、非常に面白く、あり得ることだと思いますよ。それこそ、幽霊の存在を証明するよりは科学的です」
「……だが、それを証明する手段はねえぞ。そのロイミュードって奴はもういねえんだろ?」
納得までには至らないが、理解はできる。そう言いたげに腕を組みながら伊丹が唸る。確かに、仮説を提案した進ノ介にとっても伊丹の指摘した点は頭の痛いところだった。
「ええ、それはそうなんですけど……」
進ノ介が顔を顰める。まだ村木ロイミュードが存在しているのなら、それを確かめることもできるだろう。だが、何を隠そう彼らと戦って撲滅したのは進ノ介たち。ロイミュードが存在しない以上、証明のしようがない。
状況証拠から犯人をロイミュードとし、被疑者死亡のまま送検。そんなことは誰も納得しないだろう。下手をすると、警察が匙を投げたとも思われかねない。
だが、右京はあくまでポジティブに話を進める。彼はホワイトボードに大きく『ロイミュード』の文字を書き込むと、過去四件の模倣犯罪の写真を皆の前に並べる。
「証明の方法は後で考えましょう。……ですが、これで話を進めることはできます。村木の情報を手に入れる手段があるなら、三崎の犯行は可能になるのですから。
……ただ、一つ考えなくてはいけない問題が。村木をコピーした機械生命体がいたとして、四件の模倣犯罪を行った犯人が同一人物なのか、ということです」
右京が指を上に向けながらうろうろと歩き出す。悩んでいるような仕草だが、どこか面白そうに。右京の問いに対して、まず自分の意見を示したのは霧子だった。
「私は四件の模倣犯もロイミュードだと思います。
偽者の村木がロイミュードなら、仮面ライダーに倒されてこの世には存在しません。それは今年、三崎を除いた模倣犯罪が発生しなかった事とも合致します。アメリカの犯行と同様、日本での模倣犯罪もロイミュードに依るものじゃないでしょうか?」
確かに、他の模倣犯が存在するとしたら、今年になってからなりをひそめていることが不自然だ。それまでは一年おきに犯行を繰り返していたのにも関わらずだ。
霧子の意見には納得できる点が多くある。ただ、進ノ介には霧子とは違う考えがあった。
「けれど霧子、四年前からの犯行は村木の手口と少し変わってる。偽装工作を行ったり、犯行期間が変化したり。
ロイミュードの犯罪の多くは、あくまで学習の手段だ。わざわざ手口を変えるとは思えないし、本気でロイミュードが事件を隠ぺいしようとしたらもっと簡単に工作が行えるはずじゃないか? 俺はもう一人の模倣犯がいるようにしか思えない」
進ノ介には、残る模倣犯も人間だという思いが離れなかった。
そして、そんな二人の話を聞いていた伊丹と芹沢は、まだ何が何やらと混乱しているようだが、消極的に霧子への賛意を示した。彼らからすればロイミュードも含め、模倣犯が三人もいるなどとは考えたくはなかったのだろう。
三人もいるなら、四人も五人にも増えそうだ。
そんな彼らの様子を右京は面白そうに紅茶片手に眺めている。
しばらくの間、刑事たちの喧々諤々の議論が続き……。その中で、霧子に疑問が生まれた。全員の顔を眺めながら、その疑問について問うてみる。
「……伊丹さん。どうして模倣犯は片耳のピアスを奪ったんでしょう?」
「それは、村木の模倣犯だから、だろ?」
伊丹は当然とばかりに答えるが、霧子はその答えに首をふった。伊丹達は八年前に実際に事件を担当した者たち。先入観もあるのだろう。だが、霧子はこれまで紙面などを通して客観的に事件を見てきた。
その視点から、一つの疑問が生まれたのである。
「それは違います。だって、村木は片耳のピアスが『必要』だったから奪ったんですから。奥さんに身に着けさせるために。奥さんの耳の件がなかったら『両耳のピアスを取っていた』はずです。片耳だけを奪う理由は『それで十分だったから』以外にはありません。
安斉の事件を再現したい三崎ならともかく、もう一人の模倣犯が従う理由はないんじゃないですか? 手口をアレンジしたりしていますし、村木の犯罪哲学は利用しても村木個人の拘りに従う理由はあるのかなって」
つまり、この犯人が村木と同様、片耳のピアスを奪った理由は何なのかと、霧子は主張するのだ。
「もしかしたら、犯人の身内が片耳を怪我しているとか。いや、まだ何も分からないな。それも、犯人への糸口になりそうだけど……。また、謎が増えた」
しかも次から次へと際限なくだ。進ノ介がそんな現状に大きく肩を落とした時だった。
「暇! じゃないよね……」
角田課長が面々の真剣な様子を受けて、こっそりと部屋に入ってくる。相変わらずな様子に、伊丹達も肩の力が少し抜けた様子を見せた。今は考えが煮詰まっているし、こういうときは頭を休めることも必要。
「……少し休むか。俺もコーヒー呑むぞ」
「あ! 先輩! 俺もお願いします」
「ほう……。芹沢はいつの間にか俺をパシるようになったか……」
「はい! ってアイタ!?」
「百年早いんだよ!! てめえの分くらいは煎れやがれ!!」
捜一の男二人組がコーヒーメーカーの前で喧嘩を始めたのを見ながら、進ノ介と霧子はマグカップにミルクを入れて飲む。そんな休憩の雰囲気の中、角田は刑事たちの努力の跡が見て取れるホワイトボードを眺めて『がんばるねー』等と他人事のような感想をこぼしていた。
そして、角田はぼんやりと被害者の写真を見ると。
「にしてもアレだな。仏さんに言うのは失礼だが、ピアスの合わせ方がなってねえな!!」
角田本人としては何の気のない言葉だった。だが、
「!!!?」
慌ててホワイトボードに噛り付いたのは霧子だった。そして、彼女は今までにないような大声を出して頭を抱える。
「もうっ!! なんで気づかなかったの!!?」
「き、霧子!?」
その顔を真っ赤にして恥じるような態度に、進ノ介は心配になり声をかける。すると、霧子はぐわりと顔を上げると、進ノ介の肩を掴んでゆすりはじめた。霧子の女性とは思えない力で振り回される進ノ介はたまったものではないが、止める方法もない。
「違うんです! この被害者の服に、あんな可愛いピアスは合わないんです!! 他の事件も全部そう!! ずっと気になってたのに気が付かなかったなんて!!!」
「霧子! ストップ!! ストップ!!?」
成すすべなく頭をがくがくとされる進ノ介。そうして数分が経ち、ようやく落ち着いた霧子は恥ずかしそうに顔を背けながら、説明を始めた。
「……お騒がせしてすみませんでした」
「えーっと、まあ、それは良いんだけどさ……。霧子、どうしたんだ?」
「……分かったことがあるんです。例えば舞原ひとみさんの場合、彼女はデートサービスの名目で三崎謙吾に呼び出されました。その時の彼女は、普段のお堅い会社員から離れて、プライベートをより強調した夜の女。
だったら! ピアスはこんな小さく可愛いものじゃなくて、存在を強調する派手なものをつけるべきです。それでなくても、彼女は部屋の内装も派手好みです。
このピアスは被害者の趣味にも、服にも、シチュエーションにも合いません」
そして、それは他の四件でも同様だという。どの被害者も、自身で選んだにしては服や状況とミスマッチするピアスを身に着けているのだ。
「そ、そうなんだ……」
進ノ介が分かったようなふりをして呟く。彼女がいる芹沢はともかく、伊丹と進ノ介はピンとは来ていなかった。当然、杉下右京も。
一方、角田がなぜ気づいたかと言えば、
「うちはカミさんがこういう小物に煩いからねえ。ご機嫌取りにプレゼントしてたら自然と覚えちゃったよ」
そういうことらしい。役に立ってよかった、よかったなどとコーヒーを美味しそうに飲みながら笑っている。見ただけですぐに気づいた角田は、お手柄だと言えるだろう。そして逆説的に。
「つまり、それまで気が付かなかったお前の女子力とやらは、角田課長以下ってことだな!!」
「……!?」
何が起こったかは、伊丹の小ばかにした声と、その顔に向かった霧子の蹴りで全てを察してほしい。
「まてよ、被害者の状況と付けているピアスが合わないってことは、まさか……」
数分かけて、事態を飲み込み始めた進ノ介は遺体の写真を眺めながら呟く。そして、隣に佇む右京はうなずきと共に、
「ええ。もっと早くに気づくべきでした。被害者が自ら選んだわけではない。ということは、当然、残されたピアスは被害者のものではなかった、ということです」
「え!? 一体どういうことなんです!?」
口が開けない伊丹に代わり、芹沢が困ったように尋ねてくる。そんな彼に右京は興奮気味に答えていく。
「僕たちは村木の模倣犯と言うことに拘り過ぎていたのです。村木の事件を真似たのだから、片耳のピアスを奪ったのは当然だと。
ですが、詩島刑事が指摘したように、片耳のピアスは元々、村木個人の理由によります。そして、村木の考えでは、奪ったピアスを支配したい相手に着けることが必要。……彼が妻にピアスを贈ったように」
「だったら、その相手が耳を怪我していない限り、必要なのは両耳のピアス」
進ノ介の言葉に右京はうなずく。
「つまり、この模倣犯は四人の被害者から両耳のピアスを奪い、そして、代わりのピアスを片耳にだけ残して去っていった」
「いや、この犯人はえらく慎重なはずでしょう? なぜそんな証拠を残すような真似をしたっていうんです?」
ようやく口を開けるようになった伊丹が不機嫌そうに尋ねる。模倣犯が両耳のピアスを必要としていたから、両方とも奪った。ここまでは理屈が分かる。だが、わざわざ片耳だけ代わりを残していったことの理屈が分からない。
「これはあくまで推測ですが。村木はピアスを『悪魔から身を守るお守り』とみなしていました。相手を殺害してピアスを奪い、魂まで支配する。それが村木の手口。
そこに改めてピアスをつけるとしたらどうでしょう? それも犯人自身の。……より強い力の証明とはならないでしょうか? 守りを奪い、あざ笑うように、自身の象徴をつける。お前を支配してやったぞ!!、と。
確認した通りに模倣犯は自殺工作を行うなど村木の手口を踏襲しつつ、独自のアレンジを加えています。儀式的な方法にも手を加えることは十分に考えられます。
もとより、村木も手口や場所は変えながら、ピアスを奪う手口は変えられなかった。これも、この犯人の衝動なのかもしれません」
「となると、杉下さん。もう一つ考えられることがありますよね? この模倣犯は自前のピアスを持っている。そして、これまでも気になってた被害者女性の自宅や身近に入り込んだり、細かいところまで調べる手口。そんな犯行が可能なのは」
そして、右京は微笑みを噛み殺しながら、頷くのだった。
「ええ。この模倣犯は女性です」
被害者に自身による支配の象徴としてピアスを身に着けさせる。ならば、ピアスはそこらの宝飾店で購入したものではない。自身の力の象徴ならば、犯人自身の身に着けているもので然るべきだ。
そして、犯人が女性であれば、被害者と接触し、その住居まで安全に侵入することができるだろう。少なくとも、男性よりは容易に。
「ちょちょちょ、ちょっと待ってください!? 二人が言うように犯人が女だとしたら、三崎の犯行はどうなんです? ほら、霧子ちゃんと角田課長の意見だと、舞原さんの事件でも犯人はピアスを交換してるんでしょ!? 三崎はあれ、男ですよ?」
調子よく考えを述べていた特命係へと芹沢が至極真っ当な反論を行う。すると、右京は答えを見つけた子どものように、
「ええ。そこが問題なんですよ。実は、一つ、気になっていることがあるのですが……」
そして、笑みを浮かべるのだった。
数日後、都内の静かな林に佇む、とある墓地。その中の一角に置かれた真新しい墓石の前に、一人の女性が立っていた。喪服に身を包んだ慎まし気な彼女は、墓の前に花束を置くと、刻まれた名前を見つめてそっと笑みをこぼした。
そこへ、
「お姉さんへの挨拶ですか?」
杉下右京を後ろに伴って、泊進ノ介がやってきた。彼は女性の横に並ぶと、静かに墓へと手を合わせる。女性はそんな進ノ介へ頭を下げた。
「ええ。しばらくは来れなくなりますので……。その前にって」
「聞きました。しばらくは海外を拠点にされるって。イギリスだそうですね?」
女性は数日後に、海外へ渡航するらしい。すでに通訳の派遣事務所を退職し、荷造りもすませているそうだ。今日は亡き姉への報告だと周囲に漏らしていて、進ノ介たちは此処へとやってきた。
「でも、いざとなったら寂しくなります。希望していた職ではありますけれど、この国にはたくさんの思い出がありますし、姉もこんな目に遭ったばかりですから……」
「故郷と言うのは離れがたい魅力がありますからねえ。ですが、きっとイギリスも気にいると思いますよ? 僕も何度か訪れていますが、あの国は何とも言い難い趣がありますから」
寂しげに呟く彼女の隣に右京が立つ。彼女を進ノ介と右京とで両方から挟むように。そして、その微笑みを消すと、静かに言い放った。
「……残念です。貴女があの国を訪れることはないのですから。片平ゆかりさん」
「……それは、本当に辛いですね」
右京の冷たい言葉を受け止めて、被害者の妹である片平ゆかりは一つ、密やかに微笑みを浮かべた。
ゆかりが立ち上がり、二人へと視線を向ける。その目に浮かぶのは不慮の死を遂げた姉、舞原ひとみの死を悼むものではない。そして、右京の言葉もありのままに受け止める姿は、どこか超然とした印象さえ進ノ介に与えた。
「……否定はされないのですね?」
右京の硬い問いかけに、ゆかりはゆっくりと頷く。
「お二人がこちらにいらっしゃったんです。もう確信しているんでしょう?」
「ええ。貴女が村木重雄の模倣犯です。そして、だからこそ僕たちは貴女を海外へ行かせるわけには行きません。遠い異国の地でも、貴女は罪なき女性を殺めるのでしょうから」
ゆかりはその言葉を聞くと、小さな歩幅で墓の合間の小道を進み始める。進ノ介たちは後ろから付き従いながら、油断なく彼女の行動に目を配った。
だが、片平ゆかりは落ち着き払っており、自殺を図る様子はない。そして、何かを楽しむように振り向くと、進ノ介たちに質問をし始める。
「ふふ、そんなに心配しなくても自殺したりはしません。私、先生たちみたいに往生際が悪くはないですから。まだまだ命の未練もあります。
けど……。どうやって私まで辿り着いたのか教えてくれません? それくらいは聞きたいの。ばれないと思っていたし、自信もあったのよ? ……私、どこかでミスをしました?」
どこか夢見ごこちのようで、的を外した言葉だ。そのことをかえって不気味に思う二人。だが、右京は彼女の求める答えを語ることにする。
「しいて言えば、貴女が殺人を犯したこと。自身の欲望を抑えきれなかったことが一番のミスでしょう。ですが、貴女へ僕たちを辿り着かせてくれたのは、最後の事件。貴女のお姉さんの事件でした」
右京が進ノ介へ頷くと、進ノ介は懐から数枚の写真を取り出す。それはゆかりが殺めた被害者の顔写真。どの遺体でも、片耳だけにピアスが付けられている。
「片平さん。あなたは村木の『同じ場所で犯行を犯さない』『殺害方法を変える』という手口を踏襲しながら、独自のアレンジを加えました。同性という身分を使い、被害者の周囲に巧みに入り込み、自殺や事故の偽装まで行っています。……殺人事件として捜査がされにくいように。
それだけじゃなく、あなたは村木の儀式も自分流にアレンジした。殺害した被害者から『両方』のピアスを奪い、自身のピアスを一つ残す。それがあなたの手口ですね?」
進ノ介の言葉に、ゆかりは嬉しそうに綺麗な笑顔を浮かべた。
「その通りです。村木先生が片耳だけを奪ったのは、奥様に贈り物をするため。でも、私の場合は贈りたい相手が違ったから、片耳だけじゃ足りない。……両耳のピアスが必要だった。
けれど、二つ外したら、なんだか収まりが悪かったんです。片耳から入った魂が、もう片方から抜け出しちゃうようで。だから、私がつけていたピアスの片方を付けてみたら。すごく満足したんです。なんだか、蓋をして、彼女の中に永遠に私が入り込んだみたい。……興奮したわ」
胸に手を当てながら当時を反芻するように天を見つめるゆかり。その様に嫌悪感を抱きつつも、進ノ介は言葉を続けた。
「本当は、俺達だけなら分かりませんでした。ピアスと服の合わせ方が違うなんて。けれど、仲間に女性刑事がいて。彼女のおかげであなたの本当の署名的行動が分かり、手口と合わせて犯人が女性である可能性が高まった」
「けれど、それだけなら私だとは分からないですよね? 世の中に女の人なんて星の数ほどいるんですから」
首をかしげるゆかりに右京が続きを話していく。
「ええ。そこで一つの疑問が生まれました。なぜ貴女はともかく、三崎謙吾の犯行でもピアスの交換が行われていたのか? 彼にはそんなことをする理由はありませんでしたからねえ。
ですが、その事実を考えたとき、いくつかのことが頭を過りました。舞原さんの勤めていたデートサービス、その胴元は三崎の電話が『指名』だったと述べています。加えて、ゆかりさん、貴女の犯行は今年、停止しました。ここまでは几帳面に、一年ごと十一月に犯行を行っていたのにも関わらず」
「二つの模倣殺人につながりがあるって予想は、最初からありました。けれど、その事実から確信を持ちました。本当はあなたは殺人を止めてなんていなかった。あなたは三崎を使って、実の姉を殺害したんです。
その証拠に、三崎の家からはひとみさんのピアスは見つかりませんでした。元々、彼がなぜ今、模倣殺人を犯したのかも不明でしたし、彼は村木の弟子となることに固執していた。誰かが彼に殺人を犯させたんじゃないか。そう思いました」
「三崎は未だに村木が生きていると思い込んでいますし、村木の名前で指示を出せば、喜んで犯行を行うでしょうねえ」
二人がそこまで話すと、ゆかりは納得がいったように手を軽く打ち合わせ、二人の刑事を称賛する。
「ふふ、そんな推理をしたのなら、後は簡単だったんでしょうね?」
「ええ。これまでの犯行では証拠も残さず、完ぺきにやり遂げていた犯人。それが、別人に最大の快楽である殺害の瞬間を譲る。そこまでして、犯行から自身の姿を隠したのです。……真犯人は被害者の身近にいるのだと考えました」
「それで、あなたの過去の事件におけるアリバイを調べました。すでに、各事件の起こった日、あなたが犯行現場近くに居たことが分かっています。被害者たちとインターネット上で付き合いのあったアカウントもあなたに繋がるはずです。まさか、被害者も大学生くらいの女性が殺人犯だなんて思わなかったでしょう。
……そして、三崎と同時期、あなたは語学留学でアメリカを訪れていた。そこで村木と出会ったんですね?」
また、何よりの証拠がある。右京はゆかりへ近づくと、彼女がつけているピアスを指さす。彼女の姉の好んだ、自信を強調するような豪華な作り。
「物的証拠が必要だとおっしゃるならば、このピアスを提出してください。調べれば、すぐに分かるはずですよ? 三崎謙吾が貴女のお姉さんから奪ったピアスだと」
三崎謙吾による犯行で奪われたピアス。必ず、血液反応などの犯行の証拠が出てくるだろう。
すると、ゆかりは、
「それはお断りします。これは最後まで身に着けていたいですから……。すごいですね。流石、村木先生と安斉さんを逮捕した特命係。そこまで分かるなら、私が姉を殺した理由も分かりましたか?」
その問いに、右京は背広のポケットから新たな写真を取り出し、示す。それらはすべて舞原ひとみの私生活の写真だ。友人との遊びの場面やデートサービスのプロフィール写真。いくつもの、ピアスが写った写真。
「舞原さんの写真です。ご友人やご主人からお借りしました。これらに写っているピアス。過去の事件の資料と見比べてみますと、すぐに過去の事件で奪われたピアスだとわかりました。
つまり、貴女にとって、お姉さんこそが支配したい存在であった。村木にとっての順子さんと同様に。自身の力の象徴を贈ることで、お姉さんを支配していた。
そして、最後にはお姉さんを殺すことで完全に支配することにした。僕はそう考えます」
しかし、ゆかりはその推理に苦笑いを浮かべると、少し首を振った。
「それだけだと、半分正解です。……私にとって姉は雲の上の存在でした。生まれてからこの方、一度も勝ったことがない眩しい人。学校でも、社会でも、何でも。そして、姉もそれを誇りにして、影では私を蔑んでいた。……ずっと姉を羨んでいました。何とか一度くらいは勝ちたいって。
そんな時に村木先生とアメリカで出会って。その欲望を解放することにしたんです。ピアスを贈ることで、私はいつでも貴女の命を奪えるんだよって。姉がそのピアスを付けているのを見るたびに、心は満足していた」
けど、とゆかりは一瞬だけ笑みを消して、続く言葉を放つ。
「姉はだんだんと壊れていきました。生活を破たんさせ、色ごとに溺れて、お金も身分も失う寸前のただの女になり下がった。彼女は私の力の象徴として、ふさわしくなくなったんです。
そして、後は刑事さんが言う通りに、やっぱり姉を完全に支配したかったのかなぁ。けど、自分で殺したら私は動きにくくなります。だから、三崎くんを利用しました。
彼のことは先生から聞いていました。先生から離れたら怖がって人殺しはできなかった臆病な子。けど、先生の振りをして指示したら、すぐに動いてくれました。彼も、理由を探していたんです。背中を押されるのを待っていた……」
これで全部です。そう言うと満足したようにゆかりは手を広げて空を見上げた。その悔いはないとでも言いたげな表情に、進ノ介は我慢がならなくなる。
「アンタ! 何も思わないんですか!? アンタは自分の姉を殺したんですよ? それだけじゃない、他の罪もない女の人たちを!! それも死んだ人間に勝手に心酔して!!
……分かってるんですか? アンタや三崎が出会った村木、あれは……」
「ロイミュードだった。ええ、三崎くんはともかく、私は知っていましたよ?」
「……え?」
進ノ介の呆然とした表情を面白そうに眺めると、ゆかりは目を閉じながらその時のことを反芻する。
異国の街角。誰もいない夜の闇の中だった。
姉へのコンプレックスを長く抱えていたゆかりは、姉の目の届かない遠い場所で、静かに人生を思い返すことが多かった。そして、その胸の痛みをごまかすように、夜の街を危険を承知で歩くことが習慣になり。
そして、あの場面に出くわした。
どうやってその場所にたどり着いたのか、はっきりとは覚えていない。だが、そこには三人の人影がいた。一人は地面に横たわった女性。一人は息を乱しながら、ナイフを女性に突きたてる若い男。そして、それを教師のように見つめる悪魔。
その場面を見て、ゆかりの胸に去来したのは、恐ろしさよりも興奮であった。彼女には男たちに組み伏せられ、血みどろにされる女性が姉に見えたのだ。
私も、姉をあんなふうにしたい。支配したい。
けれど、初めはその事実を受け入れられなかった。ホテルへ逃げ帰り、冷たいシャワーを全身に浴びながら胸の高ぶりを忘れようともした。けれど、頬の紅潮は収まらないまま。そして、部屋へ戻ると、
『一目見たときに分かったよ。君も私と同類だって』
村木重雄がいた。かつてテレビで何度も見た、あの殺人鬼がそこにいた。
「……彼は私に何でも教えてくれました。警察の欺き方、犯人として捕まらない方法。そして、どうすれば力を実感できるか。丁寧にノートまで書いて。
面白いのは、最後の時に告白を受けたんです。『実は人間じゃないんだ』って。悪魔のようなロボットの姿を私には見せてくれたんです」
「……じゃあ、どうして!? そんな、本人じゃないってわかってて、どうして従ったりしたんです!?」
進ノ介は思わず彼女に掴みかかろうともした。それを右京が腕を掴むことで食い止める。
本人と出会い、その悪意に麻痺をしたというのなら未だわかる。分かりたくはないがそんなこともあるだろう。だが、相手の正体が虚ろなロボットだと知ってなお、それに従って犯罪を犯したゆかりを、進ノ介は理解できなかった。
だが、ゆかりは朗らかな声で続けるのだ。
「人間だろうと、なかろうと、関係あります? 世界に名高い教えだって、本人が生きているわけじゃありません。あのロイミュードは、私にとって教典であり、村木先生の媒介者でした。
それに、素晴らしいとは思いませんか? 村木先生の考えは、機械だって魅了したんですよ?」
彼女の目には、爛々とした喜びと狂気が見えた。その余りの有様は、彼女が人間ではなく、悪魔であると錯覚させるほどで。
言葉を無くした進ノ介に代わり、右京が一歩前に進み出て彼女に告げる。彼には村木の事件を見つめた一人として、言わなければいけないことがあった。
「もはや、貴女に何を言おうと通じないかもしれません。ですが、これだけは言っておきます。村木がどれだけ手前勝手な理屈を言おうと、アナタがそれに魅力を感じようと。……アナタはただの殺人犯です。
そして、アナタもいつかは後悔するときがくるでしょう。安斉が人の心を取り戻し、罪に苦しんだように。アナタも必ず、アナタの犯した罪を心の底から……」
その言葉に、悪魔の弟子は密やかな笑みを返し、最後の言葉を告げた。
「なら、その時を楽しみにしていますね。Vim patior……」
それから数日の間に片平ゆかりの家宅捜査が行われ、四件の殺人の証拠となるピアスが回収された。ゆかりは特命係に対した時と同様に、事情聴取に対しても冷静に答えている。
弁護士は彼女や三崎の精神鑑定を求めていると言うが、安斉と同じ処置となるのかは、まだ分からない。
世間が模倣犯の発生に混乱する中、しかし、進ノ介は事件を消化できてはいなかった。数年早くにロイミュードの存在を知っていれば、三崎やゆかりのような模倣犯が生まれなかったかもしれない。そして、最後には理解し合えると思えたあの機械生命体たちが、またも遠いところへと行ってしまったような。
今更、仕方ないことと分かっていても、そんな考えが止まらなかった。
日差しがいつにも増して入らない特命係へ米沢が訪れたのは、そんな時だった。彼はその手に小さな手帳を持ち、それを進ノ介へと渡してくれる。
「米沢さん、これは?」
「片平ゆかりの自宅から発見されたものです。筆跡や内容から、泊さんが言うように村木重雄に化けたロイミュードが残したものだと思われます」
証拠品であるので、ここで開くことはできなかったが、過去の事件についての詳細な記述や、犯行を行うための哲学のようなものまで書かれているという。世に出れば悪影響を及ぼすこと必至だろう。
だが、それを進ノ介に見せる理由は何なのだろうか?
尋ねた進ノ介に、米沢は手帳のコピーと思われる紙をくれた。
「実は、分析の結果、表紙に仕込む形で手紙が隠されておりまして……。文面から察するに、仮面ライダーとして泊さんが真っ先にお読みになるべきだと思いました」
「……ありがとうございます、米沢さん」
進ノ介は米沢に深く頭を下げると、その紙を見る。手帳を破って書いたのであろう。けっして長くはない手紙。そこに書いてあったのは、とあるロイミュードの告白だった。
『誰かがこれを読むことを期待はしない。そして、理解してほしいとも思わない。しかし、私という人格の終わりに、私はこの文を書き残さずにはいられないのだ。それは、我らの種族にとって非合理的な行為に他ならないだろう。電子の生命である私が、このような旧時代の手紙を残そうなどとは。だが、それこそが私を蝕む矛盾であり、欠陥であり、バグなのである。
私はロイミュード、個体番号を019。これから消えゆく一つの知性として、模倣の終わりに遺書を残す』
それは遺書であり、後悔であり、懺悔であった。
ロイミュードの目的は自己進化だ。人格を、感情を、個性を持たない彼らは人間を学び、吸収し、理解することで進化を果たす。そうして人間を超えることこそが命題。蛮野により歪められたプログラムに従って、その学習の糧を人間の悪意に求めた。
この遺書の筆者、019もまた、そのようなロイミュードの一人であった。
電子の海をさまよい、あらゆる人格を観察し、進化に必要な人間を求めた019。そうして彼は、一人の男を見つけ出す。どす黒いほどの悪意と狂気を孕んだ男、村木重雄を。
『彼は優秀なモデルと成りえた。目的への強固な意志、それを成し遂げる忍耐。個体でありながら巨大機構を翻弄する知性、そして、他を圧倒し、影響すら与えうる強烈な悪意。我らの進化において、彼を理解することは不可欠であると、機械の私が冷静さを失うほどに。
そうして、私は彼の前に姿を現した。……彼は、私の姿を見ても一声さえ上げなかった。冷や汗の一つも、心拍の変化も示さなかった。ただ、私と言う異形を一つの笑みと共に受け入れたのだ。はるか昔から、それを知っていたように』
『その時の感情を、今では『戦慄』だと理解できる。そして、彼はあっさりと、私に自身を複製することを許容した。私はその申し出に素直に従った。それが、間違いだとも気づくこと無しに』
村木の記憶を、考えを自らに取り込んだロイミュード。それが彼の苦難の始まりだった。
『結論から言えば、私は彼を理解することができなかったのだ。彼の人格をコピーした瞬間、自身を揺るがすほどの不快さを得た私は、村木の元から逃げ出した。
人間が犯罪を犯すのは強い感情に支配されるから。例えばそれは物欲であったり、憎しみであったり、拒絶であったり、時には愛情でもあり得る。人格を読めば、その感情の機微を理解できるはずだった。
だが、彼にとっての殺人行為とはそれ自体が目的であった。理由なんてない。単純な快楽とも違う。そこには、いくつもの矛盾した感情が折り重なっていた。彼は殺人という行為を悪だとも思っていなかったのだ。
私は混乱した。このような人間が生まれるのならば、人間社会は立ちどころに崩壊してしまうだろうに。なぜ、村木のような人間が存在しうるのか。あまつさえ、彼は理解者さえ得てみせる』
そうしてロイミュードは当てもなく彷徨い始める。彼は自身の習性に従い、村木の考えを理解しなければならなかったからだ。答えのない問いを、機械は捨てることができなかった。
『時には彼に倣い、殺人を犯してみた。ピアスを奪ってみた。それを支配的な女性へ贈ってもみた。けれど、村木の言う悦楽を得ることは無かった。身の内で、私でない誰かが暗い悦びに浸り、それが私を蝕み始めても、不快さを伴うだけで、理解へは至らなかった。
そんな中で、私は若い人間たちに村木の考えを説いてみた。模倣はお手の物。彼らは私を村木だと信じ、そして、村木の考えをたやすく理解した。そうして、私よりも劣るはずの人間が村木の模倣者と化した』
『その時の私の絶望を分かってくれるだろうか? 私は、どこにでもいる人間の若者にさえ、劣っていることを付きつけられたのだから。止むことなき模倣と探求の中で私は疲弊していった。
そして、この手紙を書く中、私は一つの考えに支配されようとしている。私は偉大なる指導者を殺してみたいと考えてしまった。私を友人と呼んでくれる親しい君。彼が私に向けた信頼を壊し、その死にゆく美しい顔を見たい……。親しく思うのに、いなくなって欲しくなどないのに。大切に思うほど、彼を殺したくなってしまった』
『理屈でなく、それは禁忌だと分かっていても。私はもう自分を止められない。それは私の隠れた欲望が急かすのだろうか。それとも、私の中で村木重雄という悪魔が生きているからだろうか……。せめて、仲間たちが私を止めてくれることを切に願う』
その手紙を読み終えて、進ノ介は瞼に熱いものを感じた。そして、同様に手紙を読んだ右京さえ、出会ったことのない小さな生命に思いを馳せずにはいられなかった。
「『深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いている』。……生まれたときから人を、世界を憎まずにいられない。そんな歪な赤ん坊である彼らが、村木という悪意を覗き込んでしまった。僕たちでさえ、理解できないソレを知らず取り入れた彼の苦しみは、いかほどだったのか。
……ロイミュードとは、悲しい存在ですね」
進ノ介はその言葉に返すことは無かった。ただ、しばしの間悼むように、目を閉じて。今は亡き機械の命を想った。
あとがき
これにて第六話の完結です。
今話のテーマは「悪意に惹かれる人々」。
相棒本編でも触れた通り、悪意の影響を受ける人々も世の中には多い。それも人の世の難しさだと思っております。
そして、今話では村木の模倣者が三人現れました。
弟子になりたい三崎、自分に都合よく手口を変化させる片平ゆかり。そして、一応の継承者でありながら、人間でない故に理解はできず苦しんだロイミュード。
ロイミュードが居なければ、残る二人も平穏な人生を過したでしょうが、019も自身の習性に従っただけの被害者。一番悪いのは、蛮野や村木というどす黒い悪なのでしょうね。
ロイミュード019は、ドライブ本編では蛮野配下の死神ロイミュードとして登場し、破壊されています。本作では遺書を書いた後、ハートを襲い、初期化されたという設定に。ナンバーは悪魔ということで「6+6+6」。それに「+1」。そうして19と設定しました。
ようやく初登場のロイミュードですが、我ながら可哀想な役回りにしてしまったとも思います。
ただ、ドライブの終盤で描かれた通り、ロイミュードには人間に翻弄された被害者の側面が存在し、無知ゆえの、純粋な生命として設定されていました。そんな彼らが人間にも理解不能な悪意を取り込むとどうなるか。私は、上手く処理することはできないのではないかと考えました。
隠してもいないモチーフはSeason4第4話「密やかな連続殺人」、第5話「悪魔の囁き」。放送時に見た時は、ラストの引きといい雰囲気と言い、絶句した話です。
さて、今回は趣味120%くらいに楽しんで書かせていただきましたが、いかがでしたでしょうか? ピアス交換や、犯人に関する伏線は序盤から微かに撒いておりましたが、文章量と説明も多くなってしまい、お楽しみいただけたか、少し不安でもあります。
ただ、今話は書いていて、本当に楽しかった話です。
ようやくクロスならではの相棒とドライブ要素を混ぜた話が書けましたから。ただ、ロイミュードのトリックは多用禁物の裏技ですので、また別の形でロイミュードやライダーの設定を事件に取り入れたいと思います。
それでは、最後に第七話の予告!
次回はドライブより新キャラが参加し、中心になって話を回してもらいます。
第七話「心霊写真が語るものは何か」
写真ということで、彼が来ますよ!
どうか、お待ちいただけると幸いです。