ドヴァキンがダンジョンに潜るのは間違い? another   作:ark.knight

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続いたよ

追記

一部、修正させていただきました


見抜く時はいとも容易く

新生ロキ・ファミリアが発足して間もなくの事だった。ロキ・ファミリア所属のハイド・クロフィは只今、ギルドに向かっていると思われる。ウチ、ロキは絶賛頭を抱え、ただただ困惑していた。

 

目の前にあるたった一枚の紙。そこにはハイド・クロフィのステイタスが記載されているのだが、これが正直ありえないものだった。通常、ステイタスとは神の恩恵(ファルナ)、ウチのような神々から下界の住人に与えられる恩寵。様々な事象から経験値(エクセリア)を得て能力を引き上げ、新たなる能力を発現させることを可能とするのだが彼の場合は通常ではなかった。即ち、異常である。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

ハイド・クロフィ

 

Lv.■

 

力:■ ■■■

 

耐久:■ ■■■

 

器用:■ ■■■

 

敏捷:■ ■■■

 

魔力:■ ■■■

 

≪魔法≫

 

【■■■■】:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

【■■■■】:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

【■■■■】:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

【■■■■】:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

【■■■■】:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

       ■■■■■■■■■■

 

【■】:■■■■■■■■■■■■■■

 

≪スキル≫

       

【■■■■】:■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

       ■■■■■■■■■■

 

龍種天敵(ドラゴンボーン)】:龍の魂を封印せし者の証

        龍種との戦闘で全ステイタスに高補正

        龍種との戦闘に勝利した場合にその魂を吸収しステイタスを大幅に上昇

        この方法以外でのステイタス上昇は無い

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

まず、どこからツッコめばいいのだろうか。まず初めに、極一部の情報しか開示されていない事だ。しかも開示されているスキルの末文が常軌を逸脱している。一概にレアスキルとも言えなくないが”この方法以外でのステイタス上昇は無い”という一文がおかしすぎる。実戦や訓練によって経験値(エクセリア)が蓄積されるにつれてステイタスも上昇していくのが普通だ。だが、それすら禁止される。かつ龍種、ドラゴンやワイバーンなどを倒すことでのみ経験値(エクセリア)が溜まるという鬼畜仕様。それがこのスキルだ。一番近場でも11階層に存在する稀少種(レアモンスター)のインファント・ドラゴンだが、早々目にすることもなく遭遇したとしても恩恵(ファルナ)を得てすぐの冒険者が辿り着けるわけがない。ましてや勝てるわけがないため、実質現状からレベルを上げるための経験値(エクセリア)が貯められないという悪循環を生みだしているのがこのスキルでもあった。

 

第二に各種ステイタスが不明な点。レベルがいくつか、ステイタスがどれ程なものかが不明というだけで何もできなくなってしまう。今まではファミリアのレベル、ステイタスを把握して戦略やアドバイスを与えてきたつもりだがこれでは手の出しようがない。特にレベルが不明というだけで考えてしまうことが多くなってしまうのだ。レベル差が勝っているのであればタイマンで負けることは無い。だが、レベル差で負けている場合は瞬殺と言っても過言ではない。格上殺し(ジャイアントキリング)なんて滅多に起こりえないのだから。不安になってしまう。

 

第三に魔法の欄に記載されている数が多いこと。通常、エルフやハイエルフなんかは少なくとも1つは魔法を憶えていることが多い。それに加え、これはあくまで先天性の話ではあるが彼がその場合だとしても十分に異常である。初期状態で覚えていたとしても最大数は3。これは絶対不変の数のはずだった。このままでは魔法大国(アルテナ)に目を付けかねられない。彼はいくつ常識外れなことを知っているのだろうか?

 

そして最後にハイド・クロフィという人物についてだ。彼曰く、元英雄というがその名は誰も知らない。知らないというよりかは聞いたことが無いと言った方がいいだろう。ウチやフレイヤんとこが当時最強ファミリアだったゼウス、ヘラ・ファミリアを潰せたのは隻眼の黒龍に甚大な被害を受けたことがきっかけだ。まぁ、ウチも利用されて今に至る訳なんやけど……何か引っかかるっちゅーか、思い過ごしだといいんやけど。

 

「これから知っていけばええか!」

 

彼のいない拠点にただ一人、適当にステイタスが書かれた紙をほっぽり投げ、惰眠を貪ることにするウチなのであった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

「はい、では登録完了ですね」

 

新たに冒険者として登録するためにギルドにやってきたわけなのだが、新しい場所での探索は久しぶりだな。何か新しいことでもやってみるか?

 

「それにしても、本当にロキ・ファミリアに入団したんですね」

 

「勧めた貴様が何をいうか。ともかくこれで探索に行ってもいいんだな?」

 

私にロキ・ファミリアを紹介したギルドの女性に捕まってる状態な訳だが、ロキ・ファミリア入るのがそんなにもまずかったのだろうか。

 

「構いませんよ。それと貴方の担当アドバイザーを務めさせていただきますミリア・チュールと申します」

 

「ほう、アドバイザーか。具体的な内容はどのようなことを教えてくれるのだ?」

 

「ダンジョンにおける説明からこのオラリオに関しての事、はたまたプライバシーに関わらない程度の日常における相談などですね。別口ではありますが魔石の換金も行っております」

 

とりあえずはある程度の事であれば相談しに来ていいということか。要はこのギルドは各街や村における執政的な役割を担っているのか。それよりも聞き慣れない単語が耳に入ってきたな。魔石。魂石では無く魔石。何がどう違うのだろうか?

 

「魔石とは何か、聞いてもいいだろうか?」

 

「はい、魔石とはモンスターの動力源とも言える物でモンスターを撃破した時に出てくるものです。こちらがサンプルとなります」

 

と、ミリアはこちらからは見えない位置にある引き戸から小さな石のような物を掌に乗せて見せてきた。アメジストのような輝きを放っているが質感や重量が全く異なっていた。

 

「私達、人でいうところの心臓に当たります。モンスターを苦労して撃破するも魔石を破壊して一撃必殺を狙うのもいいかもしれません」

 

こんな小さい石のようなものが心臓なのか。魂石とはモンスターの魂を呪文か特定の付呪を施した武器で仕留めた後に空の魂石に封じ込めたもの。対して、魔石はモンスターの動力源そのもの。魂石と魔石との差はいったい何なのだろうか、入手してみて考察してみるか。

 

「紹介助かる。あとは実際に探索してみることにする」

 

「では、最後に一言助言させていただきます」

 

ミリアは咳払いを一つしてから真剣な表情で口を開いた。

 

「冒険者は冒険してはなりません!」

 

冒険者が冒険してはいけないという矛盾。でなければいつ冒険をしなければならないのだろうか? いや、それともこれは忠告か?

 

「気には留めておく」

 

「あ、はい……あのー、さっきの言葉、ちゃんと伝わってます?」

 

「忠告であればな。それ以外は知らん。無茶だけはしないように、か?」

 

どうやら内容があっていたようで、ホッと溜息を吐いていた。このギルドには多くの冒険者がいる。中には防具も身に着けない冒険者もいるがあまり気にしないでおこう。その関係上でダンジョンに潜ったまま帰らぬ人となってしまった冒険者が多いのだろう。だから、その忠告として先程の助言をするように言われているのだろう。

 

「その忠告はちゃんと伝わっている。ではな」

 

「はい、ダンジョンから帰還した際にはまたこちらに寄ってくださいね」

 

私はギルドを去り、ダンジョンへと向かっていった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

ダンジョンの中へ侵入してみた訳なのだが、ダンジョン内は仄かに暗く幾らか人の気配がする。そして道は一本道、スカイリムで探索したブラックリーチを彷彿させる雰囲気を醸し出していた。流石に、あれ程複雑な構造になっていないだろうな?あれからずっと直進しているのだが何も出現しないし、誰とも遭遇しない。こんな場所に山賊紛いも出るとは思えんし、モンスターがメインなのだろう。フロストスパイダーやシャウラス、もしかしたらオートマトンみたいなやつらが相手になるのだろう。

 

途端にダンジョンの壁にピキリと亀裂が走った。亀裂が入ったと思ったら、その亀裂が大きく裂けそこから犬頭のモンスターが出現したのだ。この出来事に驚愕せずにはいられなかった。私が知っている限りでは生物の営みによって生まれる場合もある、失われた種族が製造した場合もある、過去の失敗によってモンスターに変化してしまう場合もあった。だが、今回はパッと出現したのだ、何の変哲もないただの壁から出現したのだ。

 

「――――!」

 

犬頭のモンスターを観察しているとこちらに気づいたようで、私目掛けて襲い掛かってきたのだが素早くデイドラのダガーを二振りを抜刀し、すれ違いざまに首と胴体を分離させていた。このモンスターはそこまで強い部類ではなく、初心者向けのモンスターなのだろう。ダンジョン入口のモンスター故に。

 

「ん?」

 

いつもの習慣でモンスターから剥ぎ取りをしようとしたのだが、居たであろう場所には死体は無くその代わりに灰とギルドで見せて貰った魔石が一つ落ちていた。破壊魔法の雷撃系統で倒したわけではない。ましてや、灰になるまで火炎系統の破壊魔法を使用したわけでもない。いったいどういうことなのだろうか? とりあえず目標の代物を手に入れたわけだがもう少し探索を続行するか。

 

それにしてもこのダンジョンは不思議の連続である。モンスターの出現に関して言うのであれば非常に興味深い。モンスター一体一体に出現の周期が……そんな訳ないか。だが、モンスターが後ろに現れて急襲してくるなんて考えられる。いつでも戦闘準備できるようにしておかねばならんな。まったく雰囲気といいファルメルを相手にさせられている感覚だ。

 

モンスターとの戦闘はあったものの、頭部と胴体を分解するだけの作業でしかない。先程の犬頭のモンスターとは別に全身緑色の小型モンスターもいたが、やはりそれほど強くはなかった。ここまでで集まった魔石は九つ、最初にしては多いのか少ないのか分からない量である。そのまま直進していると進む方向に対して風が流れていた。風が流れるということはそこに抜け道があるということだ。それを信じて先に進むと、下へ降りる階段が目の前に現れた。

 

「ふむ……今日は帰るか」

 

本来はこのダンジョンを制覇して帰りたいものだが、最低限の装備しかしていないのであまり深入りはしない方がいいだろう。それに目当ての物は入手したし、何よりもここに来る前に半月ほど探索していたので完全に疲れが取れていないのだ。疲れが原因で傷を負うなんて目も当てられない。ということで、今日はここで引き返すことにした。帰る道中も何体か倒し、魔石を頂いてギルドに一旦戻るとしよう。確かミリア曰く、ギルドに来いとのことだったな。ダンジョンから出て真っ先にギルドに向かっていく。日は落ちかけ、あと一、二時間程度で夜の帳が下りてしまうだろう。その前には家に帰らねば。

 

「ん、随分早いお戻りですね」

 

ギルドのカウンターに赴き、帰還したと報告しようとしたところミリアがすぐさま寄ってきた。

 

「今日は疲れも残っていたのでな、本格的には明日からにした」

 

「聡明な判断です。今日のところはどうでしたか?」

 

「犬頭のモンスターに全身緑色のモンスターを十体ほど仕留めた。それで下に向かう階段を見て引き返してきた」

 

「コボルトとゴブリンですね。犬頭がコボルトで緑色のがゴブリンです。最初はここら辺のモンスターとの戦闘は避けられないのでご注意してください」

 

あの一本道では戦闘を避ける方が難しいだろう。私はできなくないが周囲に人がいる状況ではあまり使えないのだ。私自身のみであればいいのだが、手の内を曝け出すようで使用するのが憚られる。

 

「それと1()()()()踏破おめでとうございます。下に行けば行くほど、攻略難易度が上がっていきますので気を付けてくださいね?」

 

階層だと? やはりここのダンジョンはドワーフの遺跡みたいにどんどん下に潜っていく構造なのか。

 

「ああ、ちなみにこのダンジョンを踏破した者はいるのか?」

 

「いませんよ。最高到達階層も現状だと60階層を超えていたはずです。そこから先は前人未踏の領域となっています」

 

なんということだ。もし、あそこで引き返していなければ延々と下へ下へとダンジョンを降下することになっていたのか。ゾッとする話ではあるが現状、どこまで潜れるか挑戦してみたくはある。そのためなら2,3日ぐらいの無茶は覚悟せねばな。

 

「では、魔石の換金でも致しますか?」

 

「いや、今日は遠慮しておく。ダンジョンで気になった事が出てきてな、それの真偽を確かめるために持ち帰ることにした」

 

「魔石にも多種多様な使い道がありますからね。街灯にも使われていますし、キッチンにも使われるようなものですからいいんじゃないですか?」

 

なんということだ。あの魔石にはそんな使い方があったのか。それにしても、私が居た時代から途轍もなく文明レベルが上昇している。スカイリムがここまでの文明レベルになるのは何時の日になることやら。

 

「それでは私は帰るとする」

 

「はい、またのお越しをお待ちしております」

 

明日はロキが必要とするものを購入してから来るとしよう。それにしても久方ぶりの新しい環境下で生活するわけなのだが、ここはどちら寄りなのだろうか。ソリチュードみたく安全が保障されているのか、それともマルカルスのように仮初の安心しかなく街自体が腐敗しているのか……雰囲気はそこまで悪くは無いが、まぁ降りかかる火の粉は全力で振り払わせてもらうさ。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

ギルドから自宅へ帰ると明かりが灯っており、中に入るとロキが待ち構えていた。

 

「おかえり、ハイド!」

 

「ん、あぁ」

 

ここ十数年、誰かにおかえりと言われた事が無かったので素っ気ない返答してしまった。確か最後は従者のリディアだったような気がする。

 

「なんやその返事は?」

 

「いやなに、誰かにそんな風に出迎えられることが久しぶりなんでな。気を悪くしたなら謝る」

 

「これからはウチがいるんやで。今のうちに慣れとけよなー」

 

特に気にする素振り無く、適当に流すあたり大雑把というかなんというか。今回ばかりは私の落ち度だし慣れるしかないか。

 

「んで、夕飯どないするか?」

 

「作ってなかったのか。なら作るしかないか」

 

「えー、どこかに食いに行かへんの?」

 

正直、顔を晒すのはしたくない。今、ロキ自身がどういう状況に置かれているかも把握しているのだろうか、と問いたくなる。対してロキは表情を崩さずに飄々としていた。私にはロキが何を考えているかが全く以てわからん。出会った初日ということもあるが一向に掴めてこないのだ。

 

「ちゃんと場所は選ぶつもりやで、もちろん奢ってもらうんやけどな。個室がええか?」

 

今日出会ったロキと一緒にいた時間なんて一時間あるかどうかで交わした言葉も左程多くは無い。だというのに私が何を嫌うか、それをキチンと理解してくれた。かつては居たかもしれんが滅多にいなかった。己の弱さを克服したエランドゥル、スカイリムに来て互いを支えあった従者リディア、それぐらいだろう。それだけに意外だと感じてしまった。

 

「急に黙ってどないしたん?」

 

黙っていた私に近づいてはニターと笑みを浮かべていた。

 

「よく見ているんだなと思ってな」

 

「これぐらいは当たり前やで。身内には優しく、ウチには極上の甘さをがモットーやで」

 

「もっと甘やかせと言うのか。私は厳しくいくからな」

 

そう言うとロキはうへぇと苦い顔をしていた。甘やかしすぎても良いことは無いから。

 

「だが、まぁ、それは明日からでもいいか」

 

「ん、なんやて? もっかい言ってくれへんか?」

 

近くにいて聞こえるだけの声量で言っただけに聞こえてるはずだ。なのにまた聞こうとするのか。まったく……

 

「言う訳無いだろう」

 

「えー!? せっかくハイドのツンデレ聞けたんやしー」

 

そのつんでれというのが何なのかは知らんが、あまりいいものではないと思う。なんか、こう背筋に怖気が走るという感覚になるというか。

 

「しゃーないか、ほれサッサと行くで」

 

私はロキに連れられて再び街へと赴くのであった。この時、私にはこの後に面倒事が待っているとは予想だにできなかった。新天地ということでどこか舞い上がっていたのだろうか、と疑いたくなってしまったのだった。

 

 

 




今回もお読みいただきありがとうございます

前回の文字数から約4000文字程減っていますが話の内容次第で3000~10000以上になるのでお気をつけてください

それとステイタスには明確な理由付けがあってあのようにいたしました
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