コードギアス~死亡キャラ生存if√(旧題:シャーリー生存√)~   作:スターゲイザー

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STAGE22『血染めのユフィ』よりの分岐です。




ユーフェミア生存√
STAGE1 少女は踏み出す


 

 

 

 リヴァルが運転するサイドカーに収まりながら、見るともなしに租界の街並みを見ていたルルーシュ・ランペルージは先日開催された学園祭のことを思い出していた。

 

『私、ユーフェミア・リ・ブリタニアは富士山周辺に行政特区日本を設立することを宣言いたします!』

 

 この発言で、お飾りの副総督と呼ばれているユーフェミアが、ブリタニアの敵であるゼロ=ルルーシュの最大の敵となった瞬間だった。

 

『この行政特区日本では、イレブンは日本人という名前を取り戻すことになります。イレブンへの規制、並びにブリタニア人の特権は特区日本には存在しません。ブリタニア人にもイレブンにも平等の世界なのです!』

 

 侵攻し征服したブリタニアが地域制限付きとはいえ、日本を認めるというのは前代未聞のことである。

 

『聞こえていますか、ゼロ! あなたの過去もその仮面の下も私は問いません。ですから、あなたも特区日本に参加して下さい!』

 

 皇族である前総督クロヴィスを殺したゼロを受け入れるとすら表明したユーフェミアに、歓喜するイレブンとは対照的にブリタニア人が困惑していたのをルルーシュはしっかりと確認していた。

 誰も差別などされない平等な世界など夢物語でしかない。最も差別を行って来たブリタニアの皇族が表明するほど矛盾しているものはなかった。

 

『ゼロ、私と一緒にブリタニアの中に新しい未来を創りましょう!』

 

 特区日本に入るならば黒の騎士団は武装を放棄せざるをえない。入らなければ弱者保護を謳う黒の騎士団の理念に反する。どちらを選ぼうとも黒の騎士団は詰んでいた。同時にルルーシュの道が断たれることを意味している。

 

「着いたぞ、ルルーシュ」

 

 ルルーシュはリヴァル・カルデモンドに肩を叩かれてサイドカーが車道の脇に止まっていることに気が付いた。

 

「悪いな、寄り道してもらって」

 

 我を取り戻したルルーシュは慌てることなくサイドカーから降り、ヘルメットを外して風よけのバイザーも外す。

 

「買出しに付き合ってもらったし、シャーリーと待ち合わせって聞いたらさ」

「どうせむこうも買出しだろう。行政特区が始まるからって、騒ぎ過ぎなんだよ」

「はいはい。それより、早くシャーリーと仲直りしてくんないと」

 

 シャーリーの名前を出されてルルーシュは胸に走った痛みに歪みそうになる顔を必死で堪えていると、諍いの声が聞こえて来た。

 

「何が行政特区だ!援助などするものか!」

 

 声が聞こえた方にルルーシュが顔を向けると、イレブンの少年を足蹴にしているブリタニアの男の姿が視界に入った。

 

「もう平等になった気か? 下の者は大人しく上に従っていればいいのだ!!」

 

 これが現実だと、イレブンを虐げるブリタニアの縮図そのもの二人にルルーシュは目を細めた。

 

「ありゃあ、貴族様かね」

 

 足を止めているルルーシュの視線の先を追ったリヴァルが嫌な物を見たとばかりに表情を歪めている。

 

「あの傲慢さから見てそうだろう」

 

 ブリタニアの庶民もナンバーズに傲慢さを見せることがあるが、その大半は徒党を組まなければ何も出来ない。お付きの者はいるが一人で虐げられるとしたら権力を持った貴族のケースが多い。

 

「完全な平等っていうのも気持ち悪いけど、ああいうのを見ると胸糞悪いことには変わりねぇよな」

 

 サイドカーから降りてルルーシュの隣に立ったリヴァルの気持ちは良く分かる。

 

「これが副総督の博愛の正体だ」

「辛辣だねぇ。でも、変なこと考えようとするなよ、ルルーシュ」

 

 軽いところはあるがリヴァルは察しの良い男だ。アッシュフォード学園でルルーシュとの付き合いも深いこともあって、こういう時にルルーシュがどういう行動を取るか分かっていた。

 

「何が?」

「助けようなんて考えるなってことさ。面倒事は御免だよ」

 

 そう言われてしまったルルーシュが少し仏頂面を浮かべている間に、当の貴族は青年を叩きのめして気が済んだらしく、お付きの者を伴ってこちらに向かって来る。

 

「どけ、邪魔だ」

 

 傲慢な物言いにギアスを使ってやろうかとも思ったが、シャーリーと待ち合わせをしているのでリヴァルが言うように面倒を起こすのもマズい。

 大人しく道を空けたルルーシュに鼻を鳴らして去って行く貴族の背中を見送ったルルーシュが顔を前に戻すと、打ち据えられた青年を仲間の者達が介抱しているのが見えた。

 

「ほれ、シャーリーが待っているんだろ。さっさと行って来いって」

「ああ……」

 

 リヴァルに背を押されたルルーシュが歩き出したのを上からシャーリー・フェネットが偶々見ていた。

 

(イレブンを助けなかった、ゼロなのに。やっぱり、ユーフェミア様と一緒にいたんだからゼロじゃないの?)

 

 鞄の中に入れた自分が書いたはずの日記の内容を信じることが出来ず、疑念は疑念のままで問い質す勇気をシャーリーは持っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時刻は既に夜。夕食前に帰宅したルルーシュはドアの前で表情を改めて室内に入る。

 

「ただいま」

 

 妹に対する兄の仮面を被ったルルーシュの視界の先に、愛しい妹と使用人の篠崎咲世子がいた。

 

「お帰りなさい、お兄様。シャーリーさんは?」

「買い出しが終わってから別れたよ。夕食に誘おうかとも思ったけど、予定があるっていうから別れたんだ」

 

 ギアスでルルーシュのことを忘れたシャーリーが何の用かと警戒していたが、特別な話をすることもなく買い出しだけをして別れただけなので嘘はない。

 

「そうなんですか、残念です」

 

 展開式のハンガーを手に取って広げる。

 

「また今度誘ってみるよ。ああ、咲世子さん、お茶を淹れてくれないか」

「はい、かしこまりました」

 

 やはりどうしても気を使ってしまう買い出しに付き合った所為で喉が渇いたので咲世子に頼むと、彼女は快く引き受けて茶の用意を始めた。

 茶が入るまでに制服の上を脱いで展開したハンガーに通し、壁にかけているとナナリーが何かを言いたそうな空気を感じて「どうかしたか?」と問いかけた。

 

「お兄様にお願いがあるのです」

 

 体のこともあってナナリーがこうして改めて求めて来ることも珍しい。制服を壁にかけたルルーシュは音を立てて椅子を引き、ナナリーの前に座る。

 

「なんだい? ナナリーの願いなら何でも叶えるよ」

「…………ユフィお姉さまと、もう一度お話がしたいです」

 

 妹の為なら世界だって敵に回すルルーシュだが、ナナリーのこの願いを聞いて直ぐに即答できなかった。

 

「何を言っているのか、本当に分かっているのか?」

 

 自分でもナナリー相手にこんな冷ややか声が出るのかと驚くほどだった。しかし、今に限ってはルルーシュも感情を抑制する気にはなれない。

 

「わ、我儘を言っているのは自覚しています」

 

 今までナナリーには良い兄としての面しか見せてこなかった。怯えている空気を感じても事が事だけにルルーシュは直ぐに改める気は無かった。

 

「幾ら一度知られてしまったとはいえユフィは皇族だ、俺達を捨てたブリタニアの」

 

 殊更にブリタニアを強調して言うと、ナナリーの前にいるというのにルルーシュの頭はどこまでも冷えていき、反対に心は復讐の熱に煽られて暴走しそうなほどだった。

 

「理解しています。ミレイさんが中断した学園祭、もう一度やるんだって言ってましたよね?」

「あ、ああ」

「だからその時は、一緒にどうかなあと思って。あの、ごめんなさい。もう会わないって言ったのに。でも、どんな形でもいいから、もう一度だけ直接会えると」

 

 しどろもどろになりながら自身の気持ちを全て吐き出したナナリーに、目を見開いたルルーシュは長い息を吐いた。

 

「ご、ごめんなさい。ご迷惑ですよね? 何も出来ない私がお兄様とユフィ姉様にこれ以上の迷惑をかけるなんて」

「ナナリー」

 

 ビクリと肩を震わせたナナリーを視界の中心に置きながら、ルルーシュはテーブルに肘を乗せた右手で前髪を掻き上げた。

 

「怒ってはいない」

 

 この感情を正直に言うなら戸惑いだろうか。

 我儘なのは否定しないし、既に構築している一部の作戦のことを考えればナナリーの思いは否定して然るべきだ。そう、ナナリーがルルーシュに迷惑がかかると分かった上でお願いさえしなければ。

 

「ユフィは行政特区を切り盛りしなければならず、以前とは比べ物にならないほど忙しくなる。学園祭をやり直したとしても、来るのは無理だろう」

 

 征服国が懐柔策として似たようなことを行ったのは歴史上を見れば何度かあったことだが、ブリタニアがこのような試みを行った前例はない。

 発案者であり皇族であるユーフェミアは行政特区のトップに収まるだろうし、そうなれば今までのお飾りの副総督と呼ばれていた以前とは次元違いの仕事に忙殺されることが予想される。

 当然、アッシュフォード学園の二度目の学園祭を訪問するのは不可能だ。

 

「だけど、もう一度会うぐらいならなんとか出来るかもしれない」

「お兄様――っ!」

「但し、会えるかどうかは約束できないぞ」

「はい! ありがとうございます!!」

 

 結局の所、ルルーシュには肩を落とすナナリーの願いを反故にすることなど出来やしなかった。幼い頃からナナリーと、そしてユーフェミアの願いを断れた試しがないのだから。

 

「あら、ナナリー様。何か良いことでもあったのですか?」

 

 茶を淹れて戻って来た咲世子が気付くほどにナナリーが笑顔になったのなら、ルルーシュはどんな苦難だろうが背負ってみせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こちら、行政特区日本式典会場です。会場内は既に沢山のイレヴン、いえ、日本人で埋め尽くされています。会場の外にも入場できなかった大勢の日本人が集まっています』

 

 黒の騎士団がアジトとして使用しているトレーラーのテレビに、行政特区に関する放送が流れていた。

 

「なあ、俺達いつまでここにいればいいんだよ」

 

 ソファに力無く凭れながらテレビを見ていた玉城が愚痴交じりに吐き捨てた。

 

「ゼロがここで待てって言ったのに信じられないの?」

「だってよぉ」

 

 偶々、隣に座ってしまったカレンは顔を顰めながら少し玉城から距離を取る。

 両手を広げて座っているものだから肩に手を回されそうな感じがとても嫌なのだ。

 

「全てはブリタニアの真意を確かめてからだ」

 

 黒の騎士団幹部でも恐らく一番特区日本が成功することを望んでいる扇が期待を込めてく言った。

 

(ブリタニアの真意、か。その前にゼロの真意をこそ知りたいが)

 

 腕を組んで目を閉じていた藤堂は内心で重苦しく呟く。

 黒の騎士団を展開することなく、こうやってアジトであるトレーラーに待機させられている。藤堂達にもゼロの真意が読めない状況は面白くなかった。

 

「ユーフェミア様、時間です」

「はい」

 

 所変わって行政特区の会場にて、空いた席を見つめていたユーフェミアがダールトンに促されて開会の挨拶をする為に立ち上がった瞬間、会場に集まった人々の一部が騒めいた。

 ユーフェミアが顔を上げると、以前にゼロが神根島で強奪したガウェインが上空に現れてこちらに向かって来ている。

 

「ようこそ、ゼロ!行政特区日本へ!」

 

 ガウェインの肩の上に乗っているゼロに向けて放たれたユーフェミアの声に、ルルーシュは仮面の中で目を細めた。

 

「ユーフェミア・リ・ブリタニア、折り行ってお話したいことがあります」

「私と?」

「そちらのあなたの騎士も含めた三人で」

 

 驚いているユーフェミアを見下ろして、最後になるかもしれない仮面を被ったルルーシュは言い放った。

 

 

 

 

 

 会場の裏側に隣接して配備されていたブリタニア軍の地上母艦であるG1ベースの前に誘導され、着地したガウェインを降りたルルーシュは先頭を歩くユーフェミアと背後で一挙手一投足を監視しているスザクに挟まれてブリッジに辿り着いた。

 ブリッジに辿り着いたルルーシュがまずしたことは、ユーフェミアを追い越してG1ベースの電源を落とすことだった。

 

「用心深いのね。カメラならオフにしてあるのに」

「ブリタニアと黒の騎士団は敵同士だ。警戒は当然のこと。そうだろう、枢木スザク」

「………………」

 

 警戒しているのはお互い様だと自覚しているスザクはゼロの言葉に反論を挟まずに沈黙している。

 

「さて、待ち人も多い。用件だけを話すとしよう、ユーフェミア皇女殿下」

 

 ユーフェミアの背後に立ち、ゼロが手を出そうとすれば即座に動く体勢をしているスザクを見ながらルルーシュは本題を切り出そうとした。

 

「その前に一つだけ訂正を」

 

 ブリタニア軍が痺れを切らす前に終わらせたいルルーシュの性急な態度にユーフェミアは待ったをかけた。

 

「いずれ本国から発表があると思いますが皇位継承権を返上しました。リ・ブリタニアの名と共に…………私はただのユーフェミアになります」

「「なっ!?」」

 

 皇籍奉還特権を使用したのだということは、同じく知らなかっただろうスザク以上にその意味を理解したルルーシュは仮面の中でこれ以上は無いというほどに目を見開いた。

 

「ゆ、ユーフェミア様!?」

「これが私の覚悟です、ゼロ」

 

 ゼロがいるというのに、恐らくこの一瞬に於いて護衛の任すらも忘れるほど慌てているスザクを見ることも無く、ユーフェミアの瞳がルルーシュを射抜く。

 

「…………皇籍奉還特権を使用したのは私を受け入れる為か? また随分と買い被られたものだ」

 

 皇族が皇族で無くなる意味をユーフェミアは想像は出来ても本当の意味で理解はしていないだろう。皇族で無くなった後に絶対に後悔する。それほどに皇族の権力は絶対だ。

 だが、少なくとも伊達や酔狂でゼロを受け入れたのではないとユーフェミアの覚悟を示すという意味合いでは十分だった。

 

「私の我儘を聞いてもらうのですから、それなりの対価は必要でしょう?」

 

 ゼロが行政特区日本に参加する保証などないというのに、幾ら正体を知って信用しているとはいえあっさりと権力を手放そうとしているユーフェミアにルルーシュは気圧されていた。

 

「こんなテロリストを信用するなど」

「でも、スザク。弱者の保護を目指すゼロと、日本人を守ろうとしている私の目指す方向は同じよ」

「しかし……」

「ゼロの罪は私の皇籍奉還特権で無くなる。彼は犯罪者では無くなるのだから」

 

 受け入れ難い様子のスザクにユーフェミアは寧ろ吹っ切れたような顔で笑った。

 

「しかし、本当に良いのですかな? こんなテロリストを守るために皇族の力を捨てるなど」

 

「知り合いの子が言ってたの。大好きな人と一緒にいられれば他に何もいらないって。それを聞いて決心がついちゃったの。私にとって、本当に大事なものはなんだろうって。だからゼロ、私は本当の本当に大切なものは何一つ捨てるつもりはありません」

 

 お飾りの副総督と呼ばれる姿からは想像もつかない決心の固い瞳に、ルルーシュは肩から力を抜いた。

 

(ナナリーがそんなことを……)

 

 胸に手を当てたユーフェミアが誰のことを言っているのかルルーシュには直ぐに分かった。

 

(無茶なやり方なのに、結局全てを手に入れてしまう。考えてみれば君はいつも副総督や皇女殿下である前にただのユフィだったな)

 

 最悪の敵だった初恋の人を見て覚悟を決めて手を伸ばす。

 

「え、これって?」

「君の勝ちだ、ユーフェミア」

 

 昔からユーフェミアとナナリーに勝てた試しのないルルーシュは、嘗てのように負けを認めた。

 

「ゼロ!」

「皇族ではないただの人に敬称を付ける意味はない」

「む……」

「同じ立ち位置にいるのなら、同志ならば握手の一つでもするだろ?」

「は、はいっ!」

 

 スザクは目を吊り上げているが、ユーフェミアは笑顔を浮かべて差し出されたゼロの手を握る。

 

「だが、部下になるわけじゃないし、黒の騎士団は特区には参加もしない」

 

 手を離したユーフェミアに向けてルルーシュが告げる。

 

「ブリタニアを信用できない者も多い。全ての日本人が特区に直ぐに参加出来るわけではない。保険は、必要だ」

「つまり、黒の騎士団は不安の受け皿になると? そんな都合の良い理屈が罷り通るはずが」

 

 今までの弾圧が弾圧だけにブリタニアを即座に信用できない者もやはり多い。

 総督でもないユーフェミアを超える権力を持つ者が特区日本を破壊すれば、黒の騎士団という力を失った日本は牙を折られる。

 

「不満ならば不安が起こらないようにしてみるといい。それにゼロや黒の騎士団が特区に入らなければ、ユーフェミア皇女殿下が皇籍奉還特権を使う必要もない」

「あ」

「君はもう少し頭を使うことを覚えた方が良いな、枢木スザク。騎士が武だけで良かった時代は遥か昔だぞ」

 

 バサリとマントを翻したゼロがG1ベースから去ろうとしているのを見て止めようとしたスザクは、まさかの相手からのアドバイスに足を止めた。

 

「では、行こうか。ユーフェミア皇女殿下」

 

 先を立って歩き始めたゼロはそう言った直後、仮面だけを振り返らせてユーフェミアを見た。

 

「そうそう、ナンバーズを区別するのはブリタニアの国是。変えるとなれば皇帝となるしかないぞ」

 

 笑みを含んだその声にユーフェミアの答えは……。

 

 

 

 

 

 数分後、ゼロは参加しないものの特区日本を認める声明が出され、日本人は歓喜に沸き立った。

 奇しくも、とある世界において日本人の虐殺を指示したユーフェミアの名前が会場に何時までも木霊していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 行政特区日本が正式に始まったその日の夜。

 アッシュフォード学園のクラブハウスの自室にて、ルルーシュのベッドに横になっていたC.C.はふと視線をもう一人の住人に目を向けた。

 

「お、おいっ!?」

 

 ガバッと体を起こしたC.Cは目を見開いてルルーシュを見て大声を上げた。

 

「急に大声を出すな。ナナリーが起きてしまうだろ」

 

 しかし、C.C.はそんな声すらも聞こえていない様子でベッドから下りて大股でソファに座って何かの作業をしているルルーシュの下へ行き、その顔を掴んで左目を覗き込んだ。

 

「間違いない。ギアスが暴走しているぞ」

「何?」

 

 言われたルルーシュは立ち上がってカーテンを開き、窓に薄らと映る自分の左目でギアスが発動したままなのを見てフリーズした。

 

「本当だな……」

 

 これはマズいことになったと、ガラスに映る自分の左目の問題に頭を悩ますルルーシュだった。

 

 

 




原作との変更点
・貴族に叩かれるイレブンを助ける為にギアスを使っていない
・助けなかったのでシャーリーは普通に会い、買い物をして別れる
・帰る時間が少し遅れたのでナナリーの決心が固まり、ユーフェミアともう一度会いたいと言った。
・結果、ルルーシュ=ゼロの選択に変化が起こる
・行政特区日本の開始前に、会場の近くに黒の騎士団は軍を展開しておらず、トレーラーで待機。
・ゼロ、ユーフェミアと二人で会わずにスザクも同席させたことで仮面を外さない。
・本題に入るのが早くなり、ルルーシュはユーフェミアに絆された。
・夜に事実でC.C.がギアスが暴走していることに気付いた



貴族にギアスを使わなかったことでシャーリーが歩み寄り、帰宅時間が遅れたことでナナリーが我儘を言ってルルーシュの内心に変化が。
仮面の中身を明かさずに葬り去る可能性を考えていたルルーシュはスザクとの三人でユーフェミアと話す。
絆されて行政特区日本を受け入れる。日本人虐殺は起こらず、ゼロの仮面は葬り去られたという流れです。


シャーリー生存√みたいに毎日更新は出来ませんが、あまり間を開けずに更新していくつもりです。
ネタがあれば感想で上げてくれれば助かります。




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