コードギアス~死亡キャラ生存if√(旧題:シャーリー生存√)~ 作:スターゲイザー
お気に入り100件突破しました。
TAKAさん、8888さん、残月さん、女神さん、okaraさん、評価ありがとうございます。
杉やんさん、シップスさん、残月さん、mahoyoさん、感想ありがとうございます。
皆様に感謝感謝です。
中華連邦のとある場所の森林地帯に扇要はいた。
「千草……」
約束の時間が過ぎても扇の待ち人である千草は来なかった。
「いや、ヴィレッタ・ヌウか」
来ないはずの人の待ち続けた扇は、自分の知る千草がもういないと悟って一筋の涙を零した。
「――――さようなら」
存在しない思い出の中となった愛しい人に別れを告げて扇も歩き始めた。その背中を見ている目があるとも知らず。
中華連邦領、黄海に浮かぶ潮力発電用の蓬莱島に黒の騎士団がある。
ディートハルトに監視されている扇が斑鳩に戻ろうとしている頃、その蓬莱島にある本部ビルの一室にて、黒の騎士団の首領であるゼロは中華連邦の代表としてやってきた黎星刻と向かい合って座っていた。
「これで超合衆国は成った」
中華連邦を味方に付ける前でも世界の三分の一を支配していたブリタニア。
幾ら列強であった中華連邦を味方に付けようとも国力の差は大きい。ことに大宦官の勢力を排除した今の中華連邦は弱体化している。
勢力の平定は済んでいるが、黒の騎士団と中華連邦だけでブリタニアと戦えると思っていなかったルルーシュが立ち上げたのが超合衆国構想だった。
「見事と言っておこう。これで対ブリタニアを標榜できる」
ルルーシュが作り上げた超合衆国構想とは、ブリタニアに脅威を覚えている国や植民地となったエリアの抵抗勢力を取り込み、反ブリタニア同盟を作り上げようという計画である。
攻勢を強めるブリタニアとの陣取り合戦に似た、己が勢力に引き寄せる戦いはある程度の決着を見た。
「その前にゼロ、君に聞いておきたいことがある」
超合衆国が正式に世間に公開される前に、超合衆国の中軸になる中華連邦の人間として星刻は対ブリタニアの矢面に立つゼロの真意を確かめなければならなかった。
「君はあのブリタニア皇帝のように、世界に覇を唱えるつもりか?」
「それはない」
ルルーシュは仮面の中で苦笑しながら、星刻の懸念を言葉少な気に否定する。
「懸念は理解できる。超合衆国の構想者、そして黒の騎士団のトップである私に全くの疑念を抱かない者などいないだろう」
黒の騎士団がここまで成り上がれたのは、ゼロのカリスマ性と結果を示し続けて来たことが大きい。
ブリタニアに対抗する勢力を作り上げたゼロの非凡さは誰もが知るところであり、世界を二分する勢力のトップに上り詰めたにしてはその真意を窺い知れる者は殆どいないに等しい。
「私としては大宦官を排除出来たこと、天子様を救ってもらった二つの恩がある。が、その言葉を信用するにしても、君にはあまりにも謎が多すぎる」
「同意しよう。自分で言うのもなんだが仮面で姿を隠した者を全面的に信頼できるはずもない」
名前も姿も覆い隠した者がトップに立てば、誰だって疑念を抱かずにはいられない。
「だが、私が仮面を被るのも故あってのこと」
誰が元とはいえ、敵国の皇子をトップに擁けるか。ルルーシュがブリタニアと戦うにはゼロの仮面が必要なのだ。
「世界に覇を唱えるつもりも、中華連邦を乗っ取る気もない。第一、私は統治に魅力を感じない」
「仮にブリタニアに勝利すれば世界を手に入れることも容易いというのにか?」
「だとしてもだ」
もどかしい想いを抱いたことはあるし、自分ならばもっと上手く出来るという確信がルルーシュにはある。
だが、出来るからといってやりたいかはまた別の話である。
「今まで散々統治者達の苦労を目にしてきたのでね。一国ですら大変だというのに、世界ともなれば想像も出来ん。いらぬ苦労を背負う気は無いよ」
信じてもらうことは恐らく出来ないだろう。ゼロは戦略家としては謀略型で、かつ上昇志向も強い。そういう人間が得てして信義よりも大望を、調和よりも野心を優先しがちである。
仮面で姿を隠すゼロの真なる目的が、世界に覇を唱えるつもりなのだと考えてもおかしくはない。
しかし、覇道を突き進むブリタニア皇帝を憎悪しているルルーシュは彼と同じことを望むのを拒否する。何よりも、ルルーシュが望むのは世界などよりも大事で、もっとちっぽけなものだ。
「しかし、人は権力を持てば変わるものだ」
最初から腐っている人間は恐らく少ない。権力を持てば、理想を語っていた口でやがて人々を傷つけていくようになる。権力の魔力は容易く人を変えてしまうのだ。
「ふむ、ではブリタニアを打倒した暁には、予定されている黒の騎士団CEOの座と超合衆国におけるあらゆる地位から退くことを約束しよう」
「それは……っ!?」
星刻にとって予想もしていない言葉であったのだろう。絶句している気配に苦笑を浮かべたルルーシュに権力にしがみ付く理由などない。
「今の段階では口約束に留まるが、ブリタニアを倒して戦後処理を終えれば仮面の英雄は必要なくなる。寧ろ」
「邪魔になる、か」
「英雄など普通の日常には不要なもの。素性不明・真意不明の者など厄介でしかない」
ナナリーの安全を保障し、超合衆国がブリタニアに対してやり過ぎなければルルーシュがゼロの仮面を被り続ける必要もない。
「超合衆国に各国が参加を内々に表明したのもそれが理由か」
「ブリタニアを脅威に感じているのはどこも同じだ。一国や数国だけで対抗できないのは自明の理。だが、超合衆国には私がいた」
強いカリスマ性とブリタニアに対抗できる力を示したゼロが戦後には自ら消えるのならば、世界に覇を唱えられる立場を手に入れられるかもしれないと思っただろう。
「危うくはないか? 戦後に超合衆国で内乱が起こるぞ」
絶対的な指導者がいなくなれば、残った者達で椅子取りゲームが起こって内部分裂を起こす可能性が高いことを星刻は危惧していた。
「その可能性を摘んでから去るつもりだ。最後まで責任は果たすとも」
内乱に発展しなくても超合衆国の中軸である中華連邦が調停に走らざるをならないだろうし、そうなれば変な思惑に囚われている暇もないだろという思惑もルルーシュにはある。
「仮に内乱に発展したとしても、私が再び仮面を被ることになる。それは彼らにとっても望むことではないだろう」
三度、立つようなことになればゼロの存在は絶対の物となる。
そうなれば民衆は政治屋ではなくゼロをこそ指導者として祭り上げることは想像に難くない。だからこそ、超合衆国に参加した者達も軽挙妄動は控えるだろうとルルーシュは考えていた。
「君がそこまで考えているならば、私が言うことはもうない」
一般的ではないゼロの考えを聞いた星刻は一応の納得をして頷く。
「では、もう一つ聞いておこう。決議第壱號で日本解放戦が選ばれた理由を教えてもらいたい」
超合衆国が成った暁に施行されている決議の一つ目は日本解放戦となっている。複数の国が同盟を結んでの最初の一戦が日本である理由を星刻は訊ねた。
「まずはエリア11と、日本の解放が世界的にも多くの影響力を及ぼすことになるのは理解している」
個人の意思によって同盟の向かう先が決定されるのは喜ばしいことではないと暗に込めた星刻にルルーシュは腕を組んだ。
「ゼロと黒の騎士団が生まれたのが日本であることは世界的に周知の事実だろう。日本ではなく他のエリアから、となれば日本はどうしたという声はやはり出る」
超合衆国の唯一の軍隊となる黒の騎士団は日本で生まれ、ゼロも日本で立った。その事実は世界的にも有名でもある。
「そしてエリア11を一番に選んだのには、今の彼の地にも理由がある」
「矯正エリアから途上エリアに昇格したことか」
「それだけに留まらず、そう遠くない内に衛星エリアにも昇格するだろう」
「また随分と早い」
総督であるナナリーが行政特区・日本を立ち上げる時に黒の騎士団をゼロとして国外追放させたことで不穏分子は減っただろう。その分だけ内政はやりやすくなっただろうし、ルルーシュも陰ながら支えていたのだがナナリーはこちらの思惑を超えていた。
「これまで日本人に対して圧政のみしか行ってこなかった総督達と比較して、融和政策を取るナナリー総督は私にとっても好ましい。だが、日本人のブリタニアからの独立の気概を失わせかねない」
ナナリーがナンバーズに対して善政を振るうのは、戦後のことを考えれば問題ないどころか大いにプラスになる。
総督として表舞台に立ってしまった以上、戦争で負ければ敗戦国の将として扱われてしまう。しかし、融和政策を推し進めたナナリーは年齢と体のこともあって悪い扱いにはされ難い。
とはいえ、現状のナナリーはルルーシュの想定を超えてやり過ぎてしまった。
「今、日本を解放しなければ、ゼロが立ったはずの日本の民衆がブリタニアに従わされてしまう。他の国を解放しても、日本は解放できないとあってはゼロとしての骨子が揺らぐ。ゼロとしての骨子が揺らげば、黒の騎士団にも影響が出るだろう」
「あの総督にゼロともあろう者が随分と悩まされてるようだな」
「笑い事ではないぞ」
目も見えず、立つことも出来ない者がエリア総督になったことは有名な事なので星刻も知悉しているが、一人の少女に世界が揺り動かされている滑稽な状況に笑みを漏らした。
「今、日本を解放しなければ後手に回らざるをえない。その事態を避けたいがための日本解放だとは理解したし納得もした」
笑みを収めて組んだ手で口元を隠した星刻は次の話題へと移る。
「あのジェレミア・ゴットバルトが仲間となったのは何故かな?」
やはり突っ込まれるか、とギアス嚮団より帰還したジェレミアを正式に黒の騎士団に迎えたルルーシュは組んでいた腕を解き、右手を軽く上げる。
「正確には元から、だ。オレンジのことは知っているだろう」
「ゼロが最初に表舞台に立った時に見逃した時のアレか」
クロヴィス暗殺の疑いをかけられたスザクを逃がす為のゼロたるルルーシュが発したオレンジに関しては完全なハッタリであり、そもそも存在しない。
これはブリタニアへの牽制、更にはジェレミアの心の隙を突くための何重にもおける策略である。そして、仕掛けたトラップが発動し取り乱したジェレミアを狙い、ゼロは「私達を全力で見逃がせ」というギアスを掛けて見逃させた。
傍目には「オレンジ」なる機密の公表を恐れたジェレミアが隠蔽のために必死でゼロを逃がしたかのように映ったため、皇族殺害の重罪人を逃がした責任を問われるだけでなく、「オレンジ疑惑」なる嫌疑までかけられることとなる。
「最初からジェレミアと繋がっていたと?」
そう疑われるのは仕方のないことで、黒の騎士団幹部からも同じ意見が出た。
「彼は私の仮面の内側を知る数少ない者だ。とはいえ、協力関係はあの一度に過ぎないはずだった」
真実を折り混ぜることで相手に嘘を信じ込ませる。
ギアスは一度しか効かないし、現にジェレミアはその後の戦いでゼロと戦い続けている。
「ジェレミアの体のことは知っているか?」
「改造処置を施されているらしいとは聞いている」
実験適合生体として体を弄られたジェレミアは、そうした者達に恨みを持っているとルルーシュに語っている。
「ブリタニアが本人の意思を無視して行ったことだ。死んだことにされて、軍籍も剥奪されているらしい」
「それで裏切ってこちらに付くと?」
「正確には知己であった私個人に従っているといったほうが正しいか」
「ブラックリベリオンの時にゼロを襲って戦線を離脱させた張本人だと聞いた。その方が無難だろう」
厳密には誘拐されたナナリーを追ってルルーシュが勝手に戦線を離脱したのだが、暴走していたジェレミアと戦ったのは嘘ではない。
ジェレミアは黒の騎士団との対面時に自身が暴走し、ゼロを襲ったことを謝罪している。
そういった経緯もあり、同じブリタニア人でもディートハルトと違い、生粋の軍人であったジェレミアが仲間になるからといって即座に受け入れられるものではない。
ブラックリベリオンでのことを消化できない者もいるので、黒の騎士団の指揮系統から独立してゼロ直属の個人戦力として動く立場に落ち着いたのは状況的に仕方のない面もあった。
「ナイトギガフォートレス…………強力な機体だ。戦力として申し分ない」
ギアス嚮団に赴いてV.V.の死を確認したジェレミアが手土産にと持ち帰ったジークフリートは、ブラックリベリオン時にガウェインと相打ちになって海底に沈んでいた物を回収して改造された物のようで、今はラクシャータ・チャウラーが更なる改造を施している。
星刻が言うように強力な機体であるが、やはりブリタニアの騎士であったジェレミアが完全に味方に成ったことを信じれてはいないようである。
「疑うならばジークフリートに爆弾を仕掛けるなり、ジェレミアに監視をつけるなりすればいい」
「裏切ることはないと、それだけの信頼をゼロは彼にかけているか」
「ああ」
自信を持って言い切ったゼロに星刻も覚悟を決めるように一度を瞼を閉じた。
「分かった。だが、もしもの時は」
「私が責任を持とう」
決して表に出ることはない話はそれで終わりだった。
当面の懸念を話し合ったゼロと星刻は立ち上がって握手を交わす。
黒の騎士団トップの秘密の会談の数時間後、蓬莱島の式典会場にてルルーシュは己が作り上げた結果に胸を躍らせていた。
「…………場合、この憲章に基づく義務が優先することとする」
一国で打倒できるほどブリタニアは弱くもなければ小さくもないから、対抗する為に連合国家構想を打ち立てることを予想した者は多いだろう。
しかし、国ごとに形成された軍隊はどうしても連携を欠き、烏合の衆にしかなりえない。
結局は机上の空論として消えて行く定めにあるはずだった。
「最後に、合集国憲章第17条。合集国憲章を批准した国家は固有の軍事力を永久に放棄する」
超合集国の最高評議会議長にして、合衆国日本代表である皇神楽耶が宣言する。
「その上で各合集国の安全については、どの国家にも属さない戦闘集団・黒の騎士団と契約します」
軍を黒の騎士団として統一し、指揮系統を一本化することでブリタニアと対抗する軍隊とする、合衆国構想のネックになりがちな点を排除したルルーシュの策だった。
「契約、受諾した。我ら黒の騎士団は超合衆国より資金や人員を提供してもらう。その代わり我らはすべての合集国を守る盾となり、外敵を制する剣となろう」
幾ら資金や人員を超合衆国に依存したとしても、黒の騎士団が暴走した際に止められる機関がないのも問題だった。かといって個々で動けばEUを分断したシュナイゼルの餌となる。
烏合の衆を纏め上げるために権力が黒の騎士団のトップに立つゼロに集約されていた。
CEOとして黒の騎士団のトップとして立つゼロが理性的な人間で、情勢を無視した暴走など行わない良識を持った人間であると信じるしかない。
(だからこそ、ゼロは戦後に黒の騎士団に残ることは出来ない)
戦後は今ほどCEOに権限はないだろうし、黒の騎士団にも多くの制約を課すことになるだろう。
これだけの莫大な権限は、戦後にゼロが黒の騎士団を去ることを明言しているからこそ与えられたものである。ただ、ブリタニアに勝つ為に。
「それぞれの国が武力をもつのは騒乱の元。超合衆国では最高評議会の議決によってのみ軍事力を行使します」
マイクによって拡大された天子の甲高い声が蓬莱島に響く。
「それでは、私から最初の動議を行う前に一つだけ」
神楽耶がルルーシュが作ったシナリオの通りに言葉を紡ぐ。
「争いは何も生みません。強者が弱者を虐げるのではなく、全ての人が手を差し伸べ合えるような世界になるように――――――――我々は神聖ブリタニア帝国との対話を望みます」
超合衆国はブリタニアとは違うのだと世界に示す為に、神楽耶は交渉のテーブルを用意する気があると告げた。
『――――ゼロよ』
神楽耶が映る画面にノイズが奔り、数秒後に神聖ブリタニア帝国第九十八代皇帝シャルル・ジ・ブリタニアが玉座に頬杖を突く姿が映された。
『小癪なり。だが、面白い選択だ』
ハッキングにて通信回線を乗っ取ったシャルルは言葉とは裏腹な、つまらなさげな態度で全てを見下す。
『三極の一つEUはすでに死に体。つまり貴様の作った小賢しい憲章が世界をブリタニアとそうでないものに色分けする。単純、それ故に明快。故にこそ超合衆国は我が神聖ブリタニア帝国と対等の力を得た』
あの派手好きな男のすることだからルルーシュはハッキングされる可能性を見抜いていた。だからこそ、ハッキングされても全てを乗っ取られないように事前に回線を別に分けていた。
そしてこのことは新生・黒の騎士団幹部と超合衆国の代表達にも周知してある。
『――――超合衆国はブリタニアと対等のテーブルに着いた』
残っている回線を使って、乗っ取られた回線を乗っ取り返すのではなく画面の半分を取り返したゼロが静かに告げる。
『望んでいようがいまいが戦争は起こる。だが、戦争以外の方法で問題を解決できる方法があるのならば、理性ある人間として我らは対話を望む』
『ほう…………交渉によって何を望むというのだ?』
左側の画面の中でシャルルが会話に乗って来たことにルルーシュは仮面の中で眉をピクリと反応させた。
『神聖ブリタニア帝国が今まで征服した全エリアの解放、そして今まで各国が貴国によって被って来た損害賠償を支払って頂きたい』
シャルルの目論見は分からないが、もしも皇帝が対話のテーブルに着いた際の条件は既に各国代表達と纏めていた。
『下らん』
どうせ受け入れられるとはルルーシュも思っていなかった。
差別を助長し、競い奪い獲得し支配することを容認しているシャルルの一言に集約した否定に、寧ろこの男らしいとすらルルーシュには感じた。
『この場で特定のエリアの解放を匂わせ、小癪な超合衆国を崩すことは容易い』
しかし、それは剛腕を以て覇道を突き進んできたシャルル皇帝のブリタニアらしくない方法である。それこそ自身で評したように小癪なやり方だ。
『世界を二分する神聖ブリタニア帝国と超合衆国。戦いとは全てを得るか全てを失うかに集約する。単純に行こうではないか』
『つまり、交渉する気ないと?』
『原初の真理とは弱肉強食なり』
画面の中でシャルルは頬杖を止め、初めてニヤリと獰猛に笑った。
『この戦いを制した側が、世界を手に入れる。挑んで来るがいい、ゼロ』
『己が弱者となった時、同じ台詞が言えるか見物だな、シャルル』
交渉は決裂し、お互いに宣戦布告は済んだ。
出番を終えたルルーシュが下がると同時に画面の中心に神楽耶が映る。
「我が合衆国日本の国土は他国により蹂躙され、不当な占領を受け続けています。黒の騎士団の派遣を要請したいと考えますが賛成の方はご起立を」
超合衆国に参加した代表達が神楽耶の動議に賛成を示す為に席から全員が起立する。
「賛成多数。よって、超合集国決議第壱號として黒の騎士団に日本解放を要請します!」
「いいでしょう。超合集国決議第壱號 進軍目標は…………日本!!」
議長である神楽耶から決議の結果を受け、ゼロが腕を振るいながら日本がある方へと指差すと同時に歓声が起こる。
「ゼロ!」
式典会場のどこからか湧き上がった誰かの声が連鎖し、それは瞬く間に蓬莱島全体に伝染し、会場を揺るがすほどの響きとなる。
「オール・ハイル・ブリタニア!」
式典の映像が流れるブリタニアで、各エリアのブリタニア兵達が叫ぶ。対抗するようにゼロの名が叫ばれる。
『ゼロ!』
『オール・ハイル・ブリタニア!』
連鎖する二つの叫びが、世界はたった二つの色に塗り潰されたことを示していた
エリア11の政庁にある謁見の間にて、ナイトオブラウンズや総督であるナナリーと共に式典の中継を見ていたシュナイゼル・エル・ブリタニアは、常の柔らかい笑みを浮かべている彼らしくもなく眉を顰めていた。
「…………カノン」
「はっ」
ゼロの名と、政庁に鳴り響くオールハイルブリタニアの掛け声の最中に副官のカノン・マルディーニを呼び寄せる。
「トロモ機関の資金と人員を動かしてダモクレスの完成を急がせてほしい」
「殿下、それは……」
「万が一のことを考えてのことだよ」
耳を近づけたカノンにだけに聞こえるように指示を与えたシュナイゼルは歓声が聞こえる外とモニターに目を戻す。
「超合衆国など揺さぶれる要素は幾らでもあるというのに、現実をゲームのように遊ぶおつもりか父上」
父親であるシャルルの本質を既に見透かしているシュナイゼルは、偽りの劇場の役者を演じさせられることを不快に感じていた。
「今日という日を大事にしない人に皇帝たる資格はない」
自分を持たないシュナイゼルに生まれた静かな意志だった。
放送が流れている頃、斑鳩のゼロの私室にてC.C.はルルーシュ手作りのピザを食べていた。
ピザに齧りつきながらC.C.は寂しそうに呟く。
「私だって黒の騎士団なのに……」
居場所がバレると問題のあるC.C.は、ルルーシュにお留守番を命じられて式典に出席できなかったのだった。
原作との変更点
・扇はヴィレッタと会えず。
・ゼロの進退を明言。
・ジェレミアが黒の騎士団に入ってことによる諸々。
・動議を始める前にブリタニアに対話を呼びかける。
・Cの世界で身バレしていないので皇帝が現れても余裕を持っているルルーシュ。
・日本万歳ではなくゼロの名が叫ばれる。
・シュナイゼルの選択。
・シャルルにバレていないのでスザクにナナリーのことを頼む必要がないので電話しない。
・記憶を失っていないが皇帝に居場所がバレたら問題のあるC.C.はお留守番。