コードギアス~死亡キャラ生存if√(旧題:シャーリー生存√)~   作:スターゲイザー

41 / 54

これにて卜部生存√も終わりでございます。




最終話 0から1へ

 

 

 シャルルとの話を終え、ゼロとしての仮面を被ったルルーシュは影のように控えるジェレミアと共に医務室を訪れていた。

 

「何の用、ですか?」

 

 先の神根島の戦いで横から乱入し、カレンの紅蓮聖天八極式に落とされたアーニャ・アールストレイムがベットに寝かされた状態で拘束されたままゼロを見上げる。

 

「映像を見ていたのならば察しがつくだろう」

 

 シャルルとの話し合いは、皇神楽耶達がいる艦長室とスザクが捕らえられている部屋とアーニャがいるこの医務室に中継されていた。当然、アーニャの意識が覚醒していたことは確認されているので映像を見ていないはずがない。

 大体、敵であるはずのゼロ(ルルーシュ)に敬語を使った時点で見ていると白状してしまっている。

 

「分からない。私には、何も分からない……」

 

 四肢を開かれた状態で拘束され、手も足も先に袋を被せられている状態で目覚めたアーニャはあまりにも多くの出来事が過ぎ去っていって理解が追いついていない。

 斑鳩からアヴァロンに戻って暫くしてからの記憶が無く、気が付けば傷だらけでこの状態。そこに主君であるシャルルが自分の記憶を改竄していたなどと聞いて、覚えていない誰かが内側にいると知れば何も信じられなくなった。

 

「やってくれ、ジェレミア」

「…………本当によろしいので?」

 

 医務室に入って来てからも影のように徹して言葉を発しなかったジェレミアが問い返す。

 

「やれ」

 

 一言の命令にジェレミアは瞑目し、ギアスキャンセラーを発動させる。

 カレンと戦い、一世代上の紅蓮聖天八極式を半壊に追い込みながらも敗れ去り、アーニャの裡で気絶していたマリアンヌは呆気なく消え去る。

 マリアンヌが表に出て来てもアーニャの目が見ていたことには変わりない。今まではマリアンヌの記憶として脳内に処理されていたが消滅と共にアーニャの欠けていた記憶と連結された。

 

「あ」

 

 復活したとも言える記憶に、今までずっと抱えて来た恐怖から解放されたアーニャの目から涙が零れ落ちる。

 

「あ、ありがとう……」

 

 感極まりながらもアーニャが礼を言うと、ゼロは取り出したハンカチを彼女に差し出す。

 

「代わりと言ってはなんだが、一つだけ頼みがある」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第二次トウキョウ決戦から三日後、未だフレイヤ被害の全容が掴めない中でアッシュフォード学園に二人の来客があった。既にその内の一人は来ており、残る一人を出迎えることになったミレイ・アッシュフォードは溜息を吐いた。

 

「まったく、リヴァルは……」

 

 世界の趨勢を左右しかねない会談に自分のいる学園が指定されるとは予測もしていなかったリヴァル・カルデモンドから助けを請われ、学生でもないのに理事長の孫として代理の案内人を務めることになったことに文句の一つも言いたくなる。

 そうこうしている内に青空の向こうにブリタニアの軍艦であるアヴァロンが見え、スーツ姿におかしいところはないかと確認していると小型艇がこちらに向かって来る。

 中庭に降りた小型艇から帝国宰相のシュナイゼル・エル・ブリタニアと側近のカノン・マルディーニ伯爵、その他護衛らしき人が数名降りて来る。

 

「ようこそ、アッシュフォード学園へ」

 

 内心では面倒事に巻き込まれたことに文句を言いつつも、社会人として外面は笑顔で応対する。

 

「初めまして、ミレイ・アッシュフォードさんだね。ニュースは拝見させてもらっているよ」

「光栄です」

 

 まさか自分の名前や職業まで知られているとは思わず、内心で驚くが礼をすることで表情を隠す。

 

「ゼロはもう来ているのかな?」

 

 どうしてシュナイゼル以下、ブリタニア側の全員がサングラスをかけているのか分からないまま話は続く。

 

「はい、少し前に」

「彼は何か言ってだろうか」

「互いに護衛は一人だけ。会談場所には私が案内するようにと」

「そうか…………では、カノンが来てくれるかい」

「分かりました」

 

 局から特ダネを掴んで来いと言われているが、一つ間違えばアッシュフォードの家にも累が及ぶので、言われたことしかする気のないミレイは護衛が決まったと見るや早々に会談場所に向かって歩き出した。

 

「ところで、ゼロの護衛は誰か知っているかい?」

 

 少し歩くと雑談のようにシュナイゼルが話しかける。

 

「誰かまでは…………ゼロと同じように仮面を被っておられましたから」

 

 あまり話し過ぎるのは良くないのだろうが、見たままを話す分には構わないだろうとゼロと共にいた仮面の人物のことを脳裏に思い浮べる。

 

「黒色のゼロとは対照的な白色で統一していましたね」

「ほぅ、体格はどうだろう」

「ゼロとそう変わらなかったと思います」

 

 護衛にしては線の細い人だったとミレイは記憶していた。それこそ最後までゼロの近くにいたジェレミア・ゴットバルトの方が体格的には護衛らしかった。

 

「…………と、ゼロの指定された場所はあそこです」

 

 ゼロが会談場所として指定したのはルルーシュ達が暮らしていたクラブハウスのベランダテラスだった。

 リヴァルからルルーシュが行方不明なことを聞いていたミレイの内で、ゼロの正体についてもしやという予測が立ったが努めて考えないようにした。

 

「私は、これで」

 

 気にならないと言えば嘘になる。だが、ミレイはアッシュフォードを完全には捨てられない。その選択を取るが故に彼女はこの場を離れることを選んだ。

 

「久しぶりだな、シュナイゼル」

 

 ベランダのテラスの椅子に座ったゼロは足を組みながら、対面に座ったシュナイゼルに機械で変声された声を向ける。

 

「つい、数日前に会ったばかりじゃないか」

「そうだな。トウキョウでの戦いではあなたに随分と煮え湯を呑まされたものだ。確か、フレイヤとか言ったか」

 

 枢木神社で捕まえて通信画面越しに話をした言質を取りたかったシュナイゼルに対して、ゼロはしらばっくれる。

 

「それに随分と内を引っ掻き回そうとしてくれたものだ」

「私は彼らに事実を教えたに過ぎない」

「お得意の話術に嵌る方が悪いと? 流石はシュナイゼル宰相閣下、人とは見ている視点が違う」

 

 シュナイゼルが黒の騎士団の内部攪乱をしようとしたことは事実であるが、人を嘲笑うかのようにゼロがパンパンと手を叩く様は些か挑発的に過ぎる。

 

「ところで、そちらの白い仮面の彼のことは紹介してくれないのかい?」

 

 白い仮面の人物がシュナイゼルの予想の通りならば突け入る隙になるはず。

 

「白騎士だ。トウキョウの戦いの後で拾ってね。前の軍で余程酷い扱いを受けたらしい。大量殺人の片棒を担がされた上に、皇帝暗殺の捨て駒にされては顔を隠したくもなるだろう」

 

 ククク、と喉の奥で笑った声も機械で変えられているので不気味に聞こえる。

 

「軍を脱走するのは重罪だよ」

「大量殺人と皇帝暗殺の命令を下した罪に比べれば大分軽い」

 

 第二次トウキョウ決戦のブリタニア側の指揮官はシュナイゼルであり、フレイヤは部下であるニーナ・アインシュタインが開発した物である。だから、フレイヤに関しては部下の一存でなどという詭弁は通用しないし、最低限の責任を取る必要がある。

 

「しかし、我が軍にはトウキョウ租界を消し飛ばす理由がない。黒の騎士団の策略ではないのかな」

「こちらにはランスロットがフレイヤを撃った映像がある。一機だけでなく、何機もな」

 

 スザクより開発者のことを聞いて、あの爆発の解析を行ったラクシャータ・チャウラーからブラックリベリオンでニーナが未完成のフレイヤを使おうとしたことの確認も取れている。

 そして開発者(ニーナ)もこの学園で確保したのだからゼロの方が何歩も先を行っている。

 

「お互いに忙しい身の上だ。腹を探り合うのではなく、建設的な話し合いをしよう」

 

 そう言ったゼロが懐から取り出したのは二つの携帯端末だった。

 コツン、とテーブルに置かれた携帯端末の電源を入れていく。

 

「言った言わないの議論をするつもりはない。好きな方を使うといい」

「いや、こちらは自前の物を使わせてもらおう」

 

 シュナイゼルが背後に控えているカノンに目配せすると、彼が懐に手を入れた。

 

「――――――余計な動きは慎んでおいた方が良い」

 

 カノンがボイスレコーダー機能が付いた携帯端末を取り出すフリをして拳銃に触れた瞬間、ゼロと同じように機械で変えられた声が牽制する。

 ビクリ、と顔を上げると白騎士が同じように懐に手を入れており、恐らくカノンが拳銃から手を離さなければ撃つと気配が物語っていた。

 

「…………何もしないわよ」

 

 携帯端末を取り出してテーブルに置いて下がったカノンの動作に合わせ、白騎士も手を下ろした。その間にもカノンの心臓はバクバクと高鳴っていた。

 

「さて、こちらは皇帝シャルル・ジ・ブリタニアとナイトオブシックスであるアーニャ・アールストレイムを捕虜としている」

 

 会談の本題とも言える内容に踏み込み、口火を切ったのはゼロだった。

 

「我が方としては、些か信じられないな」

「証拠を見せろ、ということですか。至極最もです」

 

 疑うのは自然であると、シュナイゼルの疑念を肯定したゼロは白騎士が持っていた鞄から一つの物を取り出してテーブルに置いた。

 

「アーニャ・アールストレイムから預かりました」

「これは、騎士証か」

「帝国最強のナイトオブラウンズともなれば特別製でしょう。偽造など出来るはずもない」

 

 真実、アーニャに頼んで借り受けたナイトメアフレームの起動キーでもある騎士証は、ブリタニアの技術の結晶でもある機体を奪われないように複製不可能な作りとなっている。

 事前に本人確認の方法としてアーニャの騎士証を持ち込むことは通信文に触れられていたので、カノンも今度は拳銃には手を伸ばさず騎士証の確認が出来る機械を取り出す。

 

「…………間違いなく本物です」

「ふむ、預かっても?」

「構わない」

 

 アーニャ・アールストレイムの騎士証と機械が証明したがまだ偽造の可能性が完全に消えたわけではない。より詳細な確認を行う為にシュナイゼルが駄目で元々で申し出たらゼロはあっさりと認めた。

 

「しかし、皇帝に関しては明確に本人確認できる物がない。なので、こちらで我慢してもらいたい」

 

 次にゼロが取り出したのは数枚の写真だった。

 

「我が艦内で撮影した写真だ」

 

 テーブルに置かれた写真を手に取ったシュナイゼルは僅かに目を細めた。

 

「確かに皇帝陛下だ」

 

 写真の右下には撮影時刻が記録されており、少なくとも行方不明になった後に撮影された物と思われる。

 こういう物ほど偽造が容易いので安易に信用することは出来ないが、手錠で縛られたアーニャとの2ショットもあるので偽造にここまで手の込んだことは普通しない。

 

「ブリタニアの要求を端的に言おう」

 

 条件的に不利なのはブリタニア側であるから、シュナイゼルは敢えて余裕を見せながら口を開く。

 

「皇帝陛下及びアーニャ・アールストレイムの即時返還だ」

「…………代価は?」

 

 直球の要求に、一拍間を置いたゼロが問う。

 

「征服した全エリアの解放を約束する」

「少し弱いな」

「まだ足りないと?」

 

 超合集国の念願とも言える願いに対して、現ブリタニアの象徴とも言える皇帝とナイトオブラウンズの代償としては弱いとゼロは深く頷く。

 

「各エリアの内政はブリタニアに依存している。抜ければ生活もままならぬ者も多いだろう」

 

 一度は撤退してももう一度侵攻しない保証も無い。

 黒の騎士団の軍を各エリアに配しても、それでは戦争が長引くだけで皇帝というワイルドカードを利用するには利点が少ない。

 

「そこで提案がある」

 

 保証が無いのならば、保証せねばならないようにしてしまえばいい。

 

「全エリアの解放後、合集国憲章に批准してブリタニアにも超合集国に参加してもらいたい」

「それは……」

 

 超合集国の決議は多数決で決める民主主義制となっているが、投票権は国の人口の多さによって比例しているため、大きな国であるほど多くの票を持つことになるなど急造ゆえの問題も多い。

 ブリタニアは衰退した中華連邦を抜いて世界人口で一番多い。が、全エリアを解放した後では、ブリタニアとそれ以外では人口比が逆転する。

 

「参加させてもらおうか」

 

 ブリタニアにとって悪い話ではなかった。

 幾ら対ブリタニアの為に集まったのが超合集国とはいえ、必ずしも一枚岩であるとは限らない。人心の分離策はシュナイゼルの得意とするところで、民主主義に倣って過半数を得れば超合集国その物を乗っ取ることも容易い。

 上手く行かなければ批准を取り消し、超合集国を出れば良い。今、シュナイゼルに必要なのは天空要塞ダモクレスを完成させる時間さえあればいいのだから。

 

「では、動議を行いましょう」

「何?」

「聞こえていましたね、神楽耶様」

『はい、確かに』

 

 シュナイゼルが使わないと分かっても置きっぱなしになっていた携帯端末の内の一つから皇神楽耶の声が広がる。

 

『ブリタニアが全エリアを解放後、超合集国への参加に賛成の方はご起立を』

 

 ガタガタ、と椅子を動かす音がボイスレコーダーから響き渡る。

  

『賛成多数。よって、超合集国決議第弐號として、全エリアを解放後にブリタニアが超合集国に参加することを認めます!』

「おやおや、これは一大事だ。皇帝陛下がいない間に宰相が勝手に決めてしまうなど」

 

 シュナイゼルが手を出さないようにしっかりとボイスレコーダーを確保していたゼロの声には喜色が混じっていた。

 

「嵌めてくれたね」

「まさか」

『続いて、ブリタニア帝国宰相シュナイゼル・エル・ブリタニアの重戦術級弾頭による大量殺人の容疑で捜査を行うべきと進言させて頂きます。賛成の方はもう一度、ご起立を』

 

 もう一度椅子を動かす音が続き、シュナイゼルの表情が明らかに歪む。

 

「動かないでもらおう、シュナイゼル閣下。民主主義に参加したのなら、そのやり方に従うのが筋だろう?」

 

 あまりにも性急過ぎる展開に立ち上がりかけたシュナイゼルをゼロが制する。

 

「随分と用意がいい。まさか既に超合集国の代表達を集めていたとは」

「その為にわざわざ三日も空けたのでね。難しいことではなかったよ」

 

 勿論、シュナイゼルはこれがブラフであることを疑っている。

 個人が確定する声を出しているのは神楽耶だけで、彼女は黒の騎士団の密接な繋がりが有るからこのような小細工を取れる。つまり代表達は集まってはおらず、ブラフではないのかと。

 

(だが、本当の可能性もある)

 

 ゼロが言ったように三日という時間は代表達が集まるには十分である以上、シュナイゼルの行動次第でブリタニアの命運が決まってしまう。

 

(条件が悪すぎた)

 

 自身の失策もあれど、この三日という時間の間にシャルルを取り戻せというブリタニアからの突き上げもあり、シュナイゼルが取れる選択は限られていた。

 

「他人を従えるのは気持ちがいいかい、ゼロ」

 

 皇帝シャルルがブリタニアに戻ろうとも、全エリアを解放して合集国に参加したとあっては旗色が変わっている。

 今までシャルルが認められてきた弱肉強食の国是も、彼がブリタニアに勝利を齎していたからこそ受け入れられてきたのだから。

 

「何も感じないな」

「そうかい。これを見ても、そう言えるのかな」

 

 早いがシュナイゼルは切り札を切ることにした。

 テーブルに置かれているカノンの携帯端末を操作して映像を映し出す。

 

『お兄様……』

 

 携帯端末の画面に表示されたのは、栗色の髪をした一人の少女――――ナナリー・ヴィ・ブリタニア。

 

『本当に、お兄様がゼロなのですか?』

 

 画面に映るナナリーの姿に、ゼロの後ろから見た白騎士がハッキリと動揺を露わにしたのをシュナイゼルは見逃していない。

 

「――――――――ナナリー総督、御無事で何よりです」

 

 しかし、ゼロは指一本揺らすことなく、映像の中のナナリーを見据えて言ったのだった。

 

『え……ぁ……』

「ご無事だったということはシュナイゼル殿下に助けられたのでしょうな。特に怪我もないようで喜ばしいことです」

 

 困惑しているナナリーに対して、至って平静に答えたゼロにシュナイゼルは己が策が失敗したことを悟る。

 シュナイゼルの目から見てもゼロが演技しているようには見えない。故に、今この場においてシュナイゼルが出来ることは何もない。

 

「ここまで、だな」

 

 スザクとの会話の音声でルルーシュの声と確信したからこそシュナイゼルの意向に乗ったナナリーが困惑している画面を消し去り、このゲームが敗北したことを認める。

 これ以上ないほどに追い詰められた時、常に負けないところでゲームをしていたシュナイゼルには死に物狂いで抗うような気持ちは湧いてこないのだから。

 

「どうやら決戦しかないようだ」

 

 超合集国決議の真贋を確かめる手段が今はない以上、そう言うしかない。

 

「交渉は決裂、ということでよろしいのかな?」

「勝者は全て得て、敗者は全てを失う。我がブリタニアの国是を考えれば分かることだろう」

 

 立ち上がったシュナイゼルは自身がブリタニアにおいても難しい立場に追いやられることを自覚している。

 どのような選択をしようとも一緒ならば、勝つことで守るしかない。

 

「戦場で会おう」

 

 カノンを従えて去ったシュナイゼルの背中を見届けたゼロは、ふぅと一つ息を吐いた。

 

「生きていたんだな、ナナリー」

 

 仮面の強固さで動きに出なかっただけのゼロは、ルルーシュとしての最後の感情を表に出す。

 

「…………ルル」

「私達も行こうか、白騎士」

 

 ルルーシュ、と名前を呼ぼうとした白騎士を遮り、ゼロも足を解いて立ち上がる。

 

「後は勝つだけだ」

 

 その言葉通り、全てを捨て去ったゼロはどれだけの敵が立ち塞がろうともブリタニアに勝利するだろう。既に勝つだけの条件を揃えているのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 嘗てはエリア11と呼ばれた日本がその名を取り戻してから十年余。

 今や世界的英雄であるゼロは全ての要職から退き、あの特徴的な仮面すらも取り去って大分復興の進んだ町の中を歩いて行く。

 

「ところで」

 

 背後からの夕焼けで道路に出来る影は二つ。その片方へと声をかけた。

 

「どうしてお前まで付いて来る?」

「今更、それを聞くか」

 

 共に歩く禿頭の美青年の問いに妙齢の美女は呆れつつ答える。

 

「私達は共犯者だ。最後まで一緒にいるべきだ」

「お前との契約は既に果たしたはずだ。もう共犯者ではないだろうに」

 

 と言いつつも男は女の同行を拒否まではしない。

 先に立って歩く男の後を追いながら、女は仕事を終えて帰宅する者達の顔を見ながら遠い目をする。

 

「しかし、もう八年と十年か。時間が経つのも早いな」

 

 ブリタニアの征服戦争が始まった日と、己の呪いが解かれた日からそれだけの年月が流れたのだと否が応でも自覚する。

 

「そうだな」

 

 世間では意外なほど呆気なく終わったと言われている戦争を終わらせた張本人である青年にとっては大した感慨もない。

 

「シュナイゼルの死刑も遂に決まったんだって?」

「随分と時間がかかったがな」

 

 父親の死と同じく、腹違いの兄の生死に関しても男は時間がかかった以上に抱く思いはない。

 

「反対に扇は出て来たらしいぞ」

「こちらは随分と早いな」

「戦後十年の恩赦だそうだ」

 

 頼みもしていないのに報告してくる者がいるので、会話のネタとして話したが彼らにとっては十年も前の出来事なのだから深い関心はなかった。

 

「ナナリーも皇帝の座を次に譲るというし、みんな新しい時間を始めているのだな」

 

 反対に女にとっては間違いなく今まで生きていた中で激動の十数年であったから思うところは多い。

 

「最終的にブリタニアも超集衆国に参加して人々は対話のテーブルについた。もう、正義の味方は必要ない」

 

 戦争に向いていたエネルギーは飢餓や貧困に向けられている。ゼロがそうしたのだ。だからこそ、青年はゼロの仮面を脱ぎ、市井へと下りることを決めた。

 

「ロロが随分と引き止めていたようだが」

 

 シャーリー殺害の件で戦後に自首したロロは年齢と事情もあったが数年服役し、出てからは身元を隠してゼロの秘書的なことをしていた。

 

「罪は償ったんだからアイツも俺から離れた方が良い」

 

 揶揄する女に対して男は薄く笑った。

 

「で、当のお前はこれからどうするんだ?」

 

 男はその問いには答えず、目的地を見上げて石畳の階段を上がっていく。

 

「ここは……」

 

 この近くに過去に一度だけ来たことがある女もようやく気づき、後を追って石畳を登る。

 

「待たせたか」

「いや」

 

 十年前と同じく待っていた男に声をかける。

 

「ゼロはその役目は終えた」

「白騎士もまた同じだ」

 

 ゼロと白騎士として、この十年間を共に戦い続けたからこそ二人は共にいれた。

 だが、その役目を終えたのならば。

 

「さよなら、ルルーシュ」

 

 枢木神社にいた男が銃を取り出し、女が止める暇もなく男に向かってその銃口を向けた。

 バンッ、と陽を落とした夜空に銃声が響き渡った。

 

「もう、二度と会うことはないだろう。さよなら、スザク」

 

 男は女と来た道を戻り、残った男は銃を取り落として満天の星空を見上げる。

 

「これでいいんだよな、ユフィ」

 

 答える者はいない。それでも、嘗て枢木スザクと呼ばれた男は笑っていた。

 

 

 




最終決戦を描写しなかった理由

シャルル→捕まっている
ビスマルク→既に死亡
ジノ→シュナイゼルが信用できず、100%の力を発揮できずに白騎士に敗北
ドロテア→カレンに瞬殺
アーニャ→ゼロについて黒の騎士団入り
スザク→白騎士になる
ノネット→戦うと踏み切れないナナリーの側につき、ブリタニア本国に残る
ルキアーノ→既に死亡
モニカ→重傷にて戦えず

対して黒の騎士団は

ゼロ→鉄の心、迷わず
カレン→ブリタニア、死すべし
白騎士→もう迷わない
ロロ→ルルーシュを消した戦争を憎んでやる気Max
ジェレミア→忠義の人
アーニャ→割と恨み骨髄
藤堂→恥は戦場でしか濯げぬ
千葉→同上
星刻→戦後の中華連邦の立場向上の為、手柄を
卜部→こんな戦争はさっさと終わらせるべきだ

ブリタニア軍にもトウキョウ租界を吹き飛ばしたフレイヤがシュナイゼルの差し金と知って、常に背後を気にする状況。
天空要塞ダモクレスは間に合わず、フレイヤは国民感情的に使えない。この状況でシュナイゼルは善戦するが決戦で敗れてブリタニアは敗戦。本土決戦になる前に降伏。

結末は割とあっさりとした戦争と言われるほど、両軍の士気にあり過ぎでした。

戦後はコーネリアやノネット、他の皇族に祭り上げられたナナリーが世界の為に自ら望んで皇帝となり、まだ20歳にもなっていない皇帝に超合集国側も強くは言えず。
全エリアの解放を行ったことと、合集国に参加したことで、ある程度の戦後賠償と皇帝シャルルの命でケリがついた。

藤堂は戦後は軍人を止めて隠居、千葉も同様。卜部がその後を継いだらしい。
ロロはシャーリー殺しを自首。シャーリー母は少し救われたようだ。シャーリーの命日に毎年花束を捧げている人を探すも見つからない。

ゼロは十年余り超合集国を纏め、超合集国と世界が落ち着いたのを見て表舞台から去る。ゼロの仮面を脱いだ男は二度とルルーシュを名乗ることなく、緑髪の女と赤髪の女と会社を立ち上げ、皇帝の座を引いた妹と会っても兄とは言わなかったそうな。




相変わらず生存すると、後になると存在感が減っていくのはやはりルルーシュの存在感の大きさ故でしょう(言い訳)

さて、改めまして。

5/26時点で
UA 317,908
しおり 681件
お気に入り 3,424件
合計文字数 331,498文字
感想 550件
平均文字数 8,287文字
総合評価 6,770pt
評価 調整平均☆8.82:  投票者数:219人 (平均評価☆8.44)
評価:
☆10:46
☆9:108
☆8:32
☆7:11
☆6:4
☆5:5
☆4:6
☆3:3
☆2:
☆1:1
☆0:3
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。