コードギアス~死亡キャラ生存if√(旧題:シャーリー生存√)~ 作:スターゲイザー
1.全く登場しない
2.登場したものの瞬殺される
3.ギアスの力を使ってルルーシュ達の敵として脅威になる
4.V.V.を陥れる
答えは本文にて。
中華連邦の砂漠地帯にあるギアス嚮団の本拠地から数㎞離れた岩山が連なる一帯で、作戦の最後の詰めを行っていたルルーシュの下へジェレミアが馳せ参じていた。
「本当によろしいのですか?」
立っているだけで汗が滴り落ちる暑さの中、一瞬だけジェレミアの質問の意図が読めなかったルルーシュは瞬きをする。
「準備は滞りなく進んでいる。今更、止める理由が無い」
「いえ、我らがお傍を離れて大丈夫なのかと」
ジェレミアが気にしていたのは作戦の成否や準備具合などではなく、自分達がルルーシュの傍から離れるという一点に関してだった。
「蜃気楼の中が一番安全だ。お前こそ型遅れのサザーランドを使う自分の心配をしろ」
ルルーシュの乗機である蜃気楼は絶対守護領域など防御力に優れた機体である、黒の騎士団の主力である暁よりも遥かに。こと嚮団側に強力な機体が無いと予想される中では蜃気楼に乗っている限りでは安全が担保されていると言っても良い。
反対に本作戦でジェレミアが乗るのは暁ではなく拿捕したサザーランド、その改修機。
ブリタニアの主力機になりつつあるヴィンセントと比べれば、どうしても機体性能で劣る。当然、黒の騎士団の主力機である暁にも遠く及ばない。
「使い慣れている機体ですので上手く扱って見せます」
暁は月下の後継機で、その前の無頼や無頼改はグラスゴーを改修した機体であるが世代を重ねたことで操作性も別物となっている。ブリタニア製の機体しか使ったことがないジェレミアにとって使い慣れた機体であるサザーランドを選ぶのは至極真っ当ではあるからルルーシュはそれ以上のことを言わなかった。
「分かった。だが、死ぬなよ」
「イエスユアマジェスティ」
ザクザク、と軽い体重で砂を踏む足音が近づいて来る。
ルルーシュが振り返ると、あまりの暑さに黒の騎士団の制服の胸元を軽く開けているC.C.がやって来た。
「暁も悪い機体ではないと思うぞ。このクソ暑い中で黒い機体など見ていて暑苦しいが」
暑いのならば冷暖房が完備してあるコクピットにいればいいものを、わざわざ出て来たC.C.に別の理由でルルーシュは仮面の中で眉を顰めた。
「探されている奴が迂闊に出回るな」
「ここまで来れば隠れても意味はないだろう」
制圧作戦間際なのだから隠れる意味は確かにない。
「ルルーシュ、お前茹ってないか?」
「…………黒が暑苦しいというなら、こんな格好をしている俺が一番暑いと今更気づくか」
「いや、なんかごめん」
「分かればいい」
暑いのである。熱いのである。
仮面の中は汗だく状態。真っ黒な衣装は太陽の光を存分に吸収し、普段はそこまで気にならないが仮面は炎天下では地獄の被り物であることを強く理解したルルーシュだった。
「蜃気楼の中にいればいいのに」
一人だけパイロットスーツを着たロロが自機であるヴィンセントの調整を終え、話を聞いて率直な感想を漏らす。
「通信では傍受される可能性がある」
「ルルーシュ様が倒れたら元も子もありません」
「後少しなら大丈夫だ」
つまり、後少し経ったら大丈夫ではないと言っているようなもので、ロロはギアスを使って周囲の体内時間を止めて仮面を外せばマシになるだろうかと真剣に考える。
「そこの二人、貧弱なルルーシュの為に手早くすませればいいだろうに」
C.C.はギアスを使おうか悩んでいるロロと上着を脱いで長身を活かして影を作ろうとしているジェレミアに呆れつつ、せめて岩山の陰に移って日陰で話をすることで決着した。
「黒の騎士団、中華連邦の作戦目標はあくまでブリタニアの施設の制圧だ。だが、俺達は違う。今後の禍根に成り得るV.V.を確保する」
直接、陽射しを浴びていないだけ多少はマシになったルルーシュが話の主導権を握る。
「奴は死なない。つまりは殺して黙らせるということが出来ない。高圧力ケースに入れ、可能ならば誰にも知られずに隠匿したい」
「出来るのか?」
疑問を呈したのはC.C.。
「これだけの戦力だ。恐らく捕まえるだけなら可能かもしれないが誰の目にも触れずにというのは難しいんじゃないか」
「その為の僕だ」
鍵となるのは、ロロの体感時間停止のギアスにある。
「僕が誰よりも早くV.V.の下へ辿り着ければ、広範囲にギアスを使い続ければ周りに見られる心配はない」
「しかし、V.V.にギアスは効かない」
「それは私も同じです」
ロロとペアを組んで動くのはジェレミア。
ギアスキャンセラーの効果範囲を絞り、自身のみに限定すればロロのギアスの効果範囲内でもジェレミアは動ける。
「最悪、V.V.のことを見た者にギアスをかけて忘れさせる」
不確定要素になりかねない可能性もあるが、ここでV.V.を確保出来ればリスクを冒すだけの価値がある。
「各自、自分の役割を果たせ」
いい加減に限界になったルルーシュの言葉でそれぞれの機体に戻る。
「周香凛、そちらはどうか」
「部隊の展開は完了している。後は開始の合図を待つだけだ」
蜃気楼に乗り込んで真っ先に暑苦しい仮面を脱ぎ捨てながら、忙しい黎星刻に代わって中華連邦軍を取り纏めている周香凛と通信を交わす。
「後は俺だけか」
と言いつつも、下準備自体はルルーシュも既に終えている。
通信回線を開いて、メインモニターに初めて見るV.V.の姿が映った。
「やあ、ジェレミア。君にしては遅かったね」
V.V.側の通信画面には、事前に録画しておいたジェレミアの映像を流していた。
返答を聞いたルルーシュは手元のタッチパネルを操作する。
『慎重策を取ったのはV.V.様だと記憶していますが?』
「ルルーシュはシャルルに似て頭の良い子だからね。二重三重の罠があってもおかしくない。しかも、使い勝手の良いギアスともなれば警戒するのが普通だろう?」
『その所為でここまで時間がかかったのです』
「それはすまなかったね」
V.V.を直接知るC.C.やジェレミア、ロロから聞いた話から予測される会話を数パターン用意していた。
向こう側からはジェレミアが話しているようにしか見えないだろうが、実際にはルルーシュがV.V.の言葉から最適と思われるシーンを選んで流している。
『政庁周辺とアッシュフォード学園内にギアスキャンセラーをかけましたが大きな反応は見られません。機密情報局の者ともギアスキャンセラー使用後、話をしましたがおかしな点は一つもありませんでした』
「おかしいね。ルルーシュは絶対にゼロなのに」
ドルイドシステムを使用して、秘匿通信回線を遡ってV.V.の居所を掴もうとする。
中華連邦に隠れる為に防諜技術はかなりのようで、まず海外のサーバーを幾つも経由してからこの地へと戻ってくる。
「ルルーシュのギアス適性値はシャルル並みだ。C.C.の目的を考えればルルーシュの傍を離れると思えない」
手動でも解析を行っていたルルーシュの手がピタリと止まった。
『皇帝陛下のギアスに掛かっている以上、ゼロに戻る可能性は低いのでは?』
C.C.の目的はルルーシュですら知らない。気にはなるが捕まえて尋問すればいいと考え、止めていた作業を続行する。
「ゼロのようなことを出来る人間が他にいると思う方がゾッとするね」
『確かに』
解析作業は進み、ギアス嚮団本拠地内部でV.V.の居場所が絞られて行く。
「僕はルルーシュがゼロであったとしても特別何かをするつもりはないんだ、C.C.さえ渡してくれればね」
ジェレミアがいずれはV.V.と敵対すると決めてから記憶していた嚮団内部の地図に遂にV.V.の現在地が表示された。
「木下!」
捕まっているカレンに代わってゼロ直属の零番隊の隊長代行をしている木下に命令を発した直後、周囲の岩山から飛翔滑走翼で飛び上がった暁の集団が嚮団に向かって飛んで行く。
ルルーシュは蜃気楼を飛ばせながらジェレミアやC.C.、ロロにはV.V.の現在地のデータを送る。
「嚮主V.V.!? ナイトメアがっ! 黒の騎士団と思わます!」
画面の向こうで嚮団員と思われる慌てた声が聞こえ、ルルーシュが見ているV.V.の姿がブレて灯りが明滅する。
「…………そうかい、ジェレミアは取り込まれたわけか。君はルルーシュだね」
「観察者気取りの自分を恨むがいい」
周香凛にも指示を出して包囲陣を築かせながら、ルルーシュもまた蜃気楼を駆ってV.V.の下へと向かう。
ジェレミアの映像を使う意味も無くなったので切ると、画面の向こうでルルーシュの顔を見たV.V.が表情を歪める。
「マリアンヌの子らしい卑怯な手だ」
「トウキョウ決戦でナナリーを攫い、神根島に俺やスザク達を集めて高みの見物をしていた奴が偉そうに」
「馬鹿な子供には躾が必要なようだね」
ブツリ、と蜃気楼が嚮団に侵入したのと同時に映像が途切れた。
「我らは黒の騎士団だ! 諸君らを傷つける意図はない! 抵抗せずにこちらに従って欲しい!!」
木下や零番隊の隊員、そしてゼロの声を録音した音声が嚮団内に鳴り響き続ける。
非戦闘員ばかりの嚮団員も数が多くては制圧に時間がかかり過ぎる。その為、V.V.の先代の嚮主であったC.C.に嚮団員を説得させるという選択肢もあったが、黒の騎士団内には何も知らぬ者が多い中ではリスクが高すぎた。
「本当にギアスの開発・研究するだけの施設のようだな」
突入したルルーシュの目にも、地上に降りた黒の騎士団の暁から逃げようとしている嚮団員が非戦闘員であることに改めて実感する。
「嚮団員がシャトルで逃げようとしているのを見つけた。こちらで対処するぞ」
「そいつらはデータを持っている可能性がある。出来るなら殺すなよ」
「無茶を言う」
C.C.専用のピンクの暁が端の方へと飛び立っていくのを尻目に、ルルーシュはV.V.がいると思われる中央の小高い建物に蜃気楼を向ける。
「兄さん、ギアス能力者ユーザーが――」
「ぐっ!?」
ロロから通信が入った直後、まるで横合いからトラックに跳ねられたかのように蜃気楼が吹っ飛んだ。
「な、なんだっ!」
機体を立て直しながら宙へと飛び上がらせると、その足元を何かが通過していった。
「これはゼロの機体……」
蜃気楼を吹っ飛ばした張本人であるマークネモを操るアリスは、一番目立っていた機体がブリタニア最大の敵である黒の騎士団トップのゼロの物であると看破して眉を寄せた。
「どうしてゼロがここに?」
蜃気楼が襲われたとみて、零番隊の内の三機がマークネモに襲い掛かるの視界の端に収めたアリスは機体を後方に下げる。
「良いところにいたね、アリス。そのまま僕達が逃げる時間を稼ぐんだ」
「…………了解、嚮主V.V.」
何かのコクピットらしいところから通信を繋いで来たV.V.に否と言える力はアリスにはない。
ランドスピナーを使って近くの建物を駆けあがり、日本製ナイトメアフレームのスラッシュハーケンである飛燕爪牙をマークネモのブロンドナイフで真っ二つにしながら考える。
「この状況、利用できる?」
全力で戦闘になれば非戦闘員を巻き込むと分かっているから、互いに空いている戦闘距離を詰めることを敢えてしないアリスは呟いていた。
「中和剤の使用を許可する。このジークフリートと共に敵を一掃しようじゃないか」
「…………イエス、マイロード」
舌打ちを我慢しながらアリスが答えた瞬間、ドンと地面を突き破ってナイトメアフレームを遥かに超える巨大な物体が現れた。
「ジェレミア! 確かこの機体は」
「はい、神経電位接続ですから私以外に動かせる者は……」
ブラックリベリオンの時、調整が万全でなかったジェレミアが暴走して乗り込んでゼロを襲った機体。半身が機械になったジェレミアでなければ神経電位接続を必要とするジークフリートを動かせないはず。
「機械っていうのは誰でも動かせないと意味がないんだよ」
とはいえ、流石にパイロットとしても優秀であるジェレミアが神経電位接続を行って操縦した場合と比べると二段も三段も劣ることはV.V.も口にしなかった。
「V.V.ゥゥゥゥゥゥ! 我が忠義の機体を!!」
「裏切り者に用はない。アリス、やれ!」
近くの建物にスラッシュハーケンを打ち込んで宙に浮かぶジークフリートに向かって跳んだサザーランドを大型スラッシュハーケンで迎撃したV.V.の命令に、アリスはマークネモに一つの命令を下した。
「わぁああああああああああああああああああ?!?!?!?!?」
首筋に打ち込まれる細胞抑制剤の中和剤が体に染み込んでいく度に、自身の体が違う何かに侵されて行く汚辱感にアリスは叫びを上げた。
「はぁはぁ、中和限界は120秒。その間にケリをつける!」
乱れた息もそのままに、額にギアスの紋章を浮かび上がらせながらアリスはマークネモを動かした。
「一つ!」
まずは手近にいた黒の騎士団の暁をブロンドナイフで四肢を貫きながら廻転刃刀を奪い取る。
「二つ!」
ギアスの力で超高速に至った今のアリスが駆るマークネモの速度はナイトオブラウンズすらも超える。二機目の暁も為す術も無く一機目の暁から奪った廻転刃刀で両断する。
「三ぃつぅぅぅぅぅぅ!」
余人の目には姿すら映らずに三機目の暁を瞬殺したアリスのマークネモがようやく動きを止めた。
「この動き、アリスか!」
優先目標であるV.V.が乗るジークフリートに攻撃を仕掛けていたヴィンセントに乗っていたロロは記憶の中にある少女が繰り出したギアスのことを思い出して、思わずその名を口に出していた。
その声は蜃気楼を標的にしようとしていたアリスの耳にも届いた。
「その声、ネブロス?」
「僕をその名で呼ぶなぁぁぁぁぁぁ!!」
嚮団員時代の忌まわしい名で呼ばれたロロは激昂してアリスのギアスの天敵である体感時間を停止させるギアスを発動させた。
ロロが全力でギアスを発動させれば、この地下の大部分を効果範囲内に収められるし、実際にそうなった。だが、今の時点において余りにも浅慮過ぎた。
「僕達にはギアスが効かないのにね」
大半がロロのギアスにかかって動きを止めたが、コード所持者であるC.C.とV.V.には効かない。
ドルイドシステムと軍の指揮をしなければならない蜃気楼は乗り手が操作しなくても落ちはしない。しかし、全く動かない機体などただの的でしかない。
「馬鹿者!?」
ジークフリートの反応にシャトルを破壊して急いで転進したC.C.が蜃気楼を庇ってジークフリートから放たれた大型スラッシュハーケンを受けて吹っ飛ばされる。
「くっ」
吹っ飛ばされていくピンクの暁直参仕様を目にして、これにはロロも冷静さを取り戻してギアスを解除せずにはいられない。
直後、マークネモがヴィンセントから大きく離れて距離を取る。
「相変わらず凶悪なギアスだこと」
ロロの体感時間を止めるギアスは、超高速で動けるアリスのギアスを完全に封じ込めるほどに相性は最悪。今回は助かったが次は上手く行かないと理解していたアリスに油断はなかった。
「アリス、僕の援護を。僕の近くにいればロロはギアスを使えない」
「了解」
中和剤の効果は残り80秒と見てアリスはシナリオを組み立てる。
「裏切り者の失敗作ロロの相手は出来損ないアリスに任せるとして」
適性値が低くて辛うじてギアスを発現したものの使用中には心臓が止まるロロと、適性値が足らずにコード所持者の細胞を埋め込んで細胞抑制剤で中和しなければギアスを発動できないアリス。
似て非なる二人をV.V.は皮肉っていた。
「あのピンクにC.C.がいるんだね。引きずり出させてもらうよ」
先の行動から吹っ飛ばされて建物を薙ぎ払って墜落したピンクの暁直参仕様にC.C.が乗っていると判断したV.V.はジークフリートを動かす。
「させない!」
その射線に割り込んだ蜃気楼がハドロンショットを放つが、ジークフリートは駒のように回転しながら弾き飛ばす。
「ちっ、電磁装甲は健在か」
「マリアンヌの子供が調子に乗るから!」
「何をっ!」
勢いに乗ってそのまま突進を仕掛けたジークフリートの攻撃を絶対守護領域を展開して防ぐも、彼我の重量差で簡単に弾き飛ばされる。
「ルルーシュ様に手は出させん!」
ピンクの暁直参仕様の直ぐ近くに落ちた蜃気楼に追撃をかけようとしているジークフリートに攻撃を仕掛けるジェレミアのサザーランド。
「ジェレミア、君はゼロを恨んでいたよね」
「然り、これで皇族への忠義もはたせなくなったと考えたからな」
ヴィンセントの相手をしながらジークフリートに攻撃を仕掛けようとしている他の暁を仕留めているマークネモを横目に、飛び上がって直上から大型ランスで突き刺そうとして来るサザーランドの攻撃を躱す。
サザーランドは尚も諦めずに切り返してジークフリートの大型スラッシュハーケンを掴み、大型ランスを突き立てんとした。
「されど、仕えるべき主がゼロであったなら、マリアンヌ様の為にも!」
「お前まで、その名を口にするか!」
接近戦を仕掛けて来るサザーランドに乗るジェレミアの言葉に苛立ちを覚えたV.V.は電磁ユニットを作動させる。
「ぐわぁああああああああ!?」
電撃がコクピットの内部にまで浸透し、機械の体であるジェレミアの体を蹂躙する。
しかし、この時をこそ待っていたアリスは行動に出る。
「今!」
中和剤限界時間まで二十秒を切ったところで明らかに外装と違って守りの弱そうな電磁ユニットを見たアリスがロロを振り切る。
アリスのギアスの速度に耐えられるように改造を施されたヴィンセント・マークネモは、ギアス発動時の速度はナイトオブラウンズをも上回っていた。
優れたパイロットではないV.V.が気付いた時には、廻転刃刀によって電磁ユニットが深々と切り裂かれた。
「なっ、アリスゥゥゥゥゥ!?」
「そんなに私が裏切るのが意外かしら。心までブリタニアに、ましてや嚮団に売り飛ばした覚えはないというのに」
ブリタニアが占領した国のナンバーズの中で、嚮団研究者の一人だったマッドによってコード細胞適性を認められて選ばれたアリス達は抑制剤という鎖で縛られながら特殊名誉外人部隊として戦って来た。
マッドが死に、戦場で生死を共にしてきた特殊名誉外部隊の仲間達も逝き、残るはアリスだけ。
忠誠心など初めから無く、隙あらばその首を取ってやると決めていた。今がその時。
「
「さよなら、V.V.。あなたのことはマッドの次に嫌いだったわ」
ナナリーの下へ戻る為には黒の騎士団に捕まるわけにはいかないアリスはV.V.にトドメを刺すことなく、あっさりと反転して撤退する。
「ジークフリートの装甲は破損した。全機、構えろ!」
蜃気楼の胸部が開き、ピンクの暁直参仕様がハンドガンを構え、サザーランドが大型キャノンを、ヴィンセントがアサルトライフルを、団員達が乗る暁がバズーカを構える。
「ルルーシュ、この呪われた皇子め!」
「撃てっ!!」
この攻撃を受ければ損傷しているジークフリートもただではすまない。その前に蜃気楼を沈めようとするが、数秒早くゼロであるルルーシュの命令を合図に、大火力がジークフリートに向かって撃ち放たれた。
「ダメだ、このジークフリートはもう…………くっ!?」
幾ら電磁装甲があるといっても破損した電磁ユニットから襲う衝撃にV.V.はジークフリートがそう長く持たないことを実感した。
地面に叩き落とされた衝撃で破損したコクピット前面から投げ出されたV.V.は大怪我を負いながらも歩き出す。
「黄昏の間にさえ逃げれれば」
戦闘の影響で瓦礫だらけの中を足を引きずりながら進むV.V.の道を阻む影が二つ。
「君達は……コーネリアとバトレー」
戦闘のドサクサでバトレーの手助けで牢屋から逃げ出すことに成功したコーネリアがV.V.の前に立ち塞がる。
「確かV.V.といったか。バトレーから聞いたぞ、貴様がギアスの源の一人だとな」
黒の騎士団の包囲網を知り、なんとか脱出のチャンスを窺がっていたコーネリアはギアスの源とも言えるV.V.を前にして哂った。
「僕をその拳銃で撃ったって何にもならないよ。今は黒の騎士団から、ゼロであるルルーシュから逃げることを優先するべきだよ。君だってそれぐらいは分かっているだろう?」
コーネリアが拳銃を向けて来ても、皇族であり軍人であるコーネリアならば何を優先して動くかを理解できるはずだと、今は言葉でしか何も出来ないV.V.が説得しようとする。
「ああ、分かっているとも」
V.V.は勘違いをしていた。いや、知っていたはずだった。
コーネリアが妹であるユーフェミアに向ける愛の重さが、皇族であることや軍人であることを大きく上回っていることを。
「滅せよ、ユフィの仇だ」
優秀な軍人であるコーネリアが撃った弾はV.V.の眉間を貫き、頭部を貫通する。
「こ、コーネリア……」
「流石は不老不死。この程度では堪えんか。だが」
負った傷のこともあって倒れ込んだV.V.の下へと歩み寄ったコーネリアは四肢を順に撃ち、残った弾の全てを顔面に撃ち込む。
幾らC.C.以上の再生速度があろうとも暫くは活動不能に陥ってピクリとも動かないV.V.の横腹を蹴って反応がないことを確認したコーネリアは背後を振り返ってバトレーを見る。
「バトレー、こいつを縛り上げろ」
「い、イエス・ユア・ハイネス。一体どうするので?」
幾ら相手が不死身であろうとも無慈悲な行為に恐れを抱きながらも、逆らえば同じ目に遭うかもしれないという予感がバトレーを行動させた。
「私の叔父だと名乗ったV.V.を陛下の下に連れて行き、ギアスのことを問い質す」
シャトルで脱出しようとしていた嚮団員から聞き出した黄昏の間がある中央棟を見上げたコーネリアの目は憎しみに燃えていた。
答えは3.4.の複合となりました。本当ならこうなる予定ではなかったのですが。
V.V.を捕まえたコーネリア。次回は
1.皇帝に会うことが出来てゼロの正体を話すもギアスで記憶を弄られる
2.黄昏の間に向かうも射殺される(誰に?)
3.敢え無く黒の騎士団に捕まる
4.真実を知って逆上して皇帝を殺す
答えは次回にて。
次こそはシャーリーを出さなきゃ(使命感)