コードギアス~死亡キャラ生存if√(旧題:シャーリー生存√)~   作:スターゲイザー

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STAGE12 決議の裏側で

 

 

 

 アーニャ・アールストレイムにはアッシュフォード学園のクラブハウスにあるルルーシュの部屋を訪れた記憶はない。だからこそ、目覚めた時に見知らぬ場所で会ったことのない人物がいたら警戒もする。

 しかし、まさかその人物に長年の悩みが解消されるとは予想だにしていなかった。

 

『記憶と記録の齟齬はギアスが原因だ』

 

 ギアスという単語に聞き覚えはない、少なくともアーニャの記憶の中では。

 

『その原因は取り除かれた。その様子だと体を乗っ取られている間の記憶はあるようだな』

 

 ない、はずなのに知っていた。

 記憶を振り返ってみれば、自分では無い自分が知っていた。

 

「この記憶は何?」

 

 分かっている。そのことを話している自分がなんと呼ばれているか、分かっていながら知らない振りをしていた。

 

「この記憶は誰の?」

 

 分かっていながら分からない振りをする。

 

「マリアンヌ様、皇帝陛下……」

 

 思い出そうとすれば引き出せる自分では無い誰かが話している記憶が蘇り、今までに信じて来た物が崩れていく。

 

「私は何を信じればいい?」

 

 記録と違うところを思い出そうとすれば記憶も想起して、齟齬は埋まった。しかし、今度はその記憶が自分の中にいたマリアンヌが代わりに行動していた所為で、そのことをシャルルも承知していたとなればアーニャのブリタニアへの思いも変わってくる。

 

「ルルーシュ、様がゼロ。二人もそれを知っていて利用している」

 

 たった一週間、それも少ししか接したことのないルルーシュ皇子。

 行儀見習いとしてアリエス宮に行ってから殆ど会話のしたことのない相手だ。思い入れは、殆どない。ただ、二人に利用されていた状態に共感を覚える。

 

「ナイトオブラウンズとしての正しい行動は一つ」

 

 帝国貴族であるアールストレイム家として、ナイトオブラウンズとして、ゼロを捕まえることが正しい行動であるとは理解している。たとえ正しいと理解しても、人間としての感情がそれに沿うことに躊躇いを覚えさせる。

 

「私はどうしたらいい……?」

 

 気持ち的にはルルーシュの味方をしたいぐらいにシャルルとマリアンヌに失望しているが、ブリタニアで生まれ育ってきたアーニャは帝国貴族でありナイトオブラウンズでもあるから簡単に祖国は捨てられない。

 二律背反とまではいかなくても安易に行動を移ることを躊躇わせ、アッシュフォード学園に登校することも碌に公務にも出ずに自室に引き籠っていた。

 

『こちらは蓬莱島上空です。合集国憲章批准の式典が今、正に始まろうとしています』

 

 点けっぱなしだったテレビから聞き覚えのある声がして顔を向けると、リポーターがアッシュフォード学園で良くしてくれた元生徒会長であるミレイ・アッシュフォードだった。

 

『つまり、この合集国憲章を批准することで我が国に匹敵する巨大な連合国家が誕生する、という訳ですね。分裂したEUの一部も入るとのことですから国力は強大です。EU脱退国は、ポーランド、イタリア、ルーマニア……』

「ミレイ会長……」

『これら各国代表を説き伏せたのは 黒の騎士団なんです。ということは、連合の指導者はゼロ。つまり、ブリタニアの敵となる可能性が高く、現在キュウシュウ、チュウゴク、ホクリクを中心に軍の配備が……』

「ブリタニアに勝つ為にルルーシュ様が作った超合衆国。でも、ルルーシュ様の目的には意味がない」

 

 マリアンヌはルルーシュ達がアッシュフォードに保護されていたことを知っていた。知っていて放置していたマリアンヌの記憶をアーニャも共有しているから、複雑な目でテレビを見てしまう。

 

「入るぞ、アーニャ」

 

 直後、ドアがノックされて返事をするよりも早くジノが部屋に入って来た。無遠慮に部屋に入って来たジノにアーニャは眉間に皺を寄せる。

 

「女性の部屋に断りなく入ってくるのはどうかと思う」

 

 感情表現に乏しいアーニャにとっては睨み付けているつもりでも、その本人の周りが周りだけにジノにとっては微風にもならない。足の踏み場を探しながら口を開く。

 

「そう言うなら女性らしく部屋を片付けてほしいものだ」

「それは女性蔑視」

「言い過ぎは謝罪するが、清潔な環境を維持するのは人として常識の範囲と思うぞ」

 

 言われて辺りを見渡してみれば食べかけのお菓子の袋や飲み物の空き缶や空き瓶が無造作に転がっていてぐぅの音も出ない。

 

「片付ける」

「是非、そうしてくれ。足の踏み場もない部屋にいては一息も吐けない」

 

 言い返したいが、正論な上に口達者ではない自分の口ではジノには勝てないのは目に見えているので黙々と片付ける。

 

『放送をご覧の皆様、只今47カ国全てが合集国憲章への批准を終えました。続きまして……』

「ナナリー総督やシュナイゼル殿下と共に謁見の間で見ていたのでは?」

 

 粗方片付け終わったところでジノがここにいる理由が気になった。

 黒の騎士団はブリタニアの目下の大敵である。大々的な式典を行うと分かっているのならば、謁見の間でみんなで見るはず。エリア11の重鎮も含めて集まっているはずだから、何故かアーニャの部屋にやってきたジノの目的が分からない。

 

「スザクの姿が見えなくてね。アイツのことだからもしかしたらここに来てるかもと思って来てみたんだが」

「前に来た時から来てない」

「とは、分かっていたのだけれど一応確認に来たわけだ」

 

 引き籠るようになってから理由をつけてはアーニャの様子を見にも来ていたので、ジノの今回の行動には納得がいった。

 

「顔色は大分良くなったようだ。迷いはまだ消えていないようだけれど、そろそろ公務にも出て来れそうか?」

「…………まだ」

 

 最初は病欠ということで公務に出なくても見逃されていたが、流石に長過ぎる上に医者に診察を受けていないのでアーニャの立場が危うくなっているのは言われなくても分かっていた。

 ナイトオブラウンズであろうとも職務放棄をして安住としていられると考えるほどアーニャも耄碌していない。

 

「今はまだ何も決められない」

 

 それでも引き籠っているのは今のブリタニアの為に働くことが出来るのかと、自分でも決めかねているから。

 

「心配させてごめんなさい。感謝してる」

 

 皇帝と元皇妃の所為で人間不信になってしまったアーニャも、こうまで心配してもらえば悪い気はしない。ボソリと小さく言ったアーニャにジノが顔を向ける。

 

「そういうことは面と向かって言ってほしいものだな」

「知らない」

 

 ジノとアーニャがそんなやり取りをしている間にテレビでは式典が進んでいた。

 

『…………場合、この憲章に基づく義務が優先することとする』

 

 一国で打倒できるほどブリタニアは弱くもなければ小さくもないから、対抗する為に連合国家構想を打ち立てることを予想した者は多いだろう。しかし、国ごとに形成された軍隊はどうしても連携を欠き、烏合の衆にしかなりえない。

 結局は机上の空論として消えて行く定めにあるはずだった。

 

『最後に、合集国憲章第17条。合集国憲章を批准した国家は固有の軍事力を永久に放棄する』

「正気か?」

 

 超合集国の最高評議会議長にして、合衆国日本代表である皇神楽耶が宣言するのを聞いていたジノが目を剥いているのを横目に見ながらアーニャは静かにテレビを見つめ続ける。

 

『その上で各合集国の安全については、どの国家にも属さない戦闘集団、黒の騎士団と契約します』

 

 軍を黒の騎士団として統一し、指揮系統を一本化することでブリタニアと対抗する軍隊とする、合衆国構想のネックになりがちな点を排除したルルーシュの策だった。

 

『契約、受諾した。我ら黒の騎士団は超合衆国より資金や人員を提供してもらう。その代わり我らはすべての合集国を守る盾となり、外敵を制する剣となろう』

 

 幾ら資金や人員を超合衆国に依存したとしても、黒の騎士団が暴走した際に止められる機関がないのも問題だった。かといって個々で動けばEUを分断したシュナイゼルの餌となる。

 烏合の衆を纏め上げるために権力が黒の騎士団のトップに立つゼロに集約されていた。

 

「また超合衆国も無謀な方法で纏まったものだ」

「でも、合理的」

 

 CEOとして黒の騎士団にトップとして立つゼロが理性的な人間で、情勢を無視した暴走など行わない良識を持った人間であると信じるしかない。しかし、ルルーシュにはギアスがあり、その目的が世界征服などではなくマリアンヌの死の真相とナナリーが安全に暮らせる世界を作る為と知っているアーニャには、EUを切り崩したシュナイゼルと戦う為にはこの策しかないと判断する。

 

『それぞれの国が武力をもつのは騒乱の因。超合衆国では最高評議会の議決によってのみ軍事力を行使します』

 

 画面の向こうでマイクを持った天子の甲高い声がスピーカーを通して部屋に響き渡る。

 

『それでは、私から最初の動議を行う前に一つだけ』

 

 天子に代わって皇神楽耶の顔が画面一杯に広がる。

 

『争いは何も生み出しません。強者が弱者を虐げるのではなく、全ての人が手を差し伸べ合えるような世界になるように――――――――我々は神聖ブリタニア帝国との対話を望みます』

「これは、また……」

「超合衆国の規模はブリタニアに匹敵する。対等の立場で交渉を求めている」

 

 超合衆国はブリタニアとは違うのだと世界に示す為に、神楽耶は交渉のテーブルを用意する気があると告げた。

 

『――――ゼロよ』

 

 神楽耶が映る画面にノイズが奔り、数秒後に神聖ブリタニア帝国第九十八代皇帝シャルル・ジ・ブリタニアが玉座に頬杖を突く姿が映された。

 

「皇帝、陛下……」

 

 シャルルが突如として画面に現れたことで、何の心の準備もしていなかったアーニャの心が揺れる。

 

『小癪なり。だが、面白い選択だ』

 

 ハッキングにて通信回線を乗っ取ったシャルルは言葉とは裏腹な、つまらなさげな態度で全てを見下す。マリアンヌによって体を乗っ取られた時のアーニャを見る愛し気な眼と違い、どこまでも冷ややかに。

 

『三極の一つEUはすでに死に体。つまり貴様の作った小賢しい憲章が世界をブリタニアとそうでないものに色分けする。単純、それ故に明快。故にこそ超合衆国は我が神聖ブリタニア帝国と対等の力を得た』

『――――超合衆国はブリタニアと対等のテーブルに着いた』

 

 またもや画面がブレ、次の瞬間には左側にシャルルが、反対側に仮面の男ゼロが映って静かに告げる。

 

『望んでいようがいまいが戦争は起こる。だが、戦争以外の方法で問題を解決できる方法があるのならば、そちらを取るべきである。我々は、超合衆国は理性ある人間として対話を望む』

『ほう、交渉によって何を望むというのだ?』

 

 頬杖を突いたままではあるが楽し気に唇を歪めたシャルルに対して、仮面を被るゼロの変化は分からない。

 

『神聖ブリタニア帝国が今まで征服した全エリアの解放、そして今まで各国が貴国によって被って来た損害賠償を支払って頂きたい』

「無理だな」

 

 つまりはブリタニアが世界に戦争を吹っ掛ける前の状態に戻し、与えた被害に値する弁償を求めたゼロの言葉が現実的ではないとジノが一刀の下に言葉を放った。

 

『下らん』

 

 差別を助長し、競い奪い獲得し支配することを容認しているシャルルの一言に集約した否定に、寧ろ皇帝らしいとすらアーニャには感じた。

 世界を自国一色に染め上げんとしているブリタニアの頂点に立つ男が、そのような提案を呑むはずがない。

 これはきっとブリタニア国民の大半がそうであろうと、シャルルに隔意を抱いているアーニャにすら簡単に予想がつく。そしてそのことは嘗ては皇子だったルルーシュにも分かっているはず。

 

『この場で特定のエリアの解放を匂わせ、小癪な超合衆国を崩すことは容易い』

 

 しかし、それは剛腕を以て覇道を突き進んできたシャルル皇帝のブリタニアらしくない方法である。それこそ自身で評したように小癪なやり方だ。

 

『世界を二分する神聖ブリタニア帝国と超合衆国。戦いとは全てを得るか全てを失うかに集約する。単純に行こうではないか』

『つまり、交渉する気ないと?』

『原初の真理とは弱肉強食なり』

 

 画面の中でシャルルは頬杖を止め、初めてニヤリと獰猛に笑った。

 

『この戦いを制した側が、世界を手に入れる。挑んで来るがいい、ゼロ』

『己が弱者となった時、同じ台詞が言えるか見物だな、シャルル』

 

 交渉は決裂し、お互いに宣戦布告は済んだ。

 出番を終えたかのようにゼロが後ろに下がると同時に、画面の中心に神楽耶が映る。

 

『我が合衆国日本の国土は他国により蹂躙され、不当な占領を受け続けています。黒の騎士団の派遣を要請したいと考えますが賛成の方はご起立を』

 

 超合衆国に参加した代表達が神楽耶の動議に賛成を示す為に席から全員が起立する。

 

『賛成多数。よって、超合集国決議第壱號として黒の騎士団に日本解放を要請します!』

『いいでしょう。超合集国決議第壱號 進軍目標は…………日本!!』

 

 議長である神楽耶から決議の結果を受け、ゼロが腕を振るいながら日本がある方へと指差すと同時に歓声が起こる。

 

『ゼロ!』

 

 式典会場のどこからか湧き上がった誰かの声が連鎖し、それは瞬く間に蓬莱島全体に伝染し、会場を揺るがすほどの響きとなる。

 

『オール・ハイル・ブリタニア!』

 

 エリア11政庁でもブリタニア人達が叫んでいるのか、アーニャの部屋にまで声が届く。まるで対抗するかのように画面の向こうでもゼロの名が叫ばれる。

 

『ゼロ!』

『オール・ハイル・ブリタニア!』

 

 連鎖する二つの叫びが、世界はたった二つの色に塗り潰されたことを示していた。

 

「…………直にこの地(エリア11)は戦場となるだろう」

 

 ゼロとブリタニアを歓呼する叫びは今も続いている。激動を予感させる中でジノがぼそりと呟いた。

 

「お前はどうするんだ、アーニャ?」

 

 ナイトオブラウンズとして、ブリタニア貴族として、その責務を果たす気があるのかと問いかけるジノにアーニャは何も答えられない。

 

「ジノは」

 

 ふと、アーニャは訊ねたくなった。

 階級には大分差はあれど同じ帝国貴族で同じナイトオブラウンズという立場。更に年もそれなりに近いジノにだからこそ聞きたいことがあった。

 

「何の為に戦っているの?」

「聞いたのは私のはずなんだが…………まあ、いいか」

 

 質問されたのに質問で返す不躾をしている自覚はある。答えてもらえなくて当然と思っていたがジノの反応は違った。

 

「要は戦う理由ということだろう。簡単だ。私がジノ・ヴァインベルグだからだ」

 

 意味が分からない。意味が分からなくて首を捻っていると、自覚があるらしいジノは苦笑を浮かべる。

 

「ブリタニアで生まれ、育ち、今がある。ヴァインベルグ家として、ナイトオブラウンズとして、祖国の為に戦うことに否と考えることはない」

 

 大半のブリタニア人がそうであるように、祖国が強く強大になることを悪いこととは思わない。侵略し、制圧することは悪ではなく、自分達が強いからこそ正しいのだと信じている。

 

「ブリタニアが間違っているとしても?」

「何かと問題を抱えていることは否定しないが間違っているとはな」

 

 名門貴族で自身も家柄に頼らずにナイトオブラウンズになったジノは、きっと敗者になったことがないのだろう。

 国内の問題は争い競い常に進化を続けている証拠。競い、奪い、獲得し、支配した果てに未来があることに何の疑いもない。アーニャだって自分では無い別人が体を勝手に使い、あまつさえ皇帝と元皇妃が犯人であると知らなければ疑問を抱くこともなかった。

 

「私は……」

 

 続く言葉をアーニャは呑み込んだ。決してナイトオブラウンズが口にしていい言葉ではなかったから。

 

「カレンもそうだけど、アーニャも何に迷っているんだ?」

 

 今のジノにはカレンがシュタットフェルトよりも紅月の名を選んだ理由もきっと分かりはしないのだろう。そんな諦めがアーニャの口を閉じさせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 未だ盛り上がる式典から離れたゼロに呼ばれて後をついて歩く藤堂鏡志朗は今更ながらに違和感に気付いた。

 

(小さい……?)

 

 藤堂の所感ではゼロの、正確にはルルーシュの身長はもう少しあったような気がする。

 仮面の男の中身を知っても接し方に変わりはない。それでも自分の子供でもおかしくない年齢の少年の姿を目で追っていることを本人は気付いていなかったが。

 殆ど私的な話をしてこなかったゼロに所感をそのまま告げるのは失礼に当たるので、藤堂は人のいない通路に入ったことに気付いても口を開かなかった。

 

「この辺で良いか」

 

 ゼロが足を止めたので藤堂も止まる。

 振り返るゼロと相対すれば、仮面を被っていることも考慮してもやはり身長に差異があるような気がする。所感は気の所為だと言われればそれまでだが、この時の藤堂にはゼロが常とは違うという不思議な確信があった。

 

「君は誰だ?」

 

 迂遠なのは好まない藤堂が率直に問いかけると、ゼロが仮面の中で笑う機械を通した声が響く。

 

「上手く演じたつもりだが気づかれていたか」

 

 そう言ってゼロが仮面に手を伸ばし、外すと長い髪の毛が広がっていくのを見た藤堂は瞠目する。

 

「C.C.…………姿が見えないと南達が言っていたが」

 

 以前にも何度かゼロの衣装を着ているだけに違和感の少ないC.C.は、狭い仮面の中に長い髪の毛を押し込んでいた頭を振って広げ、枝先を手で整える。

 

「何時からゼロに」

「式典の前からだ。声は録音してある物を状況に合わせて流していた。最初から別人などマジックショーでもやらない手法だろ?」

 

 仮面を藤堂に投げ渡し、マントを脱いで襟元を緩めたC.C.がこともなげに言う。

 

「…………何故だ? この式典が今後を左右することは彼にも分かっているはず。C.C.が扮していても上手くいったが、こんないらないリスクを取るなど彼らしくない」

「どうしても外せない用事があるんだそうだ」

「外せない用事、だと?」

 

 少なくとも藤堂が知る限りでは、この式典以上に大事なことがあるとはとても思えなかった。

 

「そのことも併せて、あいつからお前に伝言を預かっている。『もし、俺が戻らなかったら藤堂、お前がゼロを引き継いでくれ』だそうだ」

「何っ!? それはどういうことだ!!」

 

 最も大事な一戦を前にして戦線離脱を仄めかす伝言を伝えられても困惑しかない。

 

「私は伝言を預かって伝えただけだ」

 

 掴みかかろうとして、C.C.が恐らくまだ10代の少女であることを思い出して思い留まる。

 動揺は収まらないものの、深呼吸をして冷静さを取り戻した藤堂が口を開く。

 

「理由を教えてくれ。俺などがゼロには成れないし、こんな状態では戦えない」

「今後のプランを纏めたファイルを預かっているが、まあそうだろう。ゼロはルルーシュだからこそ奇跡の男になる。後を継げと言われても困るだけか。それに藤堂にも全く関係のない話でもない」

 

 自分で納得したC.C.は壁に寄り掛かって顔だけを向けて藤堂を見る。

 

「まず事前情報として言っておこう。ルルーシュのことが皇帝に知られた」

「…………それは」

「ルルーシュはナナリーが危険に晒されると考え、守る為に枢木スザクに会いにエリア11に向かった」

 

 先の伝言と合わせれば、戻って来れない可能性があるとルルーシュが考えていることが分かる。

 先代のゼロという言い方は変だが、スザクはゼロを捕まえて皇帝の下へ連れて行ったという。妹を守る為に自身を利用してナイトオブラウンズの地位を得たスザクを頼ることはしたくなかったはずである。

 

「危険を承知でゼロとして立って皆を救い導くことより大切なことだと?」

「ルルーシュにとって、ナナリーは何よりも優先する対象だ」

 

 それが全てであると、C.C.は言葉少な気に語った。

 藤堂は手の中にある仮面が虚構であり、その虚構を自分が背負うのだと実感して足場が崩れていくような感覚を味わった。

 

 

 




超合集国結成式典をアーニャ視点で行い、ジノとの話し合い?

この時点でのジノではカレンのこともアーニャのことも多分理解できないのだろうなと思います。
家柄を利用せずに帝国頂点のナイトオブラウンズになったジノは敗北を知らないだろうというのも想像です。

STAGE10の選択肢で

1.知らない者達の言うことなど聞く必要はない。私はナイトオブシックスだ!
2.皇帝は私を利用していた。裏切って黒の騎士団に付くのだ!
3.もう何も信じられない。私は戦わない……。
4.皇帝は信じられない。でも、今までの自分の行動も裏切られない。迷う迷う迷う……。

とありましたが、可能性的に高そうなのは4かな……?

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