ロキ·ファミリアに直死の魔眼持ちが所属しているのは間違っているだろうか。 作:cocoon
スミマセン。
目を開けて、私は辺りを見回した。
不思議な感覚だった。
意識は限りなく鮮明なのに、脈絡ある思考が纏まらない。
まるで私を取り巻く世界の方が混濁し、意味性を失っているかのようだ。
矢継ぎ早に数多の光景が目の前を過っては消えていく。
目に写るどの情景を見ても退屈そうな光景が映っていた。
ただその一点においてのみ共通の乱脈な景色の万華鏡を覗いている。
映像と同時に全ての音声も脳に直接流れ込んでくる。
情報の洪水に今にも押し潰されそうだ。
けれど私はそれらが決して不愉快ではなかった。
むしろ心地よさすら感じられる。
そこで漸く思い至る。
今、私が俯瞰しているのは両儀式の記憶なのだと。
確かに見る度に記憶が頭の中に甦ってくる。
けれども実感が伴わない。
それら全ての記憶は確かに両儀式が経験したものだ。
したはずのものだ。
だが、それらは全て他人事のようで。
まるで誰かが綴った物語を読んでいるかのように俯瞰することしか私にはできない。
まるで他人の頭の中を覗いているようで不愉快になる。
なんて可笑しな話。
実感できない記録を確かに自分の記憶だと断じることができるのだろうか。
そもそも私が両儀式でない可能性だってある。
自らを両儀式だと勘違いしている別の誰かであるという可能性もありえるのだ。
そこまで考えて私は違う、と否定した。
私は両儀式だ。
食えない男だったがアイツは私を両儀式と呼んだ。
アイツが私に嘘をつく理由なんてないはず。
けれど、本当にそうなのだろうか。
両儀式でないとしたら、私は一体誰なのか。
怖い。
自分が何者なのかすらも分からないことが。
嫌だ。
自分自身を信じてやれないのが。
悲しい。
こんなにも不安なのに私の存在を認めてくれる人がいないのが。
そうやって独り。
不安に押し潰されそうな私はただ独りで両儀式の記憶を眺めて、ふと気付いたことがあった。
見ていると時折、写りの悪いテレビのようにジジッ、ジジッと不自然に掠れて見えない記憶がある。
これはどういうことなのか。
両儀式が忘れている記憶?
これは私が探さなければならないものだ。
そう第六感が告げた。
何の根拠もない。
そこに私が見たいものがあるかすらわからない。
もしかしたら全く検討違いなものなのかもしれない。
それでも私はそんな何の根拠もない直感にすがってしまった。
この不安から解放されたい、と願ってしまった。
誓おう。
他でもない自分自身に。
必ず自分を取り戻してみせる、と。
私の全身全霊をもって私を取り戻してみせる、と。
後書きって何を書けばいいんでしょうね。