ロキ·ファミリアに直死の魔眼持ちが所属しているのは間違っているだろうか。 作:cocoon
うっすらと目を開ける。
真っ先に目に入ったのは白だった。
白骨のように温度の無い無機質な白。
身体が重く感じられて起き上がる気にもなれず、なんともなしに暫くそれを芒洋と眺めていた。
ようやくそれが天井だと気づいた時、
[ああ、ようやくお目覚めだね。]
と声が聞こえた。
億劫そうに声の発生源へと視線を向けると妙な格好をした人間が三人いた。
一人目はベッドの傍に立つ子供。
恐らく彼がさっきの声の発生源だろう。
二人目は窓際の壁に凭れている何故か耳が尖った女。
三人目は扉の近くに佇み、無表情で此方をじっとみつめてくる女。
[あなた達は誰?]
[うーん、それはこっちが聞きたいことなんだけどな。]
子供は困ったように笑い、
[君の名前を聞かせてもらってもいいかな?]
と問いかけてきた。
いきなり横っ面を叩かれたような気分だ。
自分が何者か。
私が与り知らないことを答えられる筈がない。
[······?]
問いに答えず、そのまま天井を向いて黙りこんでしまった私に対して訝しげな視線が向けられるのが分かった。
弱味などみせたくはない。
けれど、嘘を吐くのは性に合わない。
私は溜め息を一つ溢して、吐き出すように答えた。
[分からない。]
それを聞いた子供の眉がピクリと上がる
[それは本当かい?]
[ええ、けれど誰何の前にまずあなたが名乗ったらどうですか?]
[名乗りもしない人には言われたくないね。]
[見かけ通り生意気な子供ね。]
すると突然今まで沈黙していた女が笑い始めた。
扉の近くの女は子供と笑い始めた女をオロオロと交互に見やる。
当の本人は落ち着き払った様子で応答する。
[僕はれっきとした大人だよ。
恐らく君よりも年上だ。]
[嘘。どう見てもあなたは私よりも年下じゃない。]
[まあ、そう見えてしまうのは仕方がない。
僕は小人族だからね。]
[?]
何を言っているのかさっぱり分からない。
[パルゥム?
何ですかそれ。]
子供はやけに驚いた風に
[小人族を知らないのか?]
[?ええ、知りません。]
[ではヒューマンは?
分かるかい?]
[それくらい分かります。
馬鹿にしてるんですか。]
私は段々苛立ってきた。
そもそも彼等はまだ名乗ってすらもいない。
なのにまるで無知な赤子のように扱われなくてはならないのか。
[エイゴ?]
[あなた英語も知らないのですか?
世界共通語ですよ。]
明らかに困惑したように問い掛けてくる子供に平然と返してやると、子供は顎に手を当てて考え込んでしまった。
[どうかして?]
声をかけるとハッしたようにこちらを見て、
[ああ、目覚めたばかりなのに色々と質問をして悪かったね。
今のやりとりで少し疲れただろうからもう少し休むといい。]
そう言うと耳の尖った女を連れて部屋を出ていってしまった。
後に残されたのは無表情の女と私の二人きり。
私は天井に視線を戻した。
もう誰かと話す気分ではなかった。
まだお互い名乗ってすらもいない状態です。