冬木に蘇る万華鏡   作:エメラル

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初投稿なので、暖かい目で見てあげてください。
更新は、できるだけ早くするつもりです。


一話 日常

ある日。

 

「・・・・・・もう朝か。」

 

自分こと岸波白野は目を覚ました。

 

そのまま台所へ行き、軽い朝食を作り始める。

すぐに食べ終わると、学校に出かける準備をする。

 

まだ十分間に合うよな、と思いながら家を出て、学校へ行く。

 

これは、岸波白野の、いつも通りの日常である。

 

 

 

 

 

 

 

穂群原学園の校門につくと、後ろから声をかけられる。

 

「よお、白野。今朝はずいぶん早いな。」

 

「おはよう士郎。」

 

彼は衛宮士郎。彼とは、子供からの付き合いである。

                  

岸波白野は一人暮らしだ。

両親はいないし、覚えてすらいない。

なんでも、自分が小さいころに親と旅行に行き、そこでテロにあったらしい。

そのとき両親は亡くなり、自分も「アムネジアシンドローム」という病気に罹ってしまった。

治療は何とかできたのだが、後遺症で記憶が失われてしまい、その時拾ってもらったのが、士郎の親父さんである衛宮切嗣である。

彼は世界中を旅してまわっていて、偶然近くに来たそうだ。

その後、彼に引き取られる形で冬木に戻り、士郎と一緒に住むことになったのだ。

 

ちなみに今は、両親の遺産で深山町にあるマンションに住んでいる。

その世話とかも切嗣さんがしてくれたが、数年前に亡くなった。

彼には本当に世話になったなあ、と考えていると

 

「どうしたんだ、ぼんやりして。」

 

士郎に心配されてしまった。

 

「ああ、大丈夫。ちょっと眠いだけだ。」

 

「そうか、それならいいんだが。」

 

そんな取り留めのない会話をしながら教室へ向かう。

すると、

 

「おはよう衛宮、岸波。今日も気持ちのいい朝で大変結構。」

 

「おはよう一成。」

 

彼は柳洞一成。この学校の生徒会長で、士郎のクラスメイトである。

 

「うむ。ところで衛宮、朝早くから済まんのだが・・・」

 

「ああ、今日はなにするんだ?」

 

「実はな、視聴覚室と美術室のストーブが故障しているらしいのだが・・・」

 

「ああ、わかった。要するに直せるか見て欲しいんだろ?」 

 

「うむ、助かる。ではいつもの道具を持ってついてきてくれ。」

 

「わかった。

それじゃあ白野、またあとでな。」

 

「うん。それじゃあ。」

 

士郎はよくこうやって、周りの人のために働いているのを目にする。

そのため、周りから「穂群原のブラウニー」だの、「ばかスパナ」だのと呼ばれているらしい。

正義の味方を本気で目指しているので、「人助けが生きがい」なんだとか。

 

教室に入る。

自分の教室は2年A組だが、やはり誰もいなかった。

 

少し来るのが早すぎたか?まあ、暇だから自習でもしてるか。

そう考えていると、一人の女子が入ってきた。

 

彼女の名前は遠坂凛。

成績優秀、品行方正、運動神経も抜群で礼儀正しく、そのうえ美人。

欠点の見当たらない、男子生徒にとってアイドルのような存在だ。

 

「おはよう岸波君。」

 

「おはよう遠坂。朝早いんだな。」

 

そう返すと、一瞬不機嫌そうな顔になった。

あれ、俺なんか言った?

 

不思議に思うが、彼女がさっき士郎に全く同じことを言われたのを彼は知らない。

 

そのまま席に着き、準備を始める。

そのうち、他の生徒も登校し、HRが始まる時刻になる。

 

ふと、教室の外を見ると藤村先生・・・もといタイガーが疾走していた。

 

・・・士郎たちも大変だな。

 

 

 

 

 

 

「ではHRを終了する。日直は日誌と戸締りの確認を。

部活動のない生徒は速やかに帰宅するように。」

 

葛木先生のいつも通りの号令でHRが終わる。

 

今日はすることもないし早く帰ろう、そう思っていると

 

「岸波君、ちょっと手伝ってもらえるかな?」

 

タイガーに呼び止められた。

 

彼女とは衛宮邸に入り浸っていたこともあって、割と気心の知れた関係だ。

最近は自分が引っ越したこともあり、話す機会は少なくなっているが。

 

「いいですよ藤村先生。今日は暇なんで。」

 

「ありがとう~。士郎もバイトだったから助かるわ。

それで、こっちなんだけど・・」

 

ちなみに面と向かってタイガーと呼ぶことはない。

もっとも、それは学校中の生徒に言えることだが。

 

 

 

 

 

 

あのあと手伝いにかなりの時間をかけてしまい、最終的に学校を出たときには、辺りは真っ暗になっていた。

まあ一人だから遅く帰ってもいいんだけど、そう思っていると、

 

 

甲高い悲鳴が聞こえた。

 

一瞬驚いたが、すぐに走り出す。

声のしたほうへ急ぐと・・・

 

いたのは、気を失っている女生徒と・・・怪しい女性だった。

 

目隠しをしている時点で不自然だが、その体から発せられる威圧感は、どうみても人間ではない。

いや、人間ではありえない。

 

「見てしまいましたか。まあ、あなたの魂も頂くのみですが。」

 

「・・・くッ」

 

不味い。このままここにいたら殺される。

そう思った瞬間、無意識に使われていなかった魔術回路に魔力を通す。

想定したより痛みが大きいがそんなことを言ってる場合じゃない。

 

「move speed!」

 

そう唱えて一目散に走りだした。

 

・・・これが彼の使う魔術である。

幼いころ、士郎が魔術を教えてもらっていたとき、一緒になって教わった。

が、白野は士郎より覚えがよく、基本的な強化は習得したので、彼だけ教わったものだ。

まあ、切嗣のに比べると加速度は大したことなく、せいぜい1,5倍程度だが。

 

しばらく走って、敵がいないか確認する。

あとはあの生徒をどう助けるか・・・

 

「甘いですよ。」

 

真上から女が飛び降りてきた。そのまま釘のような短剣を白野に打ち込もうとする。

とっさに避けたが、直後に鎖によって足を絡めとられてしまう。

そのまま難なく引きずられる。

 

「くッ」

 

「あなたに恨みは無いのですが・・・

まあ、運命と思って諦めてください。」

 

そう言いながら女は短剣を振りかざす。

 

 

 

・・・・・諦める?

諦めるだって?

それは嫌だ。

確かに自分には力なんてない。

けれど、諦めることだけはしなかった。

常に前に進むこと、それが自分に出来る唯一のことだった。

こんなところで、止まるわけにはいかない—――!

だから・・・

 

「俺が諦めるのを・・・諦めろ!」

 

そう言って、最後の抵抗をしようとした瞬間、

 

凄まじい風が吹き荒れ、光が舞い降りる。

それは膨大な魔力。未熟な自分でもわかるほど桁違いな力だった。

 

「・・・まさか?!」

 

女が剣を振り下ろす。

しかしその剣は金属音とともに弾かれた。

あれは・・・クナイ?

 

自分から距離をとる女。

そして、自分を救ってくれた「何者か」は自分と女との間に立ちふさがった。

 

「・・・くッ、マスターがいないこの状況では不利ですね・・・

出直すしかないようです。」

 

そんな言葉とともに、女は消えていく。

 

そんなことより、今はこちらに振り向いた「何者か」に目を向けた。

 

年は自分と少し違う程度か?

赤い雲の模様が描かれた外套を着ており、額には額当てといった格好。

しかし、さらに目についたのは

 

・・・彼の、赤く光る眼だった。

 

対して彼は、こちらを見て、

 

「――――――問おう。お前が、俺のマスターか?」

 

ただ一言、そう言った。

 

—――――――彼らの運命は、今回り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




一部冬木の聖杯の設定など、原作を無視してますが
まあお許しください。



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