お答えできませんのであしからず。
何が起きたのかわからなかった。
向こうはこちらの態度に疑問を持ったようであったが、
「まあ、ここではなんだから落ち着けるところで話そう。
立てるか?」
と言うものだから、今は自分の家にいる。
ちなみに、倒れていた女生徒は病院に連れて行った。
命に別状はないらしい。
そして・・・
「さて、落ち着いたところで改めて話そう。
俺はアサシンのサーヴァントだ。
それで、お前が俺のマスターで間違いはないか?」
ここによくわからない人がいる。
よく見れば身長も自分より少し高いくらいだし、年もそんなに離れていなさそうだ。
助けてくれたのだから、悪人ではなさそうなのだが・・・
マスター?サーヴァント?何のこと?
話している内容がよくわからない。
「どうした?」
「さっきから言ってることがさっぱりわからないんだが。
マスターとかサーヴァントってなんだ?」
「お前はこの聖杯戦争に参加したマスターではないのか?」
「いや、俺はそもそも全く状況がわからないんだ。
いきなり変な女に襲われて・・・痛ッ」
左手に鋭い痛みが走る。
見ると、赤い文様が手の甲に浮き出ていた。
「令呪が現れたか・・・」
令呪?また自分の知らない単語が増えた。
「とにかく説明してくれ。
聖杯戦争っていうのが何なのかも。」
向こうは若干困った様子で
「わかった。
しかし俺も知っているのは基本的なことのみで、詳しいことはわからない。
だがルールくらいなら説明できる。」
そうして、青年から語られたのは信じられないことだった。
聖杯戦争とは、万能の願望機「聖杯」をめぐる儀式であり、
魔術師であるマスターがサーヴァント、つまり英霊を召喚し、殺しあう。
サーヴァントには7つのクラスがあり、
セイバー、ランサー、アーチャー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカーの中から
基本的に選ばれる。
自分が召喚したのはアサシン、つまり「暗殺者」のサーヴァントらしい。
そして令呪とは、サーヴァントへの3つの絶対命令権らしい。
「そんな儀式があったなんて・・・」
「俺にもよくわからない。
ただ、この地で聖杯戦争が始まるのは確かだ。
お前を襲った黒い女も間違いなくサーヴァントだ。」
「じゃあ、最近よく起こる強盗やガス漏れ事件も・・・」
「全てではないかもしれないが、サーヴァントが関わっているのもあるだろう。」
「・・・・・・・」
自分がしばらく考え込んでいると、アサシンはこちらを見て、聞いてきた。
「ところで、話によるとお前は意図せずに俺を呼んでしまったらしいが・・・
聖杯戦争に参加する気はあるのか?」
「えっ?」
「半端な覚悟では勝てない。
これは正真正銘の殺し合いだ。
お前が殺されるかもしれない。
マスターが望むなら、棄権なりなんなりすればいい。」
「サーヴァントを倒せばいいんじゃなかったのか?」
「いや、それはそうだがマスターのほうが狙われやすいだろう。
マスターのほうが非力だからな。
それに、令呪のあるマスターが他のサーヴァントと再契約するかもしれないだろう?」
「そういえばそうか・・・」
「だから、参加するかしないかは今決めてくれ。
俺のことはいい。お前に任せる。」
しばらく考えるが、やはり・・・
「いや、やっぱり参加する。」
「どうしてだ?
何か目的があるのか?」
「いや、特にないけど、この地で殺し合いが起きているなら止めないと。
こんな馬鹿げた争いも。
そして、聖杯に頼んで、二度とこんな争いが起きないようにする。」
「殺し合わずに、聖杯戦争に勝つと?
困難な道のりになるぞ。
それでもいいのか?」
「・・・ああ、俺は諦めない。」
そう言うと、アサシンはフッと笑って、
「やはりどこか似たものを感じるな。
わかった、お前がそう言うなら、俺はお前とともに在り続けるさ。
たとえ憎まれようともな。
それがサーヴァントってもんだろ。」
「・・・ありがとう、アサシン。」
よし、目的は決まった。
あとは・・・
「ああ、そういえば聞きそびれていた。
お前の名前は?」
アサシンに聞かれて、そういえば名前を言ってなかったことに気付く。
「俺の名前は、白野。
岸波白野だ。」
「岸波白野か。」
「うん。
そういえば、アサシンの真名はなんて言うの?」
「俺の名前はうちはイタチだ。」
「うちはイタチ?
えーっと、何をした人だったの?」
そう聞くと、イタチは考え込んで、
「やはりか・・・
予想はしていたが、ここはどうやら俺の居た世界とは違うらしい。」
そんな衝撃発言をした。
何だって?
「それじゃあ、別の世界から来たってこと?」
「どうやらそうらしい。
だが、他のサーヴァントの前ではアサシンと呼んでくれ。
真名がわからないだけでも違うからな。」
「それはわかってるけど。
まさか別世界の人間だったなんて。
向こうの世界ではどんな感じだったの?」
そう言った瞬間、イタチの顔が少し曇った。
「悪いが生前のことについては話したくない。
話せるほど誇れる内容じゃないしな。」
どうやらあまり話したくないらしい。
こっちとしても無理に聞く気はないが。
「そんな無駄話はやめにしろ。
俺を召喚したことで相当消費したはずだ。
早く寝ておけ。」
イタチの言葉を聞いた途端、どっと疲れが押し寄せた。
どうやら自分は想像以上に疲れていたらしい。
「わかった。
もう寝るよ。
狭くて悪いんだけど、好きなとこで寝てくれ。」
そう言いながら、布団に倒れこむ。
すぐに意識は途切れた。
・・・あれ?
起きたらなぜか時計が12時に?
ていうか・・・遅刻だ。
「マスター、ようやく起きたか?」
「起きてたの?
っていうかなんで起こしてくれなかったの?!」
「いや、昨日のことで疲れていると思ってな・・・」
「それでも起こしてくれ!
あーあ、もう昼か、これじゃあ今日は休むか。」
「そうか、それなら提案があるんだが
この辺りを案内してくれないか?」
「それはかまわないけど・・・
その服で街に出て大丈夫なの?」
「それなら問題ない。
サーヴァントはいつでも霊体になれる。
それに、アサシンには気配遮断がある。
サーヴァントがいても、簡単には見つからないはずだ。」
「だったらいいんだけど・・・
ちょっと待ってくれ、準備するから。」
そうして、服を着替え、簡単にものを食べてから家を出た。
イタチは霊体化してそばにいる。
ちなみに念話はできるらしい。
深山町一帯を回った後、バスに乗って新都へ行く。
あらかた回り終わると、すでに真っ暗になっていた。
そろそろ戻るか、と思ったとき、
遠くに見慣れた姿があった。
「あれは・・・士郎?」
(なんだ?マスターの知り合いか?)
(うん。今見つかったらまずい。)
しかし、士郎が見ていたのは、新都で高いビル。
何を見たのか、それをずっと見上げていた。
つられて自分も見上げたが、少なくとも自分には何も見えなかった。
っと、士郎が見上げるのをやめた。
幸い自分はまだ気づかれてはいないようだ。
さっさと退散するとしよう。
家に戻ると、時刻は9時過ぎになっていた。
「どう、このあたりの様子はわかった?」
「大体な。
しかし、サーヴァントの気配はなかったな。」
「そうか・・・
まあ、明日に期待するか。」
そこでなぜかイタチは眉をひそめ、
「もしかして、明日は学校へ行くつもりなのか?」
そんな当たり前のことを聞いてきた。
「もちろん行く。
これ以上サボるわけにはいかないからな。」
「そうか・・・
俺ももちろんついていくからな。」
「わかってる。
さすがに一人ではいかないよ。」
「ちょっとこの世界の学校を見てみたくてな。」
「そうなのか・・・」
その後イタチから聞いた話では、イタチもアカデミーという学校に通っていたらしい。
そして7歳で首席で卒業したとか。
・・・天才すぎる。
イタチをアサシンにしたので、
小次郎およびハサンは今のところ出す予定がありません。
ファンの方、申し訳ございません。
誤字があれば知らせてくれるとありがたいです。