ただただ、僕は迷惑をかけないように、そう思ったから行動した。
後悔なんて、するべきじゃない。
キャリーバッグを持って寮を抜け出し、夜の街を歩く。
まだ、ここから寮は近い。戻るならば、まだ間に合うだろう。
それでも僕は歩みを止めない。男が女子校に通う必要なんて、もうない。
風莉お嬢様に、友人ができた。これで僕がいる目的も無くなっていった。
風莉さんの役に立ちたい。
その願いは無事かなったのだ。僕がいなくても、みんなに支えてもらえるだろう。
...そう考えただけで胸が熱くなる。本当はもっと近くに居たかった。
でも、それは、違う。僕は男だ。どんなに外見で偽っても、中身は変わることのない。クラスメイトに欲情して、風莉さんにあんなことをしてしまって、僕は...。
いやでも、そうなる運命だった、としか自分を納得させれない。
今は、多少ならお金はある。これも風邪さんからもらったお金。
いいかげん自立するべきなのだ。ましてや自分と同じ年の女の子に養ってもらうなんて、言語道断だった。
身の拠り所は、もう無くしてしまったから。本当ならば、今頃。
でも、風莉さんが、ひなたさんや、柚子さんが居たから、笑顔になれた。
でも、それは、偽りだから。
「よし...」
気合いを入れ直すように、僕は頰を叩く。
とりあえず、どこか、バレないような遠くで、夜が明けてから。
働けるような場所を探そう。
ホテルは、一泊だけならまだ大丈夫。
「風莉さん達、今頃どうしてるのかな」
今日はひなたさんと柚子さんで、買い物に行っていた。僕は留守番を任されていたけども、三人の仲が良くなったことに、僕は、軽く嫉妬していた?もしかしたら、風莉さんには僕だけを頼ってほしい、なんて我儘な欲望があったのかもしれない。でもそんな感情も今日でおさらば。明日からは、おそらく幸せを感じることは少なくなるだろう。
「それでも僕は、これしか、ないから」
月明かりの照らす夜は、とても静かで、僕の歩んだ道だけが音を鳴らしている。
「お姉様、いつまでたっても食堂にこないのだ?」
「変ですね...いつもなら、もう料理を作ろうと食堂に来てる時間ですけど...」
「のんきに寝てるんじゃねーの?」
今日は、湊の誕生日。だから、みんなでお祝いをしようと、湊に内緒で、プレゼントを買いに行って、ケーキも作ったのだけど...
「部屋、見に行ってくるわね」
今日は様子が変。いつもなら、湊は食堂で料理を始める時間なのに...
部屋を見ると、綺麗に片付けられていた。
まるで、最初から私しか居なかったかのような綺麗さ...
「湊...?」
私しか部屋に居ない。錯覚じゃない。
「風莉先輩?どうしたのだ?部屋の前で立ち尽くして」
「風莉さん...?」
「うお、すっごい綺麗になってるな...って」
「湊が、居ないわ...」
家出、というのかしら。とにかく、どこに行ったのか探さないと...
「七海先生、車を出して!」
「わかったよ!たっく、あいつ、どうしたんだ?」
その時私はテーブルの上に置いてある退学届に気づかなかった。
でも、気づいたとしても、こんなの受け取るわけないじゃない。
なぜ、居なくなってしまったのかはわからないけど、絶対に見つけてみせるわ。だって、湊は...
それに、これが運命だったらあんまりじゃない。
オリジナル展開ですのでオリジナルキャラがでます(続きを書くのなら)これだけで自分は正直満足ですが、やはり幸せに終わるほうが、すっきりするので、頑張ります