「―――……話は終わりか?」
「……」
「……ごめんなさい……」
「……お、怒らないであげて。ナーサリーは、わたしたちのために」
「勘違いするな。私は怒りに来たのではない。
あまり騒ぎ立てるなと注意しに来ただけだ。お前達は悪戯が過ぎる時もあるからな」
「ごめんなさい……」
「……やれやれ、そう悲しい顔をされても困るのだが……」
「……」
「泣くな、もう泣くな。小さき聖女よ。
事情は知らないが、騒いでいたのも友のためを想っての行動だったのだろう?」
「うん……」
「それは、善いことだ。やり方はどうあれ、お前達は互いに互いを想い合ったのだ。
―――ならば、友と向き合うのに正しいのが、そんな顔なのか?」
「……」
「……笑うが良い、幼き英霊達。
互いに互いの境遇を想い、悲しみ、猛り、別れの時を淋しげる。
そんなお互いを笑い合い、支え合うが良い。それが―――友と言うモノであろう?」
「アタランテさん……」
「喜びに笑え、涙に笑え―――誰であれ、喜びに涙する。
涙は零れ落ち、流れ、分かたれるだろう。
だが、例え離ればなれになろうとも、記憶に焼きつくその笑顔は離れることはない。
―――笑顔でいてくれ。お前達が、離ればなれにならないように。
最高の笑顔を見せるのだ。お互いが、お互いに」
「笑顔……」
「そうだ。どんな笑顔でも良い……寂しい思いをした分だけ、笑うのだ……」
「……」
「……私、好き」
「バニヤン?」
「ナーサリーが好き。ジャックも好き。ジャンヌもサンタさんも、みんな好き。
―――みんなが笑顔で幸せになるのが、一番好き。あと……パンケーキ」
「……」
「笑おう?笑いながら、手を繋いで、ずっと一緒にいよう?
大丈夫、私はそうしていたら寂しくなくなる気がするもん」
「……ええ、そうね。
少なくとも、笑いながら終われたら―――
―――ハッピーエンドではないけれど、バッドエンドでもないものね」
「……わたしたちは、おかあさんの中にかえれないね。
でも、みんながいるなら少しだけ、痛くないかも……わたしたちに、触れてくれていたら」
「……私は、もう一度海が見たいです。
二人が、私の手を引いてくれた。あの海を、もう一度……今度は、バニヤンも一緒に」
「ジャンヌ……」
「約束です。忘れないで下さいね?
忘れないで居てくれたら、次のクリスマスにお連れします!
―――プレゼントを持って、笑いながら迎えに行きます」
「……ええ、行きましょう。行きましょう。
いきましょう……いずれは消える、影法師でも。サーヴァントとしていきましょう。
ワタシはアナタと、いきましょう。ドアを鳴らして、あたしが開けて」
「はい。トナカイさんにソリを引いて貰えば、きっと見つけてあげられますから!」
「ふふっ、待っているわ。いつまでも、いつまでも。
待つのはこれでも得意だから、ジャックは待てないかもしれないけど」
「!?わたしたちだって待てるよ!そんなに子供じゃないもん」
「そうかしら?そうだといいわね。勝手にドアを開けたらダメよ?
ネズミが麦を食べに来て、食べたネズミをネコが取って、ネコを咥えたイヌを追いかけて、
怖い狼さんにつかまってしまうかも!!」
「しないよ!面白そうだけど、ちゃんと待つよ!」
「楽しみだわ。楽しみだわ!次のクリスマス、約束よ!
待っているから、お菓子とお茶と大きなパンケーキ、それに靴下を用意して!」
「お任せください!歌でも歌っていれば、クリスマスなんてすぐきますから!」
ああ―――ひとたび笑顔を取り戻せば、寂しさよりも楽しい思い出が胸を満たします。
寂しさは無くならないけれど、いつでも傍に思い出が……無くならない笑顔が共に。
「……そうだ。それでいい。お前達はそうであってくれ……」
「ありがとうございます、アタランテさん!
……おかげで私達、覚悟が決まりました!!」
「ああ、いいんだ。私は注意しに来ただけだから……後はお前達の好きにすると良い」
「はい」
「ただし、なるべく静かにな?他の者に迷惑をかけるのはよせ。これからもな」
「……エー……」
「怒られたくなければな!!」
「……ハぃ……」
「よしっ!では―――
―――今から私はマスターに、お前達だけでもここに残せるよう断固抗議しに行く!!」
「……?」
「……―――てっ、えぇ!?」
つづく?