戦車乙女たちに追われています   作:神崎識

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ある意味、家元降臨です


家元降臨

~長野・とある森林~

 

森の中を進軍する西住まほ率いる主力部隊。

 

きれいな隊列を組み、乱れなく進んでいた。

 

しかしそれは意外にも長くは続かなかった。

 

『隊長!左翼より大学選抜パーシング接近!迎撃します!』

 

左翼に展開していた黒森峰戦車隊が接敵をしていた。

 

「隊長!正面に敵影を確認!」

 

ティーガーⅠの操縦手がまほに報告する。

 

まほはキューポラから顔を出して双眼鏡で敵影を確認した。

 

「なっ!?」

 

まほが驚くのも無理はない。

 

敵影の正体は大学選抜のT28重戦車だった。

 

「全車後退!」

 

まほが後退の指示をする頃には隣のティーガーⅡが砲撃により行動不能になっていた。

 

まほが驚いているのはそれだけではなく、T28重戦車の後方のセンチュリオンのキューポラから出ている人間にもだ。

 

島田流家元島田千代だったからである。

 

T28重戦車の後方からセンチュリオンとパーシングの砲撃が始まった。

 

『こちら左翼!敵による砲撃にて身動きが取れません!』

 

『こちら右翼も同様です!』

 

まほは後悔していた。

 

確かに速い足を使えば速く行けるが、こうも守りが薄ければ敵の重戦車に踏み潰されてしまう。

 

森を選んで進んだ事も後悔した。

 

T28重戦車は車高が低く隠蔽性も高い。

 

向こうも視界が悪ければこちらも必然と悪くなってしまう。

 

「(これが変幻自在の忍者戦法!)」

 

まほが全滅を覚悟したその時だった!

 

Avanti(アーヴァンティ)!」

 

その声と共に突撃してくる快速戦車CV33。

 

予期せぬ乱入者に大学選抜の隊列が崩れていた。

 

『西住!私についてこい!』

 

声の主はアンツィオ高校戦車道隊長のアンチョビこと安斎千代美であった。

 

「全車!私に続け!」

 

アンチョビが乗るCV33に続いて黒森峰の戦車たちが森を向けて行った。

 

「家元どうしましょう?追いますか?」

 

「小娘一人がどうにかできる現状ではありません。このまま熊本の西住本家を攻めます」

 

そのまま前進を続ける島田千代率いる大学選抜。

 

一方で西住まほはアンツィオ高校のある静岡に安斎千代美の誘導で移動を開始した。

 

~★~

 

~静岡・アンツィオ高校~

 

そして時は戻り、黒森峰の主力部隊と足止め部隊、偵察兼捜索部隊がアンツィオ高校にて合流していた。

 

アンツィオ高校の隊長室にて黒森峰の隊長の西住まほ、副隊長の逸見エリカ、そして偵察隊の隊長の赤星小梅の三人。

 

アンツィオ高校の隊長の安斎千代美(アンチョビ)と副隊長の二人のカルパッチョとペパロニの合計六名が居た。

 

これは黒森峰とアンツィオの代表三者による今後についての会議だ。

 

「安斎今回の事は感謝している」

 

まほがアンチョビに向かって軽く頭を下げた。

 

「気にするな西住。それに私はアンチョビだ」

 

お決まりのやり取りをしているが、ふざけている場合では無かった。

 

「実は西住にお願いがある」

 

「助けてもらったのだ。何でもとは言わないがある程度なら聞こう」

 

アンチョビが生唾を飲んだ。

 

緊張しつつ要求を口にした。

 

「実は黒森峰とアンツィオで同盟を組みたい」

 

意外な言葉に黒森峰勢が呆気をとられていた。

 

「我がアンツィオは火力不足だから黒森峰の重戦車を援軍としたい」

 

確かにアンツィオはCV33を主力としており、セモヴェンテも数は少ない。

 

それに秘密兵器のP40は維持の為に資金をだいぶと削るため部隊の機動力があるが、火力不足になってしまっている。

 

「黒森峰としても現在は機動力に欠けている。黒森峰にも二号戦車あるが、アンツィオのような機動力は出ない」

 

黒森峰の専売特許の重戦車の力押しである。

 

そのせいか軽戦車の乗り手が居ない為、アンツィオのような機動力はない。

 

それに突発的な事に対処する力と団結力に欠けている。

 

だがアンツィオはどうだ?

 

団結力はどこよりもある。

 

おつむは弱いが対処能力もある。

 

それに自然と答えがもう出ているのであった。

 

「答えが出たな西住」

 

「そうだな安斎」

 

2人が握手を交わした。

 

これによりアンツィオと黒森峰の同盟が成立した。

 

「安斎。これより大学選抜を潰すために熊本に戻る。ついて来てくれ」

 

「了解した西住。それに私はa」

 

アンチョビが一言を言おうと瞬間に隊長の扉が勢いよく開けられた。

 

「まほ。その必要はないわ」

 

西住流家元の西住しほとその夫の西住常夫が立っていた。

 




次回はしほとまほとアンチョビの珍しい絡みが見れます。

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