いつもよりほんのちょっと長くなっているので、暇なときにでも読んでください!。
「なんで、なんで吹雪ちゃんが囮にならないといけないの!」
夕立は不知火と時雨に押さえられていた。
そうでもしないと、今にも夕立が飛び出して行きそうだったからだ。
「夕立、落ち着いて。これは仕方がないんだ。誰かがそうしないと全員がやられてしま「だからって!時雨ねぇさんは吹雪を見捨てるって言うの!?」
「仕方ないじゃないか…。」ボソッ
「彼女の覚悟を、踏み躙るなんてしてはいけないんだ。だから……」ポロ
首筋に冷たいものが当たる。僕の方からは時雨ねぇさんの方は見えなかった。
「だから彼 女のため にも ここは 撤 たいす る べきだよ。」ポロポロ
「私も………そうするしかないかと…。」
不知火の歯痒いような呟きが聞こえた。
確かに解っていた。僕一人が行ったところでどうにかなるものではない。
でも…!それでもっ!、僕には見捨てることなんて出来ない!
なぜなら、
泣いているからか、二人の押さえる力が弱まっていた。
「ごめんなさい!私には見て見ぬふりなんて出来ない!」
二人を振りほどき一歩を踏み出す。
背後から僕を止める声が聞こえる。それでも振り返るつもりはない。
………これで良かったんだよね──。
彼女は迷いのないような笑顔で頷いた。
深海棲艦は砲を構えて、今にも撃つような姿勢だった。
多分だが砲撃には間に合わないだろう。
でも…何がなんでも…吹雪を助けるっ!。
─────────────────────────
「夕立さん…なぜ!?」
この状況下であそこにいくのは、わざわざ死にに行くような行動だ。
だからこそこの行動が理解出来なかった。
「……はぁ、まったくわがままな妹だね。……ま、夕立らしいかな。」
時雨は目を腫らしたまま柔らかく笑って夕立を見ていた。
「不知火、少し手伝ってくれないかい?」
まったく、これだと私自身の心も理解出来そうにないですね。
「任せてください。」クスッ
この仲間を思う気持ちが。
夕立は勢いを殺さず突っ込んでいく。
深海棲艦は夕立に気付いたようだが、砲身を動かすことはなく吹雪を狙っていた。
「このままだと不味いね…。」
もちろん私たちも向かっていたが距離が遠すぎて砲撃をしても間に合わないだろう。
「私たちでは手だしできませんからね…。」
そう言った直後、深海棲艦は砲撃をした。
それと同時に夕立は吹雪と深海棲艦の間に飛び込み相手の砲弾を殴り飛ばした。
少しだけ砲弾の進路が逸れて吹雪に当たることはなかった。
「流石、僕の自慢の妹だね。」ドヤァァ
「ここで距離を詰めましょう。」
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「え………どうして…?どうしてなの!?」
いつのまにか私の目の前には、夕立が立っていた。
「それは…もちろん友達を守るためだよ。」
そして、彼女は力強く笑って見せた。
「Oh…you are crazy?」
相変わらず深海棲艦は何を言っているか分りそうにはなかった。
「───Yes , I am.」
一人を除いては。
「ゆ、夕立ちゃん?今なんて「いいから今のうちに距離をとって!」
その指示どうり、吹雪は距離をとる。
夕立が主砲を構えるがやはり戦艦の装甲を貫けるとは思えなかった。
「やっぱり無理だよ!」
それを聞いて、夕立は後ろを振り向く事なく呟いた。
「無理かどうかなんてやってみなくちゃわからないっぽい!だからここは任せて!」
そう言うと深海棲艦に向かって左の回し蹴りを放つ。
敵はそれを易々と受け止め、反撃の正拳突きを出す。
しかし、その拳を出したところには夕立の姿はなかった。
代わりにあったものは─────魚雷だった。
「Ahhh! Ouch!」
魚雷は拳によって爆発する。その爆発に紛れて夕立が後ろ回し蹴りを敵に叩き込む。
「これでぇぇ!どう!?!」
敵が後ろに仰け反る。確かだが、初めてまともに攻撃が入った。
間髪入れずに時雨と不知火からの援護射撃が撃たれてくる。
やった、この調子ならなんとかなるかもしれない。
そう思った瞬間、激しい爆音と共に夕立が吹き飛ばされてきた。
「う うそ …。夕立ちゃん!?」
夕立は敵の砲撃を至近距離で食らったため、身体中ズタズタになってしまっていた。
「Do not take trouble.」
煙の中から少し傷を負った深海棲艦が出てくる。
私が夕立ちゃんを守らないと……。そう思うが足が震えて前に出られない。
夕立ちゃんは私を守るために戻ってきたのに……私だって…私だって!
気がつくと私の震える手に夕方の手が置かれていた。
「だ い じょう ぶ。 これ くらい な れてる から。」
ボロボロの夕方はまだ立とうとしていた。
「もうやめてよ、夕立!」ポロポロ
時雨の悲痛な叫びが遠くから発せられる。
「駄目です!そいつから離れてください!」
不知火も叫んでいた。でも私は───
「私のことはいいから、にげて…。」ポロポロ
───私はなにも出来ない……なんて無力なんだろう。
「そんなこ と で き るわけ な い!!」
失いたくない。分かっているのに、どうして、どうして手が動かないの!?
「貴女達は、充分戦ったわ。」
後ろから時雨でも不知火でもない声が聞こえ、驚いて振り返る。
「大丈夫、後は我にお任せを!」
そこには軍服を着た初めて見る艦娘が一人立っていた。